1.保証料問題に関する会長声明
当会では、金銭消費貸借契約に付帯してなされる保証契約の不当性を明確にするため、平成17年11月27日「保証料問題を中心として学びそして考える」消費者問題実務研修会を行い、合わせて保証制度の抜本的な見直しを実現するための集会を開催した。当会は、本研修会、集会の閉会にあたり、以下の声明を発表する。
第1 声明の趣旨
1.利息制限法潜脱目的の「保証料」の徴収は許されるべきものではなく、この場合債務者が支払った「保証料」は支払い先が債権者であると第三者であるとを問わず、利息制限法第3条に定めるみなし利息である。
2.また、利息制限法所定利率を超える金銭消費貸借契約に付帯してなされる保証契約による保証料の取得は、利息制限法の趣旨に反し無効である。
3.以上の法理を遵守することを消費者金融業者に要請すると共に、「保証料」名目による脱法行為を行い得る余地がある現行利息制限法の改正及び保証会社への監督行政の確立を求める。
第2 声明の理由
1 貸金業の規制等に関する法律(以下、貸金業規制法という。)第43条をめぐる判例の動向
貸金業規制法第43条のみなし弁済をめぐる現在の判例は、平成15年7月18日第二小法廷判決によれば、「利息制限法1条1項及び2条の規定は,金銭消費貸借上の貸主には,借主が実際に利用することが可能な貸付額とその利用期間とを基礎とする法所定の制限内の利息の取得のみを認め,上記各規定が適用される限りにおいては,民法136条2項ただし書の規定の適用を排除する趣旨と解すべき」とされ、また、平成16年2月20日第二小法廷判決においても、「利息制限法2条の規定の趣旨からみて,法43条1項の規定は利息制限法2条の特則規定ではないと解するのが相当・・(中略)・・法43条1項の規定の適用要件については,これを厳格に解釈すべき」とされるなど、同条が定める要件を厳格にとらえ、同条の適用を認めない方向である。
2 利息制限法潜脱目的の保証料の徴収
一方、貸金業者が貸付を行う前提条件として、債務者に対して「保証会社」に「保証料」を支払わせる動きが出てきていることに注目しなければならない。
これは一見正当な営利行為に見えるが、その実、債務者に利息とは別の保証料を支払わせることにより、上記判例理論を潜脱し、利息制限法の趣旨を形骸化する行為である。
なお、平成17年10月13日、札幌簡易裁判所においては、このような事例につき、「原告及び訴外会社は、(利息制限)法による利息の制限を潜脱することを目的とし密接な連携をもって共同して・・・被告から本件貸付けに関し保証料を受けていたとものというべきである。したがって、訴外会社が受けていた本件保証料は、(利息制限法)3条所定のみなし利息に該当する。」とし、上記最高裁判決の趣旨に則った判断を下している。
3 利息制限法の趣旨
資金需要者に営利を目的として貸付を行う者は、その立場を利用してより高い利益をあげようと考える。経済的弱者たる借主は契約の場においては強者である貸主の要求に従わざるを得ない。
そこで、このような貸主の一方的な専横を制限するために利息制限法が定められている。同法の趣旨は、一定の制限利息を設けこれを超過する利息を無効とすることで債務者を高利から解放することにある。そして同法3条は、利息制限法の趣旨の潜脱、脱法を排し、金利規制を徹底するため、「債権者が受け取る元本以外の金銭をその名義のいかんを問わず利息とみなす」と規定している。
4 保証料徴収の不当性
利息制限法が債務者保護のための強行法規であることを鑑みれば、同法において債権者が取得できる利息とは、債務者が現実に利用可能な元本とその利用期間から算出される性質のものであり、債務者が払わなければならない実質的な出捐を基礎として判断されなければならない。したがって債権者の受け取る利息と、保証会社の受け取る「保証料」の合計額が制限利息を超える場合、債務者が現実に利用できない金銭は、その支払先が債権者であると、第三者であるとを問わず、これを原則みなし利息とすべきであり、利息制限法所定利息を超える金銭消費貸借契約に付帯してなされる保証会社による保証契約は利息制限法の趣旨に明らかに反している。
さらに債権者と保証会社との間になんら関係性がなく、利息制限法潜脱目的が認められない場合であっても、利息制限法を超過する利息をとる貸金業者は、その債務者の将来収入を担保に高利で貸付をしているのであるから、そのような貸付形態の取引の中では、債務者以外の連帯保証人などの人的担保の徴収を認めるべきではなく、ましてや債務者負担により、債権者のみが実益を受け得るような保証会社による保証契約の締結自体、弱者保護を目的とする消費者契約法の趣旨に明らかに反している。
以上、利息制限法及び消費者保護の趣旨を考えた場合、社会経済的情報強者である債権者と社会経済的情報弱者である債務者との間における利息制限法所定利息を超える利息契約を含む金銭消費貸借契約に付帯してなされる保証契約は、それ自体、法的保護を与える必要はなく無効である。
よって上記のとおり、この声明を発表する。
|
|