司法制度改革の時代を司法書士として生きる!
〜全青司活動現場からのレポート〜




ゲートキーパー規制に反対する共同声明 (平成17年10月18日)

1.ゲートキーパー規制に反対する共同声明

 平成17年10月14日、全国三青会において、ゲートキーパー立法に関して下記のとおりの共同声明を採択いたしましたので報告いたします。
 今後は、共同での記者レクを行い、この規制の問題点について、広く専門家にも知っていただくと同時に世論を喚起していきたいと考えています。

   

1.1989年のアルシュサミット宣言を受けてマネーロンダリング対策推進のために設立された政府間機関であるFATF(金融活動作業部会)は、2003年6月「40の勧告」を改訂した。これによれば、弁護士、公証人、他の独立法律専門家および会計士は、不動産の売買、顧客の資産管理、法人の設立運営管理などに関して、顧客管理や記録保存の義務を課し、疑わしい取引の届出を義務づけるべきであるとしている。
 日本政府の国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部は、2004年12月「テロの未然防止に関する行動計画」を策定し、その中で上記40の勧告の完全実施のための方策を2005年7月までに検討し結論を得て、2006年の通常国会において法律案を提出するとしている。

2.犯罪組織のマネーロンダリング対策の必要性は認められるし、弁護士、税理士、司法書士など(以下、「独立法律専門家等」という)は、マネーロンダリングに関与すべきではないことは明らかである。マネーロンダリングに独立法律専門家等が関与すれば、現行法制度上でも、犯罪に問われ、あるいは犯罪に問われなくとも、職業倫理違反として懲戒をされる可能性が高い。

3.しかしながら、独立法律専門家等に対して、疑わしい取引の届け出義務を課すには、独立法律専門家等の守秘義務を侵し、ひいては依頼者の利益を害するものであり慎重でなければならない。
 すなわち、独立法律専門家等が、依頼者の取引内容について監督官庁に通知しそのことを依頼者にも告げることが禁止されているとすれば、依頼者にしてみれば安心して自己の取引内容を相談することができない。何が問題であるかは、専門家でない一般人にとっては不明なところもあるのであるから、本来正当な行為であるのに、許されないものと誤解して、経済活動上不利益を被る可能性がある。逆に独立法律専門家等に相談して、違法の可能性が判明して思いとどまることもある。真実を話して専門家に相談できないということは、私人の経済活動に不利益を及ぼすものである。
 また、訴訟事件や税務調査などに当たっては、自らに不利な事項についても明らかにした上で対策を立てなければ、正当な権利をも保障することができなくなるが、監督官庁に通報されることの危険から、正確な情報を独立法律専門家等に伝えることができなくなり、裁判を受ける権利や正当な行政手続きを受ける権利を阻害することになる。
 このように、独立法律専門家等に疑わしい取引の報告義務を課すことは問題がある。

4.先に述べたように、現行制度においても独立法律専門家等がマネーロンダリングに関与することには規制が存在する。さらに新たな規制を必要とするような、マネーロンダリングに独立法律専門家等が関与し問題となっているという事実も明らかでない。しかも独立法律専門家等に規制が課されれば、規制が課されない事件屋等の指南を仰ぐことになるだけであって、マネーロンダリング規制としては実益に乏しい。そのうえ、取引に介在する金融機関等が疑わしい取引の報告義務を負っているのであるから、マネーロンダリング取引の捕捉は可能である。むしろ、麻薬取引、やみ金融など暴力団犯罪を取り締まることの方が遙かに必要性と実効性が高い。

5.OECD加盟国の弁護士会は総じて、疑わしい取引の報告義務の法制化に批判的であり、立法化に反対したり、違憲訴訟を起こし争っているケースもある。国内法制化にあたっても各国の状況に応じて様々な立法例が見られるところであり、国際取り決めであるから無条件に守らなければならないものではない。

6.よって、われわれは、独立法律専門家として法律専門職の独立を守り、ひいては依頼者の利益を確保するために、疑わしい取引の報告制度に反対する。

2005年10月14日

全国青年税理士連盟 会長 石 井 孝 雄
全国青年司法書士協議会 会長 小 澤 吉 徳
青年法律家協会弁護士学者合同部会 議長 井 上   聡

 
   


   

 


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