司法制度改革の時代を司法書士として生きる!
〜全青司活動現場からのレポート〜




日掛け業者に対する最高裁判決を受けて〜会長声明〜 (平成18年3月8日)

1.日掛け業者に対する最高裁判決を受けて〜会長声明〜(消費者問題対策委員会)


                           「声明の趣旨」

 我々全青司は、高金利による被害者の保護に携わる立場から、先般言い渡された二つの最高裁判決(2006年1月24日 平成15年(受)第1653号、同日平成15年(受)代1653号)を鑑み、全国の日賦貸金業者に対し、以下のことを求める。

                               記

1 契約締結時の契約内容として、返済期間が100日以上と定められた場合、返済期間途中での借り換えにより旧債務について返済期間が100日未満となるような貸付を一切行わないこと。

2 貸金業規制法第17条書面における「貸付けの金額」に関して、借り換えにおける借用書に関して、「契約手渡金額」等の名目により、借り換え債務額と実際に交付された金額の合計額を記載するなどの虚偽の表示を行わないこと。同条書面における「各回の返済期日及び返済金額」に関して、「その他取引をなさない慣習のある休日」を集金休日とする等借用証書に記載のない集金休日を定めるような不明確な記載を行わないこと。その他、貸金業規制法第17条書面及び18条書面の所定の事項の全てを正確かつ明確に記載すること。

3 現在継続中の元金及び約定利息にかかる期限の利益喪失特約を付した貸金契約に関する全ての案件(不当利得返還請求に関する訴訟事件・任意整理案件等)について、貸金業規制法第43条のみなし弁済の成立の主張を撤回すること。

4 これまでに利息制限法所定利率を超過した利率で貸付をした全ての債務者に対し、過去一切の取引について利息制限法所定利率で引き直し計算を行い、以下の措置を講じること。

(1)過払いとなっている案件については、自ら進んで過払い金の返還をすること。
(2)過払いとなっていない案件については、債務者の健康で文化的な最低限度の生活を害さない範囲での分割弁済に応じること。  

5 今後、利息制限法所定利率を超過した利率の約定をしないこと


                               声明の理由

1 確立した最高裁の理論

 昨年の最高裁2005年12月15日判決(平成17年(受)第560号)は、リボルビング方式の分割返済を約定した貸金契約について、貸金業規制法第43条のみなし弁済の成立を否定し、シティズに対する2006年1月13日判決(平成16年(受)第1518号)並びに最高裁同年同月19日判決(平成15年(受)第467号)は、元金及び約定利息にかかる期限の利益喪失特約をした貸金契約について、同じく同法43条のみなし弁済の成立を否定した。今般、ダイヤモンドリースに対する標記二つの最高裁判決は、日賦貸金業者に関しても貸金業規制法17条・18条・43条と同様に、出資法附則9項等の規定の解釈基準についても、厳格解釈の原則を貫くものとなっており、その結果、日賦貸金業者が常態として行っている100日未満の借り換は、出資法違反となることが明らかにされたものである。
 したがって、日賦貸金業者は、今後、これに反する貸付行為及び司法の場でこれに反する理論を軽々に展開することを厳に戒め、100日未満の借り換えについては明確に出資法違反となることを認識しなければならない。

2 最高裁が認定した日賦貸金業の実態

 日賦貸金業は出資法の罰則上限金利(現在年29.2%)の特例として年54.75%もの高利が認められてきたものであるが、この高利の利潤を継続するための借り換え契約が1か月から2か月ほどの短期間で頻繁に行われているのが一般的な貸付形態である。
 最高裁判決は、日賦貸金業者について貸金業規制法43条1項の規定が適用されるためには、契約締結時の契約内容において出資法附則9項所定の各要件が充足されている必要があることはもとより、実際の貸付においても現実に各要件が充足されていることを要することを明らかにした。これは、出資法附則8項が、日賦貸金業者について出資法5条2,3項の特則を設け、一般の貸金業者よりも著しく高い利息について貸金業規制法43条1項の規定が適用されるものとした趣旨は、日賦貸金業者が、小規模の物品販売業者等の資金需要にこたえるものであり、100日以上の返済期間、毎日のように貸付の相手方の営業所又は住所において集金する方法により少額の金銭を取り立てるという出資法附則9項所定の業務の方法による貸金業のみを行うものであるため、債権額に比して債権回収に必要な労力と費用が現実に極めて大きなものになるという格別の事情があるからであるが、最高裁は、高利の利潤を継続するための出資法附則の脱法手段として利用されている借り換えやその際において契約の遮断を装う貸金業規制法17条書面や18条書面の不明確な記載を常態的に行う日賦貸金業者に対して出資法の厳格な規制を特例によってほころびさせないよう警告を発したものである。したがって、今後、契約締結時の契約内容として、返済期間が100日以上と定められた場合、返済期間途中での借り換えにより旧債務について返済期間が100日未満となるような貸付を一切行わないこと。貸金業規制法第17条書面及び18条書面の所定の事項の全てを正確かつ明確に記載することを徹底すること、これまでに利息制限法所定利率を超過した利率を約定して貸付をした全ての債務者に対し、過去一切の取引について利息制限法所定利率で引き直し計算を行い、過払いとなっている案件については、自ら進んで過払い金の返還をすること、過払いとなっていない案件については、債務者の健康で文化的な最低限度の生活を害さない範囲での分割弁済に応じることを強く要望する。

3 日賦貸金業の社会的存在意義

 仮に、日賦貸金業者が、出資法附則の各要件が満たされていた場合であっても、先般のシティズに対する二つの最高裁判決及び標記の最高裁判決では、債務者が、事実上にせよ強制を受けて利息の制限額を超える額の金銭の支払をした場合には、制限超過部分を自己の自由な意思によって支払ったものということはできないとして、元金及び約定利息にかかる期限の利益喪失特約(以下、「期限利益喪失特約」という。)をした貸金契約については、貸金業規制法43条のみなし弁済の成立要件であるいわゆる任意性の要件が認められないことを明らかにした。
 つまり、期限利益喪失特約が付されている日賦貸金業者と資金需要者等との間の取引については、特段の事情のない限り任意性の要件が否定されることとなったのであり、それにより、出資法特例金利である年54.75%の利息の取得も事実上不可能となったというべきである。
 そもそも、日賦貸金業者は、その違法貸付が過剰貸付、違法取立と相まって産業基盤の脆弱な地域に深刻な被害をもたらしていることを認識しなければならない。2000年以降裁判所で認められた日賦貸金業者の違法取立事例(神戸地裁2002年3月15日、神戸地裁2002年10月25日、宮崎地裁2003年11月28日、大分簡裁2005年11月9日)からも容易にその実態が窺われる。
 現在、返済手段が多様化している今日において、真に集金による毎日の返済という形態の必要性があるのであろうか、年54.75%もの高金利では中小零細の自営業者が経営を維持できるはずもない。更には、広島高裁2005年2月16日判決において、保証料名目による形式的な金銭の取得は法の制限を潜脱する共同意思が推認され利息制限法3条のみなし利息に該当すると判示したように、現在常態化している日賦貸金業者の保証料名目による脱法行為が横行する日賦貸金業者の貸付形態はもはや、社会的存在意義を失っていることを厳に戒め、出資法特例による貸付業務を行わないよう強く要望する。 以 上
   
 



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