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| 有機農業推進議員連盟 キューバ有機農業視察(2006年4月28日-5月8日) |
1.目的
キューバの首都ハバナ市内の都市農業(オルガノポニコ)をはじめ、農産物直売所、学校菜園、ベジタブル・レストランなどハバナ市民の暮らしに定着した有機農業の実情を視察。また、郊外の協同組合農場も訪れ、バイオ農薬センターやミミズ堆肥の活用状況や有機農業による高収量稲作、農家参加型の有機農業に適した種苗開発の取り組みについても学び、有機農業者との交流を図る。あわせて、熱帯農業基礎研究所、農業省等を訪問し、キューバの要人との交流会を行う。
2.視察団
【議員団】
狩野 安 (参議院議員[自民])
和田 ひろ子 (参議院議員[民主])
ツルネン マルテイ (参議院議員[民主])
【有機農業関係者】
吉田 太郎 (長野県農政部主任企画員)
今井 登志樹 (IFOAMジャパン事務局長)
中村 易世 (日本有機農業研究会編集委員)
高橋 勉 (日本オーガニック&ナチュラルフーズ協会認定業務部門責任者)
村田 泰夫 (農林漁業金融公庫理事)
関 信雄 (ビオマーケット代表)
井上 駿 (民間稲作研究所認証センター代表理事)
直江 智子 (有機農業研修生)
林 民子 (有機農業研修生)
ツルネン 幸子 (ツルネン夫人)
石井 茂 (ツルネン秘書)
3.視察場所
キューバ
4.日程
4月28日 成田→トロント ○ホテル内で結団式
4月29日 トロント→ハバナ ○キューバ政府農業省・在キューバ日本大使館と打合せ
4月30日 ハバナ ○農産物自由直販売所
5月1日 ハバナ ○メーデーに参加
5月2日 ハバナ ○農業省表敬訪問、○熱帯農業基礎研究所、○食品保全プロジェクト、○フィンライ研究所、○在キューバ日本大使公邸
5月3日 ハバナ〜ピナル〜ハバナ ○カミロンシエンフエゴス農場、○種苗研究所
5月4日 ハバナ ○ヒベルト・レオン農場、○ベジタブル・レストラン、○全国人民議会表敬訪問
5月5日 ハバナ ○都市農場アラマル、○都市農場オルガノポニコ上海、○マリア・ビクトリア小学校、○農業資材店、○ラテン・アメリカ医科大
5月6日 ハバナ→トロント
5月7・8日 トロント→成田
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| 4月30日(日) |
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■農産物自由直販売所
農産物自由直販売所を訪問。休暇中の農業省ホセ・レオン・ベガ大臣室長の案内で販売所内を見学、説明を聴取。
「ハバナ市内に政府系の販売所が117ヶ所、民間が16ヶ所ある。農家は生産計画を立て、80%を国に収め、残り20%を自由に販売する。キューバは病院、幼稚園など社会保障が充実、教育も大学まで授業料は免除。最低賃金が30ドルぐらいだが、飢えて死ぬ人はいない。」
ここでは、兌換ペソは使用できないので、販売所内にある両替所で現地ペソに両替し、バナナを買って食べてみた。
「販売所は、40ヶ所のカウンターがあり、農家が政府からレンタルし、売り子を雇っている。月曜日は休み。使用料として、15%を国に、10%を県に、5%を市に支払う。
1994年10月からはじめて、野菜の値段は37%も下がったが、肉は高いままである。」

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| 5月2日(火) |
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■農業省表敬訪問
農業省を表敬訪問。ホァン・ベレス農業副大臣と対談、ホセ・レオン・ベガ大臣室長、マリア国際局長、セラフィン担当官、果樹試験場長が同席。
ベレス農業副大臣:「農業省は穀物、根菜類、果樹、タバコ、コーヒーといった農産物だけでなく、林産物、また、牛、豚、家禽類、蜂蜜など畜産物も扱っている。根菜類、穀物、野菜は有機農業でやっている。有機肥料を使い、植物から抽出した農薬を含め、バイオコントロールによって病害虫の被害を避けている。とりわけ、野菜では有機農業の経験が多く蓄積されており、キャッサバ、サツマイモ、バナナでは確実な技術体系が築かれている。穀類ではマメやトウモロコシは有機で作っている。
