| 五十音順 (全719タイトル) |
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| あ | か | さ | た | な |
| は | ま | や | ら | わ |
『エンジェル・スノー』(03年5月11日鑑賞) もう3年も不妊治療を受けている夫婦。 乗り気でない医者の背中を押すようにして受けた治療が功を奏し、妊娠。それまでが辛かったぶんだけ、大きな幸福が夫婦に舞い降りる。 ところが、お腹の子供には重大な――。 子供が欲しくてできない夫婦の心情が細やかに描かれ、しっとりとした仕上がりの佳作になってます。 ただ、妻の両親は早くに亡くなってるから画面に登場しないのも当然だとして、でも、子供のことでいちばんうるさく言うのは夫の家族じゃないんだろうか。それがまったく出てこないのは理解に苦しむ。ドロドロのドラマにはしたくなかったんでしょうね。 (ハン・ジスン監督 2001年 韓国) トップへ 『笑う蛙』(VHS 03年5月8日鑑賞) 公金横領で詐欺罪に問われ逃亡中の夫。が、いきなり妻の前に現れ、少しの間匿ってくれ、などと都合の良いことを言い出す。妻も、少しの間なら、などと匿ってやることにする。ところが妻には新しい恋人がいて泊まっていくわ、妻の母親は逃亡中の夫の「性」的な悪口を言いまくるわ、とても穏やかに隠れていられる状況じゃない。 小さくまとまった低予算映画。出来は悪くない。 舞台にしても面白いんじゃないか。 (平山秀幸監督 2002年 日本) トップへ 『郡上一揆』(VHS 03年5月8日鑑賞) 定額ではなく、毎年の作によって年貢を決めることにする。こうすれば不作の年には年貢も少なくてすみますよ。と、こんな申し出が領主からなされる。でもこの「検見」法は、実際には火の車の藩財政を立て直すための増税案、百姓たちは反対運動に立ち上がる。闘う男、見守る女。んで、百姓たちは領主の首をすげ替える。殺された者たちは神様になる。 徳川も中期、豊かになった百姓たちが既得権益を守ろうと起こした本当はひどく退屈な裁判闘争を、史実につかず離れず、それでもけっこうドラマチックに描いている。当時の百姓の中には大変な知識人がいて、一揆とはいえ基本的には領主や幕府との知恵比べなのだったということがよくわかる。徳川貧農史観に毒されてないのがとてもいい。 真面目に作り込まれた良作。 なんだけど、「検見」法って、領主は替わっても施行されちゃうんだよな。だったら、この闘争、全く無駄ってことじゃん。領主の首をすげ替えたのを勝利みたいに描いて、「検見」の施行について全く触れないのは少しアンフェアじゃないのかね。闘争には負けたけど村の〈神〉になったからいい? そういうものかも知れんが(靖国の英霊ってそうだもんな)、なんか納得いかないぞ。 (神山征二郎監督 2000年 日本) トップへ 『少年義勇兵』(VHS 03年5月7日鑑賞) 植民地にされた経験を持たない国はアジアでは日本とタイだけだという。ところがこの二つの国が、まさに1941年12月8日未明、誤解によるとはいえ、数時間戦闘を交わすことになる。映画は、この戦闘に参加した少年義勇兵なる少年たちの物語。実話に基づくフィクションだそうです。 軍人が高校にやってきて義勇兵を募るところから始まって、訓練風景、高校生同士の恋のさや当て、日本人と結婚した姉を持つ弟の苦悩など、きっちりと日常が描かれた上で日本軍との衝突に至る。日本人と白人と、どっちの側につくのか、との高校生たちの議論も牧歌的に聞こえつつ、それでも「中立」を保つことの難しさをしっかりと感じさせる。 けっして中国やアメリカの出来の悪い反日映画の類じゃない。それはラストまで観ればわかる。 それにしても、なんでこのシチュエイションで関西弁! あまりにハマリ過ぎで、全体は実話に基づくフィクションなのに、あの一言を発したのが関西人だってことだけは疑いのない事実だったんじゃないかと思えてしまう。世界の中の関西弁を考えさせる一作でもありますな。 (ユッタナー・ムクダーサニット監督 2000年 タイ) トップへ 『鬼が来た!』(VHS 03年5月10日鑑賞) 第二次大戦終戦間際の中国・華北の寒村、その一軒に、闇夜、いきなり二つの麻袋が届けられる。麻袋を持ってきた「我」と名乗る男は、家の主人に、袋の中身は日本軍人、期日が来るまで預かっておけ、とモーゼル銃を額に突きつけながら命じる。 