1.「住民基本台帳の閲覧制度等のあり方に関する検討会報告書(素案)」に対する意見書提出
(1)総務省では、平成17年5月から、「住民基本台帳の閲覧制度等のあり方に関する検討会」(座長:堀部政男中央大学大学院法務研究科教授)を開催し、住民基本台帳の一部の写しの閲覧制度及び住民基本台帳に基づいて調製される選挙人名簿の抄本の閲覧制度のあり方等について検討しており、「住民基本台帳の閲覧制度等のあり方に関する検討会報告書(素案)」を取りまとめています。そして、今般、これに対する意見募集が行われましたので、全青司として、意見を提出いたしました。担当は、大部孝副会長(福岡会)です。
(2)なお、意見募集に際して、その経緯について述べられていますので、まずはこれを引用させていただきます。
『住民基本台帳は、昭和42年の住民基本台帳法制定時から、住所を公証する唯一の公簿として、原則公開とされ、閲覧制度が設けられてきました。その後、個人情報保護の観点から、昭和60年及び平成11年の改正により、閲覧の対象を氏名、住所、性別及び生年月日からなる台帳の一部の写しに限定するとともに、不当な目的によることが明らかなとき又は不当な目的に使用されるおそれがある場合等には閲覧の請求を拒否できることとする制度的整備が行われました。
閲覧制度は、現在でも、行政機関等の職務上の請求のほか、世論調査、学術調査、市場調査等に幅広く利用されているところですが、一方で、社会経済情勢の変化や個人情報保護に対する意識の変化などから、その見直しを求める意見が寄せられているところです。総務省では、これらを踏まえて、住民基本台帳の一部の写しの閲覧制度のあり方について検討を行ってきました。
併せて、住民基本台帳に基づいて調製される選挙人名簿の抄本の閲覧制度のあり方についても検討を行ってきました。
今般、上記検討会では、住民基本台帳の閲覧制度等のあり方について整理した報告書(素案)を取りまとめたところです。』
(3)まず、当会の住民票閲覧制度に対する考えについては、下記のとおりです。
『住民基本台帳法(以下「法」という)第11条において定める、「住民基本台帳の一部の写しの閲覧」いわゆる住基情報の閲覧制度は、住民の居住関係について公証する唯一の公簿として、昭和42年の立法当初から原則公開とされてきた。
その後、昭和50年以降に個人情報保護の観点から様々な問題が浮き彫りとなり、昭和60年と平成11年に一部改正を行った経緯がある。
ところで、近時の住基情報の閲覧制度は、不正な犯罪等の手段として利用される事件が多発しており閲覧による弊害は極めて顕著である。
これまで法改正を通じて長きにわたり、住民のプライバシー保護についての議論が繰り返されてきたにもかかわらず、住基情報は公開情報であるなどの理由から抜本的な改正がなされなかった。もはや現行制度を維持することは、憲法13条から導かれる住民の「自己情報コントロール権」を侵害する危険性があり、さらには個人情報保護に関する法律並びに各種条約等々と併せ見ても大きな矛盾が生じている。
そのため、自己情報のコントロール権を情報化社会における住民の固有の権利とし、その確立を志向するために住基情報閲覧制度の適正な法改正を求めるものである。』
(4)これを前提として、報告書に対して、以下のとおりの意見書を提出いたしました。
【意見の趣旨】
1.官公庁の機関及び公益上相当性のある調査、研究及び活動を行う機関による閲覧については、法の目的の範囲内におけると判断でき、閲覧目的及び理由等を明示して行い、その他の主体による閲覧は出来ないものとすること
2.不正閲覧を防止する観点から閲覧申請時に厳格な審査規定を設けること
3.不正閲覧を防止し個人情報保護に資するために、国及び市町村の責務に関する規定を設けること
4.その他、被閲覧者の保護に関する規定を設けること
5.以上、国及び関係省庁に対し、前各項の趣旨に沿った法制を目指し、その他必要な措置を講じること
【意見の理由】
1.閲覧できる主体について
報告書においては、閲覧ができる請求主体を、大きく@本人又は同一世帯の者A国及び地方公共団体B正当な理由をもつ者C公益性の高い調査などD公益性の強い公共団体の事業等としているが、これらの例外的に閲覧を認める主体としては概ね賛成の意見である。
2.不正閲覧を防止する観点から閲覧申請時に厳格な審査規定を設けることについて
報告書「2、住民基本台帳の一部の写しの閲覧制度の見直し」「(2)審査手続」「ア」においては、概ね賛成であるが、不特定多数の住民を閲覧する法人等が閲覧請求人である場合の請求に対する審査手続については厳格な定めがあるが、特定の住民を閲覧する請求人に対しても同様に厳格な審査の規定を定める必要がある。
審査方法に格差を設けることは、たとえ事務の合理化を考慮したとしても、最近の犯罪事例を踏まえると許容出来るものではない。貴検討会「資料7」の閲覧請求を拒否できる場合として、「真実性に付き疑義を生じせしめる特段の事情のあるときは請求者に対し口頭で質問し、関係文書の提示を求める等適宜の方法により確認することが適当である。質問や関係文書の提出に応じない場合には、閲覧請求を拒否して差し支えない。これは本状において請求者の側に、その請求事由が不当な目的に該当しないということを挙証する責任があると解釈されることによるものである。請求者の氏名・住所についても、必要に応じ官公所の発行した証明書等をより確認することが適当である」としているが、仮に虚偽に「債権回収」という請求事由を請求用紙に記入し閲覧請求をしたとしても、真実性に付き疑義を生じせしめる特段の事情がなければ、それ以上の審査はなされず潜脱が可能となる。
したがって、公的な身分証明書や請求事由を裏付ける書面などの提出を求め、申請書と照合するなど閲覧申請時の厳格な審査は、全ての閲覧主体において行うよう明文化する必要がある。
3.不正閲覧を防止し個人情報保護に資するために、国及び市町村の責務に関する規定を設けることについて
報告書「2、住民基本台帳の一部の写しの閲覧制度の見直し」「(4)不正目的での閲 覧や目的外利用を防ぐための仕組み」においては、「ア」の閲覧者と請求事由などの概要を公表すること。「イ」の閲覧者に個人情報の利用状況等の報告を求めることや不正使用が判明した場合の罰則について定める事については概ね賛成であるが、本改正については、閲覧主体及び閲覧方法並びに不当な閲覧を防止する諸施策に加え、個人情報保護の観点から、住民の権利が不当に侵害されることがないよう、法において国及び市町村の責務を明確にする必要がある。
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