果樹は、オレンジ、グレープ・フルーツが有機栽培。果樹には山岳地域の小規模農場での栽培と60〜70ヘクタール規模でのプランテーションの栽培の二つの生産体制がある。果実類も山岳地域ではほとんどが有機で、プランテーションも有機栽培にもっていく方向で進めている。
キューバは熱帯で湿度が高く、病害虫もある。そこで、病害虫とのバランスをとるアグロエコロジーが大切。農業省に所属する試験研究所は18あるが、どうすれば有機農業で生産できるのか研究している。また、農家に対して、研修・教育を行っている。農家はUBPC(新協同組合農場)、CPA(協同組合農場)、CCS(生産農家組合)という農業協同組合に組織化されており、技術指導を研究所から受ける。また、販売先の市場はすべて確保されている。」
【質疑】
Q:現地で使っている有機肥料はなにか。
A:ミミズの糞や、柑橘類の残渣やサトウキビの搾りかすを家畜糞と混ぜ有機肥料にしている。
Q:昨日、市場を見学した。20%は自分たちで販売でき、利益もあがると聞いた。それが、農家の生産意欲につながっているか。
A:農産物市場で販売しているのは、全農産物のうち3%。1993年に農業生産を活気づけるために作ったが、生産レベルがあがり、価格もさがってきたので、いずれはなくなるだろう。
Q:生産者を指導するため有機農業のテキストやマニュアルのようなものは作っているか。
A:よく理解できるよう熱帯農業基礎研究所では野菜や果樹の資料を作っている。
Q:経済危機以前に比べ、現在の農薬や化学肥料の使用量はどうなっているか。
A:1989年には2万5,000トンの農薬を使っていたが、昨年は1,200トン。また、化学肥料は1989年は90万トン、昨年は16万トンとなっている。
Q:消費者は農産物を見分けるとき、何か表示のようなものはあるのか。
A:ジャガイモはまだ化学肥料を使っている。あとは全部有機農業。果物も柑橘類をのぞいて有機。マンゴーも化学資材はまったく使っていない。稲作も、大規模農家は農薬・化学肥料を使っているが、都市農業では有機栽培。
Q:農業省として有機栽培を拡大普及する政策はどのようなものがあり、どれだけ予算を投入しているのか。
A:研究所の他、国営公社も技師や技術者がいて生産を評価している。UBPCにも技術者がいる。そして、全公社はそのための予算が保証されている。無制限で。
Q:これからの有機農業政策の見通しは。
A:あらゆる面で生産を増やしていきたい。そのために施設化も進めている。
■熱帯農業基礎研究所
ボジェ・ロスにある熱帯農業基礎研究所を訪問。スペイン軍の兵舎だったものを改築した建物で、ネルソ・コンパニオーニ副所長から研究所の概要を聴取。
「この研究所は、科学アカデミーの中での農業分野での役割を果たしてきた。他に大学に農学部もあるが、ここでは有機農業のシステムを研究している。研究者たちは完璧なサイクルで動いている。まず、植物資源。私たちの研究は全国にある生物資源をアテンドしている。植物の生物多様性の豊かさが大切で、他国から取り入れたものもあるが、種子バンクがあり遺伝資源を保全している。例えば、キュウリで最も優れた品種は日本のもの。研究者たちはあらゆる品種を育成している。
また、その土地の気候や土壌条件に見合ったものを、どう生産するかをやっている。資源に基づいてその土地で種子生産を行うことが大切。種子は、生産者も関心を持っている。(地図を示しながら)この黄色のポイントは種子を生産している地区、青色は堆肥生産をしている場所です。ここには有機肥料センターがあり、ミミズ堆肥やコンポストを生産している。
第二に研究所の研究者たちは、研究所で働き科学的プロジェクトに取り組んでいるが、それは、品種開発等の研究成果が生かせるよう、生産者たちと直接行っている。そうすれば、地元は最も早く研究成果を取り入れることができ、それは地域にとって役立つ。大切なことは、農民のために研究を行うこと。そして、それは、研究者にとっても価値がある。研究者は知識を増やし、地域特性に応じて研究を適応させることができる。研究者たちは生産情報を得て、農民たちが何を必要としているのかを直接目にし、自分の研究所でやることができる。
土壌を適切に使うこと。各地域のおかれた条件に見合った生産システムを使うこと、生産者に技術教育を行うこと。こうした研究をしながら新たなことがわかってくる。いま、全世界的に内発的発展が始まっているが、それを進めるため、科学的な研究成果を使っている。持続可能な農業を開発できる農法。その技術は有機農業の研究でもある。それには、二つがあり、ひとつが伝統的な農業、集約的に栽培する方法。
