1.司法ネット準備委員会に参加して
平成17年5月10日、総合法律支援法に基づく司法ネット構想の地元静岡での準備委員会が開催され、弁護士数名と司法書士数名とによる協議が行われました。おそらく、皆様の地元においても同様の会議が開催されていることと思います。当番司法書士制度の必要性についての見解でもふれているところでありますが、同法の趣旨・理念については賛成であり、個人的にも積極的に取り組んでいきたいと考えています。しかしながら、今回の準備委員会に参加させていただいて、現実問題として、課題は少なくない・・・そう感じました。
(1)まず、静岡においても、東部・中部・西部の三箇所に支所を設置することは事実上困難なようで、当面、中部に位置する静岡市内に一箇所という方向になりそうであります。
また、センターにおいては、寄せられるであろう法律相談のうち、法律扶助の資力要件でそれを分類し、適合するものについては無料で扶助相談として行うことになっております。ただ、資力要件に合致しないものについては、弁護士会の無料相談や司法書士会の無料相談等へ行ってもらうということになります。現在、静岡県弁護士会においては、そのような振り分け作業を事務局において行っているようですが、それがセンターの役割になったとしても、センターへ行った人がもう一度弁護士会や司法書士会へ足を運ぶ必要がでてきます。これでは、利用者にとって二度手間になるだけではないか・・・という極めて現実的な問題が残ります。
もちろん、センターにスタッフ弁護士・スタッフ司法書士が存在すれば、この問題は解決されると思われますが、静岡には配置されない模様であります。
最も需要の多いと考えられる東京では、コールセンターを置き、そこで相談を分類するとのことですが、静岡のような地方都市では規模の違いが大きくあまり参考にはなりませんでしょう。
(2)もう一つ、センターの本来業務である「過疎対策」についても深刻です。当然のことながら、いくつかのアクセスポイントを設置する必要がありますが、具体的には既存の図書館や公民館などを使用させていただくことが考えられます。このような場所であれば、既存の事務局スタッフも存在しますから、現実性があると思いますが、多数設置されたアクセスポイントにどのくらいのペースで弁護士や司法書士を派遣できるのかという問題は依然として残ります。
(3)今回の委員会では、静岡県のセンターで独自のHPを作成してみてはどうか、という意見が司法書士側から出されました。つまり、予約フォームを作成しておき、誰でも簡単に(高齢者もアクセスポイントの事務局員の指導でできるような)複数のアクセスポイントからアクセスできるようにするためであります。こうすれば、公民館等のパソコンからでもアクセスが容易となります。とても良いアイデアだと思いますが、いかがでしょう。
今後、全国で、このような準備会が頻繁に行われることと思います。来年の4月には試行する必要があるといわれていますから当然のことといえましょう。各地で準備会に参加される司法書士間においても積極的に情報交換をし、よりよい制度構築をしていきましょう。
(4)最後になりましたが、近くに開催される静岡県司法書士会定時総会において、私は下記の決議案を提出する予定です。是非、皆様もご検討ください。
日本司法支援センター静岡県支部に浜松支所・沼津支所の設置を求める決議(案)
決議の趣旨
当会は、日本司法支援センター静岡県支部を設立するに当たり、静岡市に事務所を置くだけではなく、浜松市および沼津市に静岡県支部の浜松支所、沼津支所をそれぞれ設置することを強く求めるものであり、それに向けての財政措置を強く要請するものである。
決議の趣旨
平成16年5月26日に国会において「総合法律支援法」が可決成立した。
この法律は、いつでも(anytime)、どこでも(anywhere)、だれでも(anyone)良好な法的サービスの提供が受けられるようにすることを目指したもので、司法過疎が、地域的にも、経済的にも解消することを理想とするものであり、正義へのユビキタスアクセスの理念に基づくものである。
同法第2条には、基本理念として、「総合法律支援の実施および体制の整備は、民事、刑事を問わず、あまねく全国において、法による紛争解決に必要な情報やサービスの提供が受けられる社会を実現することを目指して行われるもの」と規定されている。
そして、この目的実現のために、日本司法支援センターを設立し、全国にその支部を設けて、法による紛争解決制度の有効な利用に資する情報提供の充実、民事法律扶助業務、国選弁護人の選任に関する業務、司法過疎地域における法律事務に関する業務、犯罪被害者に対する援助等の業務、関係諸団体との連携の確保強化業務などを行うこととされている(同法30条)。
当会は、法律の基本理念を実現すべく、日本司法支援センター静岡県支部の設立に向けて、静岡県弁護士会、法律扶助協会静岡県支部と連携し、調査や議論を積み重ね、静岡県支部の制度設計やこれに伴うさまざまな提言を行ってきた。
当会が日本司法支援センターの設立に関して強く要望したことは、静岡県弁護士会、法律扶助協会静岡県支部とともに日本司法支援センターの行う予定の事業をこれまで担ってきた当会の市民に対する法的サービスの低下をきたすことなく法律の目的を実現するためには、東西に長い静岡県においては、静岡市だけでなく浜松市及び沼津市においても支所を設け、そこを県西部及び東部の市民に対する法的サービスの拠点とすべきであるということである。
しかしながら、平成18年4月に開設が予定されている日本司法支援センター静岡県支部は、静岡地方裁判所本庁所在地である静岡市にのみに支部事務所を設ける方向で制度設計がなされているとの懸念がある。
当会は、地域の歴史、地理、経済、人口等の諸要素を総合的に考慮して、これまで静岡市、浜松市において常設相談を実施し、県東部をはじめとした多くの地域においても、地元自治体の協力の下、定期、不定期の相談会を数多く実施することにより、静岡県民380万人に対する法的サービスを担ってきた。また、法律扶助協会静岡県支部県の行う民事扶助事業については、静岡市,浜松市,沼津市に置かれ事実上独立した事務所における運営に、当会の地元会員が参画してきた経緯がある。
このような事実に鑑みれば、日本司法支援センター静岡県支部の事務所を静岡市1カ所に開設するだけでは、県民に対する法的サービスを却って低下させてしまうこととなる。これは総合法律支援法の理念を損うものである。
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