司法制度改革の時代を司法書士として生きる!
〜全青司活動現場からのレポート〜




「福岡法務局大牟田出張所統廃合に対し住民説明会を求める」声明(平成17年12月21日)

1.「福岡法務局大牟田出張所統廃合に対し住民説明会を求める」声明

 1996年の夏、当会では「登記所統廃合阻止全国キャラバン」を2ヶ月かけて実施しました。それから10年が経過しようとする今、福岡法務局大牟田主張所統廃合反対運動が盛り上がりを見せており、ここで、改めて登記所の統廃合に反対する理由も含め、市民に対して説明責任を尽くさずに進められてきた統廃合問題について考えてみたいと思います。

(1)私たち司法書士が地域住民の登記所統廃合に反対する運動を支援する理由

  そもそも地域住民が統廃合に反対する最初の理由は、「不便になるから」に尽きます。このように始めは地域的なエゴの色が強い運動という側面も否定できませんが、運動を展開していくうちに住民の意識が少しずつ変化してきます。
 すなわち登記所の存続運動を通じて、登記所がなくなるという事実だけでなく、廃止までに至る手続きにも問題があるということが理解されるようになってくるわけです。やがて、昔、教科書で習った民主主義について学び、行政のあり方について考えるようになってきます。そして、この問題は、統廃合対象地域だけの問題ではなく普遍的な問題であることに気づいてくるわけです。
  私たちはこの問題に関して地域住民に問題提起ができるのは司法書士しかいない、しかも司法書士界において全国規模で組織的に継続して活動しているのは全青司だけであると自負し、だからこそ私たちは、これからも地域住民が統廃合に納得しない場合には、その運動を支援し続けなければならないと思っています。
 ある住民集会で「司法書士さんも私たちの味方になってくれるのですね」と言われたことがあります。司法書士は国側に付く職能だと思っていたのだと思います。我々も国民とどう向かい合ってくるべきかを、この問題に関わることによって学びました。

(2)現在行われている統廃合の一番の問題点

@情報が公開されず、説明責任がはたされていない。
 情報公開法が施行されるまでは、統廃合の基準である登記申請事件数さえ公開されませんでした。地域住民にとって一番関心のある地元の登記所は統合されるのか、それとも存続するのか、といった情報(統廃合計画)は今でも公開されにくいのが現状です。
 情報を公開すれば国民の間に混乱を招く、というのがその理由のようですが、何という自分勝手な理屈でしょうか。これまでに9件の行政訴訟が提訴され、100か所以上で反対運動が起こっているのは、法務省が情報を公開しないからです。情報を公開しないから混乱しているのではないでしょうか。
  情報公開法の目的は、行政の情報が公開され、説明責任が果たされることにより、国民の的確な理解と批判の下に公正で民主的な行政が行われることにあると思います。法務省のように情報は公開しない、説明責任は果たさないでは統廃合政策を理解もできないし、正当な批判もできません。

A話し合いの場が持たれていない。
  民事行政審議会答申の留意事項には、統合後における登記所の位置等具体的な実施方法については、地域住民の意見をできるだけ尊重すること、という項目があります。ところが、実際は地域住民の意見を聞く機会すら設けられていません。結論を押し付けるのではなく住民の話を聞いてほしいと思います。
 地域によっては統廃合絶対反対というところばかりではありません。郡内3か所のうち1つだけでも残してほしいとか、2年だけ待ってほしい、など地域によって様々な事情を背景とした希望があります。しかし、このような地域の要望が聞き入れられるどころかその話を持ち出す機会さえありません。  

(3)現在行われている統廃合の目的が明確ではありません

  民事行政審議会の答申には、高度な法務行政サービスの実現のための統廃合とありますが、その意味がよくわかりません。法務省側の説明は、行政改革の一環である、コンピューター化のためである、などと説明する役人によって理由は様々です。財政上の問題だと言う人もいます。
  しかし、単に役所の数を減らすのが行政改革ではないはずです。法務省は適正配置政策と言っていますが、実際には一方的な登記所の機械的な閉鎖が行われています。登記所間が近い東京都内では、殆どの登記所も閉鎖されていません。このように機械的に登記所の数を減らすだけで予算や人員の削減が伴わないのであれば、単なる地方切捨ての政策になってしまいます。
 コンピューター化に金がかかるというのであれば、3分の1の経費ですむ端末庁という方法もあります。このままではコンピューター化のために高い登記手数料を払わされ、挙句の果てに登記所がなくなったでは統廃合された地域の住民にとっては詐欺にあったも同然の結果になります。