中庭のような狭い土地でも生産できるよう技術的・科学的な援助をしている。そうした農業を都市農業と呼んでいる。この15年間で、都市農業は低コストで作れ、食料を増産する大きなポテンシャルにもなった。力強く拡大された生産運動が誕生した。都市農業は、小規模農業だが、自分の家族のためだけでなく、人民に販売もする目的も持っている。食料を増産するため、地域資源を活用して生産を行う、そして種子を各地域で生産することを重視している。植物残渣も家畜の餌になることから野菜と家畜を組み合わせている。売り上げも伸びており、30万6,000人の雇用が創出された。そこでは、定年退職した人も働ける。自給自足だけでなく、もっと高い収量を得たい、合理的なポテンシャルを使いたい、この都市農業運動の成果は、大規模な農業にも伝わり、生かされている。
生産で大切なことは、生産者であり、6省庁が連携し、NGOも参加している。40人の科学者、専門家、省庁のメンバーからなる全国委員会があり、ほぼ同じ委員会が14州にあり、169のムニシピオにも、1,452のコンセホ・ポプラレスにもある。1989年には130万トンもの化学肥料を使っていたが、昨年は88,000トンだけ。」
研究所内のニームの実験所を見学。エストラダ博士から説明聴取。
「天然資源を活用して、手作業で医学にも使っている。ニームはインド原産のもので、熱帯や亜熱帯に分布している植物。シャンプー、歯磨きといろいろと使われているが、殺虫剤にもなり、畜産用にも使える。この技術は、メキシコ、スペイン、ブラジルにも輸出されており、農家だけでなく、大規模な企業でも使える技術なので日本大使館にも提案している。」
■食品保全プロジェクト
ビルダ・フィグラレアさんとホセ・ラマ(ペペ)夫妻の食保全プロジェクトを訪問。ビルダさんは元化学者で、ホセ氏は機械工学の技師である。
「私たちのプロジェクトは、食料が乏しくなり、キューバが困難であった10年前にスタートした。当時、農薬や化学肥料がものすごく減った。そこで、伝統的な農法をやめ、別の方法を模索しなければならなくなり、地区で都市農業を、また、有機農業で生産できる方法を探した。そして、生鮮食料を保存するプロジェクトに向け、コミュニティの住民たちとともに、働き始めた。健康な食品を生産したかった。
キューバの土地はそれまでの近代農業で悪影響を受けており、年間を通じて作れるものが少ない。保存できる方法を探し始めたが、伝統的な保存方法がない。例えば、トマト・ピューレを作っておかないと乾期にはなくなってしまう。そこで、太陽で乾燥させたり、酢につけたりするなど、化学品を使わずに保存できる6つの方法を使っている。ここでは350以上の製品が保存されている。年間1,500人が訪れるが、キューバ全国でワークショップもやっている。また、本、パンフレット、ラジオ、テレビ、ビデオで普及しており、週一回番組で、間接的には150万人以上が聞いている。また、市民大学で技術をPRしている。キューバの主食は米だが、その使い方も多様化されている。」
■フェンライ研究所
フィンライ研究所を訪問。所長であるコンセプシオン・カンパ・ウエゴ 博士(髄膜炎B菌の対抗ワクチンを作り出した人)から説明聴取。
「12年前にニューロパティの伝染があり、この病気について自然食の研究をはじめた。そのテーマは、人間の健康と食。そして、伝染病が食や栄養と関連していることがわかった。また、イタリアのマクロビオティクの方をキューバに招いた。彼は5年前から指導を、また、日本人の村本氏も一年前からキューバで働いている。最も必要で重要なことは有機農業。農家の側から人間のためになることをしなければならない。その国の厚生省とは、農業省。なぜなら、そこから健康が生まれるから。」
続いて、栄養学の専門家であるカルメン・ポラタ博士から説明聴取。
「現在の病気は、動物性の脂が多く、野菜やマメが少ないという食生活と関連している。健康な食を選ぶことがマクロビオティクの原則。コマーシャリズムに流されず、農家の健全な農法が人間の健康を守る。例えば、糖尿病では1年間で子どもの血糖値の69%が低下、大人でも24%が落ちるという成果が出たし、患者の81%が薬をやめ、入院をせずにすむようになった。」
キューバでは、病状を多い順に並べると糖尿病は第8位になる。それが、マクロビオティクの実践によって減ってきたという。
