1.2005年第25回全国クレ・サラ・商工ローン・ヤミ金被害者交流集会!in岩手〜今こそ高金利社会を打破しよう!〜イーハトーヴの地へ つどえ全国の闘う仲間たち〜
(1)平成17年11月12日(土)、13日(日)、花巻温泉において開催された標記集会に参加してまいりました。全国から850名程度の参加者(被害者、弁護士、司法書士等)が集ったこの集会ですが、私は、平成5年、第13回集会(事務局長 藤森克美弁護士、事務局次長 古橋清二司法書士)が静岡市清水で開催されて以来、毎年参加させていただいています。
私にとって、この集会は、なぜクレサラ問題に取り組むのかという根源的なものを改めて見つめなおす極めて重要な機会であり、今後もそうあり続けることでしょう。もちろん、全国の各地でクレサラ問題の最前線で活動されている弁護士・司法書士との情報交換も極めて有意義でありますし、良い刺激を与えてくれます。
(2)今回の集会プログラムは、大きく分けますと、「開会のセレモニー」「記念講演」「被害体験報告」「分科会」「懇親会」「シンポジウム」「集会宣言」「総括」となっています。記念講演は、「なぜ銀行はサラ金との融合を進めるのか〜急接近するメガバンクと大手サラ金〜」というテーマで経済ジャーナリストの須田慎一郎氏によるものであり、分科会は、17の分科会が設定されています。「高金利引き下げ運動」「日掛け金融対策」「サラ金広告」「アイフル被害対策」「クレジット・サラ金被害者交流AとB」「商工ローン被害者交流」「クレサラ相談員交流」「商工ローン対策」「43条問題」「特定調停」「ヤミ金融・振り込め詐欺対策」「過払い金返還請求」「クレジット問題」「行政の多重債務者対策」「東北悪質金融業者対策」「任意整理」「年金担保」であります。
(3)経済ジャーナリストの須田慎一郎氏による「なぜ銀行はサラ金との融合を進めるのか〜急接近するメガバンクと大手サラ金〜」というテーマでの講演は、極めて示唆に富むものでありましたので、詳細に報告させていただきます。
@ 冒頭に氏が述べた、「取材をすればするほど、今後、被害者は増えていくのではないかと危惧している。知らず知らずのうちに、多くの消費者が借金漬けになっていくようになるのではないかと危惧している」との言葉がこの講演の内容を象徴しています。本レポートのNO.29(2004年2月20日最高裁判決1周年記念「金利引き下げ集会」)においても、同氏の講演について報告させていただいており、重複部分もありますが、重要な事ですのでご容赦ください。
氏は、平成17年4月1日、ペイオフ全面解禁が実施し、これが大きな節目となったと述べます。すなわち、これまで安全性・健全性が銀行の優劣を図る目安であり、東京三菱銀行がその代表とされてきましたが、これを機に、日本の銀行も外国の銀行と同じレベルで闘うことになったということを指摘されています。
既に、バンカーという権威のある雑誌のランキングにおいては、何を持って銀行の優劣を測るか、それは収益であるとされ、預金残高や自己資本率ではないことは明白であり、日本の銀行ももはや公的存在であるということで収益性は低くてもやむをえないということは言っていられない時代になっているということであります。なりふり構わずやらなければ生き残りが不可能というところまで来ているということであります。
実際、4月1日以降、収益拡大の道に歩みだしていることが、日経新聞のトップ記事にもなったとおり、トヨタよりも利益をあげているという事実に象徴されていると指摘されています。
そして、銀行の収入は利ざやですが、これだけでは高収益は望めないため、どうやって利益を出していくかという点に対して、氏の取材によれば、メガバンク頭取は「コンシューマー・ビジネス」「コンシューマー・ファイナンス」をメインにしていくと口を揃えて言っているということであります。すなわち、その内容は、クレジットカード・ビジネス、消費者金融ビジネスということに尽きるわけで、サラ金とストレートには言えないので言葉を変えていますが、詰まるところ、サラ金ビジネスに乗り出すということを宣言しているのであります。
A また、日経にも報じられていない大きな重要な事実。なぜ報道されないのか氏は不思議だと指摘されていますが、それは「銀行本体が発行するカードに分割払いを認められるようになった。」という事実であります。つまり、これにより、銀行は、手数料という名の金利収入を得るようになったというわけであります。
