司法制度改革の時代を司法書士として生きる!
〜全青司活動現場からのレポート〜




金利引き下げに関する具体的な「運動」2本!(全青司制度委員会消費者法制部会 中里功会員)(平成17年7月11日)

  1.金利引き下げに関する具体的な「運動」2本!(全青司制度委員会消費者法制部会 中里功会員)

成功裡に終了した愛知「金利引き下げ集会」を受けて、中里功常任幹事のリードのもと、全青司では、二つの具体的な行動を起こしました。

(1)金融庁目安箱への意見提出メールの促進
 これは、前回述べましたが、現場の声を金融庁に届けましょう!という運動です。金融庁のHPによりますと、
   
  「金融庁が昨年末に公表した、2005年度・2006年度の2年間の金融行政の指針である「金融改革プログラム - 金融サービス立国への挑戦 - 」には、具体的な施策として、「市場参加者のニーズに応え、健全な競争と新しいビジネスの開拓を促すための現行規制の総点検及び規制緩和の推進」を行うことが盛り込まれています。これを受け、当庁所管の規制を「総点検」し、今後の規制改革の検討・実施に当たっての貴重な材料とするため、国民の皆様から幅広くご意見を受け付ける「規制の総点検のための目安箱」を本日より1ヶ月間(7月29日まで)設置致します。  多様な金融商品やサービスを国民が身近に利用できる「金融サービス立国」を実現するためにも、皆様一人一人からのご意見をお待ちしています。 平成17年6月28日 金融担当大臣 伊藤達也」http://www.fsa.go.jp/receipt/meyasu.html
 
   
 となっております。

 一方、平成16年12月に作成された金融庁の「金融改革プログラム〜金融サービス立国への挑戦〜」によりますと、目次は次のとおりとなっています。

   
     T.活力ある金融システムの創造
(1)利用者ニーズの重視と利用者保護ルールの徹底
◇ 多様で良質な金融商品・サービスの提供に向けた制度設計
◇ 金融実態に対応した利用者保護ルール等の整備・徹底
◇ 利用者保護のための情報提供・相談等の枠組みの充実
◇ ペイオフ解禁拡大の円滑な実施
(2)IT の戦略的活用等による金融機関の競争力の強化及び金融市場インフラの整備
◇ IT の戦略的活用
◇ 市場機能の充実と市場の信頼性の向上
◇ 金融機関のガバナンス向上とリスク管理の高度化を通じた健全な競争の促進
(3)国際的に開かれた金融システムの構築と金融行政の国際化
◇ 金融の国際化・構造変化に対応した制度等の構築
◇ 金融市場の国際的地位の向上に向けた取組み
◇ 金融行政の国際化と国際的なルール作りへの積極的参加
U.地域経済への貢献
◇ 地域の再生・活性化、中小企業金融の円滑化
◇ 中小・地域金融機関の経営力強化
V.信頼される金融行政の確立
◇ 金融行政の透明性・予測可能性の向上
◇ 行政の電子化等による利便性の高い効率的な金融行政の推進
 
   
 このように、消費者金融の問題だけではなく、大きな金融問題に関するものではありますが、少なくとも「多様で良質な金融商品・サービスの提供に向けた制度設計」と「金融実態に対応した利用者保護ルール等の整備・徹底」については、金利の問題も大きく関係しているのではないかと考えています。
 そこで、全青司でも、二つのパターンの意見書雛形案を作成いたしました。是非、これを参考に、適宜修正加工し、意見書の提出をお願いしたいと考えています。期限は7月29日までです。くれぐれもお忘れのないように!

