司法制度改革の時代を司法書士として生きる!
〜全青司活動現場からのレポート〜




「特区、規制改革・民間開放集中受付月間」に係る提案の受付状況について(確報)(平成17年11月28日)

 1.「特区、規制改革・民間開放集中受付月間」に係る提案の受付状況について(確報)

(1)政府では、平成17年10月17日から同年11月16日までの間を「特区、規制改革・民間開放集中受付月間」と位置づけ、新たな特区における規制の特例措置に関する提案(構造改革特区(第8次提案))、並びに全国で実施すべき規制改革及び市場化テストを含む民間開放要望を同時に受付けています。その結果、276件の構造改革特区の提案が、727件の全国で実施すべき規制改革及び市場化テストを含む民間開放要望が寄せらているようです。

 詳しくは、こちらをご覧になってください。

(2)そして、今後のスケジュールとしては、

@構造改革特区での規制改革事項については、構造改革特区推進室が関係省庁と調整します。その結果「特区で実施」又は「全国で実施」となることがあります。調整の経過については構造改革特別区域推進本部ホームページ上で公開いたします。
A全国規模の規制改革・民間開放要望として提出されたものについては、規制改革・民間開放推進室及び市場化テスト推進室が関係省庁と調整いたします。さらに、必要に応じて、規制改革・民間開放推進会議においても審議いたします。調整の経過については同会議ホームページ上で公開いたします。
B構造改革特区に係る規制改革事項については、来年2月を目途に構造改革特別区域推進本部において決定いたします。また、全国規模の規制改革・民間開放要望で実施することとなったものについては、来年2月を目途に規制改革・民間開放推進本部において決定いたします。
   
とされています。

(3)資料を拝見しますと、実に様々な要望がなされており、「規制緩和政策」というものの影響の大きさを痛感できるわけですが、司法書士制度にとっても極めて多大な影響を与えるであろういくつもの要望がなされていますので、改めて紹介しておくことにします。是非とも、皆さまとともに議論していきたいと考えております。
 大きく分けて二つです。第一に『商業・法人登記の行政書士への開放(要望主体・日本行政書士連合会他)』、第二に、『相続を原因とする不動産登記申請の行政書士への開放(要望主体・夛治川満之)』であります。

(4)一つ目の『商業・法人登記の行政書士への開放』でありますが、なぜか、日本行政書士連合会から二つの要望が出ています。 
 具体的要望内容としては、一つめが、

商業・法人登記は高度な知識及び専門的能力がもとめられているので司法書士以外には、行わせることができないとされているが、登記事項は法定化されており登記すべき事項のみ申請すればよいとされているので、定款作成等会社設立に必要な書類を作成している行政書士へ登記申請業務の開放を求める。
   
となっています。なお、この具体的事業の実施内容については、「企業促進を刺激して、国内経済を活性化して、国際競争力を高める。」とされています。
 二つ目が、

 司法書士法第3条により、法務局又は地方法務局に提出する書類の作成と手続は司法書士の専管業務とされているが、そのうちの商業・法人登記申請に限り、行政書士も書類の作成及び手続が行えるよう、規制を緩和すべきである。
   
となっており、この要望理由として、
会社・法人設立や変更登記では、定款や総会議事録等、申請に必要な添付書類は行政書士が作成しており、登記申請書の作成及び手続のみ、規制があるため本院申請又は本人が司法書士に依頼している。依頼者は、一連の業務として迅速かつ廉価を望む中、制限があるため、手続の煩雑さと負担を強いられている。
 登記申請書の作成及び手続を行政書士等にも行えるようにすることで、依頼者は迅速かつ廉価なサービスを享受することが可能となり利便性が増す。又、会社・法人設立では許認可手続を伴うものが多く、登記申請手続を行政書士に行わせることにより、一貫したサービスの提供が可能となる。なお、電子公証制度に基づく定款の認証方法に「電子定款」があり、本会が発行している行政書士陽電子証明書が使用できるところから、負担軽減と迅速性の確保が可能となる。
   
 とされています。
 また、個人の行政書士(吉田智紀行政書士事務所)からも同様の提案がなされており、その理由として下記のとおりとなっています。

@国民の利便のため
 商業・法人登記申請は、申請に添付する書類(以下添付書類という)及び申請書の作成、提出で行われる。行政書士は商業・法人登記申請において、添付書類である定款や株主総会議事録等の作成をしているが、「申請書の作成及び提出」は司法書士法の規制があるため、依頼者本人が行うか又は司法書士に依頼することになり、依頼者である国民に手続きの煩雑さや経済的な負担増を強いている。
 行政書士が添付書類の作成に引き続き、「申請書の作成及び提出」を行えるようにすることで、依頼者である国民対して「迅速で確実かつ廉価なワンストップサービス」を提供できることになり、国民の利便となる。
 阿部泰隆氏(元神戸大学大学院教授)も「会社の設立に関して行政書士に依頼したところ、登記の分は司法書士に依頼しなければならないことになる。こうした「士」による垣根が国民にもたらす不便の方こそ重視すべきである。行政書士に登記申請代理を認めるべき」と主張している(「行政書士の未来像」(信山社)42Pから引用)。
 なお、司法書士が行政書士の専管業務(添付書類の作成)を行っている実態があるが、行政書士会が司法書士を行政書士法違反に問うことはない。国民の利便に配慮しているからである。

