破産申立後の取立訴訟に関する期日管理にご注意!

  

 多重債務に陥ってしまった人からの相談を受けるようになってから、もう7年くらいになる。最初のうちは、サラ金業者からの攻撃(口撃?)も凄まじい勢いがあったが、事件数も少なく、ひとつひとつの事件の管理に関しては何ら問題は無かった。
 ただ、事件数が少ない分、どうしても受託している事件に心配が集中してしまい、今思い起こしてみると、法律家の仕事にしては余計な気苦労を重ねていたようにも思う。もっとも、当時は現在に比べればまだまだ勉強も足りなかったのであるから、当たり前と言えば当たり前だったようにも感じる。

 で、その後。まだまだ多重債務の問題に積極的に取り組んでいる司法書士も少数派であることも相俟って、受託事件数は激増、80%以上の時間を多重債務関連の事件処理に費やすことを余儀なくされることとなったため、事務所もそれなりに体制を整え、出来うる限りの事務の合理化を図ってきた。
 特に、悪評高き平成3年の最高裁の判例によって激増した破産申立後の取立訴訟の管理の必要性を強く感じ、その訴訟の進行状況を一目で見れる進行表を受付票に盛り込み、チェックを欠かさないようにしたのである。

 実際、一時期は、一部の大手サラ金業者をはじめ、これでもかというくらいに取立訴訟を提訴され、答弁書や準備書面の作成などの応訴に明け暮れていた。
 「破産手続の基本は、債権者の平等である、一部の債権者の取立訴訟はその基本理念に反するものであるから速やかに棄却されるべし・・・・」何度「コピー・貼り付け」を繰り返したかは知れない。もちろん、今でも続いているのであるが。
 しかし、いつも同じ理屈・手法で同じような債権者と争っているのであるから、当然のことながら、相手も学習してしまう。最近は、破産手続の処理が迅速化されてきたから良いものの、数年前までは、支払督促から移行した訴訟はすぐに判決を取られ、給与の差押えの危機に瀕してしまうことが少なくなかった。

 確かに、事案が事案だけに簡易裁判所の裁判官も理解を示してくれ、仮執行宣言を付さないで置いてくれる。(ただ、簡易裁判所によっては当然のように仮執行宣言を付してしまうところもあり、これには本当に困る。)ただ、当然のことながら、これには控訴で応じなければ、判決は確定してしまうのである。

 一度だけ、この控訴をし忘れてしまい、冷や汗を掻いたことがある。
 あまりにも係属していた事件が多く、控訴期間を経過してしまってから、気がついたのである。これには往生した。
 幸い、免責決定がすぐ確定したので、事なきを得たが、場合によっては、給与の差押えから退職を余儀なくされる可能性も否定できない。給与所得者の破産手続においては、もっとも注意しなければならない点のひとつであろう。
 この問題は、何も破産手続中の取立訴訟の管理に限った話ではない。通常の訴訟手続(何が通常の訴訟手続かはよく分からないが)においても、何かと期限に追われるものであり、依頼人の利益を守るため、我々は常にきちんと管理しなければならないのは当たり前のことである。

 簡裁代理権の取得も近い(?)わけであるから、この訴訟事件の期日管理に早く慣れておきたいものである。  (平成13年8月)




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