司法制度改革の時代を司法書士として生きる!
〜全青司活動現場からのレポート〜




特定非営利活動法人「消費者支援機構関西」設立総会に参加して(平成17年12月5日)

1.特定非営利活動法人「消費者支援機構関西」設立総会に参加して

(1)平成17年12月3日(土)、大阪府立女性総合センターにおいて、標記設立総会が開催され、来賓としてお招きいただきましたので参加してまいりました。
 近畿二府五県の消費者団体等による、消費者団体訴訟制度の創設にあたっての適格団体を目指した新しい消費者組織としての設立ということであります。
 様々な立場(消費者団体や弁護士・司法書士などなど)から参加された皆さま、150名程度でしょうか、その熱心な議論に、いよいよ消費者団体訴訟制度が本格的に動き出したことを実感いたしました。

(2)そもそも、消費者団体訴訟制度は、消費者被害の未然防止・拡大防止をはかるために、一定の消費者団体に訴訟を起こす権利を認める制度です。
 いわゆる消費者被害では、個々の被害額が比較的少額なこともあって、裁判を起こすことによる費用・時間・専門知識などにおける敷居は高く、結果として泣き寝入りを余儀なくされている事案が多いことが指摘され続けてきました。
 この消費者団体訴訟制度が実現すれば、被害拡大の原因となっている不当な行為(不当契約条項の使用や不当勧誘行為)を止めさせることが可能となり、すでにトラブルに巻き込まれている被害者も、事業者との交渉や自身の裁判において消費者団体の勝ち得た判決の効果を享受することが可能となります。
 すなわち、消費者団体訴訟制度においては、直接の当事者ではない消費者団体が消費者全体の利益を守るために裁判を起こすことを可能にするという画期的な制度であります。

(3)一方、内閣府検討委員会における最終報告書によれば、「消費者団体訴訟制度の必要性」「消費者契約法で定められている事業者の不当な行為を差し止め訴訟の対象とすること」「どのような消費者団体に訴訟を起こす権利を与えるか」等についてはほぼ確定していますが、次の論点については、積み残しとなっており、今後のパブリックコメントなどを踏まえて決定されることとなっています。
 この意味において、近くに行われるパブリックコメントは極めて重要な位置づけとなっており、当会においても、既にその準備を整えているところです。なお、すでに、@については、声明を提出しておりますので参考にしてください。

@消費者団体はどこで裁判を起こすことができるか。
A事業者団体などが事業者に対して「モデル契約書」などを推奨する行為についても訴訟の対象にするか否か。
B消費者団体が訴権をより活用しやすくするため、資金・費用面での環境整備をどうするか。
C適格消費者団体を決める基準づくりにおいて、事業を行っている個人・団体の適格消費者団体への関わりをどこまで認めるか。

(4)さて、記念講演として、「消費者と事業者の創造的連携〜公正かつ健全な市場を創るために」というテーマで、麗澤大学国際経済学部教授・企業倫理研究センター長の高巌先生にお話をいただきました。
 冒頭で先生は、この制度の問題点につき、「差し止めしか認められていない、損害賠償請求が認められていない。すなわち、一生懸命やればやるほど消費者団体は財政難にならざるをえないという点が大きな問題である。」と指摘されました。まったくそのとおりであろうと思います。早期に損害賠償請求を認めるよう法改正の運動をしていく必要性を感じました。
 また、この制度の周辺の問題として、@政府の問題、A市場の問題、B事業者の問題という3つの視点からの指摘、そして、それを修正する動きについての指摘は、とても分かりやすく、大きな示唆を与えるものでありました。以下、簡単ではありますが順番にご紹介しますと・・・

@政府の問題
 事前調整型から事後チェック型へという小さな政府自体に問題がある。すなわち、小さな政府では問題発見能力、解決能力、再販防止能力に劣る。有能な専門家やスタッフが必要である。
 これに対する、政府のチャレンジとしては、改正独禁法の施行による事業者の協力や公益通報者保護法の制定、新会社法による内部統制システムがあげられる。

A市場の問題
 グレシャムの法則(悪貨は良貨を駆逐する)、つまりやり得、正直者が報われないという問題があるが、これに対する市場によるチャレンジがまさにこの団体訴権である。

B事業者の問題
 企業統治が機能してこなかった、コンプライアンスの必要性の無理解があるが、これに対する事業者のチャレンジとして、コンプライアンスマニュアル等がある。

(5)設立総会における議事は、極めて円滑に進行し、無事終了いたしました。承認された定款の目的規定は、次のとおりです。
「この法人は、消費者の権利に関して、消費者や消費者団体・関係諸機関・消費者問題専門家等との連携・連絡・助言・相互援助等を図りつつ、消費者の被害の未然もしくは拡大の防止、及び被害救済のための活動を行うことによって、消費者全体の利益擁護を図り、もって消費者の権利の実現に寄与することを目的とする」

(6)総会終了後のレセプションにおいては、ご挨拶の機会を頂戴いたしましたので、現在全青司が精力的に取り組んでいる「高金利引き下げ運動」の現状と、消費者団体訴訟制度のパブコメに対する準備状況などを紹介させていただきました。
 今後、同様の消費者団体が各地で設立される予定と聞き及んでいます。既に設立されている消費者機構日本においては、山田茂樹常任幹事(静岡会)と大冨直輝幹事(東京会)が役員に就任しており、この消費者支援機構関西においても、準備委員等として川戸周平(京都会)常任幹事、そして理事として村山や泰弘会員(大阪会)が参加されています。
 今後、設立される予定の消費者団体においても、是非、積極的に運営に携わっていただき、また、多くの司法書士が会員として支援をしていただきたいと考えています。


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