「喘息で入院する患者も15%が良くなり、患者の80%は良くなった。まず、薬が減った。すでに1,500人を治療しているが、ある患者は4種類の薬品を飲んでいたが、それが、6ヶ月で1.4、1年で0.8まで減った。」
Q:マクロビオティクは、ファミリー・ドクターの診療所でも厚生省と一体となり普及しているか。
A:いいえ、まだ、そこまではいっていない。しかし、各週で普及活動をしているので、だんだんと関心が高まってきている。ハバナよりもむしろ、他州のほうが関心が高い。
■在キューバ日本大使公邸
岩田大使の招聘により在キューバ日本国大使館の公邸を訪問。同大使より、キューバの現状について説明聴取。

■インタビュー
キューバの記者とインタビュー。
記者:日本とキューバとの差はあるか。
ツルネン議員:日本は有機農業の栽培面積は1%以下。キューバでは野菜がほとんど有機農業。また、日本では認証制度があり第三者機関のチェックが必要。
記者:日本でも有機農業は求められており、重要なのか。
和田議員:日本では食の安全・安心の見地から求められている。
ツルネン議員:食の安全性以上に環境汚染も深刻。
狩野議員:キューバの人々は有機農産物であることを認識して食べているのか。
記者:ハバナ市民よりも他州の人のほうが知識もあり、意識が高い。オルガノポニコはハバナ市内にもあるが、他にもある。
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| 5月3日(水) |
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■カミロンシエンフエゴス農場
ビナルデリオ州カミロンシエンフエゴス農場を訪問。
「ここは1983年に設立された協同組合(CPA)。現在は1,073ヘクタール、175人が働いている。その中で、14ヘクタールで稲作が行われており、年175tの収穫がある。」
ここでは、SRI=System of Rice Intensification(集約稲作法)農法で稲作を行っている。年2回の収穫で、1ヘクタールあたり、1回、9tという高収穫だ。1本の苗が最高80本になるという。ちょうど稲刈りをしていたが、1本の穂には約150粒の実がついていた。全部手作業で、刈った稲はドラム缶にたたいて脱穀していた。
乾燥の作業は女性の仕事で、長年の感で、乾燥の具合を見ているようだ。また、キューバの国民は精米された米を食べるようで、玄米を食べる習慣はまだない。
ここは、ダムが二つあり、そこでは魚を14tほど取っている。
■種苗研究所
種苗研究所(INCA)を訪問。ここは、昨日視察した熱帯農業研究所の下部組織で、バイオテクノロジーで種苗の開発をしている。博士や上級研究者が働いているが、国からの援助が少なく、スポンサーを探しているようだ。また、日本にもJICAを通じて、現在2人の職員が来日している。
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| 5月4日(木) |
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■ヒルベルト・レオン農場
サン・アントニオ・デ・ロス・バニョスにあるヒベルト・レオン農場を訪問。この農場は、CPA(協働組合農場)であり、持続可能な農業のモデル農場のひとつとなっている。ちょうど、ベネズエラからの視察団と一緒になる。農場の専門技師から説明聴取。
「農場の広さは450ヘクタール。労働者は130人、農繁期には70〜80人を雇用している。栽培作物は、バナナと料理用バナナ(野菜バナナ)、ニンジン、オクラ、フダンソウ(アセルガ)、ビーツ、キャベツ、トマト等野菜が100ヘクタール、トウモロコシ40ヘクタール、ヒマワリ10〜15ヘクタール、大豆15ヘクタール、ソルガム10ヘクタール。トマトは11〜7月に植え、反収270〜300?。ソルガム、大豆、ヒマワリは、トウモロコシと混ぜ、家畜の餌にし、牛は50頭、養鶏もいる。また、米も自給用に70ヘクタール栽培。いずれも有機栽培で、周囲の農場から牛や馬糞をもらっている。ミミズ堆肥など堆肥を作っている。またミコリザを肥料として使っている。」
農場には、堆肥袋が置いてあり、成分を質問すると、窒素が1.5%、リンは0.3〜0.4%、カリウムは0.6〜0.7%、カルシウムとマグネシウムが0.3〜0.4%、微量成分も400ppmあるとの答えが返ってきた。なお、こうした成分は土壌研究所で行っているとのことだ。農場では、その堆肥を広大なサツマイモ畑の畝間に手で撒布していた。