で、その日本人を巡って村の中でドタバタ喜劇が繰り広げられ、日本軍人と村人たちの間に仄かな心の交流が始まり、そして互いのすれ違いによる悲劇。転がる首が最後に笑んで、首切り達人の伝説が甦る。 冒頭、寒村を「軍艦マーチ」を演奏しつつ巡察する日本軍を見て、いかにも中国らしい奇怪な反日映画だと決めつけてビデオを止めてしまわないように(という私も一瞬、止めそうになったが)。このミスマッチも考証のうち、最後の悲劇への重い伏線となっている。 結局、日本兵を運んできた「我」は共産党員で、共産党さえ来なかったら平和だったんだ、ということでしょう。映画で住民を虐殺する日本軍のやり口もまさに実際の八路軍(共産党)の行動様式そのもの、これは解る人にしか解らないが、解る人には解ってしまう。つまり、実際は、共産党が親日分子あぶり出しのために日本人捕虜を村に預けて様子を眺め、結果、日本軍と取引した村人たちを全員裏切り者として虐殺した、と、そういうこと。映画での日本軍の印象が優しかったり残虐だったりチグハグなのも、八路軍の行為を日本軍に無理矢理重ねたからだとすればよく理解できる。そもそも当時の中国の田舎では、日本軍も八路軍も、ともに言葉の通じない余所者(鬼子)だったのだ。そして画面にまったく登場しない八路軍(共産党)こそ「鬼(幽鬼)」の名にふさわしい。原題は『鬼子來了』 この映画、中国国内では上映が禁止されているらしく、この解釈もそう的はずれではないと思う。 名作です。 (姜文監督 2000年 中国) トップへ 『ダーク・ブルー』(VHS 03年5月7日鑑賞) 第二次大戦中、チェコ空軍の多くのパイロットが志願してイギリス空軍に合流、連合国軍の一員としてドイツと闘った。なのに、ドイツの敗戦後、解放されたチェコに帰国したパイロットたちは、反逆者として強制労働キャンプに入れられてしまう。パイロットたちの祖国・チェコは、こんどは共産党に占領されていたのだった。 イギリスでは戦死した仲間は儀仗兵の礼砲に送られて埋葬された。ところが、生き残って帰国した仲間は祖国の収容所でイヌのように死んでいく。戦場にはあったヒロイズムや友情、そして愛など、祖国の労働キャンプにはカケラもない。輝いていた戦時中と、暗く澱んだ戦後と、映画は二つの時間を行き来しながら、戦争と平和の意味を考えさせる。 名作。 画のように美しいイギリスの田園地帯の上空で繰り広げられる空中戦の迫力に思わず引き込まれて観てしまい、そしてふと悲しくなる。地上ではエロ写真を融通しあったり、女を巡って争ったり、みんなまだまだ若いのに、と。 映像特典に庵野秀明監督の『式日』の予告編が入っていて、少し得した気分。 (ヤン・スヴィエラーク監督 2001年 チェコ・イギリス合作) トップへ 『9デイズ』(DVD 2003年5月7日鑑賞) 小型核兵器の取引中にCIAエージェントが別のテロリストに殺された。もし取引が宙に浮き、核兵器がテロリストの手に渡ればアメリカは大変なことになる。そこで白羽の矢を立てられたのが、殺されたエージェントの双子のきょうだい。確かに瓜二つだが、生まれた病院で生き別れて以来、一度も互いに会ったことはない。しかも、かたやCIAのエリート、かたやダフ屋のろくでなし。取引は9日後、いったいこのろくでなしをCIAのエリートに仕立て上げてまんまと小型核兵器を奪取することができるのか。アメリカを核兵器の脅威から守るため、ろくでなしをエリートに仕立て上げるCIAの一大プロジェクトが始まったのだった。ギャグ満載です。 ま、こんなもんでしょう、という感じの楽しみ方をすればそれなりの映画。 舞台となったチェコの街並みが美しい。 ( ジョエル・シューマッカー監督 2002年 アメリカ) トップへ 『スパイキッズ2 失われた夢の島』(DVD 2003年5月7日鑑賞) シリーズ前作に続いてラテン系の子供スパイが活躍します。 世界征服を狙う上司の陰謀を娘と息子が阻止しました、とそれだけのストーリーなんだけど、自分の作り出した奇怪な動物たちと「夢の島」に暮らす奇怪な生物学者という設定がけっこう面白く、最後の最後まで楽しめる。 機械にばかり頼ってるんじゃないよってメッセージも泣かせる。もちろん、奇怪な小道具は今回もてんこ盛りなんだけど。 ただ、バカバカしさがかなりアップしてるのはいっこうに構わんが、CGによる子供だまし度も高まっていて、それが少しだけ残念。 (ロバート・ロドリゲス監督 2002年 アメリカ) トップへ 『イン・ザ・ベッドルーム』(DVD 2003年5月6日鑑賞) 暴力夫と別れきれずにいる女とズルズル関係を深めていく一人息子、を理解しようとする父、なんとか関係をやめさせたい母。結局、事態は最悪の結末を迎える。息子は暴力夫に射殺されてしまったのだった。 裁判はそれが事故だったのか故意だったのかを巡って争われる。女の証言で事故の線が濃厚になり、それであれば息子を殺した男は懲役5年で済む。一人息子を亡くした悲しみと理不尽な裁判への憤りは理知的な夫妻を衝突させ、そしてなんともやりきれない行動へと向かわせる。 題名からアダルトな雰囲気を期待しちゃだめです。 けっこうよく作り込まれた喪失のドラマ。 女はコワイってことかも。 (トッド・フィールド監督 2001年 アメリカ) トップへ 『ハリー・ポッターと秘密の部屋』(DVD 2003年5月6日鑑賞) 前作『賢者の石』の評で、『ハリ・ポタ』は「多分日本ではコケる」と予言しておいたのだけど、第二作までに関する限り、この予言は大ハズレだとしなければならないだろう。だって受けてるものね。 でもね、これを見た回りの大人に感想を聞いた所じゃ、誰一人として面白いと感じた人がいないんだ。子供は喜んでた、とか、そんなんばっかりで。 んで、第二作、実際どうだったかって言うと、やっぱりハズレ。前作に比べて見せ場も多いし、設定も複雑になっていて、画面は面白くなってるんだろうけど、あまりにも思想的な深さに欠ける。秘密の部屋だって、その由来や思想的背景を説明しすぎて逆効果だし、ハリ・ポタの能力も中途半端、何がなにやら解らないうちに決着がついてしまってる。 5作目くらいにはコケるんじゃないか。 (クリス・コロンバス監督 2002年 アメリカ) トップへ 『38度線』(VHS 2003年5月2日鑑賞) 朝鮮戦争の話。 オランダ人も参加してたんです。 売春婦は「ママサン」で、売春宿の主は「トウサン」です。 間違って撃ち殺した娘の母親には「ミヤナムニダ(すみません)」と謝ります。 同じ部隊に「サカハシボーイ」なる韓国人兵士がいて、死ぬ間際にアリランを歌います。 最後の方、「一緒にファッキーパーキー(良くわからんが乱交だろう、多分)した仲じゃないか」とかって、無理矢理連れてきて輪姦した女の子に再び迫り、女の子も女の子でその言葉をマジに受け入れたりします。 親切な中国人兵士には恩を仇で返します。 なんだかムチャクチャな映画です。 (ハンス・シープメーカー監督 1984年 オランダ) トップへ 『ヴァージン・ハンド』(VHS 2003年5月1日鑑賞) 殺してバラバラにした妻の体。全部埋めたはずが、手だけが地表に残っていた。それにつまづいた全盲の女性の目が開く。マリア様の手(ヴァージン・ハンド)の奇跡だということで、その手を教会に置いて祈れば、いさりの男に脚が生えてくるわ、ペチャパイの女の胸がでかくなるわ、しょぼい男がいきなりモテるようになるわ、安易な奇跡が次々と起き、こうして街には巡礼者が続々とやって来るようになる。だが、妻を殺した夫はいたたまれず……。 設定は面白いのに、夫がダラダラと絡んでくる後半はダルイだけ。 だれか作り直して欲しい。 (アルフォンソ・アラウ監督 2000年 アメリカ) トップへ 『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』(VHS 03年4月30日鑑賞) キリストの血を受けたという伝説の聖杯を巡ってインディとナチスの相も変わらぬデッドヒート。今回はインディと父親とが親ナチ女性のカラダを共有してエディプス物語化が一気に加速、ナチも親ナチも死に絶えて、父子和解の大団円を迎えたのでした。 にしても、アメリカとナチスのキリスト教同士のしょ〜〜〜〜〜もない争いにイスラム教徒を巻き込むなよ。原題は「Indiana Jones and the Last Crusade」って、これが本当に最後の十字軍なんだろうな。イラク戦争も十字軍の続きに思えるんだが。 (スティーブン・スピルバーグ監督 1989年 アメリカ) トップへ 『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』(VHS 03年4月29日鑑賞) これもまたアジア蔑視というか何というか、インドのマハラジャ(かな?)の豪邸の地下で復活しつつある偶像崇拝の邪教をインディアナ・ジョーンズが打ち砕く。ついでに児童労働者も解放して村に連れて帰ってあげましょう。 