債権の処分禁止支払禁止仮処分命令申立書
平成 年 月 日
静岡地方裁判所 民事部 御中
債権者 ****株式会社
上記代表者代表取締役 ****
当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり
債権目録 別紙債権目録記載のとおり
申立の趣旨
1、債務者は、第三債務者から別紙債権目録記載の債権を取り立て、又はこれについて譲渡、質権の設定その他の一切の処分をしてはならない。
2、第三債務者は、債務者に上記債務を支払ってはならない。
との裁判を求める。
申立の理由
第1、被保全権利
1、当事者
(1)債権者は、**業を営む会社であり、債務者は、近時社会現象ともなった手形・小切手を担保に違法な超高金利(本件においては週3割の高利)を取る東京の「システム金融」業者である。
第三債務者は、債権者が債務者より詐取された債権譲渡通知書により、債権譲渡通知を受けた被通知人であり、債権者の取引先である。
2、債務者の詐欺的暴利行為
(1)以前、申立外商工ファンド株式会社より融資を受けていた債権者に対し、平成 年4月ころ、突然債務者からのファックスが届く。融資の勧誘である。
(2)平成 年5月中旬頃、資金繰りに窮した債権者は、藁をもすがるような思いで、電話で債務者に融資の申し込みをしたところ、「300万円までなら出せる。東京の事務所に来てくれ」とのことだったため、債務者に指示された「手形帳」「小切手帳」「印鑑証明書(会社及び個人)」「実印(会社及び個人)」などといった重要書類を持参し、平成 年5月25日に債務者の事務所を訪れている。(甲第1号証・甲第2号証)
(3)当日債権者に対して債務者が提示した融資条件は、@融資金額及びA小切手を担保に取るなどといった点において明らかに事前に電話で確認したものと異なっていたため、一旦は申し込みを撤回した債権者であったが、債務者の執拗な勧誘に負け、金210万円の金銭消費貸借契約を締結している。(甲第3号証)
なお、当該金銭消費貸借契約の内容は次のとおりである。
@融資額 金210万円(ただし、5万円を事務手数料として天引)
A利息 年利10%
B返済方法 合計36回の分割
ただし、債務者は債権者の署名した金銭消費貸借契約証書などの債権書類の控えを一切債権者に交付していない。
(4)一方、債務者は、上記契約の担保として、手形の振り出しを要求しており(当初は小切手の振り出しを要求したが、債権者がこれを拒絶した)、平成 年5月28日、債権者はこれに従い、日付及び支払人を空欄にした額面金120万円と金160万円の手形を2通振り出している。(甲第5号証)
(5)ところが、1週間後、債務者は、債権者に対し、手数料として金70万円の支払を請求している。その理由は、債権者所有の不動産に対し、訴外商工ファンド株式会社の根抵当権設定仮登記が残ったままになっているからという理由であったが、これを払えば、上記額面額金120万円の手形は返却するということであったため、債権者は債務者の指示通り、平成 年6月4日金70万円を支払った。(甲第4号証)
(残りの140万円につき、担保として額面金160万円の手形を預かる、140万円に関しての36回払いの償還表を送付する、との約束だった。)
しかしながら、債務者は、約束を守らず、上記手形の返却及び残金の償還表の送付もしなかった。
(6)それに加え、さらに1週間後には、債務者は再び手数料と称して金70万円の請求をしてきたのである。これでは当初の契約内容とまったく違うことから、債権者は債務者に対して残元金を確認したところ、「残元金は金280万円であり、ジャンプするのであれば、今後も1週間ごとに70万円の手数料を払ってもらうこととなる。債権証書の写しの交付については忙しいので応じられない。」という回答を得ている。
(7)債権者は、弁護士にも相談し、(6)記載の手数料の支払を拒絶したが、その結果として、債務者に振り出した手形が交換所に回されることとなり、平成 年6月18日、合計金280万円が決済されることとなったものである。(甲第3号証・甲第5号証)
(8)こうした経緯にも関わらず、債務者は債権者に対し、(6)記載の手数料金70万円を執拗に請求し、債権者がその支払を拒絶したところ、予め債権者から取得していた債権譲渡通知書を債権者の取引先3社に対して送付し、今度は債権者の取引先からの回収を図ろうとしている。
(9)ところで、上記の金銭消費貸借については、債務者が手数料名目で受領している金員については、利息制限法3条の「みなし利息」に当たることは明らかであるため、元金210万円に対して、週3割の超高金利を要求するものであり、「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」の上限金利を遙かに超える暴利行為であるので、明らかに公序良俗に反する行為であり、無効である。資金繰りに窮迫した債権者の無経験に乗じて、不当な利益を得る極めて悪質な暴利行為と言える。(甲第6号証)
