司法制度改革の時代を司法書士として生きる!
〜全青司活動現場からのレポート〜




第2回「クレサラの金利問題を考える連絡会議」と日司連主催「金利シンポ〜高金利がもたらす人権侵害」(大阪司法書士会) (平成18年1月23日)

1.第2回「クレサラの金利問題を考える連絡会議」(東京)

(1)平成18年1月19日(木)、標記連絡会議に参加してまいりました。司法書士の参加者は、被害者の会の事務局等でもこの運動に深く関わっている井口鈴子会員(埼玉会)、日司連でも全青司でもこの問題の最前線で活躍している中里功会員(静岡会)、そして私の3名となっています。
 今回の主な議題は、金融庁『懇談会』報告と問題提起として、以下の3点であります。

@新里宏二弁護士「商工ローンによる被害実態、仏独、韓国の規制の枠組みと市場実態」
 平成17年4月27日の金融庁・貸金関係に関する懇談会における発言内容についての報告がなされ、(1)商工ローン被害の問題、(2)武富士問題、(3)海外の金利規制といったポイントに加え、SFCGの最高裁判決から、今般のシティズ判決に至るまでの現状についても説明がなされました。

A 本多良男被連協事務局長「高金利と過酷な取り立て、過剰融資をなくす方法」
 債務者の子供に対する厳しい取立てなどの実例を含め、被害者自身が被害の実態を話すことの重要さが強調され、4名の体験報告がなされたとの報告がありました。

B井口鈴子司法書士 「現行金利規制の問題点、みなし弁済規定廃止の必要性」
 総務省等の客観的資料に基づき、現行金利では生活が成立しないことを報告されています。
 また、平成9年2月8日付朝日新聞に掲載された記事に大手業者の連絡会において「4社以上の多重債務についての慎重な取扱いを決めた」とされていますが、第3回懇談会において、この方針は現在でも採用されているとのことの確認もされたそうです。一方、多重債務救済の現場においては、4社以上の多重債務者が圧倒的多数を占めているのが現実であります。

(2)次に、当面の中央労福協の取り組みとして、2月中にハローワーク所長等宛に、「青少年に誇りの持てる職場を斡旋する運動」についての要請を行うことが報告されました。その趣旨は、次のとおりです。

@当該企業が法律違反や公序良俗にもとるような営業活動をしていないか。
A多数の債務者(消費者)との間に訴訟問題をかかえていないか。近い過去にそうした事実はなかったか。
B健全な労使関係が構築されているか。

 なお、金融庁の懇談会は急遽3月に終了し、とりまとめをするとの動きがあるとのことでありましたが、この点についての詳細は次回以降の報告を待ちたいと思います。

 ところで、全青司でも、この問題については、本年度の重点事業の一つとして、様々な活動を展開してまいりましたが、その中心として、地方議会における決議採択の促進があります。これは、現在も、粟野友康常任(兵庫会)を中心に継続中でありますが、採択された地方議会と採択予定の地方議会の集約、そして、これを視覚的に訴えようと、マップを作成しているところであります。すなわち、採択済みの市町村・都道府県を赤で塗り、予定されているところを黄色で塗る・・・ということを電子地図上で行い、これをパワーポイントに乗せて・・・最終的には、すべてを塗りつくそう!という運動であります。この点につきましても、改めてご協力のお願いをする次第であります。
 ちなみに、2月に予定されている第3回連絡会議では、私が現場の報告をさせていただく予定になっています。今のところ、典型的な過払い事例とヤミ金融被害(ターゲットは破産者)の二つを考えています。

2.日司連主催「金利シンポ〜高金利がもたらす人権侵害」(大阪司法書士会)