「他に輸出用にタバコをハウス栽培している。タバコには少しだけ化学肥料を使っており、20ヘクタールで点滴灌漑をしている。」
タバコ農場は見られなかったが、実際に農場ではスプリンクラーで灌漑を行っている。
「これはソ連製の「ボチャンカ」という灌漑施設。1時間で5,000リットル、直径12メートルをカバー。地下40〜60メートルから地下水をくみ上げている。」
次に種苗確保のための圃場を見学。自家採取で種子を確保しているとの看板が掲げられている。
「このムニシピオ、サン・アントニオ・デ・ロス・バニョスには2,500〜3,000ヘクタールの農地がある。ここでは、レタス、ヒマワリ、ピーマン等そのための種子を生産している。」
種苗圃場では2人が常勤で働いており、もちろん、種苗生産も有機無農薬である。
「病害虫管理の一つには、ニームの木を50本植えている。また、バナナではボーヴァリア菌をヘクタールあたり4kg撒布し、病害虫を防ぐ。アザミウマもトラップとボーヴァリア菌。コナジラミ(ホワイト・フライ、モスカ・ブランカ)には、バチルス菌も使っている。」
次に水田を見学。稲作の専門家、ホセ・パトリシア・ボレオ氏(技師)から説明聴取。
「私は5年前からこのCPAで働いている。協働組合の労働者の自給用に50〜60トンのコメを取るために。コメは農場の食堂に販売し、労働者にも売る。余れば市場にも出荷する。CPAで指導しているのは、@化学肥料を使わない、A農薬を使わない、Bアグロエコロジーを農家に導入すること。いずれも、キューバ全体の政策に基づいたもの。そのため、生物肥料、生物農薬、輪作を活用してる。エコロジーの立場から、モノカルチャーは良くない。まだ、完璧には有機ではないが、その方向に持っていきたいと思っている。1キロほど離れた稲作研究所からも援助を受けている。
稲刈りの後、牛を入れ、牛糞も入れている。地力を高めるため、セスバニア(緑肥)も活用している。土地を耕す2カ月前に種子をまけば80?になる。茎には窒素を含む緑の塊ができるので、これを土に入れる。ヒマワリ、野菜とも輪作している。魚の池もあり、アヒルを使い、収穫後に入れて21日間で太らせる。この水田では9人が働いている。教育・訓練を行い、人材を育成すること、適当な品種と田植えがカギで、反収250?〜300?を得ている。冬期は12月〜3月中旬まで140日。春は3月〜7月まで115〜120日かけて栽培する。稲作では6品種を使っているが、冬の時期には害虫がでるので、病害虫に弱い品種は冬期に使う。冬は反収300キロ、春は250キロを得ている。」
■ベジタリアン・レストラン
レーニン植物公園を訪問。女性の園長から説明聴取。
「この植物園には350人が働いており、教育、レクリエーション、科学の普及のため、4,000種の植物が集められている。椰子も200種類、スリランカ産の高さ50メートルにもなる椰子もある。また、1989年に日本人が作った日本庭園もある。」
公園内にあるレストランで食事をとりながら、女性シェフから説明聴取。
「このレストランは、キューバ人にどう野菜を食べさせるか、野菜の種類がどれだけあるのかを見せるため、1992年に作られた。キューバ人は甘いものや油が好き。健康食を普及させるため、日本料理も参考に世界中の食から学んだ。300種の植物が使われ、30万人以上が来訪した。インパクトはあったと思っている。また、栄養や健康食のため、TV番組や会議、ワークショップを通じて、セミナーもやっている。また、オルガノポニコもあり、コンポストも活用している。」
■全国人民議会表敬訪問
全国人民議会を表敬訪問。キューバには15の専門委員会があり、その一つ農業委員会レオナルド・マルチネス・ロペス農業委員会議長と意見交換を行う。
「私どもの国の有機農業には古い歴史がある。キューバの国会議員は600人、5年毎に選挙があり、直接投票で選ばれる。議員は自分の仕事に従事しており、議員給与はない。自分の仕事を終えてからボランティアで議員としての活動をしている。委員会が提案し法律を作る。議会は年に2回。議員は再選されれば何度もなれるが、ほぼ一回の選挙で議員の75%が入れ替わる。
