司法制度改革の時代を司法書士として生きる!
〜全青司活動現場からのレポート〜




2005年全青司「札幌全国研修会」(平成17年9月20日)

1.2005年全青司「札幌全国研修会」

(1)平成17年9月17日(土)、18日(日)の二日間は、毎年一度行われる全青司最大の行事である標記研修会が開催されました。全国から500名程度の皆さまをお迎えし、実務最前線の現場と司法書士制度の将来議論する貴重な場であります。
 地元札幌の実行委員会におきましては、後藤実行委員長を中心に、じっくり時間をかけて準備していただき、完璧な運営をしていただきました。この場においても改めて深く感謝申し上げます。

(2)テーマは「響〜Human Symphony〜聴かせてほしい。伝えたい・・・〜」であります。どうしてこのようなテーマ選択が行われたかは、こう記されています。
『対話は相手の心への働きかけ。自分の発した言葉が相手の心に伝わり相手の心がふるえ、そのふるえによって自分の心も一緒にふるえる。コミュニケーションとは、響き合いです。お互いの心と心が振動しあい、あたかも壮大なハーモニーとなり、それが(法律的・社会的・心理的)問題解決への力となると考えます。言葉と言葉、心と心とが響き合うイメージを、そしてそのスケールの大きさを、「Symphony(交響曲)」という言葉に託し、私たちが向き合うのは、情報ではなく、心をもった生身の人間であるということ、そしてハーモニーを奏でるのも人であるということを強く意識するために「Human(人間)」という言葉を冠しました。』

(3)また、札幌全国研修会実行委員長後藤力哉会員によれば、『コンセプトは、聴くこと、伝えること、そしてコミュニケーション』ということであり、その趣旨については、次のとおり紹介されています。
『私たちの業務は、相談者・依頼者の話を「聴く」ことから始まります。相談者・依頼者の話をしっかり聴かせてもらうことによって、私たちは、表面的な依頼内容を理解することを越えて、人権侵害・権利侵害によって相談者・依頼者が受けている痛みを理解することができたり、相談者・依頼者の真のニーズを感じ取ることができます。それは、相談者や依頼者が真に満足する解決に向かって一緒に歩むためには絶対に必要なことです。
 また、話を聴きそして話すことによって、コミュニケーションは成立します。「聴く」作業は「話す・伝える」作業につながり、「聴く」能力は「話す・伝える」能力、つまり説得術や交渉術につながります。
 とはいっても、私たちは、日々の業務や活動の中で「もっと上手に話を聴くことができたら」「もっと上手に説得したり、交渉したりすることができたら」と悩み、試行錯誤し、それぞれ独自の工夫をしているのではないでしょうか。この悩みを共有し、少しでも理想に近づく道を一緒に探したい、そんな気持ちからこのコンセプトが生まれました。』

(4)さらに後藤委員長は、これまでの全青司の大会・研修会との連続性についても、次のとおり分析を加え、法律家としてこの問題を学ぶことの重要性についてもふれています。
『総論から各論へ−全国規模の研修会では初の試み?
 ところで、ここ最近の全青司全国大会・全国研修会においても、「聴くこと」の重要性は繰り返し意識されています。 2004年岐阜全国大会:伴走者〜市民の鼓動が聴こえるか〜
2004年神奈川全国研修会:Human Rights Solution−声なき声の代弁者として−
2005年宮崎全国大会:自然・胎〜司法書士としての使命!新たなる司法書士の胎動〜
 2004年神奈川全国研修会において、私たちは人権について学びました。人の痛みを痛みとして理解しようとする想像力、「おかしい」と直感的に感じる権利感覚、「おかしい」と感じたときに行動することの大切さを学びました。そして、人権について考え、権利のための闘争の担い手として行動することを決意しました。
 札幌全国研修会においては、この神奈川全国研修会での決意を実際の行動に結びつける第一歩として、「聴くこと」「コミュニケーションをとること」を真正面から、かつ体系的にとらえて、そのスキルとマインドのありかたを具体的に議論し、ともに学びたいと考えています。全国規模の研修会において、「聴くこと」「コミュニケーションをとること」のスキルとマインドを正面から取り上げるのは、全青司においても日司連においても初の試みではないでしょうか。
 さぁ、人権擁護の担い手として、そして全ての業務の基礎として、今一度、「聴く」ことの重要性を考え、「聴く」能力と資質をよりいっそう高めようではありませんか』