   
(パターン1)
出資法の上限金利規制を強化し、上限金利を利息制限法の制限金利まで引き下げるべきである。

出資法の上限金利見直しに関し、業界団体から様々な意見が述べられているが、統計を検討した結果、下記のとおりいずれも説得力を欠く。業界の主張は方便であり、少なくとも利息制限法の制限金利まで引き下げるべきである。

1「短期・小口の貸付」か?
 貸金業者は、「短期・小口」の貸付が一定の社会的役割を担っていると主張するが、大手各社の有価証券報告書等によれば、「貸付残高50万円超」が全体の半数程度を占める。また、「契約期間」も大手では「3〜5年」が最も多く、中小では「10年以上」が最多となっている。
  貸金業者の主張は、実態と乖離している。
2「生産性のある貸付」か? 
 貸金業者は、「生産性のある貸付」による社会への貢献を主張するが、平成16年版貸金業白書等(以下「白書等」という)の統計によると、「新規顧客の他社利用件数0〜2件」と回答する貸金業者は、最大手こそ全体の78.2%を占めるが、それ以外はすべて50%を下回っている。
 多重債務者の生活状況を考慮すると、3社目乃至4社目以降の借入金が既往借入先への返済資金に充てられることは容易に推測できる。
 貸金業者の社会的有用論は、統計上、破綻を来たしていることが判明する。
3「市場原理」は機能するか?
 白書等によると、貸金業者に対し完済歴のある者を対象にしたアンケートでは、4人に1人が再借入れを希望しない。希望しない最大の理由として「高金利」を挙げる。
 一方、借入先の選択理由では、上位に簡易,迅速を中心とした利便性が続き、「低金利」を理由に挙げる者は少ないが、これは、貸金業者に対する新規顧客獲得のための戦略を調査した結果とほぼ一致する。
 債務者は、金利に関心がないのではなく、金利に関する情報を正しく提供されないまま契約し、借りてみて、返してみて、初めて「高金利」を認識しているのだ。
 金利自由化論者は、金利決定を市場原理に委ねるべきと主張する。規制緩和には、弱者に対する情報提供のための環境整備が不可欠であるが、消費者信用市場では逆に重要な情報が隠蔽されている。
 貸金業者の体質が改められない以上、「市場原理」は機能しない。
 
   
(パターン2)
出資法の上限金利規制を強化し、上限金利を利息制限法の制限金利まで引き下げるべきである。
 出資法の上限金利見直しに関し、業界団体から様々な意見が述べられている。主な論点として「ヤミ金の増加」と「中小貸金業者の倒産」が挙げられるが、下記のとおり業界の主張は誤っている。
 出資法の上限金利は、少なくとも利息制限法の制限金利まで引き下げるべきである。

1・ヤミ金の増加
 現在のヤミ金融のほとんどが暴力団関係者である。既存の登録業者が、平成12年の上限金利引き下げに対応できずにヤミ金化したのではない。
 また、ヤミ金自体は、「トイチ」「トサン」などの呼称で平成12年以前にも存在していた。ヤミ金の社会問題化と上限金利の引き下げには、何らの因果関係も存在しない。
2・中小貸金業者の倒産
 健全な社会の貢献に寄与することは企業に与えられた使命である。一向に多重債務者が減少しない社会状況の下、借りたものを返すことができるシステムの構築は、貸金業者並びに業界団体の責務である。
 具体的には、@審査基準の厳格化による多重債務者の排除、A不良債権の削減、B新規顧客の獲得による債権の良質化、C過剰貸付の自重等による自己資本率アップ等が求められるのであり、これによって貸金業者は「貸倒れを前提としない経営」を目指すべきである。
 このような企業努力を怠り、以下に指摘する貸金業界の抱える問題の解決を先送りするのであれば、倒産もやむを得ない。
@)出資法所定の上限金利を得るための条件である、貸金業規制法43条が遵守されていないこと。
A)一定の貸倒れを前提とする貸金業者の営業方針が、借金苦を原因とする自殺,一家離散,離婚,離職等の原因となっていること。
 貸金業者は「生活の潤滑油」を提供していると主張するが、現実は「生活の破綻・破壊」を招いているのである。
 貸金業者は、「短期・小口」の貸付が一定の社会的役割を担っていると主張するが、大手各社の有価証券報告書等によれば、「貸付残高50万円超」が全体の半数程度を占める。また、「契約期間」も大手では「3〜5年」が最も多く、中小では「10年以上」が最多となっている。
 貸金業者の主張は、実態と乖離している。
2「生産性のある貸付」か? 
 貸金業者は、「生産性のある貸付」による社会への貢献を主張するが、平成16年版貸金業白書等(以下「白書等」という)の統計によると、「新規顧客の他社利用件数0〜2件」と回答する貸金業者は、最大手こそ全体の78.2%を占めるが、それ以外はすべて50%を下回っている。
 多重債務者の生活状況を考慮すると、3社目乃至4社目以降の借入金が既往借入先への返済資金に充てられることは容易に推測できる。
 貸金業者の社会的有用論は、統計上、破綻を来たしていることが判明する。
3「市場原理」は機能するか?
 白書等によると、貸金業者に対し完済歴のある者を対象にしたアンケートでは、4人に1人が再借入れを希望しない。希望しない最大の理由として「高金利」を挙げる。
 一方、借入先の選択理由では、上位に簡易,迅速を中心とした利便性が続き、「低金利」を理由に挙げる者は少ないが、これは、貸金業者に対する新規顧客獲得のための戦略を調査した結果とほぼ一致する。
 債務者は、金利に関心がないのではなく、金利に関する情報を正しく提供されないまま契約し、借りてみて、返してみて、初めて「高金利」を認識しているのだ。
 金利自由化論者は、金利決定を市場原理に委ねるべきと主張する。規制緩和には、弱者に対する情報提供のための環境整備が不可欠であるが、消費者信用市場では逆に重要な情報が隠蔽されている。
 貸金業者の体質が改められない以上、「市場原理」は機能しない。
 