発端の上海のナイトクラブのシーンからして極めてけたたましく、〈ありえない〉アクションも満載なんだけど、シリーズ前作『レイダース』よりはまだ観ていられる。 (スティーブン・スピルバーグ監督 1984年 アメリカ) トップへ 『レイダース 失われた聖櫃〈アーク〉』(VHS 03年4月29日鑑賞) モーゼの十戒が刻まれた板を巡って正義のアメリカ人インディ・ジョーンズと悪のナチスのデッドヒート。〈アーク〉とは十戒の板を入れる箱のことですね。 結局、アメリカとドイツの盗掘合戦じゃないですか。んで、現地人に嫌われるドイツ人と、拍手をもって迎えられるアメリカ人。こんなのばっかり見せられてたら、そりゃ、イラクに攻めこうもうかって気にもなる(かも)。 オチもなぁ…結局、ユダヤの守り神たるモーゼがナチスを倒したってことでしょ。 アラブ人が徹頭徹尾白人の手下ってのも気になるし。 (スティーブン・スピルバーグ監督 1981年 アメリカ) トップへ 『GAMERA3 邪神〈イリス〉覚醒』(VHS 3年4月28日鑑賞) 金子ガメラ第三作。 前ガメラでは抑制されていた呪術的想像力がここでは全開、オドロオドロしいイメージが全編に溢れ、ナショナリスティックな経世さえ感じさせる。名作金子版『ゴジラ』への序章というべきか。 ガメラに親を殺された少女が奈良の山奥で伝説の怪獣と交感、敵討ちの権化と化した怪獣は京都駅でガメラと戦争。庵野秀明監督の『新世紀エヴァンゲリオン』と『ラブアンドポップ』を足して二を掛けたような、過剰さに溢れた佳作。 (金子修介監督 1999年 日本) トップへ 『ガメラ2 レギオン襲来』(VHS 03年4月27日鑑賞) 金子ガメラ第二作。 北海道に巨大隕石が落下した、はずなのに、現場からは隕石そのものが見つからない。自衛隊の調査、に加わる若い女性学者、NTTの職員など、第一作と同じく奇天烈な人間たちが型どおりに活躍する。完成度の極めて高い名作で、怪獣モノの達成の一つではある。のだけれど、宇宙からの侵略があった場合自衛隊はどう動くのか、というシミュレーション・シネマの側面もあって、そのことが想像力の羽ばたきをやや規制してしまっている。 (金子修介監督 1996年 日本) トップへ 『ガメラ 大怪獣空中決戦』(03年4月22日鑑賞) 金子ガメラ第一作。 プルトニウム輸送船が巨大な何かに接触して座礁、という出だしからして、社会派的な展開を予想させる。 海に沈んだ超古代文明の残した負の遺産「ギャオス」と、それを封じ込める味方の怪獣「ガメラ」。若い女の生物学者やガメラと感応できる少女、それにマンガチックな官僚など、奇天烈な役者の織りなす型どおりの物語は陳腐ながら妙にリアリティがあって楽しい。 (金子修介監督 1995年 日本) トップへ 『贅沢な骨』(03年4月24日鑑賞) 女の子二人の共同生活。そのうちの一人・ミヤコはホテトル嬢。この仕事、不感症だからやっていけるの、と。 だがある日、客であるシンタニとの行為で感じてしまう。ミヤコとシンタニとは金を介さない関係になり、女の子二人の共同生活は微妙に揺らぐ。 揺らぎながら破綻する。 シンタニの本名はわからない。職業も。でもなぜかそこにいてくれるとホッとする。という美味しい役どころを永瀬正敏が好演して佳作。 (行定勲監督 2001年 日本) トップへ 『大魔神』 『大魔神怒る』 『大魔神逆襲』(03年4月22日〜23日鑑賞) 下克上でのし上がった新しい領主はよそ者で、古い神を祭らず、それどころか神像破壊さえ企てる。もちろん悪いヤツだ。で、天罰が下る。 これがまあ、『大魔神』の大筋。いうまでもなく、新しい領主とは「アメリカ」。神像は靖国神社。大魔神とは英霊です。 『大魔神怒る』では、悪い領主が良い領主の治める平和な隣国に突然攻め込む。湖の利権を独り占めにしようとしたのだった。平和な国のお姫様は祈る。んで、大魔神がやってくる。これはまあ、良いクウェートに悪いイラクが攻め込んで、それをアメリカがやっつけてくれたって話ですね。 『大魔神逆襲』では、大量破壊兵器の製造工場(硫黄採掘現場)で強制労働させられている木こりたちを、子どもたちの活躍で目覚めた大魔神が助けます。これもまあ、イラクとアメリカですね。攻撃される前に大量破壊兵器の工場は徹底的に破壊しときましょう、てなものです。 今観ると、土着の素材を使ってるけど、プロットはけっこう西洋的。犠牲による神の出現なんて、ヴァーグナーかと思ってしまう。 