1.2005年度第4回クレサラ対協東京拡大幹事会
(1)平成17年10月8日(土)は、東京で行われた標記幹事会に参加してまいりました。クレサラ対協とは、弁護士・司法書士・学者・被害者などで構成される全国クレジット・サラ金問題対策協議会(事務局長 木村達也弁護士)の略であり、私も10年以上前から参加させていただいており、役員もさせていただいております。
この拡大幹事会に出席して思うことは、毎回のことではありますが、この分野における、まさに最先端の議論がなされること、そして、参加者の皆さまの仕事の速さというか参加意識の高いことであります。
現在、関連組織として「アイフル対策全国会議」「クレジット過剰与信対策全国会議」「43条対策全国会議」「日栄・商工ファンド被害対策全国弁護団」「高金利引き下げ全国連絡会」「全国ヤミ金融対策会議」「年金担保被害対策ネットワーク」「クレサラ調停対策会議」「広告問題研究会」「武富士対策全国弁護団」「公正証書問題対策会議」「行政の多重債務者対策を充実させる全国会議」など多数となっており、ものすごい質と量の活動が行われています。私もほとんどの組織に参加させていただいています。
(2)以下、今回の会議で報告・議論がされたものから、印象に残ったものを順番にピックアップしていきましょう。
まずは、平成17年11月12日(土)13日(日)に岩手県の花巻で開催予定の第25回クレサラ・商工ローン被害者交流集会についてであります。まだまだ参加者が少ないようですので是非、一人でも多く参加していただき、最先端の議論に加わってほしいと考えています。花巻でお会いしましょう!
(3)さて、九州を中心に全国展開をしている、消費者金融業者「三洋信販」に関する裁判が現在最高裁に係属中であります。この裁判での争点は、いわゆるリボビリング払いに関する貸金業規制法43条の適用の可否でありますから、この最高裁の判断は、三洋信販にとどまらず、武富士・アコム・プロミス・アイフルといった大手業者にも大きな影響を与えるものとして注目されていました。
ところが、三洋信販側は、ここにきて、書面で「請求の認諾」をする意向を示しているところであります。どのような力が働いたのか詳細は不明ですが、高裁レベルにおいては、強硬に貸金業規制法43条の主張する一方において、最高裁では43条を適用しない請求を認諾するという明らかに矛盾した三洋信販の姿勢は強く非難されるべきでありましょう。高裁レベルにおける43条の主張については、権利濫用ともいえませんでしょうか。
各団体において、この三洋信販の請求の認諾についての抗議を予定しているようですが、全青司(担当 稲本信広消費者問題対策委員会委員長)としても、然るべき形で意見表明をしていく予定であります。
(4)次に、シティズの最高裁係属中の裁判であります。近くに口頭弁論が開かれる模様であります。最高裁において口頭弁論が開かれるということは、これまでの日栄や商工ファンドに対する最高裁における裁判と同様のパターンとのことであり、その結果に大きな期待を寄せているところです。
しかし、仮に、この最高裁に被害者側が勝ったとしても、それだけでは保証人被害はなくなりません。報告者の新里弁護士も指摘されているとおり、シティズの事件は、利息制限法所定の金利に引きなおしたからといって、大きく減額される事案は僅かであるからです。
この点につき、新里弁護士は、浜松の岡島弁護士らが勝ち取った、浜松信用金庫に対する画期的な東京高裁判決(錯誤を理由に信用金庫の連帯保証人になった人の保証責任を否定)にふれ、シティズに対しても保証否認を争っていくべきであると主張されています。
この重要な裁判例についての詳細は、今弁護士のHPを参照していただきたいのですが、簡単にここでも引用させていただきます。
『保証人は,借り主が破綻したときにまさに「保証する」役割で保証契約を締結するから,保証契約書に保証人として判子をつけば,破綻しても保証責任が発生するというのが,今までの常識的な判決の流れであり,保証人に主たる債務者が破綻状態にあるかどうかについて錯誤が認められるという判決はほとんどありませんでしたが、本判決では、まず,一般論として,「保証契約時に主たる債務者が破綻状態にないことは,保証しようとする者の動機として,一般的に,黙示的に表示されているもの」と述べ、破綻必至の状態について,黙示の動機の錯誤を認めています。』
大きな流れを変える可能性を含む判決ではないでしょうか。
(5)金融庁が、貸金業制度等のあり方について幅広い観点から勉強するため、開催している、総務企画局長の私的懇談会「貸金業制度等に関する懇談会」についての報告もなされました。