   
(2)金利特区(宮城県)への反対の意見書提出
 二つ目が、構造改革特区推進本部、法務省、金融庁に対する、下記意見書の提出であります。お読みいただければ、その趣旨はお分かりいただけると思います。

宮城県貸金業協会提案に反対する意見書

1 宮城県貸金業協会は6月23日、内閣府構造改革特区推進室に対し「ヤミ金被害回避のための上限金利緩和特区」提案書を提出した(日本金融新聞7月1日号)。
 宮城県内で行われる一定の貸付に関し、利息制限法並びに出資法所定の金利規制を適用除外とし、年40.004%までの貸付金利の容認を求めることを内容とするが、提案理由のひとつに「金利規制がヤミ金被害を招く」旨が掲げられている。
2 しかし、上記提案理由は、以下のとおり事実と合致せず、合理性を欠く。
(1)現在のヤミ金融のほとんどが暴力団関係者である。既存の登録業者が、出資法の平成11年改正による上限金利引き下げに対応できずにヤミ金化したのではない。
また、ヤミ金自体は、「トイチ」「トサン」などの呼称で平成11年改正以前にも存在していた。ヤミ金の社会問題化と上限金利の引き下げには、何らの因果関係も存在しない。
(2)ヤミ金融業者は、破産歴のある者、ブラック歴のある者等、信用力の著しく悪化した資金需要者を貸付のターゲットとするのであるから、金利規制を緩和あるいは撤廃したとしても、解決される問題ではない。
3 一方、金融庁は現在「貸金業制度等に関する懇談会」を設置し、上限金利やみなし弁済規定を含めた、広い視点での貸金業を取り巻く現行法の見直し作業が進行中である。
 そのような状況の中、改正前の40.004%という高金利を容認せよとする特区提案は、平成11年及び平成15年の出資法並びに貸金業規制法を改正した趣旨を没却するものであることは明らかである。
4 ところで、構造改革特別区域は「各地域の特性に応じて規制の特例措置を定め、教育、農業、社会福祉などの分野における構造改革を推進し、地域の活性化を図り、国民経済を発展せること」を目的とする。
しかし本件特区提案は、宮城県だけに高金利を容認する必要性や合理性が明らかとされておらず、単に、貸金業者の保護を目的とする恣意的提案と言わざるを得ず、構造改革特別区域を設けた趣旨に反する提案でもある。
5 以上の理由により、本件特区提案は認められるべきではなく、当会は、上記提案に反対する。
以 上  
   



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