(5)このような札幌全国研修会実行委員会のコンセプトを受け、私は、次のような拙稿を挨拶として寄せることにしました。
『宮崎総会において、私はその所信の中で、本年度の基本的な活動スタンスの一つに、「既存の紛争解決手段よりも利用者の納得度の高い、新しい紛争解決の担い手を目指す法律家集団として存在すること。」をあげさせていただきました。
 これは、第一に、簡裁代理権の取得にあたって、これまで培ってきた本人訴訟のノウハウに代理という新しい武器を加えることによって、これが『司法書士訴訟』と言えるような、新しい紛争解決方法を具現化できる可能性が大きく開いた、そう考えたからです。
 このことは、平成14年に私が中心となって全青司簡裁事件受任推進委員会で編集した「簡裁クレサラ訴訟の実務(民事法研究会)」にも記しています(なお、本書は改訂後「簡裁消費者訴訟の実務」と書名を変更しております)。
 そして、第二に、簡裁代理権に加え、ADRという新しい紛争解決手段が具体化されるに至り、紛争解決の現場における私たちは、無限大と言っても良いほど多様な方向性を探るチャンスに恵まれたと捉えているからです。
 札幌における全国研修会においては、「聴くこと、伝えること、コミュニケーション」が基本コンセプトになっていますが、これは、まさに、上記の活動スタンスにおける一つの重要なテーマであります。
 私たちが依頼人から向けられたニーズは、@効率的な紛争解決、A専門性の高い能力に加え、B法システムでは対応できないような感情的な問題や人間関係的な問題などに対する応答についての3つに大きく分かれていると考えられていますが、いずれのニーズに応えるためにも、本研修会の基本コンセプトは極めて重要なものであることは言うまでもないでしょう。
 私は、このような改革の真只中で司法書士として生きられるということに、大きな喜びと期待を感じています。もちろん、不安が無いといえば嘘になりますが、喜びと期待は不安をはるかに上回っています。
 今は、曖昧模糊としているかもしれませんが、この札幌全国研修会を一つの契機として、より依頼人の満足度が高い、司法書士による新たな紛争解決の確立を目指して行きたいと考えています。』

(6)さて、初日の全大会は、次の各氏によるリレー式の講演であります。
 第1楽章として「はなしあう」〜コミュニケーションの基本〜というテーマで、北海道東海大学国際文化学部コミュニケーション学科助教授の町田佳世子氏、第2楽章として「わかりあう」 〜コミュニケーション理論とカウンセリング実務の接点〜というテーマで天使大学看護栄養学部看護学科教授菅原邦子氏、第3楽章として「あるきだす」〜実務者の視点とコミュニケーション技法の実践〜というテーマでいいじまクリニック院長飯島克巳氏です。
 各氏のプロフィールにつきましては、実行委員会作成のHPをご覧いただきたいのですが、各氏のこの研修会に向けてのコメントが寄せられていますので、これを引用させていただくことにします。
 
第1楽章・町田佳世子氏『相手のことを考えて真摯に言った言葉が逆の意味にとられることは誰もが経験していると思います。すぐに誤解が解ける場合もありますが、その一言によって相手との信頼関係が悪化することがないともかぎりません。なぜ自分の意図とは異なる解釈をされてしまうのか、その仕組みについてお話したいと思います。法律相談ではアドバイスが求められると思いますが、アドバイスは最も誤解が生じやすい行為の一つですので、その特徴についても触れたいと思います。』  
   
第2楽章・菅原邦子氏『相談者・依頼者の問題解決に有効な専門的知識や技術も相手に伝わらなかったら、援助にはならず、それは自己満足でしかありません。看護者は患者さんや家族の「問題」を解決するために、相手のことを「わかる=真のニーズを知る=聴く」ことが一番重要であり、難しいことであると日常の援助場面の出来事から理解しています。カウンセラーではない看護師が、カウンセリングの技法とカウンセリング・マインド(態度)を何故・どのように活用しているかをお伝えします。』  
   
第3楽章・飯島克巳氏『この世の生を享受するには、人と人との助け合いが大切だと思っています。私の場合、医療専門職として人々の健康上のニーズに応えるように努力しております。そのために、受診された方と気持ちよく出会うよう、心がけております。さらに、その方のニーズを捉える。同意のもとにこれを満たす。そして、お互いの満足に至る。このプロセスが大切だと考えます。この際、コミュニケーション技法が必須のものであることは言うまでもありません。』  
   


 続く・・・    

 


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