キューバはとても貧しい第三世界の国。社会主義圏の崩壊で、化学肥料や農薬がなくなり、有機農業を真剣に考えた。生産し続けるには地力を付けなければならず、国際マーケットにも質の良い製品を売らなければならなかった。また、人間の健康を守ることも必要。人間が住んでいるところで農産物を生産しなければならなかった。こうした具体的な必要性が相重なって、持続可能な有機農業が始まった。都市農業が進展した結果、仕事が創出され、食のレベルも高くなった。有機農業を取り入れてから食文化が変わってきた。例えば、キューバは混血が多く、25年前はアジア系の人々が野菜を作っていた。伝統的にはクリスマス・イブに野菜を食べるだけで、伝統的な料理には野菜や果樹は入っていなかった。そこで、野菜を食べる習慣を創るため、まず学校から子どもたちに食べさせはじめた。
本当にプログラムが始まったのは1992年。ミミズ堆肥を使ったオルガノポニコが始まってから。それを指導したのはアジア系のモイセス・ショーオン将軍。国としては、野菜だけでなく、蜂蜜も振興し輸出しており、他にも有機の柑橘類、コーヒー、砂糖も輸出している。有機農業がはじまると、人民の健康を守るだけでなく、全世界のマーケットで農産物を売るため生産に力も入れた。」
Q:日本の自給率は40%だが、キューバでは、自給率をあげるための計画があるのか
A:計画はある。栽培技術を取り入れながらやっている。また、異常気象について、長期間雨が降らず、短い間隔でハリケーンが襲来する。長期間日照りが続き、ちょうど実りの季節にハリケーンが来る。最近も風速250mものハリケーンがあり、輸出計画が実現できなかった。今後は違った戦略、ハウス栽培のプログラム。こうすれば、季節の影響も受けない。小規模面積でも高収量をあげるため、技術も必要。昨年はひどい日照りがあった。貧しい国なので大変。ただ、砂糖価格があがったという良いこともある。石油価格が高いため、エタノールも良い値段になっている。もう一度、砂糖産業もPRしたい。
Q:キューバでは有機農業についてどう定義しているのか
A:都市農業では農薬・化学肥料を使っていない。化学資材がないので使えない。前から守ってきたが、もっと強く守っている。病害虫のバイオ・コントロールも行われている。GMOについては反対。種子でもGMOから国を守る立場にある。
Q:フィデル・カストロは有機農業についてどう思っているのか。
A:有機農業を最も推進しているのは、弟のラウル・カストロ。当初から全国普及に力を入れていた。毎年生産者のミーティングを行い、政府の指導部も有機農業に力を入れている。キューバの平均寿命は77歳だが、食べ方の文化を改善し、もっと野菜を食べればさらに長生きができるはず。寿命を長くするためにも、良い食べ方の文化を持ちたい。アジア、日本人のレベルに近づくならば、日本人よりも寿命が高くなるかもしれない。
Q:技術普及のために何をやったのか
A:一目にしかず。各地域にリサーチ・ファームを作り、2年間で大きな成果をあげた。現在、169のムニシピオで一日に300グラムの野菜を食べることをPRしている。27の普及プログラムも作っている。10年前、私は日本に行ったことがあるが、京都で、狭い町中のスペースを使って農業をしているところを見た。日本のような先進国でも空間をうまく活用していることがわかった。日本人は勤勉だなと思った。キューバのピノス島には日系人がいる。日本から移住して何十年も経つが、自分たちの文化や伝統を守っていることに驚かされる。
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| 5月5日(金) |
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■アラマル農場
アバナ・デル・エステにあるアラマル農場を視察。ミゲル・サルシネス農場長から説明聴取。
「ここは、100%有機農業。規模は3.7ヘクタール。87人が働いており、うち28人は女性。大学卒業者が12人、技術者が30人いる。土地は政府のもので、協働組合方式で、土地利用権を得ており、地代はとても安い。国有地を貸し出す制度は、キューバ全土でも展開。UPBCには現在30万人が働いている。
農産物の95〜98%は、農場内にある直売所で近隣住民に販売しており、老人クラブにも提供している。国営の販売所より4〜5割安い。量的にはまだ、1%にもならないが、レストランにも販売している。将来的には10%まで増やしたい。農地を6ヘクタール広げる予定であり、開墾作業も始まった。
良質の人材を確保することが重要。農場は労働者のアイデアで様々に工夫されている。」