さらに、もっとも健全といわれていた東京三菱銀行とアコムとの提携により、共同出資の会社が設立されましたが、このDCキャッシュワンという会社は、キャッシングや保証業務も行っており、全情連に加入しているということで、事実上、完全に東京三菱銀行とアコムは一体化していると喝破されています。
なお、このDCキャッシュワンのスーパーアイシーカードの限度額200万、年利16%とのことであります。
B 一方、三井住友とプロミスが提携してモビットを設立しましたが、あまり目だっていないということなどから、思ったより利益が伸びず、業界はビジネスモデルの転換を図ったと氏は指摘します。つまり、どういう人に貸せば利益がでるのかという戦略であります。
一般に、人は、就職し、給与振込口座を作るという形で22,23歳から銀行との取引が始まりますが、これは銀行にまったく利益をもたらしません。それらの人が、住宅ローンを組む段階で、やっと銀行にとって収益をもたらす存在になりますが、住宅ローンは35歳くらいで組むのが一般的であります。(他方、一般的に、55歳で定年、退職金で住宅ローンを一括返済するのが一般的であり、その後再就職するのが一般的でありますが、このときには養育費等は不要であり、可処分所得は増えているのが通常ですので、銀行は、投資信託・国債などをすすめているのが現状であります。)
すなわち、22歳から35歳までの人間は銀行に収益をもたらさないが、これを何とかしたい、何とかしようという発想であります。
ちなみに、みずほ銀行の預金に関する利益率は、年間0.05%と言われており、100円預かり5銭しか儲からないということであります。ここから預金保険機構への保険料を払うわけであり、これが年間0.08%でありますから3銭の赤字となっているわけです。
さらに、ATMの稼動費用、紙の費用などコストばかりかかる預金業務については、銀行は将来利益を生む相手として泣く泣く取引をしているのが現状であるから、この世代を相手に、複合カード・共用カードで儲けようという発想が根底にあると指摘されています。もっと言えば、サラ金が手をつけるまでに貸してしまおうということであります。
C そして、氏は、一つ400円から500円するICチップ搭載型カードを盛んに薦める、これを無料で提供する、年会費も無料である、というのは餌であると述べ、カード偽造事件の多発という背景を最大限に利用し、その手口は巧妙になっているが、裏があると考えなければいけないと指摘されています。実際、キャッシュカード単独のチップ搭載型もあるようですが、これは全くPRしていないとのことであります。
D また、消費者が財布の中に入れてくれ、利用してくれるカードを作ろう!ということでしのぎを削っている現状において、いわば、お財布携帯とも言うべき「電子マネー」により、コンビニでの支払が可能となり、それが個人のATMとなっている状況が進んでいるところであります。まさに携帯のサブカード化といえましょう。これでは、相当用心していないと、請求書が来てびっくりという事態になりかねないと思われます。
Suica(すいか)についても、残高が不足したときにオートチャージするシステムが完成しているとのことで、問題はどうやって本人の了解をとるかのみという状況にあるとのこと。これも若年層がターゲットということでありますが、多重債務者予備軍の増加に直結し、将来的には大きな問題となるであろうと指摘されています。まったくの同感です。
E そもそも世界最大の銀行はシティバンクでありますが、この収益の6割が消費者信用取引ということであり、これが大きなビジネスモデルであり、アメリカン・スタンダードでもあり、グローバル・スタンダードでもあるという状況であります。このような大きな視点、大きな背景を認識しておく必要もありましょう。
F 一方、三井住友銀行のATMでは、一つの画面で、三井住友カードローン、あっとローン、プロミス3社の審査が可能になっているようです。もちろん三井住友銀行の中のATMで。そして、例えば、「三井住友では貸せません。あっとローンでは30万貸すことができます。プロミスでは100万貸せます。」というような結果が出たらどうでしょう?三井住友銀行に入るのであれば、利用者の抵抗感は一切ないでしょう。
