司法制度改革の時代を司法書士として生きる!
〜全青司活動現場からのレポート〜




全青司「オンライン利用促進のための行動計画(案)」に対する意見書 (平成18年3月28日)

1.「オンライン利用促進のための行動計画(案)」に対する意見書

 平成18年3月12日の全青司富山総会において、無事、全青司会長を任期満了退任いたしました。後任者は、福岡会大部孝会員です。変わらぬご支援を改めてお願いいたします。そして、私は、相談役というポストになりましたが、もちろん全青司の活動は連綿と続いて行きます。また、司法改革の時代も続いています。従いまして、このレポートも続けて行きたいと考えています。
 しかし、まず第一に、会長から相談役という一歩退いた立場からのレポートということもありますので、この点につきご理解いただきたいと思います。つまり、現在の全青司活動の紹介という種類のレポートがこれにあたります。
 ただ、そうは申しましても、全青司はそもそも、役職に関わらず、頑張る人がリードするという組織ですから、現役の役員の皆様に負けないレポートも続けていく所存であります。これは、私が主体となっている活動の紹介という種類のレポートになろうかと思います。
 それでは、今後ともよろしくお願い申し上げます。

 平成18年3月17日、CIO連絡会議事務局(内閣官房・総務省)において、「オンライン利用促進のための行動計画(案)」に関する意見の募集がなされました。
 すなわち、「IT新改革戦略」(平成18年1月19日IT戦略本部決定)では、「世界一便利で効率的な電子行政」の目標の一つとして「利便性・サービス向上が実感できる電子行政(電子政府・電子自治体)を実現し、国・地方公共団体に対する申請・届出等手続におけるオンライン利用率を2010年度までに50%以上とする」ことを定め、その実現に向けた方策として「オンライン利用促進対象手続について、各手続の利用目標を含む利用促進行動計画を2005年度に策定・公表」することとしており、オンライン利用促進対象手続について、「オンライン利用促進のための行動計画(案)」を作成したわけであります。これにに対する意見の募集というわけです。
 なお、これらの行動計画(案)に基づく政府全体としてのオンライン利用促進対象手続のオンライン利用率(オンライン化されていない自動車の継続検査等4手続を除く)は、平成20年度末で28%となるとのことです。
 そして、オンライン利用促進のための行動計画(案)につきましては、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)ホームページ及び電子政府の総合窓口(e-Gov)(URL:http://www.e-gov.go.jp/doc/scheme.html)に掲載しているほか、総務省行政管理局行政情報システム企画課においても配布しているとのことですのでご参照ください。  

 さて、全青司(大部孝会長)では、これに対して、総務省行政管理局行政情報システム企画課宛に下記のとおりの意見書を提出しています。


  「オンライン利用促進のための行動計画(案)」に対する意見書

1.法務省:対象手続「不動産登記の申請手続」について

【趣旨】
 利用促進のためのオンライン申請に対する登録免許税軽減措置・登記添付情報の簡素化措置を執るべきである。

【理由】
 不動産登記の申請手続きについては「複雑な権利関係を正確に公示するため,真正性の担保として公的個人認証を始めとする電子署名や官公署等が発行する証明書の提供が必要であり,オンライン申請手続の利用促進のためには,公的個人認証の普及や官公署等が発行する証明書の電子化の促進,登録免許税の引き下げ,税の納入方法の容易化等の課題がある(法務省)」とされている。現状のままではオンライン利用促進が図られないことが明白であり、さまざまなオンライン申請に伴う利点を設ける必要がある。登記申請の資格者代理人の申請率は約90%以上とされているが、一般に、資格者代理人は登記申請すべき管轄登記所の周辺に事務所を構えており、かつ、これまで書面申請のみ認められていたこともあり、敢えてオンライン申請をする必要性がないのが現状である。また、法務省も指摘のとおり、オンライン申請には当事者の電子署名が不可欠とされているため、資格者代理人としてはさまざまな電子化された添付情報が揃ったうえで、依頼者からオンライン申請の要望がない限り、申請し得ないのである。
 ところで、司法書士業務には、売買等代金決済を伴う複数当事者が関与し同時履行を確保する立会業務が存するが、この場合でも決済終了後登記申請するまでの登記の空白期間が存在し、当事者に不測の損害が発生する危険性がある。これに対し、オンライン申請では、立会の場所において申請を可能とし、登記空白期間を解消ないしは相当程度短縮できるメリットがある。さらにオンライン申請可能時間の拡大により、登記所開庁時間以外の取引を行うことも可能となる。
 この理由のみをもってしてもオンライン申請は可能な限り推進されるべきであると考えるが、依頼者たる申請人が、オンライン申請を選択するインセンティブが存在し、かつ、それを可能とする申請上の制度設計が必要である。申請当事者においては登録免許税の軽減であるが、資格者代理人には添付書類の簡略化である。そもそも資格者代理人には、申請当事者とその申請意思を確認し登記の真正性を担保し、不正な登記申請を防止することが職責とされており、国民の権利の保全と擁護を担っているのである。ここにおいて、当事者がオンライン申請不能な書面を用いたとしても、これら職責とそれを担保する懲戒・保険制度を備えた資格者代理人が電子署名された電子データのみをもって申請することを可能とするならば、現行の登記の信頼性を維持しつつオンライン申請の利用率向上に寄与できると考える。
 なお、「住所を証する情報として、住民票の写しの提出に代えて住民票コードを提供することが可能であることを周知する(法務省)。」とされているが、住民票コードは他人に知らせることを予定しておらず、一般に、市区町村からの通知書を保管している者は少なく、住民票コードを知るために住民票を取得する必要がある。さらに現行のオンライン申請には公的個人認証を用いた電子署名が必要であり、その場合には、電子署名によってさらに住民票コードを添付情報とする必要がないのであるから、これにより利便性が高まることにはならない。

2.法務省:対象手続「商業・法人登記の申請手続」について

【趣旨】
 登録免許税にインセンティブ措置を執るべきである。

【理由】
 現行、商業法人登記申請は申請書のみオンライン申請をし、登録免許税も含め添付書類を別送ないし登記所に持参することが認められている。ここでオンライン申請がここ数年微増にとどまっているのは、そのインセンティブが少ないことが理由である。ところで、公証人の電子定款認証については収入印紙を貼付する必要がなく、この分野においては、急激に電子化が進んでいるところである。これから考えても、オンライン申請に関し、登録免許税に一定のインセンティブの措置をとることで、少なくとも司法書士によるオンライン申請率が格段に向上すると考える。なお、現在、税理士・行政書士等の登記申請代理権限のない者から当事者名による申請が多く見受けられておることは周知の事実であり、法務省が行動計画案中手続き概要に記載する司法書士の代理申請率90%というのは疑問がある。オンライン申請利用率が高まることで、結果として登記代理無資格者の横行を妨げることになり、登記手続きの適正かつ円滑な実施に資するものと考える。

3.法務省:対象手続「不動産登記および商業・法人に係る登記事項証明書の交付請求手続き等」について

【趣旨】
 登記情報提供サービスの利用料金の値下げ額を拡大するべきである。

【理由】
 登記情報提供サービスの全部事項は、現行950円であるが、平成18年4月1日から770円とすることが予定されている。オンライン上では認証文がつかないことから登記簿の閲覧ないしコンピュータ庁における要約書に代わり利用されているのが現状であるが、この手数料は現行500円であり、当該料金より低額でなければ、利用率は向上しないものと考える。登記所窓口のように人手を介しない以上、相当程度値下げすることが可能であると考える。
   
 



home back