農場は大変管理されており、雑草も少なく、虫もあまりついていない。防虫には、とうもろこしや、そるがなどのトラップの植物や、生物農薬が使われている。農場では32種類の作物が作られ、ドイツの援助でトマト・ピューレの加工場やハーブの乾燥もしており、野菜はプラグ苗で作っている。さらに、農地の一部は施設化されている。これは病害虫の進入を防ぐことと、露地に比べて遮光で収量が増えること、また、ハイブリッド品種が風に弱いためだという。施設化することで、キュウリはヘクタール200トン取れているという。
また、キューバ人にはキノコを食べる習慣がなかったが、キノコ栽培にも挑戦していた。これにもUNDPが援助しているという。
また、水にはマグネットを使っており、生産が15%アップしたという。
有機物は他の農場から持ち込んだ牛糞堆肥を使っているが、まだ不足している。とはいえ、農場の奥には大量の剪定枝や未利用有機物を集めた山があり、ここで堆肥づくりをしていた。
「ミミズ糞50%、籾殻堆肥25%、堆肥25%の割合で混ぜている。作物残差は5回切り返し、キューバは温度が高いため堆肥は70〜80日で不熟する」ミミズの糞工場で説明を聞く。
「協働組合は小さな政府。指導部は選挙で選ばれ、その中では規律も定められ、時間を守らない人は罰せられる。権利と同時に義務を定めている。CPAの口座が銀行にあり、給料は毎月支給。仕事の内容によって差があるが、最低保証は300ペソ。さらに利益によって、700ペソから1,500ペソになる。さらに昼食もでる。」
ちなみに、通訳のオスワルド氏によれば、キューバの月給は現在は平均300ペソ。最低は225ペソ、最も経験を積んだ医師でも600ペソである。
農場内に設けられたレストランで国際会議に出席している視察団、メキシコ、ベネズエラ、ドミニカ、モザンビーク、アメリカ、北朝鮮などからの視察者としばしの懇談。
■オルガノポニコ上海
オルガノポニコ上海を訪問。ここは、キューバの都市農業誕生の立役者とも言うべきモイセス・ショーオン元将軍が作った、ハバナで初めての都市農場である。ハバナの都市農業局長で現アクタフの会長エウヘニオ・フステル氏の出迎えを受ける。
併設しているバイオ農薬工場を見学。アントニオ技師から説明聴取。
「生産しているのは、ネマトーダ菌(アンタゴニスト菌)に効果があるトリコデルマ菌で、一袋8.95ペソで農場に併設された直売所でも売っている。米の屑を静地媒体に使い、10日ほど培養する。品質を証明して販売。世界中で農家が農薬を使いすぎ、人間の健康に害があることがわかった。農薬を減らすため、微生物農薬を作るようになった。エコロジー的な病害虫管理手法のひとつであり、やり方は植物防疫研究所(INIASAV)の指導のもとに行われている。」
■学校菜園
オルガノポニコ上海の近くにあるマリア・ビクトリア小学校を訪問。学校菜園を見学。キューバで最も力を入れ近代的に整備された学校だけあり、校舎もできたてで側面には絵が描いてある。菜園はその裏庭にある。校長先生から説明聴取。
「ハバナ市内400校のうち120校には菜園がある。菜園がなくても、例えば、アラマル農場は4つの学校に野菜を保障する義務、小中学校や幼稚園に週2回出す義務がある。そして、近くに菜園がない場合も子どもたちは都市農場に行って学習する。子どもたちに一日300グラムの野菜を食べさせることが政府の方針となっている。」
食堂にはキューバの野菜や果樹が写真で説明されている。
 
■農業資材店
有機、植物に関する相談と販売店を訪問。種、土、堆肥、栽培に関する本などが売られており、技術者が栽培に関する相談も受けている。相談は来店にはお金はかからないが、その家に訪問して指導する際には5ペソがかかる。こうしたショップは、プラヤだけで3ヵ所、ハバナ全体には52ヵ所あるという。農業普及の技師5人。一日に30〜100人が相談には訪ねるという。
■キューバの国際連帯、ラテン・アメリカ医科大
ラテン・アメリカ医科大学を訪問。在日本キューバ大使館のエルナンデス大使のたっての希望で視察に組み入れた。ラテン・アメリカ医科大学は、ハバナ郊外の旧軍事基地を利用して作られたもので、ラテン・アメリカ各地からの学生たちを、無料で医師になるためのトレーニングを行なっている。事務担当者から説明聴取。
「この大学は、1998年にフィデルの提案で誕生した。1998年にハリケーン・ミッチとハリケーン・ジョージが中米やカリブ海に大打撃を与え、ホンジュラス、グアテマラ、ニカラグア、ハイチと各国に医師団を送ったが、医師の数が少ない。そこで、キューバで医学を学ばせ、若き医師たちを養成しようとしている。敷地は12ヘクタール、4,000人の学生が学んでいる。
