司法制度改革の時代を司法書士として生きる!
〜全青司活動現場からのレポート〜




2005年全青司「札幌全国研修会」2(平成17年9月21日)

1.2005年全青司「札幌全国研修会」2

(1)全大会は、札幌会のメンバーによる法律相談に関するロールプレイを題材に3名の講師によるリレー式の講演という形で行われました。
「コミュニケーションの基本」に始まり「コミュニケーション理論とカウンセリング実務の接点」、「実務者の視点とコミュニケーション技法の実践」と続く進行がとても分かりやすく、また、それぞれの講師の先生の説明も、それぞれコミュニケーションの専門家ということもあって、聴衆をあきさせることのない魅力的なお話でありました。

(2)町田先生の講義で印象に残ったのは、友人間で交わされた「昨日皆で食事に行ったんですって?」という言葉が、受け手によっては非難に聞こえることも考えられる・・・という分かりやすい例から、「言葉はすべてを伝えていない」「コミュニケーションは上手くいかないのが普通」 「話し手の意図と聞き手の意図が一致することは少ない」「どちらか一方に原因があるわけではない」という前提を認識すべきであるという点です。
 いや、もしかしたら、町田先生の言葉は、このような受け手の理解を期待していないかもしれません。ただ、聴講させていただいた私は、そのように受け止めました。
 この点については、町田先生も指摘されたように、司法書士と依頼人の関係も同様であろうと思います。 
コミュニケーションとは、すなわち、送り手と受け手の共同作業であり、双方の推論で行われる相互作用である・・・・。
 私は、常々「Writing is our business(書くことが仕事)」と述べてきましたが、これからは、「聴くことが仕事」ということも、必ず加えていきたいと思います。

(3)続く、菅原先生のお話で印象に残ったのは、「カウンセリングの時間としては、2時間は長い。集中力は45分くらいしか持続しない。」という指摘です。
 私は、当初、面談時間は、2時間くらいを設定しておりました。これは、まだ裁判実務の経験が少なかったという理由もあったのですが、じっくり聴くべきという固定観念があったのかもしれません。最近では、1時間くらいで面談を終了させるようにしています。もちろん、この1時間で終わる事件ばかりではないわけですので、その場合には、この1時間で出来ることを区切り、出来なかったことを次回の1時間に回すのです。そうして、徐々に事件を解決の方向に組み立てて行く作業をしています。やはり、これは双方の集中力の問題です。忙しいときには、30分刻みで面談を設定せざるを得ないときもありますが、これだとやはり時間が不足しているなあと実感します。適量は45分。個人的には大いに納得いたしました。
 また、札幌のロールプレイを題材とした分析も興味深かった点です。
『ロールプレイにおける相談では、まず経緯について依頼人から聞き取っているが、この傾聴により、信頼感の形成がなされている。その後、司法書士による一度目の要約がなされているが、ここで理解・共感・受容が形成されている。そして、二度目の要約により、相手の立場に立った説明がなされ、これにより依頼人の主体的行動・成長力を引き出すことがなされている。』との分析は個人的にも非常に参考になりました。
 さらに、先生が述べた「相談者がスキルを感じてしまうとケアにならない」という趣旨のコメントも印象に残りました。あまりに技巧的になりすぎると、依頼人の信頼感を得ることはできないということでしょうか。このバランス感覚は、一朝一夕には身につけることは難しいのでしょうが。

(4)最後の飯島先生の医療の現場における実践例も、大いに参考になりました。そのパワフルな講義は参加者の脳裏に焼きついたことと思います。壇上から降りてきて聴講者と対話するという講師はそうはおりません。
 病気の要因として、その背景にある患者の健康問題に視点を向け「久しく断続的、継続的な関係を築いていく作業を通して、患者自身の人生の歩みを援助することを目標にしている」開業医でありたいとする飯島医師の姿勢は、依頼者に「伴走する」あるいは「二人三脚」を標榜する私たち司法書士の執務姿勢と相通じるところが大きいと思います(実行委員会のHPより)。
 その飯島先生が後半で述べたこと「信頼の崩壊は一瞬。信頼の確立は継続した努力から」という言葉は、医療の現場だけに留まらず、まさにすべての職業団体に言えることでありましょう。

(5)以上は、3名の先生の講義の中で、私が個人的に興味を持った部分に過ぎません。他にも、まだまだ示唆に富んだお話は多く、その意味においては、是非、多くの参加者の感想をお聞きしたいと考えています。

(6)閉会の挨拶という機会にも恵まれた私は、以下のような趣旨のことを述べさせていただきました。
『今回の研修会は、地元札幌実行委員会のメンバーにより、実に丁寧に準備された研修会であり、それが、ハード面・ソフト面の両方によく表れていました。今後の全青司活動に大きな示唆を与えていただいたと思っています。
 ソフト面に関して言えば、定められたテーマについて、法律相談に関するロールプレイを題材に3名の講師に、総論を踏まえたうえで、各論について分析してもらうという手法は聴講している参加者にとってとても理解しやすいものでありました。
 この研修会において、聴くことを学んだ私たちは、明日からの日々の業務にこれを生かすことはもちろんのこと、私たちが生きている法律問題の現場で聴いた声を、広く社会に知らしめ、社会に対して必要な提言・意見表明を行っていくという、もうひとつの法律家の使命についても意識しなければならないのではないでしょうか。
 この研修会で受けた良い刺激を地元に持ち帰り、今後の地元での研究・実践の糧とし、それを全青司活動に参画することでより広い活動として発信し、ひとつひとつ実績を積み重ねていただきたいと思います。』    

 


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