消費者契約法4条3項1号(不退去)による取消事例
  

1.はじめに

   本稿は、実際に当事務所で受託した、ある典型的な悪質商法被害の事例に関してである。
 いわゆる「床下商法」とも言うべき悪質商法であり、被害者は高齢者、当事務所に当初相談を持ちかけたのは被害者の子であった。
 業者は、大手信販会社の加盟店であったが、被害者は、業者のやり方に納得できず、当該信販会社からの立替金請求を拒絶していたため、訴えを提起されていた。
 そうした状況下において、答弁書の作成を含めて、当事務所に相談を寄せてきたのである。
 信販会社の訴状は定型的なものであったが、合意管轄の定めがあったとして、名古屋簡易裁判所に提起されており、請求金額は72万円という金額であった。

2.移送の申立て及び許可代理申請

 受託の際、被害者及び被害者の子から事情を聴取した結果、名古屋簡易裁判所における口頭弁論期日は間近に迫っているが、被害者本人はもちろん、契約の締結に至った場所も静岡市内であり、販売業者も静岡市内であることから、まずは静岡簡易裁判所への移送の申立をし、その後にじっくりとクレジット契約の取消について争っていくことととした
 また、一方において、被害者自身は高齢でもあったため、長期化するかもしれない訴訟に耐えうるかどうか疑問なしとは言えず、その旨を説明し、一緒に来所してくれた被害者の子を代理人として許可してもらうべく、許可代理申請も同時に行った。
 この点については、今般の司法書士法改正により、大きく変わるところとなる。
 これまでも同様の事案につき、親族を代理人として訴訟の遂行をせざるを得なかったが、司法書士が代理人となることによって、これまで以上に円滑な訴訟遂行が可能となることは間違いない。
 特に、証人尋問などにおいては、これまで、実質的には裁判官の訴訟指揮に委ねざるを得ない状況であったが、代理人である司法書士の主導のもとに戦略的な尋問が可能となろう。

平成14年(ハ)第****号立替金請求事件
原  告    株式会社  **** 
被  告    *****

             移 送 申 立 書

                   平成14年 月  日

名古屋簡易裁判所 御中

申 立 人 (被 告)   ****

申立ての趣旨

 本件を静岡簡易裁判所に移送する。
との決定を求める。

申立の理由

1、被告の住所は静岡市にある。
2、被告が本件契約をしたのは、被告の住所たる静岡市であり、又その契約書を実際に作成した相手方は訟外販売店(株式会社○○○○)の静岡営業所(静岡市***18−13)の社員である。
3、原告は、立替払契約書の約款に管轄の合意があると主張する。
 その文言によれば、全国の主要都市の全てに管轄が生じるような途方もない定めにも読めるが、その趣旨は紛争の生じた契約を担当した本社、支店、営業所の所在地の裁判所に管轄を合意する趣旨と解すべきである(福岡高裁平6・7・4決定、判タ865・261頁)から、管轄裁判所は静岡簡易裁判所にあると言える。
4、一方、原告には静岡市に営業所もあり、同所の職員による事件処理も考えられるのに対し、被告が、名古屋市の貴裁判所に出頭するには多額の費用と時間を要する。 
5、また、被告は高齢でもあり、添付診断書のとおり病を抱えているため長距離の移動には耐えられない。
6、よって、申立の趣旨記載の移送の裁判を求める。

添付書類

1、診断書          1通
2、契約書の写し        1通

   
  

3.答弁書の作成

 本件契約は、どのような経緯で締結されるに至ったのか、その過程にどのような問題があったのか・・・まず、詳しく事情を聴取することにした。
 すると、販売店による極めて悪質な手口が徐々に明らかとなった。
 この点については、まずは裁判所の理解を求めるべく、冒頭に「契約に至る経緯」として記述することにした。