クレサラ対協側としては、貸金業規制法43条を廃止を訴えており、マスコミもこれまでとは違い積極的に取り上げたいと言っているそうで、今後の動きに注意が必要です。
(6)金利引き下げの運動につきましては、宇都宮弁護士から、本日行われた国会議員に対する要請活動の報告がなされ、依然として厳しい情勢にあることが確認されました。
金利引き下げの立法については、議員立法となるので与党の動きが重要になってきますが、現段階において、まだ具体的な取り組みがないという状況であり、世論を盛り上げる必要性が極めて高いとのことであります。
消費者金融業界側は、43条要件の緩和、金利引き上げ、規制緩和が目的であり、真っ向から対立していますから、市民運動として盛り上げていくことは必須でありましょう。クレサラ対協では、100万人署名をひとつの目標としています。
全青司においても、来週末(平成17年10月15日(土))の代表者会議において、金利引き下げをメインテーマに全国の青司協の皆さまと議論をさせていただき、今後の具体的な運動論についても突っ込んだ話をしたいと考えているところであります(担当 消費者法制度部会中里功常任理事、消費者問題対策委員会委員長稲本信広常任幹事)。サブタイトルは「金利問題を市民運動としよう!」です。
(7)一方、金沢の喜成司法書士からは、利息制限法の引き下げについての運動もしていくべきであるとの意見がなされ、石川における「高金利引下げを実現させる県民集会」などの取り組み が紹介されました。
上記集会につきましては、報告書という形で冊子となっていますので、是非、これを参考にしていただいたいと思うのですが、県議会や市議会への請願活動についての手法は、是非、全国的なレベルにおいて取り組んでいただきたいところであります。
全青司においても、既に述べた代表者会議において、金沢の先駆的な取り組みを紹介させていただくとともに、長野県における議会への働きかけについての実践報告も予定しております。
(8)さて、依然として残るヤミ金融被害に関しても多くの参加者から多くの被害例の報告がなされました。
ところで、法制審議会は、平成17年9月13日午後の会合で、暴力団が得た犯罪収益を検察官が被害者に分配する新制度導入を盛り込んだ要綱を決め、10月6日の法制審総会での答申を経ています。現行の組織犯罪処罰法の規定では、被害者の損害賠償請求権を優先させる目的で、国が犯罪収益を没収・追徴することを禁じています。このため、被害者は訴訟を通じて加害者から被害額を取り戻すしかないわけですが、相手が暴力団などの場合は報復を恐れて泣き寝入りするケースも多いのが現状です。そこで、犯罪が暴力団などにより組織的に行われ被害者が訴訟を起こすことが困難と想定される場合は、国が犯罪収益を没収・追徴できるようにするというのが今般の法改正の主眼であります。また、マネーロンダリングにより同法違反で摘発された犯罪収益についても、被害者が特定できていれば国が没収できることになる予定です。
そして、没収した収益の具体的な分配方法については、検察官が犯罪の被害範囲を定めた上で該当者に通知し、被害額の返還を求める者は、自分が被害者であることを証明する資料を検察官に提出、検察官は被害の割合に応じて配分するということを予定しています。
また、各地からは、地場のヤミ金融が増えている現状も多く報告され、携帯電話の即刻停止について検討することができないだろうかという意見も出されています。
(9)日掛け業者に関する問題も深刻です。以前から業界を擁護する立場で論文を発表している早稲田大学の坂野教授が、「日賦貸金業の顧客実態調査分析」という論考を発表していますが、この内容について、@保証人に対する調査が一切ない、A滞納した人についての調査がないなど、実態調査というには程遠い内容になっているという批判がなされました。
詳しくは、こちらを参考にしてください。
(10)その他、消費者金融業者の広告の問題として、先に述べたとおり、三洋信販が最高裁において請求を認諾したのであるから、同様の取引形態をもつ大手消費者金融業者については、すべて貸金業規制法43条の要件を満たさないということになる、そうであれば利息制限法違反の広告に対する苦情・抗議の申し入れを徹底すべきである・・という意見も出されています。
(11)このように盛りだくさんの議論ですので、あっという間に時間が過ぎてしまいます。次回は来年になりますが、その間にも、関連団体の関連行事は目白押しとなっています。是非、一人でも多くの司法書士に参加していただきたいと考えています。
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