(1)平成18年1月21日(土)は、日司連が主催する「金利シンポ〜高金利がもたらす人権侵害」(消費者法制度検討委員会・大澄正人委員長)に参加するため、大阪司法書士会に行ってまいりました。日司連では、第66回定時総会において出資法の上限金利の引き下げを求める決議が採択されていますが(提案者は、伊見真希副会長)、決議を受けた具体的な行動のひとつとして、本シンポジウムが企画されています。本シンポジウムは、市民に対し、単に出資法の上限金利引き下げを訴えるだけではなく、経済的弱者が高金利で借入れをすることにより、その生活にどのような弊害を生じさせるのかを実際の事例を踏まえて解説し、高金利の不当性を訴えることを目的としています。
 150名を超える参加者により熱心な議論がなされたシンポジウムでしたが、これまでの同委員会における議論の到達点とも言える内容であったと思います。論点整理がきちんとなされていること、それに対する委員会の意見が明確になっていることに加え、報告とディスカッションの狙いも明確であったことから、この一般には決して分かりやすくない問題が、極めて分かりやすくコンパクトにまとめられていたと感じました。
 一般の参加者も多かったようですが、初めてこの議論に触れる方にとっても、何が問題であるのかきちんと理解ができたことだと思います。

(2)基調講演は、金城学院大学助教授大山小夜氏であります。日弁連韓国視察への同行、多重債務問題に関する幾つかのアンケート調査の分析等の経験をもつ大山先生に、高金利問題をさまざまな角度から分析いただきました。
 韓国における、短期間において大量の信用不良者が出ている状況につきましては、市場への規制緩和と法制度の未整備が原因であろうと分析をされており、金利問題を考察するにあたっても今後のキーワードとしては、@市場拡大とセーフティネット、A国際的検討・多重債務者救済に関わる専門家の交流、B市場規制をどう考えるか、自由な取引の前提となる公正さの確保をどうするのか、という3点が指摘されたところです。
 私も常々、わが国における金利自由化論には、その片方に絶対にあるべき存在であるはずのセーフティネットの議論が全く見えてこないことについて大きな疑問を感じていたところです。これは、いくら強調されても強調されすぎることはないと思います。そして、現状におけるセーフティネットの一つとしては、やはり、過剰融資の禁止や取引履歴の開示などを明確化した貸手責任に関する法制化が適当なのではないかと考えているところです。いかがでしょうか。

(3)基調講演に続いては、リレー報告であります。高金利は、社会的に様々な人権侵害を生み出す結果となっている・・・・これを各分野の最前線で活動されている専門家にお話していただくという企画であります。

@ホームレス問題 報告者 後閑一博(司法書士・東京司法書士会)
 ホームレス総合相談ネットワークにおける相談のうち、極めて高い割合の件数が、多重債務の問題である点、野宿者が野宿を余儀なくされている原因に多重債務・高金利の問題があることは間違いないという点の指摘に加え、実は多額の過払いがあり、そもそも野宿の必要もなかったのではないかという実例の報告もなされています。

A犯罪加害者   報告者 柴崎 崇(弁護士・大阪弁護士会)
 刑事弁護の経験から、犯罪の背景に借金問題があることが多いという事実、実際の事件から、アイフルの50万の借金のために窃盗を犯してしまった方についての報告がなされました。この方についても、利息制限法による引き直しをすれば、おそらく債務ゼロだったであろうということであります。

B児童虐待 報告者 佐藤順子(佛教大学福祉教育開発センター講師)
 社会福祉の現場で、真正面から多重債務問題が取り上げられることがなかったという指摘に始まり、だからこそ、法律家との連携の必要性があると主張されています。まったくの同感であります。また、増加する児童虐待事件について、厚生労働省の発表した養育環境に由来する児童虐待死亡事例のうち、「経済不安」「定職なし」と経済問題に直接起因する事例が16.8%を占めている点についての指摘もなされています。

Cギャンブル依存症  報告者 赤木健利(医師・菊陽病院精神科)
 金銭問題の解決との連携の大事さが強調され、病気であることを関係者がきちんと認識して対処すべきことの重要性が指摘されています。その要因の一つとして先生が指摘した「低い自己評価とその反動としての肥大化した自己愛」という点は興味深いものでした。
 また、パチンコ・パチスロについては、200万人くらいの依存症が存在しているのではという指摘には恐ろしいものを感じました。