 次に、どのような理由によって、信販会社からの支払いを拒絶するべきであろうか・・・この点について考えることにした。
 クーリング・オフが利用できれば、無条件撤回であることから、一番手っ取り早いが、こうした被害例が専門家に寄せられる時点では、まずクーリング・オフができる期間を満了している場合が圧倒的多数である。
 しかしながら、いくつかの判例をあたってみると分かるが、クーリング・オフの期間の進行には、いわゆる法定書面の交付が前提となっており、その記載内容は相当に厳格に解釈されているのが現状である。
 実際に、東京地方裁判所における平成5年8月30日(判例タイムズ844号252頁)の裁判例では、「契約の目的たる商品又は役務について購入者等が当該商品の製造者名やその販売価格又は当該役務の対価につき正確な認識を得られないような記載しかしていない書面を交付した場合には、右書面は、法6条1項1号(特定商取引に関する法律第9条1項1号)にいう『第5条の書面』に該当せず、同項にもとづく解除の期間は進行しないものと解するのが相当である。」と判示しているのである。
 本件における法定書面の記載も杜撰なものであり、到底法定書面としての要件を満たしていないものと考えられたため、ただちにクーリング・オフの書面を送付することにし、答弁書においてもその旨の主張を盛り込むこととした。
「クーリング・オフによる撤回」という部分である。

 さらに、消費者契約法による取消を考えてみることにした。
 本件においては、「契約に至る経緯」で述べたとおり、明らかに「不退去」に該当する行為が認められている。
 問題は、第三者が存在しえないところにおいて行われた行為を、どのように立証していくかという点であるが、その点については原告の対応を見ながら臨機応変に対応していくことにして、真っ向から「不退去」を主張することとした。
 訴外販売店との消費者契約が「不退去」を理由に取り消されることとなれば、立替払いの支払いも拒絶することが可能となる。

 一方、本件のようなクレジット契約の特殊性と実態を鑑み、被告と販売店との請負契約と原告と被告の立替払い契約の一体性を主張し、すべての無効を主張することも考えてみた。
 すなわち、「訴外販売店は原告の指定加盟店であり、訴外販売店が原告の信用を利用して顧客を獲得し、原告も利益を得るといった経済的に相互依存の関係にあり、また、立替払契約は請負契約の存在を前提とし、契約書が同一であるなど本件立替払契約と本件請負契約は一体となっており、一個のクレジット販売契約というべきものである。」という実態に鑑み、クレジット販売契約自体が無効であるとの主張である。

 もちろん、現段階において、こうした主張が認容されることは、困難であろうが、本件被告においても、そのような認識でいたし、多くの消費者の実感にも近いと思われる。
 この点についての判例の確立は今後の課題と言えよう。

平成14年(ハ)第****号立替金請求事件
原  告    株式会社**** 
被  告    *****

平成14年 月  日

名古屋簡易裁判所 御中

〒420−***
     静岡市****
被  告  ****  

        答弁書

     請求の趣旨に対する答弁

1、原告の請求を棄却する。
2、訴訟費用は原告の負担とする。
との判決を求める。

     請求の原因に対する認否 

1. 請求の原因1については認める。
2. 請求の原因2については争う。
3. 請求の原因3については不知。
4. 請求の原因4については認める。
5. 請求の原因5については認める。
6. 請求の原因6については争う。
7. 請求の原因7については争う
 本管轄は、選択的合意管轄の内の一つであるが、被告は高齢でもあり、身体障害者の認定も受けており(乙第1号証)又、他にも病を抱えているため、別紙移送申立書のとおり静岡簡易裁判所への移送を申し立てる。