授業料、教科書、食事代すべてキューバが保障し無料。また、毎月100ペソの奨学金も出している。生徒はまずここで2年間基礎的な科学を学び、その後は国内に21ある医科大学で3年間学び、その後1年間実践し、6年で医師になるが、半年間は無料で医療活動を行うことが義務付けられる。2005年には初めて1,612人が卒業し医師となった。
入学資格は、都市から離れた貧しい農村出身であること、貧しいこと、25歳以下であること、そして試験もある。現在、28ヶ国から若者たちが勉強している。米国からも82人が学んでいる。
技術よりもまず患者を診ることが原則。資源がなくてもハイテクがなくても、連帯精神で患者を診ることはできる。」
■関係者との懇親会
視察日程を終え、今回の視察でお世話になった農業省、各農場関係者等と懇談。
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| 議員団から |
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『百聞は一見にしかず−キューバ視察をいかに活かすか!』
有機農業の可能性に疑いを持つ人には、ぜひキューバを訪ねて有機農業の成果を確かめてみることを勧めたい。一週間の視察だけでもその疑いが必ず消え去るはずだ。残念ながら「有機農業推進議員連盟」のメンバーの中にもいまだに「有機栽培はヨーロッパなどでは可能であっても、日本のような高温多湿な気候では極めて難しい。水稲は何とかできるとしても、野菜や果実の完全な有機栽培は不可能に近い」とはっきり言う議員がいる。しかし、もしその人たちが今回の視察に参加できていたなら、その考えは大きく変わったであろう。
キューバでは現在、野菜のほとんどすべてが有機栽培によって生産されている。従って「有機JAS」のような認証制度も必要ない。スーパーなどで販売されている野菜はすべて有機野菜であるからだ。例外はジャガイモのみ。キューバの亜熱帯気候はジャガイモには厳しすぎるので完全な有機栽培はまだ成功してないが、近い将来必ずやってみせるとキューバ農林省関係者は言っている。
キューバでは有機栽培技術の発展は国を挙げての取り組みで行われている。病害虫予防には伝統的なやり方と新しい技術があわせて使われている。肥料にミミズの糞をはじめ、生ごみや雑草などで作られたコンポストが使われる。
キューバの挑戦を日本の有機農業促進に役立てるために、例えば次のような日本の農業関係者にキューバへ視察に行っていただきたい:
1.農林水産大臣をはじめ、農林水産省の官僚たち。有機農業にすでに取り組んでいる関係者がいくらキューバの成功を報告しても役人たちはなかなか信じてくれないからだ。
2.農協(農業協同組合)の幹部にも、ぜひキューバの有機農業の実態を自分たちの目で確かめていただきたい。
3.慣行農業を行っている専業農家の代表者たち。化学肥料や化学農薬を使わなくても農産物が立派に育つことを彼らも信じていないから。
もしキューバまで行く余裕がなければ、日本にも成功例はすでにある。たとえば先日「全国農業新聞」で紹介された、福井県の藤本さんの例である:40ヘクタールの水稲すべてが有機JAS認証を受けており、家族5人と季節ごとのパートで営まれている。しかも生産米のすべてが全国の1,000人に契約販売されているという。
有機農業がヨーロッパだけでなく、日本やキューバでも立派に成り立っていることを一日も早く日本の生産者たちに理解していただき、有機農業に転換していただきたい。そうすることによって日本の農産物がより安全なものになるだけでなく、環境保全や生物多様性の回復にも大きく貢献することになるのである。
キューバで我々を終始案内してくれたのは、キューバ農業省の関係者たちであった。彼らは日本の農業関係者の視察をいつでも歓迎すると繰り返し述べていた。有機農業が日本でも農業の主流になるために貢献したいと言ってくれたのである。
もちろんキューバで有機農業がこれ程までに成功したのは簡単なことではなかったが、試行錯誤のすえ、わずか十年余りで現在のようなすばらしい結果を生んだのである。
キューバでできることは日本でもできると私は固く信じている。我々の視察に参加した他の13名の気持ちも同じであると思う。意思あるところに道がある。(ツルネンマルテイ参議院議員)
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