A行政書士が新会社法による「会社設立ラッシュ」登記申請の受け皿に新会社法が来年施行予定であり、最低資本金制度の撤廃により起業が促進され、「会社設立ラッシュ」が期待される。ところが、上記のとおり司法書士法の規制は国民にとって不便であり、「会社設立ラッシュ」を阻害するものである。
 また、司法書士は平成15年に訴訟代理権を獲得して弁護士業務である訴訟代理業務に新規参入したが、訴訟代理業務に多忙であり、現状の司法書士の従事人口のままでは上記会社設立ラッシュの登記申請にまで手が回らない。
 行政書士が「申請書の作成及び提出」を行えるようにすることで、会社設立ラッシュの登記申請の受け皿となることができる。

B行政書士は十分な法律知識及び専門的能力を備えていること
 添付書類の作成には高度な法律知識及び専門的能力を必要とされ、行政書士は添付書類の内容が関係法令に合致しているかどうか高度な法的な判断を加えながら添付書類を作成している。一方、申請書は「定型的かつ容易」に作成できるものである。 よって、添付書類の作成を日常実務としている行政書士は、「申請書の作成及び提出」を行うに十分な法律知識及び専門的能力を備えているといえる。
   
 いかがでしょうか。

(5)次に、二つ目の『相続を原因とする不動産登記申請の行政書士への開放』であります。
 具体的要望内容については、

 司法書士法第3条により、法務局又は地方法務局に提出する書類の作成と手続は司法書士の専管業務とされているが、そのうち相続を原因とする所有権移転の不動産登記申請に限り、行政書士も書類の作成及び手続が行えるよう、規制を緩和すべきである。
   
とされており、要望理由としては、

 相続を原因とする所有権移転の不動産登記申請では、遺産分割協議書や特別受益者証明書等、申請に必要な添付書類は行政書士が作成しており、登記申請書の作成及び手続のみ、規制があるため本人申請又は本人が司法書士に依頼している。
 依頼者は、一連の業務として迅速かつ廉価を望む中、制限があるため、手続の煩雑さと負担を強いられている。登記申請書の作成及び手続を行政書士も行えるようにすることで、依頼者たる国民は迅速かつ廉価なサービスを享受することが可能となり、利便性が増す。
 なお、不動産登記は、国民の権利に重大な影響を及ぼすものであるが、行政書士により適法に遺産分割協議書等は作成されるため、実体法上の問題としては、権利に関して重大な影響を及ぼすものとは考えられない。また、手続法上の問題として、この登記手続を代理するためには、高度な法律知識及び専門的能力が要求されるが、相続を原因とする所有権移転の不動産登記に関する手続の研修を行政書士に対して行うことで、国民の権利の保全及び登記事務等の適正な運営は守られる。
   
   となっております。いかがでしょうか。

 いずれも、行政書士は、定款作成や遺産分割協議書の作成という実体に既に関与しており、登記手続きは定型的なものであるから権利保全という点についても問題なく、利用者にとってはワンストップサービスになることで利便性が高まる・・・・こういう主張のようであります。
 ところで、行政書士の皆さまは、定款作成や遺産分割協議書の作成といった業務にどの程度関与しているのでしょうか。また、そうであるとしても、商業登記や不動産登記は定型的なものばかりではありません。

(6)他方、その他の法人からの要望事項として、『他の法律専門職による行政書士業務の取扱いの許容』がされており、その具体的要望事項として、

 いわゆる法律専門職(法律により他人の法律事務を取り扱うことを業とすることが認められている職種者をいう。以下同じ。)が、固有の業務に関連する範囲において、行政書士法第1条の2及び第1条の3に定められた業務を行うことを認めていただきたい。
 法律専門職が固有の業務を行うに際し、その専門的能力を活用して、関連する一般的行政手続を代理したり、権利義務に関する書類等を作成することによって、法律サービスのワンストップ化が可能となり、国民の利便に資する。
   
  とされており、要望理由としては、

@行政書士法による不特定かつ包括的な規制によって、他の法律専門職による積極的な顧客サービスの提供が阻まれていることは、国民の利便を害する結果となっている。
A法律専門職は、専門的法律事務を行う能力が国家試験等によって実証され、かつ業務上取り扱った事件について守秘義務も課されているため、当該規制の緩和によっても国民の利益保護に欠けるところはない。
B電子申請の普及にともない、従来行政書士が独占的に業務としていた行政手続の多くは簡素化が推進されている。また、公的個人認証サービスによる電子証明書について、法律専門職がその有効性を検証することができる旨の法改正が予定されていることから、当該規制の緩和によってさらなる電子申請の利用が促進される。
C既に弁理士、公認会計士、税理士については、行政書士となる資格を有するとされているところ(行政書士法第2条第3号ないし第5号)、当該3職種にはいずれも登録及び懲戒の制度が用意されており、重ねて行政書士名簿に登録を受ける必要性は少ない。
D司法書士、土地家屋調査士、社会保険労務士等は、固有の業務によって不動産取引や企業活動、紛争の解決といった国民の権利利益に深く関与しており、かつ登録及び懲戒の制度も用意されているため、当該規制緩和の許容性において上記3記載の3職種と同様である。
E行政書士と他の法律専門職との業務分野が隣接する場合において、その独占性の有無について法解釈の対立が生じることになるが、そのような対立は利用者である国民の利益とはならず、立法的な解決が必要であると考える。
   
となっています。まさに、資格のボーダレスということになりましょうか。
 確かに、わが国の法律職能に関する資格制度は、利用者にとっては分かりにくい部分は多いと思います。資格制度の見直しも近くに行われると聞いています。どのような資格制度の在り方がベターであるのか、私たちも真剣に議論していく必要があることだけは間違いないでしょう。
 また、全青司としましても、なぜ、我々に独占的な業務が許容されているのかという根本的なところから議論し、意見を表明していく必要があると感じているところです。


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