被告の主張

1、契約に至る経緯
(1) 平成13年10月16日、訴外株式会社○○クリーン(以下訴外販売店という)の営業社員訴外○○○○(以下○○という)と他男性2名が、被告の住居を訪問した(乙第2号証)。
 その際、○○らは、「向かいの家がカビていたけどお宅はどうですか」と言って入って来た。その後、被告の許可なく上がりこみ玄関横の和室の畳を持ち上げて「やっぱりカビが生えています。ねずみが、かじった跡があります。身体によくないから機械をつけた方がよい」と言って被告に対してセールスをしてきた。
 被告は当初「でも、うちは借家だからいらない。」と言って断ったが、○○が、「向かいの家も借家だけどつけたよ。」「支払は月々1万円にすぎない。」「僕も○○学会員だから仏壇に手を合わせたい」等の話をしている間に、他の二人が外にネットを張り始め、取り付け工事を始めてしまった。
 その後、被告が「夕飯の買い物に出かけたい」と言うと、○○は「ぼくがここで待っていてあげるから行ってきていいよ」とのことで、被告はやむなく○○等を残して外出した。
 その間に○○は本件請負契約兼立替払契約書を作成し、被告が帰宅すると「ここに、名前を書いて」と指示して被告に書かせ、支払口座の欄は○○が通帳を見ながら記入した。
 以上のような経緯により本件請負契約兼立替払契約書は作成された(乙第3号証)ものである。
(2)請負契約に含まれる商品の内訳は以下のとおりである。
UHCシステムファン       2ケ
UHCセンターファン       4ケ
オートタイマー         1ケ
コンセントブレーカー      1ケ
セーフティーネット      12ケ

2、クーリング・オフによる撤回
(1)本件請負契約兼立替払契約申込書は、後記のような理由により特定商取引に関する法律第4条の書面には該当せず、クーリングオフの期間は進行していない。 したがって、平成14年5月  日になした同法第9条による撤回通知により本件申込は撤回されている(乙第5号証及び6号証)。
(2)指定商品該当性
 本件申込は、特定商取引に関する法律第2条4項所定の指定役務たる「家屋における有害動物または有害植物の防除」(同法施行令3条別表第3の15)と、指定商品たる「その他の家庭用電気機械器具」(同法施行令3条別表第1の21)及び指定役務たる「その他の家庭用電気機械器具」(同法施行令3条別表第3の8ニ)の混合契約の中間に位置する契約の申込みと考えられる。
 ところで、政令の指定商品・権利・役務に含まれるかどうかの解釈に当たっては、本法が消費者保護を立法趣旨としており、一般消費者が訪問販売によって購入することが予想される商品には政令指定によって網羅的に法の規制を加えるものとした趣旨を踏まえて、できる限り広く解釈すべきであると考えられるから、通達が掲げる具体例はあくまでも例示であって、政令が定める商品の種類に含まれる商品は、できる限り指定商品に含まれるものと解釈すべきである。
 割賦販売法の指定商品に関する裁判例ではあるが、「消費者保護を旨とした法の趣旨に照らせば、およそ一般消費者が割賦販売によって購入することの予想される商品には割賦販売法の規制を加える必要があり、消費者のニーズや価値観が多様化している今日の現実をも考え合わせると、割賦販売法の対象となる指定商品はできる限り広く解釈すべである。」(鳥取地方裁判所 平成7年9月5日)とするものがあり、参考となろう。
 したがって、本件申込は特定商取引法の指定商品・指定役務にあたるものと思料するものである。
(3)申込書面の不備
 一方、本件申込書の「商品名・形式」欄には「床下換気ユニット取付工事一式」と記載されているのみである。  ところで、法4条の申込書面には、「商品名および商品の商標または製造者名」「商品の形式・種類、権利・役務の種類」「商品の数量」を記載しなければならない。(省令3条4号5号6号) 
 しかしながら、本件申込書には上記のような記載しかなされておらず、法4条の申込書面に不備があることは明らかである。
 ところで、東京地方裁判所における平成5年8月30日(判例タイムズ844号252頁)の裁判例においては、「契約の目的たる商品又は役務について購入者等が当該商品の製造者名やその販売価格又は当該役務の対価につき正確な認識を得られないような記載しかしていない書面を交付した場合には、右書面は、法6条1項1号(特定商取引に関する法律第9条1項1号)にいう『第5条の書面』に該当せず、同項にもとづく解除の期間は進行しないものと解するのが相当である。」と判示している。
 したがって、本件の場合も、申込者がクーリングオフの権利に関する事項について法律所定の告知を受けていない場合であり、申込みの撤回等を行いえなくなる日の起算日がないこととなり、いつまでも申込みの撤回ができる事となるものである。
(4)ところで、本件申込は上記1の記載からも明らかなように、事業者が事業所等以外の場所で契約の申込を受けた場合であり、「訪問販売により」なされたものである。
(5)したがって、本件契約の申込は撤回されているから、原告の請求には理由がない。

