司法制度改革の時代を司法書士として生きる!
〜全青司活動現場からのレポート〜




第34回九州ブロック青年司法書士協議会定時総会・研修会In沖縄 (平成17年9月25日)

1.第34回九州ブロック青年司法書士協議会定時総会・研修会

(1)平成17年9月24日(土)、25日(日)は、沖縄にて標記集会が行われ、お招きいただきましたので参加させていただきました。
 初日がソフトボール及び懇親会、二日目が総会及び研修会という独自のスタイルの九州ブロックでありますが、多くの九州の会員と直接議論する機会があったことは私にとっても有意義であったと思っています。運営にあたった沖縄会の皆様、そして、本総会で任期満了された役員の皆さまにおかれましては、お疲れさまでございました。そして、新しく役員に就任された皆さまにおかれましては、ますますのご活躍を期待しております。

(2)さて、札幌でも感じましたが、懇親会でのエネルギーには本当に圧倒されます。初めてお会いする若手会員も多く、このエネルギーを是非全青司活動に注いでいただきたいと思いました。
 一方、新たな合格者が増えている単位会とそうでない単位会の格差は小さくないようで、地元における深刻な状況もお聴きすることができました。この司法過疎の問題については、全青司でも今後これまで以上に取り組んでいかなければならない重要な課題となっています。

(3)総会にあたり、挨拶をさせていただきましたので、短い時間ではありましたが、次の4点に絞って全青司活動についての報告をさせていただきました。
@全国一斉生活保護110番の実施と意見書の作成
A金利引き下げ運動の今後(10月度代表者会議も含めて)地元における集会実施のお願い
B災害対策規則、マニュアルの策定作業及び台風14号被害についての対応。ご協力のお願い
C当番司法書士制度の必要性と実施のお願い
 今後の変わらぬ支援を改めてお願いするものであります。

(4)総会においては、大部副会長の提案により、先般の台風14号被害についての対応について、宮崎及び鹿児島の現状報告がなされ、九州ブロックにおける今後の対応等いついて議論がなされました。

(5)さて、総会は滞りなく終了し、引き続き研修会が行われました。新垣勉弁護士による「法律実務家の役割と課題〜簡裁代理人としての活動の楽しみ〜」と題された講演であります。
 新垣弁護士は、反戦地主弁護団、代理署名拒否訴訟大田知事弁護団の一員でもあり、また、米軍人等による不正行為被害救済の立法運動を推進されています。著書・論文には、「沖縄はなぜ基地を拒否するのか(新日本出版)」「日米地位協定(岩波ブックレット)」「暴力団組事務所排除法理の現状と今日的問題点(民暴対策論の新たな展開・(株)きんざい)」がございます。

(6)新垣弁護士は、「簡裁代理権の取得は、登記実務を中心とした法律事務の履行という従来の司法書士の職業的性格を大きく変革するものであった。司法書士が法創造機能を有する「裁判」にかかわることは、ロイヤーとしての性格を取得することを意味し、その意義は重大である。」と指摘されています。まったくの同感であります。
 簡裁代理等関係業務に生きがいを見出してほしいとする新垣弁護士のお話は、個人的にも大きく共感できるものであり、参加者に大きな勇気を与えていただいたものと確信しています。
 ご自身のご経験から、「労働安全保証義務」「暴力団組長の使用者責任」という二つのテーマにつき、いずれも現場から新しい法解釈を創造していく仕事であったという視点から、実に示唆に富んだお話をいただきました。

(7)いわゆる、元請、下請、孫請という請負契約関係が広く行われていますが、労働契約関係のない元請業者と下請労働者における安全保証義務について、どう考えていくべきか・・・
 これに対して、元請を被告に、下請け業者の労働者に対する安全保証義務を元請業者が重畳的債務引き受けがなされているという理論で裁判を組織的に係属させ、結果的には、1975年2月25日の最高裁判例(陸上自衛隊車両事故事件)「人の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務(安全配慮義務)は、ある法律関係に基づいて特別な社会的接触に入った当事者間において、当該法律関係の付随義務として一般的に認められるものである。」を勝ち取ったという経緯は、まさに『法解釈の創造』であり、法律家として、最もクリエイティブな仕事のひとつであり、醍醐味であろうと思います。
 裁判所の意識を変えていく作業の重要さ、これが在野法曹の生きがいであり、法を創造する楽しみを是非味わってほしいとする新垣弁護士のお話は、すべての司法書士の皆さまに聴いていただきたい内容でありました。

(8)もうひとつの例が、「暴力団組長の使用者責任」の問題であります。
 暴力団に抗争に巻き込まれた市民の被害救済に関して、組長にその責任を負わせることができるのか、つまり、組長は使用者といえるのか、暴力団の活動は事業といえるのかという問題を乗り越え、結果として、日弁連の組織的なバックアップ体制のもとに、2004年11月、『山口組が抗争で功績のあった者を表彰していたことなども考慮し、「下部組織の対立抗争での殺傷行為は、山口組の威力を利用しての資金獲得活動の執行と密接に関連する行為」と述べ、渡邉組長に使用者責任があると結論付けた。北川裁判長は補足意見において「対立抗争で威力、威信を維持しなければ、組織の自壊を招きかねず、抗争自体を組長の事業そのものとみることも可能だ」と付け加えた』という最高裁判決を勝ち得ることになった(弁護団は、「対立抗争=暴力団の事業そのもの」という主張をしていましたが、福岡高裁は「抗争行為は不法行為であり、これに事業性を認めることはできない」とこれを否定しています。)という極めて貴重な体験談であります。
 この判決は、被害者救済という意味のほか、暴力団の違法行為の抑制にも絶大な効果を生んだということは容易に想像できるところであります。

(9)最後の「司法書士の訴訟活動」の今後についての新垣弁護士のアドバイスについても極めて示唆に富んでおりました。「既存の法律でだめなら、自分たちの頭で理屈を作り、裁判所を説得するべき。その際のよりどころは社会的正義であろう。」「それには、組織的な対応、全国的な運動により社会問題化することが肝要。これにより法的理論が整理され裁判官の説得に繋がる。」さらには、「青司協としての戦略とターゲットを明確に定めるべきであり、これに知恵を絞るべき」との指摘にも、「わが意を得たり」という感想を持ちました。

 さあ、全青司本年度事業後半戦、頑張っていきましょう!    

 


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