ちょっとクイズでも・・・


「運動・レクリエーションの健康学」(小野三嗣 大修館書店 1983)という本を読んだ。図書館で探していたら、“運動”“健康”というキーワードにひっかかってきたのである。最近は“レクリエーション”も勉強したいと思っていたので、これはピッタリの題名である。
 筆者は、運動生理学の先生である。生理学と聞くと、「競技スポーツに生かす」とか「効率的なトレーニング」といったイメージがあるが、この本では「健康に生かす」ということが貫かれている。だから、読んだんだけどね。言い回しがくどい所もあったが、おもしろいことがたくさん見つかった。○×クイズ形式でまとめてみた。

第1問 健康とは、病気にかかっていない状態のことを言う。

 別の所で聞いた話であるが、こんな問題もある。
本当はガンではないのに自分がガンだと思いこんで不安な日々を送っている人と、残された日々を精一杯送っている末期ガンの人とでは、どちらがより健康だと思いますか。
これは難しい。議論になる。

 話をもとに戻そう。ここで言いたいことは、全く病気がないなんてことが今の世の中に有り得るのかということである。持って生まれた障害のある人、すでに病気(特に慢性の)になってしまった人には、もう健康に生きられないのか。私も腰痛という持病があるが、特段不健康だとは思わない。無理に手術でもして治したいとも思わないし、腰に悪いから運動をやめようなどとも思わない。ただ悪化しないように気をつけていきたいとは思う。うまく病気とつきあいながら、自分のやりたいことができるようにしていく、こういうことが健康につながるのだろう。自分なりの健康をこんなふうにとらえることの必要性を感じた。

第2問 身長の割に体重が重いことを肥満という。

 これは明らかなまちがいである。身長の割に体重が重いことは“過体重”と言う。肥満というのは、体脂肪率の問題である。
 受験校として有名な都内のある中学校での調査が紹介されていた。3年女子90人(過体重1人、過体重気味3人、あとの86人は標準範囲もしくはやせすぎ)のうち、体脂肪率25%以上と判定された肥満者が63人もいたというのである。勉強はするが運動をしない。でも太りたくないから昼食はサラダばっかり。「その結果が、筋肉や骨、あるいは大切な他の臓器や組織の破壊の方が進行して体重は減ったが、皮下脂肪は残って肥満になってしまったのである」 これは、子どもにもすぐ指導できそうである。

第3問 子どもの背筋力の低下は深刻な問題である。

 ご存知の通り、背筋力計というのは握り棒を握った手を引き上げる力を計測する。ここで問題になるのは、背筋力の他に、握り棒を放さないように頑張ることのできる受動的握力が関わってくるということである。つまり、受動的握力が弱ければ、たとえ背筋力が強くても結果として表れないことになる。では、受動的握力をつけるにはどうしたらよいか。それは、ぶらさがる運動をすることである。数値として表れるだけの背筋力を高めたければ、いっぱいぶらさがればいい。
 ただ、体重を支えるためのぶら下がる力というのは重要である。これは鉄棒の授業づくりにかかってきそうである。

第4問 農村に住んでいる人と都会に住んでいる人。農村に住んでいる人の方が体力的にすぐれている。

 農作業は大変だからと思うが、実は逆。人力でやっていたのは遠い昔のことである。1軒あたりの自家用車保有台数は、都会よりはるかに多い。それに対して、都会のサラリーマンは、通勤ラッシュで倒れないように足や腰に力を入れてふんばったり手で押さえたりしている。つまり、これが静的(アイソトメトリック)トレーニングになっていると言うのである。最大限の努力をすれば、1回6秒、しかも1日1回だけで十分なトレーニング効果があげられるのだそうである。いいこと聞いたでしょ。

第5問 ちょっとした力の作用で大きな骨折をしてしまう子には、体重の重い子が多い。

 最近の子どもは、骨が弱くなったと言われるが、レントゲン学的には何の異常もないそうである。それでも、ちょっとしたことで骨折する子は多い。特に、やせている子の方に多いのだそうである。偏食や少食に加えて、栄養不足気味の子どもの運動嫌いが原因である。昔の子どもも、貧しい食生活で栄養は不足していた。しかし、取っ組み合いのすもうなどをして常に骨に強い刺激を与えていたので、生理的代謝がさかんであったと言う。これも、静的に近い力の出し方でなければならない。つ まり、すばやい動きの運動(例えばランニングなど)をやりさえすれば体力向上になると考えるのは大きなまちがいであることがわかる。

答えは?のもあるが、すべて×ということになる。


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豊島 登 Noboru Toyoshima