6年・社会科「世界の中の日本」

海外視察旅行にでかけよう!


はじめに


「世界の中の日本」という学習をした。世界の国々を知り、私たち日本国民はどんな役割を果たしたらよいかを考える学習である。教科書では、アメリカ(貿易がさかんで最も関係の深い国)、中国(古くから交流のある国)、サウジアラビア(資源をたよっている国)の3カ国を学習することになっている。
 しかし、それだけで“世界”なんて言うのはあんまりだ。オリンピックを見ても、
「そんな国があったのか」
という場合が多々ある。そこで、ほんとうに視野を広げて世界にはばたこうというのがこの授業のミソである。


みんなが海外派遣視察団に選ばれた!?


おめでとうございます。みなさんは、海外派遣視察団に選ばれました。

こう言って授業を始めた。何やらあやしげである。いかがわしい電話勧誘ではない。子どもたちは、みんなその気になってノッてくれた。説明を続ける。

『どこの国に行ってもいいし、費用はいくらかかってもかまいません』
「高級ホテルに泊まってもいいの?」
『ご自由にどうぞ』
「やったー、どこに行こうかな?」
『ただし、視察旅行ですから、条件があります』
と言って、下の3つの条件を出す。

  1. その国らしいものを見てくる。

  2. その国の人に話を聞いてくる。

  3. おみやげを買ってくる。

「本当にそんなことできるんだろうか?」「こりゃ、おもしろいことになりそうだぞ」
子どもたちの顔を見ているととてもおもしろい。


出発に向けて準備しよう!


 資料として、図書館から団体貸出で借りてきた50冊の本、旅行代理店からもらってきた海外旅行のパンフレットを用意した。もちろん、学校の図書室の本も利用できる。これらの資料の使い方も説明する。

 次に、視察に出かけるまでの作業手順を説明する。

  1. 視察に行きたい国を一つ決める。

  2. 旅立つ前に、その国の概要について簡単に調べる。

 行きたい国を決めて、どこにあるのか?広さはどれぐらいか?何語を使っているのか?人口は?首都は?民族は?気候は? こんなことをデータブックを活用して調べるのである。

ここまでをだいたい2時間使って行うこと。つまり、3時間目には、全員が出発しているようにすることを伝える。もちろん、出発してからは自由。先の条件さえ満たせばよいのである。

 そして、帰国してからのことも、あらかじめ伝えておく。それは、

帰国したら視察報告会を開くので、その報告書をつくること

である。報告書の書式は、全く自由。3つの条件を楽しく、美しく、わかりやすく、みんなに伝えるようなものにする。パンフレットを切り抜いたり、カラーコピーをとったりして活用するように伝える。
「自分がとった写真、ということにしてもいいんですか?」
という質問があった。『もちろん、OK』である。


いよいよ出発!


 私は、子どもたちがどうやって出発したか、くわしくは知らない。とにかく全員が成田から飛行機に乗って飛び立ったようではある。まちがって羽田に行ってしまった子もいたらしいが…。
 しかし、旅立ってしまえば、あとは気楽? 毎日、旅行パンフレットをめくったり、美しいカラーページの写真をながめたりして、本当に旅行している気分にひたっているようである。
「次はどこへ行こうかな」
と、行き当たりばったりで行く先を決める子がいるかと思えば、1週間分の計画を綿密に立ててから出かける子もいる。それぞれ個性的である。
もちろん、実際には1日ではとても移動できない距離であっても、今回の旅ならワープが可能だ。
 私は、子どもたちの作業している間を回って歩く。子どもに話しかけると、その気になって受けこたえてくれるのが楽しい。


全員帰国。そして報告会。


 どの子も、1週間程度の旅の全日程を終えて、無事帰国した。早めに帰ってきて報告書をまとめている子もいるし、ギリギリまで旅を楽しんでいる子もいた。
 まとめは、旅先で撮った写真を画用紙にはって、説明や自分で描いた絵を加え、絵本のようにした子が多かった。もしかして、本当に行った人よりくわしい報告ができちゃったかもしれない。

 報告会は、パビリオン方式と呼ばれる方法で行った。発表者を地域別に分けて、6グループに分けた。1回の発表につき、6人の子が教室の別々の場所で発表する。つまり、6人の発表は、同時進行となる。1グループの発表は、15分弱。何度でも“お客さん”が来る限り発表を続けるのである。
 自分が行った国や日本と比較しながら聞いている。どの子も自分の好きな国に行って、十分に楽しんできた様子が伝わる発表だった。


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豊島 登 Noboru Toyoshima