どれも映像は美しく、古びていない。 『大魔神』(安田公義監督 1966年 日本) 『大魔神怒る』(三隅研次監督 1966年 日本) 『大魔神逆襲』(森一生監督 1966年 日本) トップへ 『モスラ』(03年4月10日鑑賞) 中村真一郎と福永武彦、それに堀田善衛が原作に参加して、監督はゴジラの本多猪四郎、名前だけでも超豪華、なんだけど、お話そのものが安保反対というか、アンポ粉砕というか、その手のイデオロギーに染め抜かれてるモンだからもうひとつのめりこめない。ひどく幼稚な感じがして。 資本主義と植民地主義に対置するにロマン主義だもんな。 海を渡る幼虫も今となっては微笑ましい。 東京タワーで羽化するシーンは斬新で凄いと思ったけど。 (本多猪四郎監督 1961年 日本) トップへ 『ゴジラの逆襲』(03年4月21日鑑賞) ゴジラと一緒にアンギラスなんてのが甦ってしまった。 二大怪獣の肉弾戦で大阪の街はメチャクチャ。 で、決着の舞台はなぜか北海道。 設定のムチャクチャさや結末のお粗末さにおいて、あらゆる二番煎じのお手本的存在となりうる記念碑的駄作。ただし、この当時の大阪の夜の街が叙情的に描かれていて、ここだけは素敵です。 (小田基義監督 1955年 日本) トップへ 『ゴジラ』『GODZILLA/ゴジラ』(03年4月9日鑑賞) 元祖ゴジラとハリウッド版。 大筋は同じ。 外国の悪さ(核実験)のせいでバケモンが生まれる。上陸して被害が出る。で、ちょっとすねたヤツの英雄的な働きで退治される。 筋は同じでも、やっぱり違うのはゴジラの性格でしょう。 元祖ゴジラは被爆者。正当に弔われなかった死者の怨念。まさに御霊の恐ろしさを体現しています。 それなら御霊は御霊らしく、呪術者に鎮めてもらいましょう。元祖ゴジラは隻眼の科学者の得体の知れぬ武器で海に沈む。まさに呪術。 ハリウッド版のゴジラは不法移民。よそから勝手にやって来てドンドン増える。 不法移民は不法移民らしく、送り出した国の責任で始末してもらいましょう。フランス人の大活躍で、GODZILLAは通常兵器で殺されてしまう。 どちらもけっこう面白いが、やっぱり名作といえるのは元祖。 『ゴジラ』(1954年作品 本多猪四郎監督 日本) 『GODZILLA/ゴジラ』(1998年作品 ローランド・エメリッヒ監督 アメリカ) トップへ 『フィアーズ・オブ・ウオー』(VHS 03年4月20日鑑賞) ドキュメンタリー番組制作のためにベトナムを再訪した元海兵隊員6人。番組は単なる回顧ではなく、誤爆事件の真相追求を目指していた。命令に背いて隊から離れた兵たちを、大尉は故意に爆撃したのか、それとも事故なのか。海兵隊員たち6人の心のわだかまりは数十年の時を隔てて消えていない。そしてぎくしゃくとした雰囲気をもてあましつつ、ついに一行は事件現場へ。 回想としてはさまれた戦闘シーンは極めてリアルで、たとえば衝撃波によって一瞬で内蔵を破壊されて死ぬ200トン爆弾の恐ろしさなど、こうやって映像化されるとやはりゾッとする。この爆弾による爆撃の後、蝋人形のように固まって死んだ北ベトナム兵士の死体の森のシーンは静寂の中に戦争の残虐さを訴えかける。 海兵隊万歳が鼻につくものの、最近のベトナムものでは出色だと思う。 (シドニー・J.フュリー監督 2001年 アメリカ) トップへ 『模倣犯』(03年4月19日鑑賞) 最低最悪・醜悪愚劣かと思って覚悟してたんけど、家で何か他のことをしながら観るのなら190円(レンタルビデオの廉価サービスの日の値段ね)は値段相応。 前半のぶち切れエピソード群を後半が意味づけていく手法はそれなりに上手く流れてる。ただ、シナリオの言葉が練られておらず、聞くに堪えぬ部分が多すぎる。 (森田芳光監督 2002年 日本) トップへ 『DRIVE ドライブ』(03年4月18日鑑賞) マンガチックな程にマジメで融通の利かないサラリーマンが銀行強盗団3人にカージャックされる。前の車を追え、と。でも、法定速度でしか走れないからすぐに見失う。こっから「ドライブ」は4人の心を巡る旅へ。ガシャガシャとした落ち着きのない事件が次々に起こり、「ドライブ」参加者は一人づつ消えていく。 つまらなくはないのに、どこかカタルシスに欠ける。 (SABU監督 2002年 日本) トップへ 『月のひつじ』(DVD 03年4月17日鑑賞) 1969年7月、人類初の月着陸。