(4)わたしたちはこのような理由のもと、地域住民が行う登記所の統廃合反対運動を支援してきました。しかし、法務省の態度はかたくなです。このまま黙って強行すれば、運動は疲れてしぼんでしまうと考えています。地域住民は裁判にも訴えましたが、裁判官の中には法務省と最高裁の間で行われている判検交流ということで、法務省で統廃合に関わっていた判事がいたりするなど、裁判の公平さに疑問を持つとともに、行政訴訟専門の弁護士が少なく司法に対する信頼感も低下しているようです。
 このような中、私たちは自己責任を標榜する政府に対し、広くあらゆる問題について、政府に説明責任・情報公開を求め、また、法務省や最高裁に対し、公平な国民があきらめない行政訴訟が行われるように、基盤整備を求めていく所存です。  みなさまには、私たちの運動を理解いただき、登記所統廃合の実態を知っていただく中で、民主主義のあるべき姿を広く国民に呼びかけていただきたく、よろしくお願い申し上げます。

  「福岡法務局大牟田出張所統廃合に対し住民説明会を求める」声明

 当会は、登記業務等を行う法律家団体として、登記所統廃合が市民社会に与える影響を、登記所統廃合が予定される管内の地域住民に伝える責務があり、現在、福岡法務局大牟田出張所において進められている、地域住民不在の登記所統廃合に対して以下の通り意見を述べる。

【声明の趣旨】

福岡法務局大牟田出張所廃止がもたらす、地域住民への行政サービスの影響、地域経済への影響などに鑑み、地域住民不在による、大牟田主張所統廃合に対して反対の意思を表明し、出張所管内の住民へ詳細に説明する「住民説明会」開催を強く求める。

【声明の理由】

 2005年10月17日に福岡法務局民事行政部長より福岡法務局大牟田出張所(以下本件登記所という)を2006年10月をもって廃止し、福岡法務局柳川支局に統廃合する旨の通告ともとれる説明会が、大牟田出張所管内の司法書士及び土地家屋調査士を対象に行われている。
 法務局の設置については、1995年7月の民事行政審議会答申において、法務局の支局、出張所の配置に関し、「地域の自然的地理的諸条件(例えば離島)、社会的経済的諸条件、地域住民の生活指向等、地域の実情に十分配慮すること。地域住民に対し、登記所の適正配置の趣旨及び目的について十分説明して、その理解と協力を求めるとともに、統合後における登記所の位置等の具体的な実施方法については、地域住民の意見をできるだけ尊重すること」と地域の実情と地域住民に対する配慮を適正に行うことを定めている。
 本件登記所の廃止、柳川支局への統合においても、同答申に基づく法務省策定の新登記所適正配置計画等によるものであるが、同計画の実施にあたっても前記答申の趣旨を十分に尊重しなければならないことはいうまでもない。しかしながら、法務省による本件登記所の廃止、柳川支局への統合により、法務行政サービスを受けようとする本件登記所管轄の地域住民は、柳川市まで車で片道約40分から50分離れた支局まで行かなければならないことになる。また、柳川支局への進入道路は、4メートル程度であり、入り口は直角に曲がり、車も離合できない状況であり、かつ法務局の駐車スペースも10台程度で法務局周辺又はその前で多くの車が混雑することが予想され、そのような中で統廃合を強行すれば混乱を招くことは必至である。
 このように、本件登記所の廃止、柳川支局への統合は、「地域の自然的地理的諸条件(例えば離島)、社会的経済的諸条件、地域住民の生活指向等、地域の実情に十分配慮すること」とする答申の趣旨を尊重したものといえるか疑問がともなう。さらに、この度の統廃合の方針は、法務省が2町の住民の実情を聞くことをせず、一方的に通告したものである。このような法務省の姿勢は、「地域住民に対し、登記所の適正配置の趣旨及び目的について十分説明して、その理解と協力を求めるとともに、統合後における登記所の位置等の具体的な実施方法については、地域住民の意見をできるだけ尊重すること」とする答申の趣旨に反するものと危惧され、本件登記所統廃合は不適正なものといわざるを得ない。
 よって、当会は、本件登記所統廃合が地域の実情に配慮せず、地域住民へ説明責任が果たされていないことから、声明の趣旨の通り、地域住民への「住民説明会」開催を求めるとともに、このような住民不在の登記所統廃合計画は直ちに撤回をすべきである。
   



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