司法制度改革の時代を司法書士として生きる!
〜全青司活動現場からのレポート〜




リボルビング方式の分割返済を約定した貸金契約に関する声明 (平成17年12月22日)

1.リボルビング方式の分割返済を約定した貸金契約に関する声明


 声明の趣旨

 我々は、貸金業者に対し、2005年12月15日最高裁判所判決(平成17年(受)第560号)が言渡されたことに鑑み、以下のことを求める。

1 リボルビング方式の分割返済を約定した貸金契約に関するすべての案件(不当利得返還請求に関する訴訟事件・任意整理案件等)について、貸金業規制法第43条のみなし弁済の成立の主張をしないことを求める。
2 現在、貸金業者がリボルビング方式の分割返済を約定した貸金契約に基づき貸付けをしている債務者に対し、利息制限法所定利率を超過する利息の約定を無効と認め、同法所定の利率に改める措置を早急に講じることを求める。
3 今後、利息制限法所定金利を超えた利率による新たなリボルビング方式の分割返済を約定する貸金契約をしないことを求める。

声明の理由

第1 2005年12月15日最高裁判所判決(平成17年(受)第560号)について

1 表記最高裁判所判決は、いわゆるリボルビング方式の分割払いの約定をした貸金契約について、貸金業規制法第43条のみなし弁済の成立を明確に否定した判決である。

2 本判決は、貸金業規制法の趣旨目的及び同法第43条1項の解釈基準について、次のとおりに述べている。

(1)貸金業規制法の趣旨目的
 「貸金業者の業務の適正な運営を確保し、資金需要者等の利益の保護を図ること等を目的として、貸金業に対する必要な規制等を定める」(本判決書第3頁・14行目以下)
(2)同法第43条1項の解釈基準(厳格解釈の原則)
 「これを厳格に解釈すべきものであり、17条書面の交付の要件についても、厳格に解釈しなければならず、17条書面として交付された書面に法17条1項所定の事項のうちで記載されていない事項があるときは、法43条の規定の適用要件を欠くというべきである」(本判決書第3頁・16行目以下)

 3 以上の論理は、本判決の結論を導くための前提として述べられたものであるが、(1)は貸金業規制法1条の目的規定の解釈を示したものであり、(2)は同法43条1項の解釈基準を一般論として示しているのであるから、決して本判決の事案に関する事例的判断を示したものではなく、貸金業規制法の解釈・適用上の問題に関するすべての案件について、あまねく通じる一般的解釈論を示したものと解されなければならない。

第2 リボルビング方式の分割返済の約定をした貸金契約に関する案件について

1 これまで貸金業者は、リボルビング方式の分割払いの約定をした貸金契約については、その特質として返済額の決定は債務者に委ねられていること、したがって、(ア)貸金業規制法第17条1項6号に揚げる「返済期間及び返済回数」や、(イ)同法施行規則第13条1項1号チに揚げる「返済金額」の記載を契約書に記載するのは不可能であることなどを理由として、貸金業規制法第17条所定の記載事項のうち、(ア)(イ)以外の所定事項を記載していれば、適法に同法第17条を遵守したことになる。したがって、そのような書面を交付してさえいれば、同法第43条1項が規定するみなし弁済の成立要件に欠けるところはないという主張を展開してきた。

2 しかし、前記判決は、そのような場合でも、貸金業規制法についての厳格解釈の原則等の一般的解釈論を唱えた上で、「仮に、当該貸付けに係る契約の性質上、法17条1項所定の事項のうち、確定的な記載が、不可能な事項があったとしても、貸金業者は、その事項の記載義務を免れるものではなく…」(本判決書第3頁・21行目以下)としている。したがって、リボルビング方式の分割返済の約定をした貸金契約については、同法第43条の規定するみなし弁済は、成立しないことが明らかになったのである。

3 すなわち、法令解釈の実務上の指針となる最高裁判所の判決において、このようなことが明らかにされた以上、現在係争中あるいは今後提起される不当利得返還請求訴訟や任意整理の交渉等の場において、貸金業者が、今後も第1項のような主張を展開することは、紛争解決をいたずらに引き延ばすためだけの主張にすぎないのであって、許されるべきではない。

4 また、このようなことが明らかにされた以上、貸金業者は、これを債務者らに直ちに告知すべきであって、何らこのようなことを告知せずに、既存の契約ないし新たに締結されるリボルビング方式の分割返済を約定した貸金契約に基づき、引き続き利息制限法所定利率を超過する利息を収奪する行為は、不作為による欺罔行為というほかなく、民事法上は不法行為を構成し、刑事法上は詐欺罪を構成することになる。

5 よって、声明の趣旨記載のとおり、第1に、リボルビング方式の分割返済を約定した貸金契約に関するすべての案件(不当利得返還請求に関する訴訟事件・任意整理案件等)について、貸金業規制法第43条のみなし弁済の成立の主張をしないこと、第2に、現在、貸金業者がリボルビング方式の分割返済を約定した貸金契約に基づき貸付けをしている債務者に対し、利息制限法所定利率を超過する利息の約定を無効と認め同法所定の利率に改める措置を、早急に講じること、第3に、今後、一切、リボルビング方式の分割返済を約定する貸金契約を絶対に締結しないことを求める。

6 なお、前項第2の「利息制限法所定利率を超過する利息の約定を無効と認め同法所定の利率に改める措置」とは、具体的には以下のような措置である。

(1)貸金業者が日頃から安易な借り入れを誘引するために利用しているテレビCMや新聞広告を利用して、@「リボルビング方式の分割返済を約定した貸金契約では上限利率が利息制限法所定利率となる旨」、A「最初の取引から現在に至るまでの全取引経過を利息制限法所定利率で引き直し計算をし、過払いとなっている案件については、自ら進んで過払い金の全額を返還する旨」、B「これまでリボルビング方式の分割返済を約定した貸金契約に基づき違法な金利を収奪してきたこと」を広く一般国民に告知すること。
(2)既存のリボルビング方式の分割返済を約定した貸金契約に基づき取引をしているすべての案件について、最初の取引から現在に至るまでの全取引経過を利息制限法所定利率で引き直し計算をし、@過払いとなっている案件については、自ら進んで過払い金の全額を返還すること。また、A過払いとなっていない案件については、最初の取引から現在に至るまでの全取引経過を利息制限法所定利率で引き直し計算をした結果に基づき残元本を確定した上で、債務者の健康で文化的な最低限度の生活を害さない範囲での分割弁済に応じること。
   



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