このテレビ生電波を地球側で受けとめたのはオーストラリアの田舎町にあるパラボラアンテナだった。 このアンテナ施設の3人とNASAから来た1人の科学者が、停電や、強風や、そしてなにより互いの不信感を乗りこえて、人類の偉業に参加する。 まあ、基本的にはそんだけの話。 見終えて、ちょっとだけ豊かな気持ちになります。 (ロブ・シッチ監督 2000年 オーストラリア ) トップへ 『アバウト・ア・ボーイ』(DVD 03年4月16日鑑賞) 人間は一人で生きていける。孤島のように。そう思い、一人で生きてきた38歳の男。こいつが単に女をナンパするためだけに「単身親協会(って言うのかな?)」に顔を出し、それが縁で12歳の男の子につきまとわれることになる。この男の子、自殺未遂歴のある母親がふたたび自殺するのではないかと不安で、自分以外にもう一人、母親を監視する人間をさがしていたのだった。 成熟を拒否したガキのような中年男と、奇妙にマセた男の子。その心の触れ合いと、回りの人間関係を巻き込んだドタバタがけっこう楽しい。独白を多用した心理描写も悪くない。 それにしても、トチ狂った母親って大変なモンだ。菜食主義にしても、ぶち当てられた鴨が即死するようなカッチカチのパンにしても、奇天烈な衣装にしても、全部、押しつけであって押しつけじゃない。〈議論して決めたこと〉だもんな。まったく、マ○ド○ルドぐらい行かせてやれよ、どのくらい不味いか知っとくのも、これからの人生に必要な経験だと思うぞ。 イギリスを舞台にしてるのに(と言っては悪いが)ジメッとしてなくて好感。 (ポール・ウェイツ&クリス・ウェイツ監督 2002年 英・米・仏) トップへ 『プロフェシー』(DVD 03年4月16日鑑賞) 予言ってなんで不気味なんだろう。 人は皆将来を知りたいと思ってるはずなのに。 それはきっと、ただ一つだけ確実な予言が、もはや、すでに、成されてしまっているからだろう。 すなわち、アナタは必ず死ぬ。あなたの愛する人も必ず。 原題は『THE MOTHMAN PROPHECIES』、直訳すると「蛾男の予言」。 なんかひどく安っぽい。 妻が病気で死ぬ。死ぬ間際に「蛾男(なんでしょう、きっと)」の画を残す。 夫の身辺に異様なことが起こり始める。 様々な予言が語られ始める。ろくな予言じゃないのに、なぜか当たる。 予言と死とが重なり合い、すれ違い、夫は妻の死を受け入れたのでした。 中身はそれほど安っぽくはない。でも面白いとは言えない。 (マーク・ペリントン監督 2002年 アメリカ) トップへ 『トリプルX』(03年4月15日鑑賞) 悪いヤツが奇妙に倫理的だったりするんだよな、ハリウッドって。 これもそう。 どうしようもないワルのはずが、このXって男、けっこう良いヤツじゃん、知的で、使命感もあって。 とにかくまあ、CIAが特別に雇い入れたエージェント・Xが夜や昼のプラハで大活躍、お約束のロシアのエージェント(もちろん女)も絡んで、この世を滅ぼそうとするアナーキー何とかとか言う悪の組織の陰謀を阻止、ド派手なアクションの連続で飽きさせない。 最近のこの手のものの中では良くできた方。ただし何にも心に残らない。 (ロブ・コーエン監督 2002年 アメリカ) トップへ 『明日があるさ THE MOVIE』(03年4月15日鑑賞) 総合商社のサラリーマンが有人ロケットに乗る。 んな、アホな。 アホです。でも吉本やから。吉本にアホや言うてもしょうがないでしょ。 私財をなげうってただ一人こつこつとロケットを開発しているジイさん、の夢に共感して次第にロケットにのめり込んでいくサラリーマン、の同僚や家族の想い。 もちろん実話ではありえない。 ペットボトルのロケットじゃあるまいし、あんなただの空き地でロケットを飛ばせるわけがない。ロケットより先に警官隊が飛んできてお終いでしょ。 それに、訓練も受けてない男の体が宇宙脱出速度のGに耐えきれるわけがない。奥さんの反対は当然です。 でも、こんなアホな部分よりも、むしろ会社の中で働くことのペーソスが良く描けていて、ロケットは飛んでも飛ばなくてもいいという気がしてしまう。 思ったよりまともな佳作。 それにしても、一つの課に関西人だけを集めるような商社があるんかしらん。大阪の商社なら、そりゃ、ほとんどが関西人なんだろうけど。 (岩本仁志監督 2002年 日本) トップへ 『スター・トレック 叛乱』(DVD 03年3月31日鑑賞) エンタープライズ号の乗り組みアンドロイドである「データ」が任地のバクー星で暴れ出す。