長期研修報告

4 研究の内容

(1) 自分にとっての運動の意義を感じとれる子どもの育成


授業プラン@「運動の効果を知ろう」(6年)

1.ねらい

・運動による心拍数の変化を調べることを通して、継続的に運動したときの体や心に及ぼす効果について理解させる。
・自分の体の変化を把握することによって、自分にとっての運動の意義を感じとらせ、生活に生かせる能力や態度を育てる。

2.指導計画(3時間扱い)

 第1時・継続的に運動すると体はどう変化する?
 課 外・心拍数調べ(約1ヶ月間)
 第2時・継続的な運動が体や心に及ぼす効果とは?
 第3時・運動の効果を生活に生かすには?

<授業の概要>

第1時は、この後の調査活動を意欲的に行わせるための動機づけの授業である。
はじめに、運動したときにすぐに起こる体の変化について目を向けさせた。そうした変化がなぜ起こるのか説明した。
これに対して、運動を毎日継続したら体はどう変化するのか考えさせた。
「体が慣れてくる」「だんだん楽になっていく」
といった考えが出された。
そこで、どのように体が変化するか、心拍数を手がかりとして調べることとした。心拍数の測り方については、手首や頚動脈でとる方法を紹介した。その後、実際の調査の進め方に合わせて、教室内で1度練習した。

実際の調査活動は、翌日の朝マラソンの時間からとなった。戸惑う児童もいたので、数回はやり方を確認しながら行った。特に、走る速さを同じにするよう、時計をよくみて走ることを助言することが多かった。
これを週3〜4回、約1ヶ月間継続した。


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第2時は、運動の効果を自分自身の体が示したデータから読みとるという、本単元の山場の授業である。
 はじめに、調査の結果をグラフにして示した。安静時、運動直後、運動2分後のいずれの心拍数もだんだんと下がっていることが確認できた。
また、
「呼吸がらくになった」「つかれにくくなった」
などの自覚的な変化から、体の内部にどんな変化が起こったのかを考えさせた。話し合い活動には、ブレインストーミングを取り入れた。
児童からは、ほぼ予想通りの次のような考えが出された。

  • 「心臓が大きくなる」「心臓のポンプの力が強くなる」(心臓の機能)
  • 「血液の流れが速くなる」「酸素をたくさん運べるようになる」(血管、血液の機能)
  • 「肺が酸素をとり入れやすくなった」(肺の機能)
  • 「筋肉の繊維が太くなった」(筋肉など運動機能)
  • 「脂肪が燃えやすくなった」「気持ちが強くなった」(その他)

抵抗力や適応力がつくこと、病気の予防になることについては、資料を使って教師が補足した。また、このように体の性能が上がり、健康的な状態になることを「フィットネス」と言うことを説明した。


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第3時は、前時で学習した運動の効果を、自分の生活に合わせて生かせるようにするのがねらいである。
はじめに、グループごとに、自分がやったことのある運動ややってみたい運動をたくさん出させた。どのグループも、20〜30種類の運動が出された。
次に、フィットネスの3要素である持久力(スタミナ)、筋力(パワー)、柔軟性(やわらかさ、しなやかさ)について、水泳、ウエイトトレーニング、ストレッチ体操を例に挙げながら説明した。
その後、グループごとに先に挙げた運動を3つに分類する作業を行わせた。混合運動も多く混乱しやすいので、発表の際には教師がリードしてまとめを行った。
そして、この3つの中で、今の自分たち(小学校高学年)にとってどんな運動が大切かを予想させ、次のような説明をした。

  • 心臓や肺の機能が急速に発達しはじめる時期であること。
  • 筋肉や骨がつくられている時期(成長期)であること。
  • そのため過度に負荷をかけるとけがをしやすいこと。
  • 柔軟性を高めることは、けがの防止にもなるので、他の運動と組み合わせて行うとよいこと。

最後に、フィットネスが向上することによって、日常生活が健康的で活動的になり、それがよりフィットネスを向上させることにつながることを説明し、感想を書かせた。


<反省および考察>

○ 継続的に運動したときの体や心に及ぼす効果が体験を通して理解された。

1ヶ月にわたって、心拍数の変化を調べ続けることは確かに大変なことである。しかし、そうして苦労して調べたデータが自分自身の体の変化を物語っていることを知ったとき、大きな驚きと感動があった。児童からは、次のような感想があった。

「はじめに比べて心拍数がたくさん下がってすごいと思った」
「激しい運動をしても、体がついていけるようになった」
「運動を続けると、体の性能が上がっていくことがわかった」
「運動にこんなにたくさんの効果があることを初めて知った」

このように、体験を通して得られた理解は、今後の行動変容に大きな影響力を持つものと考えられる。

○ 自分にとっての運動の意義を感じ、日常生活に運動を位置づけようとする意欲の向上が見られた。

「運動することはいいことだから、これからも運動を続けていきたい」
「いろいろなスポーツにチャレンジしようという気持ちになった」
「これからは、家の中よりも、外で遊ぶようにしたい」

 学習後のこうした感想から、運動のよさを実感し、日常生活に運動を位置づけようとする意欲の向上が見てとれる。自分にとって、運動は大切なものであることを感じとることができたと考えられる。
 また、今の自分の発育・発達にあった運動を考えさせたことによって、具体的にどう運動に取り組んでいくかイメージできるようになった。

○ 心拍数の調査を通して、自分の体の状態を把握する能力の育成が図られた。

 心拍数の調査方法には問題点もあったが、スキルトレーニングとしては大きな成果があった。はじめはうまく心拍数がとれなかった子も、慣れてしまえば、自分の体の状態を把握するよい指標となっていった。次のような感想からも、そうした児童の変容がうかがえる。

「自分の心拍数がどれぐらいかわかった」
「これからも、ときどき心拍数を測ってみようと思う」

自分のライフスタイルに合わせて、上手に運動とつきあっていくために大切な能力と言える。




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豊島 登 Noboru Toyoshima