D税金・社会保険料の滞納 報告者 小原雄一(長野県生活文化課)
長野司法書士会、長野弁護士会も参画している、長野県多重債務問題研究会の取り組みについて、詳細な報告がなされました。

(4)最後が、パネルディスカッション〜効果的な運動論であります。コーディネーターは、宮内豊文氏(司法書士・消費者法制検討委員会委員)、パネラーは、大山小夜氏(金城学院大学助教授)、伊澤正之氏(弁護士・日弁連消費者問題対策委員会委員)、渡辺哲也氏(記者・熊本日日新聞社)中巳出崇氏(司法書士・石川県司法書士会)中里功氏(司法書士・消費者法制検討委員会委員)です。以下、各氏のコメントで印象に残ったものをランダムに。

@大山小夜氏(金城学院大学助教授)

*社会調査を行っているが、ピュアな若者がヤミ金融に加担するという社会的背景が問題であると感じている。
*銀行は公共的な存在であれば、借り手が返せる範囲内で貸すべき。借り手保護の視点が重要。
*金利の自由化により、一部の借りて層がメリットを享受するという点もあるが、市場に参加できない人間の持つであろう敗北感は、社会秩序にとって大きなマイナスとなろう。

 特に、3点目については、まったく同様の感想を持ちました。この点についてどう考えていくべきなのか、大きな課題のように思います。

A伊澤正之氏(弁護士・日弁連消費者問題対策委員会委員)

*金融庁の懇談会は、8回開催されているが、日弁連も日司連もオブザーバーになっていない。一方、貸金業者はオブザーバーになっている。しかし、意見を陳述する機会は公平に与えられている。1月29日に9回目が予定されている。今後は、論点を絞って議論をする方向に転換するとのこと。しかし、結論を出すということではない。消費者教育、カウンセリングが次回の議論の予定である。
*業界は一枚岩ではない。大きく、3つに分かれる。(1)中小貸金業者(貸金業協会や全金連がその支持母体)、その主張は、40.004%に引き上げ。(2)大手業者(JCFAがその支持母体)その主張は、上限金利引き下げの絶対阻止。(3)外資系貸金業者(GEとCFJ)その主張は、上限金利規制の撤廃と微妙に異なっていることに注意。
*この問題の根源になっている、アメリカからの規制緩和の要望書については、在日アメリカ大使館のHPで閲覧可能であるので一読が必要。
*一連の最高裁の判断は、利息制限法の復権を意味している。
*利息制限法の引下げについても必要性が高いが、現状の政治情勢を考慮し、とりあえず出資法のみに射程を定めている。
*本年1月のパリ視察により、消費者法典は事業者の金利規制にも適用があることが確認された。
*韓国における金利自由化の大きな弊害に学ぶ必要がある。
*日弁連の中に対策本部を設置し、敗訴者負担法案廃案のときのように、広く国民を巻き込む運動展開を予定している。

B渡辺哲也氏(記者・熊本日日新聞社)

*消費者金融の広告に関する議論は社内ではほとんどされていないのが現実。記事を書いても取り上げられないということがあるのかという点については、営業と編集が分かれているので 特にそのような弊害は生じていない。

C中巳出崇氏(司法書士・石川県司法書士会)

*多重債務の大きな原因は高金利と過剰与信の二つである。
*借りた側がいくらなら返せるのかという視点から適正金利は決定されなければならない。11%から12%の金利でほとんどの中小企業は赤字に転落するという税理士のシュミレートは極めて重要な示唆を与えている。従って、利息制限法も引き下げるべき。8,9%が適当。

D中里功氏(司法書士・消費者法制検討委員会委員)

*日司連の意見書は日司連のHPから読めるので是非一読を。
*消費者金融白書によれば、短期の借り入れは少数、大手でも3年から5年、中小では10年以上が多数。
*各種団体との連携が大事、司法書士としての役割は現場の声を代弁すること。

 また、参加されていた、中央労福協の方や、被害者の会の方からの実に力強い決意表明がなされ、本シンポジウムを総括された大澄正人委員長からも今後に向けての決意表明がなされています。

 さあ、次は、1月28日(土)仙台における東北大集会です。頑張りましょう!


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