司法制度改革の時代を司法書士として生きる!
〜全青司活動現場からのレポート〜




全青司関東ブロック研修会In千葉(平成17年7月11日)

  1.全青司関東ブロック研修会In千葉

 平成17年7月9日(土)、10日(日)、千葉で開催された標記研修会に参加してまいりました。実行委員長をはじめとする千葉青司協の皆様、お疲れ様でした。ありがとうございました。
 とはいえ、静岡会の私も関東ブロックの一員であります。実は、同日、金沢において中部ブロックの研修会も開催されていたのですが、身体はひとつ、中部ブロックの皆様にはたいへん申し訳ないのですが、関東を優先させていただいた次第です。

(1)記念講演は、「メディアリテラシー」をテーマに千葉大学講師の鈴木敏恵先生のお話をいただきました。メディアリテラシーとは、「情報が流通する媒体(メディア)を使いこなす能力。メディアの特性や利用方法を理解し、適切な手段で自分の考えを他者に伝達し、あるいは、メディアを流れる情報を取捨選択して活用する能力のこと。」と定義されています。
 従来は、電話や手紙などのパーソナル(コミュニケーション)メディア、新聞やテレビ・ラジオをはじめとするマスメディアといった伝統的なメディアの利用方法を知っていれば事足りましたが、現在では、急激な技術の進歩によりインターネットや携帯電話などの新しい形態のメディアが台頭しており、こうした新しいメディアの利用にまつわるトラブルや混乱も頻発するようになっていおります。そうした事情から、各メディアの本質を理解し、適切に利用する能力であるメディアリテラシーの重要性は日に日に高まっている・・・ということであります。
 さて、鈴木先生のお話は講義というよりもライブ。是非、先生のHPをごらんになっていただきたいのですが、その肯定的なエネルギーはどこから出てくるのか・・・・と本当に不思議なくらいパワフルです。
 冒頭から、「意志ある学び」でなければ発展性がない、いやいや研修を受けていても意味がない・・・と厳しいお言葉。しかし、それはそのとおり、まったくの正論です。
 先生のお話をお聞きしながら、私なりにどうすればいいのか・・・漠然と考えておりました。で、本日の段階での結論。@第一に、客観的事実の収集・分析、Aそこからその背景等に想像力を働かせること、Bそして、「可謬性(fallibility)」を認識すること、であります。
 @については、言うまでもないでしょう。Aについては、その前提として、幅広い教養・センスが求められると思いますので、日々の努力によって養われていくものではないかと考えています。そして、もっとも大事だと思っているのは、Bです。、「可謬性(fallibility)」とは,科学哲学者ポパー(Karl Raimund Popper,1902-94)が用いた用語で、われわれの知識が完全に真理に到達したかどうかは確証できず、常に誤っている可能性があるということであり、どんな見解も可謬性を免れず、絶対に正しいことはありえないとする見解を「可謬主義」というようです。 これを常に認識することによって、多方面からの客観的な検証が可能になるものと考えます。
 皆様はいかがお考えでしょうか?

