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〜全青司活動現場からのレポート〜




全青司「伊予三島国家賠償訴訟(違法な特定調停に対する国賠訴訟)」の判決に関する声明 (消費者問題対策委員会 谷崎哲也委員長) (平成18年4月24日)

1.全青司「伊予三島国家賠償訴訟(違法な特定調停に対する国賠訴訟)」の判決に関する声明(消費者問題対策委員会 谷崎哲也委員長)

   本判決は、結果的には、請求棄却となっておりますが、判決には、次のとおり、付言として記載がされていることから、実質的には勝訴と見る関係者も多いようです。以下、抜粋しておきます。

 一般的に、事実の認定は、裁判官の自由な心証に基づいて行われ、法律解釈も、裁判官が合理的に解釈したところに従って行われるものであるところ、民事調停においては、「条理にかない実情に即した解決」(民事調停法1条)、「当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を見て」(同法17条)と規定されているとおり、判決の場合以上に、種々の具体的事情や裁判官の世界観による取扱いの違いが生じやすくなっている。これらのことを考慮し、○○裁判官らの行為をもって、国家賠償法上の違法があるとまで認めることはできなかったものである。
 しかしながら、本件当時の社会の意識で判断しても、○○裁判官らの行為については、少なくとも不当であるとの批判が当てはまるものと考えられる。特定調停法施行後の現時点における社会の意識に基づき判断すれば、○○裁判官らの行為、特にみなし弁済についての判断については、国家賠償法上違法であるとの見方も成り立ち得るような大いに不当であるとの批判が当てはまるものと考えられる。特定調停法の施行前から、全国の裁判官、調停委員及び書記官らは、多重債務者の経済的更正を図るため、サラ金各社と粘り強い交渉を重ね、利息制限法の趣旨に則った調停の成立に向けて日々努力してきたものであり、本件で問題とされた伊予三島簡易裁判所の取扱いは、決して簡易裁判所の平均的取扱いではなかったものである。
 原告らは、本訴において、庶民のための裁判所が、庶民の期待・心情に対する配慮に欠け、庶民のための裁判所として機能していなかったことを訴えたかったものである。伊予三島簡易裁判所(現四国中央簡易裁判所)が真摯にこの訴えを受け止め、改めて簡易裁判所の果たすべき使命にに思いを致し、民事調停の改善に務めることを希望するものである。
   

 そこで、全青司では、下記のとおりの意見書を提出しています。


                                                  
「伊予三島国家賠償訴訟(違法な特定調停に対する国賠訴訟)」の判決に関する声明


  2006(平成18)年4月21日


全国青年司法書士協議会
会長 大 部   孝
   〒160-0004 東京都新宿区四谷一丁目2番地
                 TEL:03-3359-3513
 FAX:03-3359-3527
E-mail KYW04456@nifty.com
               URL  http://www.zssk.org/


 我々全青司は、多重債務者の権利救済に携わる立場から、平成18年3月24日に言い渡された伊予三島国家賠償訴訟(違法な特定調停に対する国賠訴訟)」の判決を受けて以下のとおり強く要請する。

                      
声明の趣旨


 全国の最高裁判所および簡易裁判所は本件判決を真摯に受け止め、債務弁済調停、特定調停申立人に対し合理的な判断を行うための充分な説明を行い、二度と不当な調停が行われないよう、以下の点につき、早急に改善し、適正な調停運用の徹底を求める。

1. 貸金業者について完済分を含め取引当初からの全取引履歴の開示を徹底すること
2. 残債務の確定については利息制限法の制限利率への引き直し計算を徹底すること
3. 調停成立のため本来無関係である親族等を保証人にしないこと
4. 債務者の生活再建を目指す特定調停の趣旨に基づき、調停成立後の将来利息を付さないこと
5. 定期的な研修会の開催等による調停委員の資質向上に努めること

                      
声明の理由


 1 判決の要旨
 本件判決は、国家賠償こそ認めなかったものの、伊予三島簡易裁判所で行われた調停に対し、その付言において「当時の社会的認識で判断しても、裁判官らの行為については不当であるとの批判が当てはまり、特定調停法施行後に現時点における社会の認識に基づき判断すれば、国家賠償法上違法であるとの見方も成り立ちうるような大いに不当であるとの批判が当てはまる」と述べ、伊予三島簡易裁判所に対し、民事調停の改善を求めた。

 2 債務弁済調停、特定調停の役割と調停における適正な合意
 債務弁済調停、特定調停の制度は、経済的危機に陥った多重債務者が、破産を避けつつ、債務を弁済して経済的再生を図るための手続である。一般に調停は当事者が互いに譲歩することによって合意形成がなされれば成立するが、この合意は、当事者が上記債務弁済調停、特定調停の制度の趣旨に沿った充分な情報提供と自己の自由な意思によって形成されるべきものである。

 3 当事者間の交渉力、情報力の格差
 ところで債務弁済調停、特定調停に臨む当事者間には、交渉力、情報力に圧倒的な格差が存在する。債権者は自らの意見をはっきり述べることができるが、債務者は自らの意見を十分述べることは難しい。さらに債務者は一般に、裁判所に対して「権威」を感じるため、調停委員や書記官、裁判官の言葉に反論することができず、そのまま受け入れてしまう傾向がある。調停委員、書記官、裁判官はこれらの点について必ず配慮した調停手続を実施しなければならない。   

 4 利息制限法の原則と債務者の生活再建
 利息制限法こそが金利規制の原則であることは、みなし弁済の適用を否定した最近の一連最高裁判決により既に司法の場において確立している。したがって調停の場における債務額の確定は、以前の完済分を含め、借り換えの前後を通して取引当初からの全取引履歴をもとに利息制限法所定の制限利率に引き直しより計算をしたうえで確定させなければならない。
 また、債務額確定後の分割弁済について、将来利息を付すことは、債務者の生活再建を目的とした債務弁済調停、特定調停の趣旨に反する結果となることは明らかであるから、たとえ利息制限法制限利率の範囲内であったとしても、将来利息を付すことは許されないことである。

 5 親族等を保証人とすることの問題
 本来、債務を負担していない親族等に債務を保証させることは新たな債務者を裁判所という公的な司法の場において、不当に生み出してしまうことになる。また2で述べたとおり、調停委員や裁判官から保証人となることを求められれば、返済に窮している調停申立人はこれを断ることは難しく、自己の意に反して承諾してしまう可能性は極めて高いと言える。

 6 調停委員の責務
 債務弁済調停、特定調停手続が、その制度趣旨にしたがって適正に行われるためには、調停委員の能力、意識、資質によるところが大きい。調停委員はその責務を自覚し、債務弁済調停、特定調停制度の趣旨、その他関係法令、関係判例に精通し、不当な判断や要求をしないよう、常に自己研鑽をはかり、資質の向上に努めるべきである。

 よって、以上のとおり声明を発表する。
   
 



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