知らせを受けた艦長はバクー星に飛び、データを回収、ところが、事件の裏には異様な陰謀が蠢いていたのだった。不老不死の隠者たちがひっそりと住む惑星と、その星を乗っ取ろうとするソーナ人の企み。惑星連邦の中枢も巻き込んだ大立ち回りが始まるのやら、どうなのやら。 お話は小さくまとまっていて、変に大作ぶってないところにやや好感。 (ジョナサン・フレイクス監督 1998年 アメリカ) トップへ 『スター・トレック ファースト・コンタクト』(DVD 03年3月31日鑑賞) 破壊したはずの機械生命体・ボーグの宇宙船は一瞬でタイムトラベル、21世紀の地球に降りてしまった。異種生命体とのファースト・コンタクト以前の幼稚な文明段階でしかない地球はたちまちボーグに征服され、未来は一瞬で変わってしまう。地球はボーグの惑星になってしまったのだ。 時間の渦の中にいたために変化をまぬがれたエンタープライズ号は、未来を賭けた対ボーグ戦を始めるのだった……。 設定が緻密な分だけ、人間造形の幼稚さが気になってしまう。 こんなにすぐキレる男を船長にするなよ、とかね。 (ジョナサン・フレイクス監督 1996年 アメリカ) トップへ 『スター・トレック ジェネレーションズ』(DVD 03年3月31日鑑賞) 『スター・トレック』シリーズの続編『スター・トレック ジェネレーション』初の映画版。 エンタープライズBは、処女航海という困難な状況下、巨大なエネルギーリボンに巻き込まれそうになった小型船を救った。のに、なぜかその小型船の乗客たちは救助されたことを喜んでいない。 それから70年後、エンタープライズDは、何の因縁か、エンタープライズBがかつて救助した小型船の乗客の一人だった科学者・ソランを再び救助する。ソランはエネルギーリボンの作用で現れる夢幻郷「ネクサス」へ、密かに、多大な犠牲を他人に払わせて、行こうとしているのだった。 SFの色んな要素がオモチャ箱のように放りこまれていて、楽しいと言えば楽しい。ただ、大人のSFファンとしてはもう少し政治性を求めたい。 (デヴィッド・カーソン監督 1994年 アメリカ) トップへ 『少女たちの遺言』(DVD 03年3月30日鑑賞) 原題は『女校怪談 二番目の話』なんで前作『囁く廊下〜女校怪談』(パク・キヒョン監督)の続きかと思ったんだけど、全く違う。前作では前面に出ていたイジメや管理教育批判等の社会性はかなり失われ、むしろ女子高生の心理に密着した人間関係の実験映画の趣が強くなっている。 同性愛カップルの血の味のするキス、そしてその一人の投身自殺、その動機となったかもしれない教師との肉体関係等々、エピソードの断片は、拾われた日記の世界と現実世界との交錯がもたらしたもの。合唱団の演奏する音楽もまた、現実と空想のない交ぜになった思春期のピュアな思考を思わせて、不思議な精神性を醸し出している。 ちっとも怖くないホラー。 日本版予告編がまんま『ラブ・アンド・ポップ』なのが笑える。 (キム・テヨン、ミン・ギュドン監督 1999年 韓国) トップへ 『E.T. −20周年アニバーサリー特別版−』(DVD 03年4月8日鑑賞) 子どもと宇宙人(E.T.)との出会い。心の交流。大人たちとの対立。別れ。 なんつーか、『E.T.』ものの約束事のほとんどがここにあったんだなって感じ。 家族の再生と和解は、超越的な存在によってしかなされないってことですかね。 神か、あるいは宇宙人によってしか。 なんだか酷く幼稚に感じられて、とても観てられなかったのはなぜだろう。 嫌な大人になったってことか。 (スティーブン・スピルバーグ監督 2002年(オリジナルは1982年) アメリカ) トップへ 『ル・ブレ』(DVD 03年4月8日鑑賞) 一言でいえば最初から最後まで、途切れることなくケタタマしいクライム・ムービー。 消えた当たりの宝くじを巡って、嫌々ながらコンビを組んだ脱獄囚と看守。ここに、脱獄囚をつけねらうかつての仕事仲間も割って入り、アフリカの広大な砂漠で、追いつ追われつのドタバタ劇が展開される。 湿っぽさは全くない。 砂漠のように明るく乾いた人間関係。 CGの使い方も効果的というか、やりすぎというか。こんなのも許容されてしまうところがフランスか、な。 (アラン・ベルベリアン監督 2002年 フランス) トップへ 『海辺の家』(DVD 03年4月6日鑑賞) ガンで余命4ヶ月を宣告された男が自らの手で家をリフォーム。