司法制度改革の時代を司法書士として生きる!
〜全青司活動現場からのレポート〜




日弁連主催シンポジウム「サラ金・クレジットの高金利を考える」〜多重債務社会を克服しよう〜 (平成17年11月28日)

 1.日弁連主催シンポジウム「サラ金・クレジットの高金利を考える」〜多重債務社会を克服しよう〜 

(1)平成17年11月19日(土)、弁護士会館2階クレオにおいて開催された標記シンポジウムに参加してまいりました。全国から300名程度の参加者(弁護士、司法書士、被害者等一般の方も含め)が集ったシンポジウムでありますが、熱心な議論が行われています。
 この問題につきましては、日弁連消費者問題対策委員会と日司連消費者問題対策推進委員会(田中祐介委員長)及び消費者法制検討委員会(大澄正人委員長)の間において、何回か合同協議が行われ、様々な検討を加えてまいりました。
 また、全青司におきましても、本年度の最重要点課題として、中里功常任理事を中心に活動を展開してきたところです。

(2)今回のシンポジウムは、「法制度の概要と高金利被害の実態」(日弁連消費者問題対策委員会委員 馬場秀幸弁護士)、「貸金業界の動き・営業実態と、これまでの日弁連の意見」(日弁連消費者問題対策委員会委員 岡島順治弁護士)、「諸外国の実情」(日弁連消費者問題対策委員会委員 拝師徳彦弁護士)という順番で現段階における最新の情報を提供いただき、その後のパネルディスカッションにおいては、それぞれの立場から、これまでの活動および今後の展望について議論が行われています。なお、パネラーは次の方々です。

 大 山 小 夜(金城学院大学助教授)
 中 里   功(司法書士・日司連消費者法制検討委員会委員)
 高 橋 加代子(長野県長野消費生活センター所長)
 白 井 康 彦(中日新聞名古屋本社記者)
 宇都宮 健 児(弁護士・日弁連消費者問題対策委員会幹事)

(3)さて、今回のシンポジウムにおいては、日司連消費者法制検討委員会(大澄正人委員長)で作成された、パンフレットが資料として添付されておりました。広くこの問題を知ってもらい、世論を喚起するための一つの有効な手段であろうと思われます。皆様の手元にもいずれ配布されることとなりましょうが、とてもコンパクトにまとめられ、分かりやすいものになっていますので、ここでも紹介させていただくことにします。
 なお、日司連主催のシンポジウムも、平成18年1月21日(土)午後1時より、大阪司法書士会館において開催される予定ですので、奮ってご参加ください。


★借金がもたらす悪影響★

貸金業者からの借入の結果、生活が破綻すると、次の悪影響が発生します

○住宅ローン滞納の増加
 報道(平成16年8月19日付日本経済新聞等)によれば、平成15年度の住宅金融公庫の不良債権を、公庫融資保証協会が肩代わりした件数は1万9762件に上り、総額2394億円は、10年前の2.5倍となっています。

○ 自己破産の増加
 司法統計年報によれば、平成16年の自己破産申立件数は21万1402件で、平成6年の4万385件に比べ5倍増です。平成14年から3年連続で20万件を超えています。

○ 担保権の実行による不動産競売の増加
 司法統計年報によれば、平成16年度における担保権の実行による不動産競売申立件数は6万3480件で、平成3年度における3万553件の2倍以上です。

○税金滞納の増加 
 国税庁のホームページによれば、平成2年度における国税の滞納件数は、234万件、滞納金額は1兆4118億円であったのが、平成15年度には滞納件数は451万件、滞納金額は2兆228億円と2倍近くに増加しています。

○ 学費滞納の増加
 平成16年11月の全国私立教連の報告書によれば、回答があった私立高校だけで、学費の滞納者が全国で2849人、一校あたりに換算すると16.8人と過去最悪の数字になっています。

○ 児童虐待の増加
 厚生労働省の統計によれば、平成15年度の児童虐待相談処理件数は、全国で2万6569件で、平成11年度の2倍以上も増加しています。
 さらに、学者の調査では、児童虐待が行われている家庭の過半数が生活に困窮している家庭であるとも報告されています。

○ 経済的理由による自殺者の増加
 警察庁のまとめでは、平成16年中における自殺件数は3万2325人で、その内、経済生活問題を動機とするものが7947人です。
 経済生活問題を動機とする自殺件数は昭和53年から平成9年までは、1000件台から3000件台の間で推移してきましたが、平成10年以降は、6000件台から8000件台と約2倍の件数で推移し続けています。

○ 離婚件数は近年増加し、DV事件は急増
 離婚、DV事件の原因の中で生活苦、借金苦が大きな割合を占めています。 
   



★金利引き上げ・自由化についてのQ&A★

  Q1.金利規制が撤廃されると、債務者にはメリットがあるのでしょうか?

A.現在、消費者金融を利用する者の多くは年収200万から400万円です。今以上の高金利になれば、消費者金融利用者の年収では、順調に支払っていけず、いずれ破綻する可能性が高いことは明らかです。大手消費者金融の利用口座数の累計は300万口であることから、現在およそ200万人もの人が破産予備軍に陥っていると危惧されています。
 金利が自由になっても、今までの貸金業界の歴史からみて、消費者金融(貸金業者)間の競争で金利が下がることは期待できません。むしろ、現在のヤミ金融業者が合法化し、超高金利金融が堂々と営業することが危惧されています。したがって、金利規制が撤廃されても債務者にはメリットはありません。

Q2.高金利なのに、なぜ借りるのでしょうか?

A.貸金業者から借金をし、その後に完済し終えた人を対象にしたアンケート調査では、4人に1人しか再借入を希望していません。希望しない最大の理由は「高金利」です。
 貸金業界は、「短期・小口の貸し付け」を強調し有用性をアピールしていますが、現実は、「貸付残高は50万円超」が全体の半数を占め、「契約期間は3〜5年」が最も多く、中小貸金業者では「10年以上」が最多です。これは、高金利に追われた結果として契約期間が延びていっていることの現れです。借りてみて、返してみて、初めて「高金利」と分かる仕組みとなっているのです。

Q3.金利が下がるとヤミ金融業者が増えるのでしょうか?

A.貸金業界は、「上限金利を下げた結果ヤミ金融が増えた」と指摘していますが、ヤミ金融業者の融資対象者は、破産歴のある者、信用情報がブラックである者等、信用力の著しく悪化した資金需要者であり、彼らは出資法改正前の上限金利40.004%の時代においても、正規の貸金業者の融資対象者ではありませんでした。
 ヤミ金融被害は、金利規制を緩和あるいは撤廃したとしても、解決される問題ではありませんので、上限金利の引き下げとヤミ金融業者の増加には、何らの因果関係も合理的な裏付けも存在しません。

Q4.金利が下がると中小貸金業者が倒産するのでしょうか?

A.金利が下がれば、営業ができなくなる貸金業者もでてくるかも知れませんが、金利規制は一部の貸金業者のためではなく、利用者たる消費者のためにあるべきではないでしょうか。
 企業努力が必要なことは如何なる業界でも同様でありますので、貸金業界も、金利引き下げを機に、「借りたお金は返すことができるシステム」の構築をするなどして、健全な企業活動を行うべきでしょう。
   



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