3、消費者契約法による取り消しに基づく抗弁権の接続
(1)仮に上記2によるクーリング・オフが認められなかった場合でも、下記のとおり、消費者契約法4条3項1号により、本件立替払い契約の基となる請負契約は取り消されているから、賦販売法30条の4の規定に基づき、原告に対する支払を停止を主張するものである(乙第5号証及び6号証)。
(2)つまり、前記1記載のとおり、被告は個人(消費者)であり、訴外販売店は法人であることから、上記請負契約は消費者契約に該当する。
 前記1記載のとおり、被告は当初「うちは借家だからいらない。」と断っているにも拘らず、訴外販売店の○○は、退去することなく勧誘行為を続け、被告との契約成立前に設置工事を始め、被告が断れない状況に追い込んでから契約書を作成し署名を促しており、被告が困惑した結果なされたものであることは明白である。
(3)一方、本件立替払契約は5年間にわたり、60回の分割払いでなすものであり、金額は728,220円であり(乙第2号証)、 被告にとって商行為となる行為ではない。
 また、本件請負契約は家屋の有害動植物の駆除を目的とする役務である。
 よって、被告は本答弁書をもって割賦販売法30条の4の規定に基づき、原告に対する支払を停止を主張するものである。  

4、本件立替払契約の無効
@訴外販売店の営業社員訴外○○の欺罔行為及び信義則違反
(1)本件立替払い契約は、訴外販売店の営業社員訴外○○の執拗な勧誘によって成立したものである。
 被告は○○の訪問当初、建物が借家である旨を告げ断ったにもかかわらず、執拗な営業トークを繰り返した後、被告との契約成立前に設置工事を始め、被告が断れない状況に追い込んでから契約書を作成し署名捺印させている。
 すなわち被告は、原告の契約締結の履行補助者と言える○○の欺罔行為というべき勧誘によって、錯誤に陥り、本件請負契約及び立替払契約をしてしまったものである。よって、5に述べる「訴外販売店と原告との関係」を鑑みれば、本件請負契約及び立替払契約は錯誤により無効である。
(2)また、被告の住居(本件契約締結場所)は借家が建ち並ぶ一番奥にあるが(乙第4号証)、○○は、被告の住居を訪れるまでに、他の借家も廻っており又被告もその旨を告げている。
 よって、○○は被告の住居、すなわち施工場所が借家であることを認識していたのは明らかである。
 ところで、借家の床下の換気を促し建物の耐久年数を長びかせる工事は、本来、家主が行うべきものであり、借家人がなすものではない。したがって、被告が借家人であることを認識して、○○が契約を促し締結したことは、信義則に反し許されない。
 また、立替払契約の前提となる訴外販売店の違法な営業行為を不問に付して、被告の立替払契約が有効であるとすることも信義則に反し許されない、よって本件請負契約及び立替払契約は無効である。
A契約担当者である訴外販売店の営業社員訴外○○の説明義務
 本件契約は、契約締結時において、クーリング・オフをなすことによっても解除が可能であった。
 しかし、被告はクーリング・オフ制度について理解しておらず、その期間を途過してしまった。
 消費者契約法第3条第2項には、消費者の理解についての努力義務が定められているが、被告のような高齢者にとっては、本契約書に記載されたクーリング・オフの説明事項を読んで理解することは、内容の複雑さ、記載文字の細かさをとってみても、きわめて困難であると言わざるを得ない。
 これに対し、消費者契約法第3条第1項には事業者の説明義務が定められているが、○○はクーリング・オフに関して被告に対して何らの説明をなしていない。
 「消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差に鑑み」として立法された消費者契約法の趣旨に照らせば、被告のような高齢な消費者と契約交渉するに当たっては、クーリング・オフに関しても口頭での説明義務が課せられるべきであり、事業者の説明義務を欠いていることは明らかである。
 したがって、この点からも本件請負契約及び立替払契約は信義則に反するものであり、無効とされてよい。