手伝え、と、別れた妻との間に出来た息子を妻の家から半ば拉致してくる。この息子、顔ピアスに濃いメイク、どう見たってヨイコじゃない。そんな顔して「これは児童虐待だぞ!」とかってわめいてもなぁ。 んで、お決まりの家族の再建。父性の復権。でもその時、すでに父親はいない。 大筋は約束事の枠内で何の意外性もないけれど、細部の伏線がけっこう効いていて佳作。 (アーウィン・ウィンクラー監督 2001年 アメリカ) トップへ 『スナイパー』(03年4月5日鑑賞) ビルに囲まれた広場でかかってきた携帯、いま君を狙ってるんだ、と。見ればレーザー光線の赤いマーカーが胸にあたっている。狙われているのは大銃器メーカーの副社長であり、社長夫人でもある女性。この銃はあんたのとこの商品だろ、と。 スナイパーは娘を銃撃で亡くした男、アメリカの銃社会の現実を訴えようと、このような行動に出たのだった。 低予算B級丸出しなんだけど、携帯だけでつながったスナイパーと獲物が次第に心を通わせていく演出は悪くない。後味に苦いものが残るけど、これはまあ仕方ない、かな。アメリカの銃社会がそう簡単に変わるわけないものね。 ゴリゴリの社会派。『ジョンQ』よりも個人的には納得できる。 (カリ・スコッグランド監督 2002年 アメリカ) トップへ 『翼をください』(03年4月5日鑑賞) 少女漫画っぽいのはまあ、仕方ないかな。全寮制の女子校の話なんだから。でもなぁ。 同性愛関係にあった同室の女の子二人は同じベッドで寝ているところを目撃され、そのうちの一人は親にバレるのを恐れて不本意ながら男の子とつき合うようになる。捨てられた女の子は「愛」を求めて次第に精神のバランスを崩し、教室で、食堂で、破滅的な行動に出てしまう。 この二人と同室で、親との関係に悩む女の子の視点で物語は進むんだけど、これが作品の奥行きを狭めてしまったのではないか。なんだか全てが表層的で今ひとつ響いてくるものを感じない。 (レア・プール監督 2001年 カナダ) トップへ 『アップライジング 特別版』(DVD 03年4月3日鑑賞) 第二次大戦中のワルシャワでのユダヤ人蜂起(アップライジング)の話。 『戦場のピアニスト』と同じテーマを扱いつつ、ドイツの圧政に抗する蜂起から壊滅的潰走に至るまでのリーダーたちの動きを克明に描いて、まったく色の違った物語を練りあげている。 武器の入手経路、武器の種類の問題(拳銃は役に立たん、爆薬をくれ)とか、奇妙にリアリティがあってわかりやすく、また面白いんだけど、あまりにもユダヤ人リーダーたちが格好良すぎるんだよな。 でも映画の王道はこういうもんでしょう。結構良く出来てます。イスラエル建国マンセーなのが鼻につくが。 (ジョン・アブネット監督 2001年 アメリカ) トップへ 『サイン』(DVD 03年4月2日鑑賞) 宇宙人が攻めてくるってお話なんだろうな。 そう思って観るとひどくチャチで失笑もの。 自分のトウモロコシ畑にミステリーサークルが書かれた一家の話。 でも、登場人物たちの心の傷が妙にリアルでこの監督らしいというかなんというか。だからホラーじゃなく、危機を乗りこえることで〈家族〉が絆を取り戻す常套的な映画と思って観るのなら、それはそれなりの出来でしょう。『パニック・ルーム』の強盗が宇宙人になったと思えばいい。 ただ、暗い。 妻の最期など、とてつもなく暗くて観てられない。 (M.ナイト・シャマラン監督 2002年 アメリカ) トップへ 『ジャスティス』(DVD 03年4月3日鑑賞) 第二次大戦中、ベルギーにあったドイツの捕虜収容所。そこに入ってきた二人の黒人士官。連合軍の捕虜からも差別的な扱いを受け、しかもそのうち一人は濡れ衣を着せられてドイツ兵に殺されてしまう。そしてある夜、黒人に濡れ衣を着せたとおぼしき男が殺されたそのそばに、残ったもう一人の黒人が立っていた。ドイツ兵はいきなり銃殺しようとするのだが、裁判抜きに殺すのは許さない、と、捕虜側は、捕虜収容所にありながら軍法会議の開催を要求する。 期限付きで認められた軍法会議で被告を弁護するのはイエール大2年の新入り捕虜。誠実に真実に近づこうとするのだが、その真実の裏には捕虜たちの脱走計画があるのだった。この集団脱走計画の遂行のためには黒人への偏見を利用したイカサマ裁判も許されるのか。あるいは、この一人の黒人を救うために捕虜の脱走計画をバラしてしまうのか。 ギリギリと締め付けるような、平時と戦時の価値観のせめぎ合い。 ご都合主義的なラ |