
菌糸ビン飼育で一番気を使うのが3令以降の「ビン交換」です。
なぜならそれまで順調に育ってきた幼虫達もビン換えによって調子が悪くなったり縮んだりしますし、最悪★になったりします。
なぜでしょうか?彼らは「菌糸ビン」という狭い特殊な空間の中で懸命に環境コントロールを行っています。
2、3ヶ月かけて馴染んだビンから全く新しい環境へ移るわけですから幼虫達に相当なショックを与えることになります。
「だったら新旧のビンは同じ種類にすれば問題ないんじゃないの?」
菌糸ビン飼育を始めた頃、新旧同じビンを使ってもかなりの3令〜終令幼虫が★になりました。
これはビン交換のショックだけではありません。ビンの選択、温度管理や投入時期のミスがあったものと思っています。
飼育の途中で菌種を変えても順調に育っていく幼虫もいます。菌糸ビン飼育を始めた頃、幼虫達がバタバタと死んでいく
理由がわからずに頭を抱えていましたが、苦い経験を積んでいくうちに発見したことは・・・
・古い菌糸ビンを使用すると菌床が発酵したり、拒食症などのトラブルが多い。
・脱皮直後のビン交換は死亡する可能性が高くなる。
・摂氏30度以上を数日経験したビンは発酵したりして、放置すれば幼虫が死亡する可能性が高い。
・交換する(新しく幼虫を入れる)ビンは前のビンと同じにするとトラブルが少ない。
・交換する(新しく幼虫を入れる)ビンが前のビンより水分が多いとトラブルが多い。
・急激な温度変化(1日の温度差が10度以上)は菌床の寿命を縮める。
*用意するもの*

・エタノールと専用の霧吹き
・フォークやスプーン
・ティッシュ
・(必要に応じて)ボールや新聞紙など
1、フォークや指、手をエタノールで消毒します。
2、机や床に新聞紙を敷いて細心の注意を払いながらフォークやスプーンを使って幼虫を取り出します。
ここでチェックです。2つのビンがあります。
右側ほぼ理想的な状態、左側の菌糸はほぼ死滅し強烈な悪臭の雑菌だらけの菌糸ビンです。
(余談ですが左のビンのオオクワ幼虫生きていました。)
旧のビンが左のような状態の場合は食べカスは捨て、幼虫のみを移動させます。
旧のビンが右のような状態の場合は食べカスと幼虫を移動させます。
3、新しいビンのふたを開けたら真ん中の菌糸孔をフォークで掻き出します。
孔の大きさは幼虫余裕を持って潜っていける程度です
4、先ほどの良い状態の幼虫の糞や食べカスをスプーンで丁寧に菌糸孔に移してゆきます。
糞や食べカスの中には幼虫の生育を手助けするバクテリアが含まれていますが、悪い状態の幼虫の糞や食べカスは投入してはいけません。
5、幼虫を菌糸孔に投入します。なお、幼虫を投入するさい、決して素手で触ってはいけません。
手についている雑菌で幼虫が死ぬケースがあります。幼虫の移動はれんげやスプーンを使用して素手で触れないようにしましょう。
状況によってはエタノールで消毒したティッシュで幼虫をつかみます。
左の写真は200ccの菌糸カップに入れて育てていた幼虫が3令になり、窮屈になったので移し替えた直後の様子です。
【糞や食べカスを投入するのはなぜか?】
著者は物心ついたときから生き物を飼うのが大好きで近年ではディスカス等の熱帯魚を飼っていました。
熱帯魚を飼うにあたって一番重要なことは水を作ることにあります。
熱帯魚を飼おうと思って水槽をSETしてすぐに魚を水槽に移すと次々と魚達は死んでいきます。
水に馴染めないからです。
生育する環境が急変すればどんな熱帯魚も調子が悪くなるものです。(もちろん例外もあります)
ではクワガタの幼虫の場合はどうでしょうか?
菌糸ビンは時間の経過とともに徐々に劣化し、発酵したりして変質していきます。
ビン換え時は糞と食べカスだらけです。新しいビンは菌糸と培地100%。
飼育下のビンと見比べたらあるいは匂いをかいで見ると分かるように、同じ種類の菌糸ビンでも全く別物と考えてもおかしくありません。
熱帯魚の水換えでも通常の場合、水をすべて換えることはありません。もうお分かりでしょう!
糞や食べカスを新しいビンに混ぜることで人工的に今までの生育環境を確立させて幼虫のビン換えのショックを
最小限に和らげてあげましょう!
クワガタの菌糸ビン飼育と熱帯魚飼育を一緒に考えるのはちょっと乱暴かもしれませんが・・・(^^;;
【とても大事な水分量】
98年の夏、あるキノコ業者を訪問した時のお話です。社長は副業でカブトムシの養殖を3年前より始めていました。
社長いわく、「今年はカブトムシは出荷できない。幼虫が次から次へと死んでいく・・・」
養殖場を見せてもらうとまさに幼虫の墓場!マット(といっても山から取ってきた土)の上には黄変し、
☆になったのがゴロゴロいました。一目で原因がわかりました。マットを手にぎゅっと握り締めると水が滴り落ちていたのです。
話を聞けば乾かないよう毎日水をまいていたとのこと・・・
カブトムシの幼虫飼育についての諸々のアドバイスをしました。
あくまで持論なのですが、甲虫類の幼虫にとって生育環境下の含水率は大変重要で特に
ある一定以上の含水率を超えた場合には…
幼虫達にとって有害なカビ(菌糸)やバクテリア(のような生物?)が発生し攻撃する。
のではないかと考えられます。

左図は★になる直前のオオクワガタ♂の終令幼虫です。
ビン交換前はとても元気でした。前よりも水分の多いビンに移し、蛹室を作っていたところ、突然尻部が黒くなりはじめました。
こうなると蛹になることが出来ません。原因は不明ですがこのような姿を見るのは大変つらいですね…
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