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6 特許を取得するための要件特許を取得するためにはどのような要件を満たす必要があるかを、特許を受けようとする発明に対する要件と、出願手続上の要件に分けて見ていきます。
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「進歩性があること」とは「発明が技術的に進歩していること」ではありません。もちろん、発明に大きな技術的効果(技術的進歩)があれば、その発明が「進歩性の要件」を満たしているかどうかを審査する際に有利になります。しかし、「進歩性の要件」とは「技術的進歩を必要している」ということではありません。 (2003.1.9、2003.3.30追加) |
特許出願をするためには出願人が「特許を受ける権利」を有していることが前提となります。特許を受ける権利がない者が出願した場合には特許は付与されません。
特許庁の審査官がこの点を審査するのは実質的に不可能ですから、外部から情報提供があったり、明らかに特許を受ける権利を有していない場合を除いて、これを理由に出願が拒絶されることはあまりありません。ただし、職務発明の場合や特許を受ける権利の譲渡があった場合には、譲渡契約の有効性について後から争いが生じることもありますので、特許を受ける権利を譲渡した旨を文書化しておく方がよいでしょう。
なお、特許を受ける権利も財産権の一つですから、その権利を持つことができるか、すなわち権利の主体となれるかどうかは基本的に民法の規定によります。具体的には、未成年者や禁治産者であってもかまいません。またほとんどの外国人 (パリ条約の同盟国の国民、世界貿易機関の加盟国の国民など) も特許を受ける権利の権利主体となれます。どの国で発明を完成させたのかは問いません。さらに、自然人だけでなく法人でも問題ありません。ただし法人でない団体 (町内会や同好会など) は認められません。
まったく同じ内容の特許出願を異なる二人がするということはあまり考えられませんが、あり得ないことではありません。また、出願書類の表現は異なっていても、実質的には同じ発明である場合も考えられます。このように同じ発明について二人以上から特許出願された場合には、誰が特許を取得できるのでしょうか。
それは先に特許庁に出願書類を提出した人です。どちらが先にその発明を完成させたのかは問題にはなりません。後から発明を完成させても先に出願をすれば特許を取得できるのです。なぜそのようにしたかというと、どちらが先に発明を完成させたかを審査することが困難だからです。逆に、先に発明した人が後から出願しても特許を取得できるとすると、自分だけが発明したと思って特許出願をし、特許を取得しても、自分より先に発明を完成させた人が後から現れて自分の特許が取り消されてしまう可能性もあります。
このような方式を先願主義といいます。世界でも多くの国が先願主義を採用していますが、アメリカは先に発明をした人に特許を付与する先発明主義を採用しています。
先願主義の場合には、発明を完成させたらできるだけ早く特許出願をする必要があります。ただし、他人が完成させた発明の内容を盗み出して出願しても特許を受けることはありません。この場合は、本当の発明者は後から出願しても当然特許を取得することができます。
なお、特許出願の先後は出願した日が先か後かによって判断します。同じ日に二つ以上の同じ発明が出願された場合は、出願人同士の話し合いによって決めます。
出願書類とは具体的には願書、明細書、図面です。例えば願書に記載した出願人の氏名が間違っていれば問題になるのは当たり前です。しかし出願書類とは、単に特許庁に特許取得の意思表示をするためだけの書類ではなく、完成させた発明の内容を開示する書類でもあります。したがって、特許を取得しようとしている発明の内容を詳細に記載していなければ、特許を取得することはできません。
特許制度の目的は、出願人に特許権という強力な権利を与えて保護することだけではなく、その発明の内容を広く世の中に公開して、さらに高度な発明が生まれるようにすることでもあります。そのためには、発明の肝心の部分が開示されている必要があるのです。
一般に出願書類の作成は特許事務所に依頼するケースが多いでしょう。しかし、発明の内容を一番よく知っているのは発明者であり、出願人ですから、特許事務所に依頼して作成してもらった書類に、その発明の肝心の部分が記載されているかどうかは、出願人や発明者がチェックする必要があるでしょう。