G すなわち、銀行とサラ金の一体化は、銀行とサラ金が出資し、保証会社を設立し、その会社を全情連に加盟させることによって、個人情報を得て与信し、回収のノウハウは、サラ金会社から得るというものであります。サラ金会社は43条問題が負担であるので、銀行との提携によって利息制限法以下で貸すことが可能にもなり、双方にとって大きなメリットがあるというわけであります。
H また、三井住友銀行とドコモの提携についても興味深いものでありました。三井住友が1000億を端末を加盟店におく費用、つまりインフラ整備の資金として融資をしているということであります。一方、武富士は、現在、最先端の携帯電話を2,3万台の規模で無料配布しているとのことですが、これもオートチャージが目的であり、武富士広報部によれば、まったくペイするとのことであります。
I このように、マスコミですら最先端に追いついていけていない、本質をつかめていない、単なる広告になっている皮肉な状況であり、これは、業界側の手口が巧妙になっていることに起因いていると氏は指摘されています。まず、疑ってかかることが大事、見破る目を持つこと、そして、それを多くの人に伝えること、強く警鐘を鳴らすことの重要性について強調されていました。まったくの同感であります。
(4)講演に続いては、被害者体験談であり、3名の方が実に生々しいお話をされました。これまでも毎年披露される体験談でありますが、ここ数年の報告はレベルがずいぶん高くなっているように思えます。つまり、被害者の方が、試行錯誤しながら闘っていく様子が語られるわけですが、多重債務救済のメニューが増えていることにも関係しているのでしょう、きちんと自身で法律を勉強されていることがひしひしと伝わってくるのです。
一方、専門家があまり関与していない特定調停の実情についての言及もあり、司法書士がきちんと関与していく必要性はやはり大きいのではないかと改めて感じた次第です。
(5)分科会は、第一分科会の「高金利引き下げ」に参加いたしました。林順子司法書士による司会のもと、宇都宮健児弁護士から、この問題を取り巻く現状が報告されました。
2006年の通常国会又は2006年秋の臨時国会にて法案上程という可能性もあると言われているこの問題ですが、金融サービス制度を検討する会事務局長西川公也氏は、金利は本来自由化すべきという考えをオープンにしておりますし、さらに、郵政民営化により運用可能となる資金を貸金業者への融資を示唆している事実があり、民主党もこれまで利息制限法まで出資法の上限を下げるべきとしていましたが、現在では統一見解ではなくなっているという現状等を鑑みれば、議員立法で決めるこの法案に関して極めて憂慮すべき事態といわざるをえないという結論であります。
これについては、やはり世論を高める必要が大きいと言わざるをえません。各地から、@署名活動、A地方議会に対する請願活動などの報告がなされました。全青司においても、まったく同様の視点に立ち、同様の運動展開をしているところであります。
(6)ところで、今回の集会では、個人的に大役を仰せつかることになっています。それは、シンポジウム〜全国クレサラ被害者交流集会25回のあゆみ〜のパネラーとして登壇するということであります。
このシンポは二部構成になっており、前半が、専門家と被害者の会との連携、後半が金利引き下げ運動であります。残念ながら、時間の都合で一番言いたかったことが言えませんでしたので、ここに記しておきたいと思います。
『全青司では、金利引き下げには世論を喚起し、現場の声を議員に伝えるという方法しかないという認識のもと、これまで、金融庁目安箱への意見提出及びその推進や、宮城県の特区申請に対する反対意見書の提出、衆議院選挙候補者全員に対するアンケート等を行ってきましたが、現在は、@各地での集会開催の推進とA地方議会への請願活動の推進の二点に重点を置いた活動をしています。Aについては、長野・石川のノウハウを事務局から提供できる体制があります。また、各県の司法書士会本会のほとんどが金利引き下げの決議を採択しており、日司連においても採択されています。是非、地元のこの問題に積極的な司法書士と連携し、@Aを実現していただきたいと思います。司法書士会の支援体制も必ず得られるはずです。既に金利引き下げの活動を能動的に支援するという決議を採択しているのですから・・・あとは地元で核となる方を決め、動くだけです・・・』
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