源了圓『実学思想の系譜』(03年6月17日読了)
「実学」とは、「虚学」ではない学問のことを言う。つまり、他の学問を指して、あんなのは「虚学」だ、自分の学問こそが「実学」だ、と自らを自己規定してきた様々な学問の群れである。このような、徳川時代に花開いた、主として儒学系の「実学」の流れから、著者は幕末明治の近代化を読みとろうとする。教養のベースとしての儒学系の「実学」が日本の近代化を用意したという議論は、幾分屈折してはいるものの説得力がある。
 日本のみならず朝鮮やシナの「実学」への目配りも効いていて堅実な一冊ではあるが、論文集なので繰り返しも多く、内的な論理による全体的な統一をやや欠く。
(講談社学術文庫 昭和61年6月10日発行)



書評に戻る
武庫川通信に戻る