(10)仮に無効でないとしても、債務者の一連の行為は、明らかに債権者を欺いて錯誤に陥らせ、その錯誤によって意思表示をさせる行為であり、民法96条の詐欺による意思表示にあたるから、取り消しうべき行為である。
(11)仮に上記金銭消費貸借契約の無効又は取消が認められないとしても、利息制限法所定の金利による引き直し計算をしてみれば、債権者は債務者に対して全額を返済しているばかりか、金1,437,101円の不当利得返還請求権を持つ。(甲第6号証)
3、債権譲渡契約の不存在
(1)債権者は、平成 年5月25日、債務者の事務所において上記金銭消費貸借契約を締結しているが、この際、金銭消費貸借契約証書の他、いくつかの書面に署名押印をしている。
その中の一つが、債権譲渡通知書であり、既に、債務者の手によって、本件第三債務者である債権者の取引先3社へ送付されている。(甲第9号証)
(2)しかしながら、次にあげる理由から、債権者債務者間には債権譲渡契約なるものは存在しない。
(3)そもそも、債権者に債務者に対する債権譲渡の意思表示が存在しない。
「この書類は何ですか。なぜこのような書類が必要なのですか。」と債務者にその意味を問うた債権者に対し、債務者は「返済が終われば関係ない」と繰り返すだけで、まったく債権譲渡契約の内容について説明をしておらず、半ば強引に署名押印をさせたにすぎないからである。日付も被通知人の記載も空欄で債務者に渡しており、従って、本件債権譲渡通知書における被通知人の記載は債務者が勝手に書き入れたものであり(筆跡からも明らかである)、債権者に被通知人への債権譲渡の意思はない。
(4)さらに、当該債権譲渡契約は、上記金銭消費貸借契約によって生ずべき債権を担保するためになされるべきものであることは明らかであることから、当該金銭消費貸借契約自体が公序良俗に反する法律行為である以上、当該金銭消費貸借契約と同様、無効なものと言える。
(5)仮に無効でないとしても、債務者の一連の行為は、明らかに債権者を欺いて錯誤に陥らせ、その錯誤によって意思表示をさせる行為であり、民法96条の詐欺による意思表示にあたるから、取り消しうべき行為である。
(6)仮に取り消しうる行為でないとしても、上記金銭消費貸借契約によって生ずべき債権を担保するためになされたものであることは明らかであることから、既に上記金銭消費貸借契約に係る債務の全額の元利金の返済が終了しているのが明らかである以上、当該債権譲渡はその時点において担保としての目的を達して失効していると言える。
ところが、本件債権譲渡は、債権譲渡通知書記載の局印のとおり、失効後である平成 年6月20日に差し出されたものであるから、明らかに権利の濫用と言え、かつ、信義則の原則からも許される行為ではない。(甲第9号証)
4、被保全権利のまとめ
よって、債権者は債務者に対し、不当利得返還請求権及び借入金債務不存在の確認を求める請求権を持つと同時に、本件債権譲渡通知書によって特定された債権者債務者間の債権譲渡契約の存在しないことの確認及び債権証書一式についての返還を求める請求権がある。
第2、保全の必要性
1、債権者は、上記第1の4記載の各権利を実現するため、不当利得返還請求等訴訟を御庁に提起すべく準備中である。
2、しかしながら、既に債務者は、本件第三債務者である債権者の取引先3社に無効な債権譲渡通知書を送付しており、第三債務者に対しても債務者からの請求は既に及んでいる。
このままでは、第三債務者が債務者に、本来債権者に支払うべき金員を支払ってしまう可能性が高いばかりか、さらに他へ譲渡し、権利関係を複雑化される恐れもある。
そうなると、債権者自身の資金繰りにも多大な影響を与えることとなり、場合によっては倒産という可能性も否定できず、そもそも上記訴訟において勝訴判決を得ても実効を収めがたい。
3、なお、本件は、上記のとおり債務者の違法性が極めて高く、債権者の過払いも著しい事例である。しかも提出した疎明資料を逐一検討頂ければ、債権者・債務者間の取引明細は明白である。
よって債務者が多額の不当利得を得ていることは至極明らかな事実であり、本仮処分決定が出されたとしても、何ら債務者にとって損害が発生しないこともまた明らかである。
御庁におかれては、保証金の額を低廉に押さえていただきたく、申し添える。
4、よって、申立の趣旨記載の裁判ありたく本申立をする。
疎明書類
1、甲第1号証 債務者が送信した必要書類内容の案内
2、甲第2号証 債務者担当者の名刺
3、甲第3号証 入出金のご案内
4、甲第4号証 利用明細書
5、甲第5号証 手形写し
6、甲第6号証 利息制限法による計算書
7、甲第7号証 内容証明郵便
8、甲第8号証 配達証明書
9、甲第9号証 債権譲渡通知書
10、甲第10号証拠 報告書
添付書類
1、甲号証写し 各1通
2、資格証明書 4通
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