司法制度改革の時代を司法書士として生きる!
〜全青司活動現場からのレポート〜




シティズ最高裁判決に関する声明〜すべての貸金業者に告ぐ!すべての金銭消費貸借取引を利息制限法所定の金利に!〜 (平成18年1月27日)

1.シティズ最高裁判決に関する声明〜すべての貸金業者に告ぐ!すべての金銭消費貸借取引を利息制限法所定の金利に!〜

                     「声明の趣旨」

 我々全青司は、高金利による被害者の保護に携る立場から、シティズに対する最高裁2006年1月13日判決(平成16年(受)第1518号)並びに最高裁同年同月19日判決(平成15年(受)第467号)の二つの判決が言渡されたことに鑑み、利息制限法を超過する利率を約定して金銭の貸付けを業とするすべての貸金業者に対して、以下のことを求める。

                         記

1 現在継続中の元金及び約定利息にかかる期限の利益喪失特約をした貸金契約に関するすべての案件(不当利得返還請求に関する訴訟事件・任意整理案件等)について、貸金業規制法第43条のみなし弁済の成立の主張を撤回すること。

2 これまでに利息制限法所定利率を超過した利率を約定して貸付けをしたすべての債務者に対し、過去一切の取引について利息制限法所定利率で引き直し計算を行い、以下の措置を講じること。

(1)過払いとなっている案件については、自ら進んで過払金の全額を返還すること。
(2)過払いとなっていない案件については、債務者の健康で文化的な最低限度の生活を害さない範囲での分割弁済に応じること。

3 今後、利息制限法所定利率を超過した利率の約定をしないこと。

                     「声明の理由」

第1 確立した最高裁の理論

 昨年の最高裁2005年12月15日判決(平成17年(受)第560号)は、リボルビング方式の分割返済を約定した貸金契約について、貸金業規制法第43条のみなし弁済の成立を否定した。そして、今般、シティズに対する表記二つの最高裁判決は、元金及び約定利息にかかる期限の利益喪失特約をした貸金契約について、同じく同法43条のみなし弁済の成立を否定した。 これらの最高裁判決は、一般論として、いずれも、貸金業規制法17条・18条・43条等の規定の解釈基準については、厳格解釈の原則を貫くものとなっている。すなわち、この厳格解釈の原則が、近時、たて続けに最高裁の判決で維持されている以上、もはやこれらは司法の場において確立した法理と解するほかない。
 したがって、貸金業者は、今後、司法の場でこれに反する理論を軽々に展開することを厳に戒めなければならない。

第2 任意性の要件

 今般のシティズに対する二つの最高裁判決では、債務者が、事実上にせよ強制を受けて利息の制限額を超える額の金銭の支払をした場合には、制限超過部分を自己の自由な意思によって支払ったものということはできないとして、元金及び約定利息にかかる期限の利益喪失特約(以下、「期限利益喪失特約」という。)をした貸金契約については、貸金業規制法43条のみなし弁済の成立要件であるいわゆる任意性の要件が認められないことを明らかにした。
 この点、貸付けの際に貸金業者が用いる約定書には、例外なく期限利益喪失特約が付されているのであるから、事実上、貸金業者と資金需要者等との間の取引については、一切任意性の要件が否定されることとなったのであり、すべての取引についてみなし弁済が成立しないことになったのである。
 したがって、今後、貸金業者が安易にみなし弁済の成立を主張することは、訴訟遅延ないし不当な解決の引き延ばしを招くものに過ぎないのであるから、現在継続中のすべての案件(不当利得返還請求に関する訴訟事件・任意整理案件等)について、その主張を速やかに撤回しなければならない。
 加えて、貸金業者は、これまで期限の利益喪失特約を約定するなどして利息制限法所定利率を超過する利息の支払を強制してきた自らの業態を素直に反省しなければならないのであり、このような反省の上に立って、現在及び過去に貸付けをしたすべての債務者に対し、過去一切の取引について同法所定利率で引き直し計算を行った上で、早急に、次のような措置を講じる責務がある。すなわち、第1に、過払いとなっている案件については自ら進んで過払金の全額を返還すること、第2に、過払いとなっていない案件については、債務者の健康で文化的な最低限度の生活を害さない範囲での分割弁済に応じること、第3に、今後利息制限法所定利率を超過した利率の約定を一切締結しないこと、である。
 なお、利息制限法は飽くまで強行法規であるから、期限利益喪失特約があるか否かにかかわらず、同法所定利率を超過する利息の約定自体がそもそも無効な約定であることを付言する。

第3 法の支配実現へ向けて

 ところで、今般の二つの最高裁判決のうち、2006年1月13日判決(平成16年(受)第1518号)では、いわゆる18条書面の記載事項に関する貸金業規制法18条1項6号の「前各号に揚げるもののほか、内閣政令で定める事項」とされる規定については、同項1号から5号までの法定事項に「追加して」内閣政令で定める事項を法が委任したものと解した。その上で、この内閣政令に該当する施行規則15条2項が、法定事項の代替事項を規定している点について、「法の委任の範囲を逸脱した違法な規定として無効と解すべきである。」とした点が注目される。
 すなわち、今般の同最高裁判決は、貸金業規制法に関する行政の規則制定権の行使に際しても、同法の趣旨・目的を逸脱しないように警告を発するものである。我々は、この最高裁判決が契機となって、貸金業者側の業界益を擁護する内容の規則の制定にも大きく歯止めがかかるものと信じている。
 また、これまで高金利によって逼迫した債務者の窮状を直視することなく、貸金業規制法17条・18条・43条等の規定を緩やかに解釈し、安易に同法43条のみなし弁済の成立を認めた判決を言渡したり、調停や和解等の場においても利息制限法所定利率を超過する和解等を強引に押し進めることなどもあった下級裁判所においても、今般の二つの最高裁判決を契機として、今後は、正しい法解釈・法適用をして頂けるものと信じている。
 以上のとおり、今般のシティズ最高裁判決は、まさに「法の支配」の実現に寄与したものであり、我々は、これを高く評価するものである。
 
   



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