1.「債権譲渡登記令及び債権譲渡登記規則の一部改正案」に対する意見書提出!
ご案内のとおり、法人がする動産及び債務者の特定していない将来債権の譲渡についても,登記によってその譲渡を公示することができることとして,動産や債権を活用した企業の資金調達の円滑化を図ることを目的とした「債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の一部を改正する法律(平成16年法律第148号)」の施行に伴い,「債権譲渡登記令」の一部を改正する「動産・債権譲渡登記令」及び「債権譲渡登記規則」の一部を改正する「動産・債権譲渡登記規則」の制定について意見募集がなされました。
これについて、全青司では、次のとおりの意見書を提出いたしました。何分、極めて短期間での意見書作成であったため、不十分な点も多々あろうかと思います。そうした点につきましては、是非とも皆さまからご意見をいただきたく思います。
意見の趣旨
1、動産担保登記が創設されることにより、さらに債権・動産譲渡登記は拡大されると予想されることから、この登記を利用するもののリスクを軽減すべく、制度設計をすべきである。
2、この動産担保・債権譲渡登記は、不動産登記と共に債権回収手段として非常に有効な手段であり、かつこの登記は対抗要件であることからその順位が非常に大切である。それにもかかわらず、法務局の事務手続きをもって郵便による申請が同一の順位として扱われることは、この登記を利用する市民の利便性をそこなっていると解される。そのため、郵便による申請についての順位についても、できるだけ市民の利便性に資する制度設計すべきである。
意見の理由
1 動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律に関して、登記ファイルに記録すべき事項につき、登記令から告示への委任(再委任)は法から登記令に委任された範囲を超えるものである。
債権譲渡登記及び動産譲渡登記の登記ファイルに記録すべき事項は、すべてが法に定められているわけではなく、その一部を動産・債権譲渡登記令及び登記規則に委任し(令第第7条、規則第8条、規則第9条)、同令がその記録する「方式」については、法務大臣の指定する「方式」としている(令第7条)。この指定については告示をもってするとなっている(令第7条4項)。
そのため、告示により登記ファイルの記録事項の「方式」について、記録事項を記録することに関し「必須事項」と「任意事項」が現在運用されている告示と同様に定められることとなるであろう。
最高裁平成14年10月10日第一小法廷民集56巻8号1742頁において、将来債権を譲渡の対象とするとき、譲渡債権の発生年月日の始期は記録されているが、終期が記録されていない場合に、債権譲受人はその債権譲渡登記をもって始期当日以外の日に発生した債権の譲受けを債務者以外の第三者に対抗できないと判示された。これは、譲渡債権の発生年月日の始期は告示(平成10年法務省告示第295号)において、その記録は「必須」のとされているが、発生年月日の終期についてはその記録は「任意」とされていることから、債権譲渡登記をする際に、債権譲渡人及び債権譲受人は発生年月日の終期を記録しなかったためにその譲渡債権登記の対抗力が争われたものである。
このような事件を見るに、動産及び債権の譲渡に関する登記において、その記録事項の「必須」または「任意」の区別については、告示で定める「方式」とされているが、これは「方式」ではなく、記録事項そのものの内容に関するものであり、そうであれば、「方式」を告示にて定めることは、法が登記令に委任した範囲を逸脱しているといえる。したがって、その譲渡債権又は動産の特定の必要な記録事項については、告示にて指定するのではなく、特に将来債権の譲渡登記の記録事項は特定に十分たるように吟味し、登記令又は登記規則にて定めるべきである。
2 動産・債権譲渡登記令第9条及び第10条について
郵便による申請について、その受付は前日の到着時間にかかわらず、その翌日に他の申請書に先立ち、受け付けることとしている(令第9条)。動産譲渡登記はその登記がなされたときに当該動産について民法第178条の引渡しがあったものとみなされ(法第3条)、債権譲渡登記はその登記がなされたとき債務者以外の第三者に対して確定日付ある証書による通知がなされたものとみなされ、債務者に対して登記事項証明書を交付し通知したときに、債務者に対しても対抗要件を具備し、当該登記の日をもって、確定日付とすることとなる(法4条1項、2項)。
また、数個の申請を受け付けた場合に,その各申請は同順位となる(令第10条)。そのため、前日中に到着した申請はすべてその到着した時間にかかわらず、同順位となる。
そうであるならば、前日中に受け付けたすべての申請を翌日に同着したとすることは、一つの債権について数回にわたる債権譲渡が行われ、その債権譲渡が同着したとみなされた場合、についてそれぞれの譲受人が債務者に対して譲受債権全額の弁済を請求することができる(最判昭55年1月11日民集34巻1号42頁)ということなり、債権回収において混乱を招くこととなりかねない。
そこで、例えば、配達時間が確認できる郵便である書留郵便等については、その受付時間を午前で一度締め切り、午後に配達された申請と分けることも考えられる。郵便の配達時間との兼ね合いもあるが、現状では債権譲渡登記を取扱う法務局が東京法務局(中野)だけであり、その郵便等による申請の到着が債権回収などにおいて重要な意味を持つことから、郵便等による申請一日分の受付を同順位とはしないようにすべきである。
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