司法制度改革の時代を司法書士として生きる!
〜全青司活動現場からのレポート〜




平成17年度第2回会長会を傍聴して (平成17年10月15日)

1.平成17年度第2回会長会を傍聴して

(1)平成17年10月13日(木)、14日(金)、四谷日司連ホールにて、標記会合が行われましたので、傍聴してまいりました。
 毎回二日間にわたってみっちりと議論が行われる会長会ですが、先般の日司連総会において新執行部が誕生してから第一回目の会長会であります。
 当たり前のことですが、議題は多く、いずれも重要なものばかりです。今、司法書士業界ではどんなことが問題となっているのか、日司連執行部と全国の単位会の会長が一同に会するこの会議で、一体どんな議論されているのか、是非、傍聴することをお勧めします。
 とてもすべてを報告することはできませんので、特に印象に残ったものをピックアップさせていただくことにします。

(2)中村邦夫日司連会長の挨拶に始まり、まず、先般の第66回日司連定時総会において決議された組織員提案議案への対応についての報告であります。決議は、以下の5つであります。

@法務省に登記情報システム(不動産登記業務)の改善を要望する決議
A日本司法支援センター構想につき、その基本理念に基づいたものにするべく強く関係機関に働きかけ要請する決議(提案、私)
B当番司法書士制度の創設を検討することを求める決議(提案、高原勉相談役)
C出資法の上限金利引下げを求める決議(提案、伊見真希副会長)
D利息制限法の制限利率引き下げを求める決議

 いずれも今後の日司連執行部の積極的な対応を期待するものであります。

(3)次に、平成18年度税制改正についての要望についての報告がなされました。要望の趣旨は次のとおりです。

1.所有権の登記にかかる登録免許税の特別措置の趣旨を登録免許税本則に定めること
2.抵当権・根抵当権等の不動産登記にかかる登録免許税を軽減化及び平準化すること
3.会社法の改正にともなう企業に対する規制緩和から、商業登記にかかる登録免許税を軽減化及び平準化し、税率を簡素化すること
4.災害により資力を失った被災者に対して、所有権保存登記等にかかる登録免許税を軽減もしくは非課税とするなどの資金援助措置を講じること
5.「登録免許税制」から「登記手数料制」への制度の抜本的な見直しに着手すること

 これに対して、登録免許税のみだけでなく、贈与税や相続税などの業務と密接関連した税制についての要望もしていくべきという意見が出されています。

(4)規制改革について、平成17年9月30日に出された構造改革特区に関する有識者会議意見案で述べられている「士業の労働者派遣の容認」、つまり司法書士の派遣に関して、『司法書士法第3条に規定する業務に関し、司法書士法人が他の司法書士又は司法書士法人を派遣先とする司法書士の労働者派遣を行うことについて、司法書士法人の立法趣旨等との整合性の問題も含め、今後ニーズを調査したうえで検討を行い、平成17年度中に結論を得る。』とされていることから、この対応についての報告がなされました。
 詳細は、ヒアリング議事概要を参考にしていただきたいのですが、上記会議の八代尚宏座長(国際基督教大学教授)が指摘されているとおり、司法過疎対策にもなりうる可能性を持つという点も踏まえて、やみくもに反対するだけではなく、今後継続して議論するとのことでありました。

(5)その他いくつかの報告事項の後、議事に入ります。まずは、オンライン指定庁における課題についてであります。
 続々と指定されている不動産登記オンライン申請システム導入予定庁でありますが、日司連として、オンライン申請時代のあるべき不動産取引のスタンダードモデルを提示してほしいという要望がありました。
 また、電子政府・電子社会の中での司法書士の地位を確立すべき、すぐにでもできるのは商業登記のオンライン申請であるから、これについて日司連が旗をふるべき!という意見もありました。
 そして、多くの会長から多くの意見が出たのが、司法書士会補助者証取扱規程基準及び補助者事務の指示に関する運用基準について、でありますが、この点につきましては、極めて内部的なことですので割愛させていただきます。NSR等をご参照ください。なお、この点につき、わざわざ今般の会長会において時間を割いて議論すべきテーマではなく、ネット等を利用して議論すれば十分という意見がありましたが、個人的には全くの同感であります。

(6)いよいよ、個人的には、常々、最重要課題であると考えている「司法制度対策について」であります。
 テーマは、@日本司法支援センターについて、A民事法律扶助について、B司法書士総合相談センターについて、C司法過疎対策について、DADRについて、E司法制度対策における広報についてとテーマが多岐にわたっています。
 まず、日本司法支援センターについては、私が提案させていただいた「日本司法支援センター構想につき、その基本理念に基づいたものにするべく強く関係機関に働きかけ要請する決議」のとおり執行していただいているとのことでした。より一層、積極的にお願いしたいと思っています。
 ところで、日司連の平成17年9月27日付「総合法律支援制度の設計に関する基本方針」によりますと「契約司法書士の確保」もひとつのテーマになっております。契約弁護士がなかなか思うように確保できていない現状を鑑みれば、相当工夫しないと契約司法書士の確保も困難であることが予想されます。この点について、日司連はどのように考えているのか、早期に一定の指針を提示していただきたいところです。