(2)引き続き、分科会でございます。今回の分科会のテーマは4つ、「企業法務」「法教育」「災害被災地への支援(プロボノ)」「不動産登記法」であります。いずれも、極めて重要なテーマであります。2つ(土曜日にひとつ、日曜日にひとつ)を選択しなければならないということで悩みましたが、「法教育」「災害被災地への支援(プロボノ)」に参加させていただきました。
 というわけで、まずは「法教育」です。平成13年6月12日付き司法制度改革審議会の司法制度改革審議会意見書〜21世紀の日本を支える司法制度〜によりますと、W「国民的基盤の確立」のうち、第2「国民的基盤の確立のための条件整備」の中でこの点についても触れられています。すなわち、2.「司法教育の充実」には、『学校教育等における司法に関する学習機会を充実させることが望まれる。このため、教育関係者や法曹関係者が積極的役割を果たすことが求められる。法や司法制度は、本来は、法律専門家のみならず国民全体が支えるべきものである上、今後は、司法参加の拡充に伴い、国民が司法の様々な領域に能動的に参加しそのための負担を受け入れるという意識改革も求められる。そのためには、学校教育を始めとする様々な場面において、司法の仕組みや働きに関する国民の学習機会の充実を図ることが望まれる。そこでは、教育関係者のみならず、法曹関係者も積極的な役割を果たすことが求められる。 』とされているのです。
 私も、静岡県司法書士会から派遣され、いくつかの高校で消費者問題の現場についてお話をさせていただく機会に恵まれましたが、「法教育」の重要性については漠然と考えてはいるものの、正直不勉強な分野でありますので、本日の講義はとても興味深いものでありました。
 まずは、筑波大学教授江口勇治先生の講義です。先生もまたとてもパワフルで、一気に話しきった感じです。印象に残った点をいくつか。まず、正義へのアクセスという課題が歴史的に三段階の波を経て発展してきたという点です。第一の波が「貧困者のためのリーガルエイド」、第二の波が、「拡大利益の代表」(公害や消費者被害のような少額被害の救済制度の追及)、第三の波が、「正義の総合システムを目指すプラネタリ・システム論」(裁判・仲裁・調停・交渉・相談などのさまざまな紛争解決手段を包括したもの)とのことで、なるほど・・・と。次に、日本では東大で教えているあるテーマ(分配・分有・共有、資源配分としての法)について、アメリカでは小学生の授業で教えているとのこと・・・・・いずれにせよ、法の形成過程、法システムやこれらの基礎にある原理や価値に関連する知識、技能を提供するのが法教育である・・・・、そしてそれは早い時期から学ぶべきではないか・・・と思います。
 次に後藤直樹弁護士(茨城県弁護士会)による講義です。ご自身の法教育に関わってきたご経験から、現在の法教育の現場に何が不足しているのか、どのような法教育を目指すべきか、とても分かりやすいお話をいただきました。法は単なる道具ではなく、理念を持っており、これを教えることが肝要である・・・・まったく同感でございます。
 最後は、高橋文郎福島県司法書士会副会長による講義です。ご存知、この分野における司法書士業界の第一人者であります。やはりご自身の経験から、多重債務問題の取り組みがきっかけとなってこの分野に取り組むことになったという点からのお話でした。多重債務問題に長く関わってきた司法書士の一人として、こうした分野を含め、より広い範囲で司法書士が活躍されていることを素直に喜びたいと思います。また、教師と一緒に教科書作りをしている大阪司法書士会の先駆的な取り組みが紹介されました。これはもっと広くアピールしていただきたいと思いました。
 3人の講師の皆様と私の共通した認識は、「法律の現場で生きている実務家こそ、生きた法教育の担い手になれる」ということであろうと思います。対処法的な消費者教育だけには留まらず、よりベーシックな法教育についても、一人でも多くの司法書士が、関わってくれることを祈念するものであります。

(3)二日目の分科会は、「災害被災地への支援」に参加いたしました。ご案内のとおり、全青司には、プロボノ活動委員会があり、現在、同じテーマについての議論を進めているところであります。この問題についての必要性は改めて申し上げることはないと思います。司法書士として何ができるか・・・・司法書士全員に考えていただきたいテーマであります。
 最初のお話は、兵庫県司法書士会元副会長であり、阪神・淡路まちづくり支援機構事務局次長の安崎義清先生です。1995年1月、百万都市を襲った大災害。そのとき、司法書士は何ができたのでしょうか・・・そのような問いかけから始まりました。「司法書士会としては、まずは、被災会員の救援を行い、その後に被災市民の救援に全力を注ぐ・・・」とうスタンス、「司法書士による法律相談」というタイトル(「司法書士による」という文言を加えなければならなかった)で広報をした背景、相談員に対する研修(被災マンションQ&A)を行い会員のレベルを均一化を図ったという点、書籍の出版など、いずれも、機会のあるごとに伝え続けていただきたい体験談でありました。「記憶は風化するが体験は風化しない」という言葉にも説得力を感じました。また、平常時に、司法書士会も主体となって他の団体も含めて「まちづくり支援機構」を作っておくことの提言もなされました。まったくの同感でございます。実は、私も、当時、静岡青司協のメンバーと一緒にクレサラ相談に神戸に行っておりますが、その記憶は薄れています。東海大震災がいつ訪れてもおかしくないと言われ続けている静岡市内に住みながら、決して危機意識は高いとはいえないと思います。その意味においても、先生のお話をお聞きする機会に恵まれたことに感謝しております。
 次に、新潟県司法書士会前会長であり、新潟県司法書士会中越地震対策本部本部長であった外山一宇先生です。現在、日司連の監事の職にも就いておられます。先生のお話も実体験に基づいたもので、非常に説得力に富むお話です。農業の赤字によって、農家が建てたアパートが多いことから借家問題がほとんど起こらなかったという地域特有の問題について、利益相反する当事者からの相談が少なくない点について、専門的な回答を求める相談者のニーズについて、会員の会への帰属意識の高まりについて、会員の社会活動意識の向上について、日司連市民連救済基金の活用などについてお話をいただきました。全青司会員への熱いエール、しっかり受けとめたいと思います。
 最後は、プロボノ活動委員会玉ノ井雄一委員による全青司としての取り組みについてです。これまでの取り組みと今後の取り組みについてであります。相談員の積極的派遣、被災者向けの法律教室の開催等の検討状況の報告がなされました。事業計画案にもご案内のとおりですが、全青司としましては、災害時の初動体制の整備のため、規則制定を準備しており、富山総会において、これをご承認いただきたいと考えているところです。札幌全国研修会で案を提示できるかと思います。ぜひとも、会員の皆様の理解とご協力をお願いしたいと考えています。


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