司法制度改革の時代を司法書士として生きる!
〜全青司活動現場からのレポート〜




全青司「第7回市民法律教室シンポジウム」(プロボノ活動委員会) (平成18年2月20日)

1.全青司「第7回市民法律教室シンポジウム」(プロボノ活動委員会)

(1)2006年2月19日(日)、13時から、司法書士会館において、標記シンポジウムを開催いたしました。
 企画の趣旨は次のとおりです。

『学校教育をはじめ域社会において,法及び司法をもっと身近なものにしようと,司法書士は全国各地で自らの意思で外に出かけ,直接自らの言葉で語りつづけてきた。
 あるときは消費者被害に遭わないための知識を,あるときは主体的に法や司法を使いこなすことを,あるときは法の成り立ちや社会における役割を,あるときは自分自身が誰からも奪われない「けんり」を持ったかけがえのない存在であることを,伝えてきた。
 既知のとおり,法や司法に関する学習機会の充実を巡っては,司法制度改革審議会の最終意見書を受けて,法務省に「法教育研究会」(平成15年〜平成16年)「法教育推進協議会」(平成17年〜)が設置され,現在ではモデル教材による模擬事業を行いながら検討を重ねているところである。
 法教育研究会の「報告書」(平成16年11月)において,司法書士は「市民に身近な法律家として市民と司法を結びつける役割を果たしている」との評価の下,「地域において市民生活に密接にかかわる法律実務家であるという特性を活かし,学校教育を基礎として,生涯学習までを視野に入れた取り組み,さらには,これらの実践活動を通じて,法教育の必要性を周知する役割を果たすことが望まれる」との期待を寄せられている。私達は,この期待に応えていかなくてはならない。
 そして,ここで改めて確認しておきたいのは「身近な司法」の「法の支配」の実現を目的とする法律教室事業は,いかに推進のための制度の充実が図られようとも,日々市民の声を聞き司法に届けている一人ひとりの司法書士がその「感覚」の発露として行われなければ,その意義はないということである。
 このシンポジウムでは,司法過疎地域での法律教室,児童養護施設で暮らす子ども達の法律教室,野宿生活を余儀なくされている人たちの法律教室などの実践活動の報告を通じて,誰に,何を,どう伝えたいのか,伝えているのか,また伝えるべきか,意見交換したい。
 また日司連初等中等教育推進委員会における取り組み,法教育推進協議会の動向の報告や,各地での取り組みの具体例の報告など情報・意見交換を行い,各地での活動の活性化に繋げていきたい。』

(2)今回で7回目を数えるこのシンポジウムですが、この問題について考えるとき、必ず、夭折された山田喜代隆会員(大阪会)のことを思い出します。彼は、消費者教育に非常に熱心であり、持ち前のバイタリティーで先駆的にこの問題についての取り組みをされていました。
 多重債務の現場を知ることにより、消費者教育の必要性を感じ、率先して行動に移していたものと思われます。私は、彼と同じく多重債務問題の現場に生きる者でありますが、今も、消費者教育の重要性は理解しつつ、同時に、疲労困憊する目の前の多重債務者に対する消費者教育の有効性についての疑問も感じています。彼が亡くなる直前に、全青司広島役員会後の懇親会でお好み焼きを食べながら、そうしたお互いの消費者教育に関する意見を交換したことを鮮明に記憶しております。そして、今・・・彼が継続してこの問題に関わっていたら大きな推進力となったことを思うと、やはり残念でなりません。

(3)さて、シンポジウムですが、トップバッターは、石井寛昭常任(人権擁護委員会)による児童養護施設における法律教室活動の報告であります。この事業は、本年度全青司活動の一つでありますが、石井常任を中心に毎週土曜日に申し込みがあった各地の施設で行っているということです。全国規模の事業展開をしていますので、地元青司協会員の皆さまのご協力と理解を得ながら次年度以降も継続しいきたいと考えています。引き続き、力丸寛幹事によるホームレスの人たちへの法律教室活動の報告、伊見真希副会長による司法過疎地域における法律教室活動がなされています。

(4)全国での取り組みでは、静岡県司法書士会における取り組み(山田茂樹常任)、京都青司協における取り組み(川戸周平常任)、岡山県司法書士会における取り組み(正影秀明常任)、女満別における取り組み(伊見真希副会長)、大阪司法書士会における取り組み(小牧美江会員)、そして、日司連における取り組み(高橋文郎会員)の報告がなされています。
 多重債務問題に関わることから始まった司法書士による消費者教育の現場が、このように全国規模において、多様に展開していることについては、とても頼もしく嬉しく思いました。
 特に興味深かったのは、京都青司協における新聞の作成、大阪司法書士会による、教材の開発などでしょうか。高校生の一番身近な法律問題はアルバイトというスポットの当て方も参考になりました。

(5)そして、今回のシンポジウムで最も印象に残ったのは、小牧美江会員(大阪会)からの次のような指摘です。
 すなわち、総合法律支援体制(司法ネット)と「法教育」とは、車の両輪、いわば司法制度改革の二本柱ともいうべき関係にあるとの指摘であります。
 つまり、小牧美江会員のブログを引用させていただきますと、『法や司法制度を自分が主人公として使っていくんだという意識を持った国民(市民)が、自分の力で法や裁判に関する情報や法律専門家の情報を入手しようとしたときに、自分でどこに行けばいいのかを調べるアクセスポイントとなるのが「法テラス」であり、「法テラス」から紹介される情報網とその先の専門家の支援の全体が総合法律支援体制(司法ネット)なのです。この「法や司法制度を自分が主人公として使っていくんだという意識」を育むのが、思考型・社会参加型の特色を持つ「法教育」です。つまり、「法教育」で育まれた市民が「法テラス」にアクセスし、そこから紹介された司法制度や専門家の支援を受けながら「法教育」でつちかった力を使って紛争解決をしていく・・・それが、司法による事後チェック型社会の姿なのです。』ということであります。
 この点については、法務省法教育研究会報告書においても、「日本司法支援センター」と一項目をあてて指摘がされているとのことでありますので、是非、ご参照ください(報告書の26頁、第3、5、(2)@ウ)。
 そして、司法ネットの地方準備会が組織され、鳥取において試行がされている現状において、この「法教育」についての理念が準備会においてきちんと理解がなされ実践がされているのか・・・という点につき、小牧会員は極めて不十分であると指摘されています。
 私も、かねてより、司法ネットの基本理念には賛成する一方、現在の状況ではその理念の実現には程遠いのではないかという危惧を抱いておりましたが、その視点は、@簡易裁判所における被告事件、A極めて少額な事件、B司法過疎地における事件などではないかと指摘させていただいています。
 今回の小牧会員の私とは異なった視点については、大きな示唆を含むものであろうと感じた次第です。
 そこで、シンポジウム最後に、日司連もしくは全青司が主体となって、「司法ネット地方準備会に関わっている司法書士を対象に、『法教育』に関するシンポジウムを企画してはどうか」という提案をさせていただいています。
 皆さまはどのようにお考えでしょうか・・・・


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