(7)一方、今回、最も驚いたのが、司法過疎対策についてです。各司法書士会に行われた「地域司法サービス拡充に関するアンケート」の集計結果は、まさに『驚愕』という表現が相応しいのではないでしょうか。なぜなら、多くの単位会(27単位会)が、「司法過疎地域の有無」につき、「ない」と回答し、「過疎対策事業実施の有無」について「なし」としているのです。
 なお、地域ごとにきちんと整理して回答しているわが静岡県司法書士会の回答はとても誠実であると思います。そのうえで、静岡では、司法書士不在地域法律相談会を実施しています。
 本当に司法過疎地域は無いのでしょうか、絶対にそんなことはありえないと考えます。なぜ、このような回答をされるのでしょうか。そして、日司連執行部はこれをどう考えているのか・・・・本当に質問したかった点です。この点につき、参加された会長からも質問が無かったことには二重の驚きでした。

(8)さて、ADRについても極めて重要であります。日司連は「仲裁型」を原則としながら「対話型」も重視するという方針のようですが、例えば、近畿ブロックでは完全に「対話型」をベースに置いた設計をしているようです。また、神奈川県司法書士会メディエイション委員会の先駆的の取り組みの紹介もなされました。
 個人的には、各単位会における調停センターは、近畿ブロックと同様、「対話型」に特化すべきであると考えています。なぜなら、いわゆる「仲裁型」であれば、既存の民事調停と比較し、利用者から見ますと、利用価値は低いと思うからです。司法書士会と簡易裁判所の権威性については、比較するまでもありませんし、執行力等の法的効果の問題もあります。一方、各事務所では事実上極めて困難であろうと思われる「対話型」のADRも、会で行うことによって、物理的にも可能となり、また、利用者から見ても既存の紛争処理機関との差異が明確となります。
 皆さまはいかがお考えでしょうか。

(9)日司連の組織・財政改革については、「各地域に一定の資質が担保されて均在するという、司法書士の最大の利点を維持しさらに強化すること、すなわち地方における制度の充実・発展を期すことが司法書士制度の将来を切り拓くにあたっての最重要の政策的課題と位置づける」などといった問題意識に基づき、@ブロック会を強化し、小規模単位会の役割の整備及び充実を図る(独自性と均質性の実現)、A日司連事業の地方組織への大幅な委譲あるいは連携を図る、併せて日司連より地方組織に沿う相当規模の財政援助を行う(地方組織の財政基盤の充実)、B日司連の中心的な役割として、制度の基本方針の策定あるいは単位会・ブロック会との連絡調整をより重視する、各事業に関して日司連は、その企画・立案を担うことを中心とし、地方組織が事業を担う方向に転換する(日司連と地方組織の役割分担)という改革の基本方針が提示されました。
 これに対しては、実に多くの質疑がなされましたが、これらを踏まえて、次回の会長会(平成18年1月予定)には、具体的な改革案が提示される予定であります。

(10)司法書士会会長相互間の意見交換のテーマは、「司法書士会が抱える問題について」であります。
 各単位会の会長から、日司連執行部に対して、いくつかの厳しい意見がなされましたが、特に、石川県会長から提出された、「地方議会に対する高金利引き下げの請願について」は、極めて重要な意味を持つものであると考えています。すなわち、全国の地方議会において金利引き下げの決議を採択してもらうべく運動をしようというものであります。先般の日司連総会や各単位会においても金利引き下げに関する決議を採択しているわけですから、これをベースに、各単位会が地方議会への働きかけをしていくべきでありましょう。
 翌日の全青司代表者会議においても、石川県のこの取り組みについて詳細な報告をいただき、地元青司協としてもこの運動に積極的に動いていただけるようお願いをする予定であります。

(11)最後に、全体を通しての個人的な感想を述べさせていただきたいと思います。
 私は、常々、大きな視点に立てば、司法書士業界にとって、最重要課題は「司法制度対策について」であると公言してきましたし、今でもそう考えています。
 しかしながら、現状では、「オンライン指定庁における課題について」「司法書士会補助者証取扱規程基準及び補助者事務の指示に関する運用基準について」といった問題に対応することに苦慮しており、この最重要課題に十分な力を注げていない・・・誠に雑駁な感想で恐縮なのですが、そのような印象を持ちました。
 法律扶助や司法支援センターなどについても、せっかく国から大きな権限を与えられたにも関わらず、十分に利用しまた検討できていない様子・・・といったら言い過ぎでしょうか。
 今は、改革の時代。その自覚と覚悟の無い業界団体は淘汰されるしかないと思います。もちろん、その覚悟は、その場限りの威勢のいい言葉ではなく、日々の地道な活動実績に裏打ちされたものでなければ意味がありません。
 地元の単位会の負担が大きいのは事実でしょう。しかし、日司連執行部の皆さまには、この司法制度改革の時代において、これまで以上に力強いリーダーシップ、そして、攻めの姿勢で、利用者である市民の信頼を確固たるものにするべく舵取りをしていただきたい、また、今後この資格を目指す人たちにとって、より魅力的な存在である司法書士制度を創っていっていただきたい・・・・そのような姿勢を貫くことができれば、必ずや地元の単位会の会員にもその意気込みは伝わり、大きな改革の力となりうるはずだと考えているところです。    

 


home back