5、訴外販売店と原告との関係
(1)訴外販売店は原告の指定加盟店であり、訴外販売店が原告の信用を利用して顧客を獲得し、原告も利益を得るといった経済的に相互依存の関係にある。
 また、立替払契約は請負契約の存在を前提とし、契約書が同一であるなど本件立替払契約と本件請負契約は一体となっており、一個のクレジット販売契約というべきものである。
 実際の契約締結を担当した○○は、本件立替払契約において原告の履行補助者の立場にあったといえる。
 よって、抗弁の接続を主張しなかった場合でも、上記4による無効、上記3による取り消しは原告との立替払契約にも及ぶものであり、被告が当該割賦払金の支払をなす義務はないものである。
(2)さらに、被告には訴外販売店の信用、営業状況等を調査する権限も能力もないが、原告には加盟店契約から生じる、加盟店の信用、営業状況を調査し、販売業者をもって消費者に適正な商品の供給を行わせしめる契約上の義務がある。
 昭和58年3月11日付けの通産省通達には、商品の供給を適正かつ円滑に行うことのできない販売業者を加盟店にしないために、加盟店契約締結時に販売業者が取り扱う商品及び役務の内容並びに販売方法等を十分把握すること、加盟店契約締結後も加盟店に対する信用審査や指導監督する付随的義務を負う旨定められている。
 この点に鑑みても、原告の加盟店の担当営業社員がなした瑕疵ある契約の効果を、原告は甘受すべきであると思料するものである。

証拠方法

1、乙第1号証(身体障害者手帳写し)
2、乙第2号証(名刺)
3、乙第3号証(請負契約及びクレジット契約写し)
4、乙第4号証(被告住居の住宅地図)
5、乙第5号証(内容証明郵便)
6、乙第6号証(配達証明書)

添付書類

1、答弁書副本  1通
2、乙号証写し  各1通

   

4.和解

 先の記述した答弁書を提出した後の口頭弁論期日において、傍聴する限りにおいては、裁判官の心証は被告側に有利に働いていた・・・と感じられた。
 原告側は、当然のことながら、訴外販売店と被告との契約締結に至る経緯の詳細は知らず、証拠として販売店の営業担当者である○○の陳述書を提出してきた。
 その陳述書は、予想したとおり、○○自らが締結した契約の正当性を主張するものであった。
 しかしながら、被告が借家人であったこと(借家だから必要ない)を○○に告げていること、また、施工が被告不在の間に行われていることなどが○○の陳述書からも明らかにされていたこともあって、裁判官は被告側の主張を受け入れてくれそうな感じを受けたのである。
 最後に本人尋問が行われることになったが、結果として、裁判官の心証形成を勝ち取ることが出来ず、10万円の支払いを認める形で和解となった。

5.尋問の壁

 本件における反省点と限界点は、高齢者であり身障者でもある被告自身の尋問に尽きる。
 本件のように、決定的な書証の無い消費者被害訴訟に関しては、必ず尋問が行われるが、司法書士の思うように尋問が成功裡に終了するケースはほとんどないのではないだろうか。
 訴訟当事者の理解力の程度の差にもよるが、本件では、結果として、まだまだ尋問に関する対応につき十分な理解を得ることができなかった。
 司法書士としては、きちんと説明したつもりであっても、その意味について必ずしも理解を得られるとは限らないし、また、本番において、予想通り尋問が進むことは無いと言っても過言ではない。
 本件でも、裁判官が、請求棄却の心証を得ようと(もちろん、これは被告の依頼人である司法書士としての勝手な解釈にすぎない)、普段よりも丁寧に尋問をしてくれていたにも関わらず、期待していた回答は得られなかった。
 この点は、本人訴訟支援の一つの限界点と言っても良いように思う。
 
 それでは、法改正後の司法書士による代理訴訟において、この点はクリアできるのか。研鑽を積むことによってクリアは可能であろうと思う。
 本件のような書証のない消費者被害救済事案や、消費者金融業者の過剰与信など、今後は司法書士が法廷で尋問の当事者となる。
 早急にノウハウを確立していく必要があろう。(平成15年5月)

     





backhome