司法制度改革の時代を司法書士として生きる!
〜全青司活動現場からのレポート〜




クレサラ対協第13回実務研究会IN熱海(平成17年5月11日)

 1.クレサラ対協第13回実務研究会IN熱海

 平成17年5月7日の土曜日、黄金週間の終わり、静岡県熱海市の後楽園ホテルにおいて、標記研究会が行われました。全国クレジット・サラ金問題対策協議会(事務局長 弁護士木村達也先生)の主催ですが、昨年に引き続き、本研究会に関する事務局は私が引き受けさせていただきました(事務を手伝って頂いた皆様には心より感謝申し上げます。)。
 参加者は、全国の弁護士、司法書士、被害者の会の面々。合計650人程度でしょうか。日程の関係で昨年よりは少なかったですが、それでも会場は熱気に包まれていました。
 午前11時から午後5時まで昼食なしという変則的なスケジュールにもかかわらず、皆、本当に熱心に講義を聞いていました。

(1)開会にあたっての木村達也弁護士による挨拶に引き続いて、私にも挨拶の機会が与えられました。裏方に徹しようと考えていたのですが、前日に木村達也弁護士から、お手紙が届き「司法書士を勇気づけるような挨拶をしてほしい」とのことでしたので、僭越ながらお引き受けした次第です。
 このような挨拶をさせていただく際に申し上げることはいつも同じ(笑)、「司法書士一人ひとりが発信者たれ!」ということに尽きます。私が最初にこの研究会に参加したときには、司法書士の参加者はほとんどなく、登壇者はすべて弁護士であり、数少ない例外を除いて司法書士は受信する一方でありました。その後、司法書士がこの問題に広く取り組むにつれ、発信する側に立った司法書士も徐々に増え、今回の研究会においても、私が個別にお願いした9名の司法書士による発表がありました(いずれも素晴らしい内容であったと思います)。しかし、まだまだ全体的にみれば少数であります。もっともっと広く・深い取り組みが継続的に行われ、次回の研究会にはより多くの司法書士が、この最先端の研究会での発表に耐えうるテーマを持つことを切望しております。

(2)さて、研究会の中身でありますが、今回は、大きく、@改正破産法の実務運用とA不当利得返還請求訴訟の二つに分け、それぞれについて最新の最先端の論点につき、一人10分から15分程度で順次発表していただきました。発表者にしても聴講者にしても、30分程度はほしいと思いますが、テーマは厳選したつもりですので、ご容赦いただきたいと思います(来年には検討の余地があるとは思います)。

(3)それぞれの講義内容については、とてもここで説明することはできませんし、後日書籍になって販売されるでしょうから、参加できなかった方も、是非、それをお買い求めください。

(4)ただせっかくの機会ですので、ひとつだけ、茆原洋子弁護士による貸金業規制法43条に関する講義レジメから重要と思われる点について報告しておきます。今もっとも問題となっている。期限の利益喪失約款と任意性についての考え方です。是非参考にしてみてください。 

期限の利益喪失事由が明確でなければ、過怠約款全部無効

 「期限の利益喪失条項」は、今では貸金業者の中で一般化していますが、もともとは、そもそも、それ自体が有効か否かが疑問とされていました。
 学説は、過怠約款について「公序良俗に反しないかぎり、当事者が任意にこれを約することができる」が「その特約条項としての期限の利益喪失事由が不明確なときとか、その事由が債務者にとって不当な不利益を強いる結果になるときは、この特約自体が無効となる」としています(於保不二雄編「注釈民法(4)」414頁、有斐閣 昭和42年)。
 そこで、鎌野邦樹教授は、制限超過利息を支払わなければ期限の利益を喪失するとする約定については、「特約条項としての期限の利益喪失事由が不明確であるか、ないしは、その事由が債務者にとって不当な不利益を強いる結果になるものに該当しよう。」として無効としています。前述したとおり、一体いくらを支払えば期限の利益を喪失しないのかが、全く不確定で、返す人にとってみれば全く分からないのですから、当然に無効とする他ありません。
 また、同教授は「法律上無効な利息を含む制限超過利息の約定をした場合には、過怠約款は一般的に公序良俗に反し、また、分割弁済型金銭消費貸借の性質上、信義則に反し無効であると考える(民法1条2項)。すなわち、違法な利息の支払いを約定して、《利息等の支払いを怠ったときには残債務につき期限の利益を失い、残債務を一括して返済せよ》との特約を付けることは、違法な利息の支払いを強いることになるため、そのような特約自体が無効であると解すべきである。」としていることは重要です(平成15年5月3日鑑定意見書)。
 期限の利益喪失条項が無効であっても、借主を心理的に強制するものである点に変わりはありません。本田祐司先生がいみじくも指摘したように、銃(期限の利益喪失条項)で脅されて支払わされれば、後から弾(法的有効性)が入っていなかったと分かっても、弾が入っていないことを知らない借主は恐怖から支払うのですから、支払が任意であるはずがありません。大阪高判平成17年3月24日も「仮に法律的には本件期限の利益喪失条項のうち制限超過部分の利息に関する部分は無効であり、制限内利息の支払さえすれば法律上は期限の利益を失うことはないと解釈できるとしても、本件期限の利益喪失条項によって債務者が制限超過部分の約定利息の支払を事実上強制されていることは否定できない。」としています。したがって、期限の利益喪失条項が法律上無効であることを主張する手を緩める必要はないと考えます。
 むしろ、期限の利益喪失条項が返済の任意性を損なうことを理解する判決(大阪高判平成17年3月24日、横浜地判平成16年7月7日)の中に、実際の計算をする時に、期限の利益を喪失したものとして、遅延損害金の計算をしてしまう例があることの方が問題です。そうすると、43条の適用が否定されても、遅延損害金計算によって、結局は借主が著しく不利益な計算とされてしまいます。  
   





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