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有機農業推進議員連盟 農業農場視察(2008年5月31日)
日時:2008年5月31日(土)
場所:MOA自然農法文化事業団・大仁農場「瑞泉郷」(静岡県伊豆の国市浮橋)
視察団:
倉田 雅年 (衆議院議員)
重野 安正 (衆議院議員)
田村 謙次 (衆議院議員)
林  潤 (衆議院議員)
松本 洋平 (衆議院議員)
前田 武志 (参議院議員)
坂本 由紀子 (参議院議員)
水落 敏栄 (参議院議員)
中川 雅治 (参議院議員)
ツルネン マルテイ(参議院議員)

【圃場見学】

圃場での説明1 ・大仁農場は1982年に開設で、25年間自然農法(有機農法)を実践してきた。敷地内にはかつて茶畑があったが、それを造成しながら規模を拡大してきた。
・100haの敷地内の有機物を循環させて農業を行っている。茶畑や果樹などの耕地面積は11ha、牧畜のための草地が10haで、残りは山林などである。
・収量については、毎年徐々に上がってきている。
・山林の落ち葉や草を集め、肥料として使っている。慣行農業では化学肥料を使うが、そうすると落ち葉を集める必要がなくなり、山林に人の手が入らなくなる。すると山林が荒れ、生物多様性がなくなって病害虫が増えるという悪循環に陥る。ここではそれと正反対のことをやっているわけである。
・圃場では水の管理が重要。水の供給はスプリンクラーで容易にできるが、世界的な水不足を鑑み、いかに灌水施設を使わずにできるかを研究中である。
・作物を早く育てると売れるので、一般的には農薬や化学肥料を使って早く育てることが定着している。しかし、育てる時期を一週間だけ後にずらしさえすれば、有機堆肥だけでもよく育つことが分かった。
圃場の様子・ここは粘土質の火山灰土で、畑の表面には草が覆いかぶさっている。作物を植える時には、この草をよけて植える。畑の土はスポンジのように柔らかい状態で、棒を刺すと1mくらい刺さる。他の土地では、違うやり方もあると思う。
・有機農業とは、作物に根をたくさん張らせることだと考える。従って、土は柔らかくなければいけない。
・慣行農業では化学肥料を使うが、吸収されるのは48%だと言われている。残りはガス化して地球温暖化を促進したり、硝酸態化して沈んでいって地下水汚染を引き起こしたりする。これに対し、有機農業では、根をたくさん張らせて育てるのである。
・種子については、8割が自家採取である。ただし、ブロッコリなどは自家採取が難しい。
・連作試験をしており、キャベツは17連作している。春はそれほどでもないが、秋はよく育っている。外側の葉は虫に喰われているものの、天敵のおかげで害虫が広がらず、一箇所にとどまっている。
・耕起すると虫が死ぬが、不耕起の場所が近くにあると、虫が多様化する。
堆肥づくりの説明・土づくりについては、草を3年寝かせて堆肥化するということをしている。こうしてできた堆肥はキャベツ畑などに入れているが、それでも畝の表面にのせているのみである。他方、サトイモの場合には入れず、敷き草のみで循環させている。
・草を集めるのも労力がかかるので、例えば冬場に麦を作ってその葉を堆肥にするというように、できるだけ圃場の中だけで循環させることを試みている。
・土が硬いところでは、粗い堆肥を入れている。
・小麦は11年連作をしており、化成肥料を使った場合、牛糞を使った場合、草質肥料を使った場合の比較試験を行っている。いま最も育ちがいいのは牛糞の場合で、10年目くらいから化成を抜くような出来になった。他方、化成は土が酸性化して固くなってきており、新たな資材を入れないといけない状態である。
・連作障害で害虫が出てきても、すぐに天敵が出てきて拮抗するようになる。
・果樹も無農薬でやっているが、ビニールは使っている。交配にはミツバチを用いている。
・家庭菜園と呼ばれる区画では、大規模でやる前に、まず小規模で試すということをやっている。ちなみに、ここでは年間60品目を栽培している。
・家庭菜園では、例えばサトイモを5〜6年連作している。植えるところにスコップで直径30cm程度の穴を掘るだけで、他は耕さないでやっている。


【講演(自然農法の説明)】

(1)自然農法取り組み概況(木嶋氏)
・全国の農業を見ていると、大規模で新規就農が多く販売力を持った専業農家と、そうでない兼業農家とに二極化しているようである。
・ここ大仁農場の研究課題は、播種と定植である。
・自然農法で作りやすい作物は、イモ類や根物、穀物、水稲などである。逆に作りにくい作物は、それ以外の野菜や果樹で、雨よけなどが必要となってくる。
・作りにくい作物の場合、近くで害虫の天敵となる虫を育てる工夫をする。具体的には、違う種類の作物を近くで作ったり、小さな草地を作ったりといったことをして、生物を多様化させる。
・雑草・病害虫対策には、こうした植生配置(間作、混作)や、輪作、連作が有効と考えている。
・植生配置の例としては、ヒガンバナが挙げられる。野ネズミやモグラにとって、ヒガンバナは忌避植物である。また、ソルゴーで天敵を育て、マリーゴールドで害虫を忌避させるといったことも好例である。
・草生栽培については、トマトで成功している。
・連作を行うと、拮抗菌が増える。連作障害が出ても、さらに連作を続けると収量が増加するということが、国際学会でも認められている。海外ではこれをDisease declineと呼んでいるが、イギリスのロザムステッドの農場では130年連作を行っている。
・地力窒素の発現があると、無施肥でも施肥と同じくらいの収量がある。作物を育てる上で適期を捉えることが重要になるわけだが、昔の農家は、例えば「カッコウの初鳴きと大豆の播種」、「ヒバリの囀りと麦の収穫」といったことを指標としていた。
・冷害の年について言えば、慣行よりも有機の方がよく育つようである。
・植物は条件が良いと栄養繁殖しない。この法則を生かした栽培をすることも重要である。例えば、葉物・根物は、条件を良くして甘やかす。逆に果物やトマトなどは、条件を悪くしていじめる。ジャガイモの場合、半分に切った後、切断面を上、すなわち芽が下を向くように逆さに植える。そうすると、強い芽のみが出てくるようになる。こうして出てきた芽は病害虫に負けることはない。

講演の様子(2)農医連携に向かって(水野氏)
・現代は、知と知の分離、過去・現在・未来の分離など、分離が進行している。農業と医療の分離もその一つであるが、両者は本来、連携すべきものである。
・岡田茂吉氏も語っているように、その土地に生じたもの、それぞれの季節に見合ったものを楽しんで食するということが大切である。
・大仁農場では、農医連携を実践している。農場の近くには奥熱海病院があるが、農場は患者の食事の食材を生み出し、花苑は観賞用の花を提供し、森林は格好の散策路となっている。このように、奥熱海病院では園芸療法や理学療法を積極的に取り入れ、大仁農場の環境を最大限に生かしている。なお、理学療法の一環として、膝などへの負担を軽減するためのスティックを用いた山林散策「ノルディック・ウォーク」を奨励している。
・自然農法普及会は全国に生産者を抱えているが、こうした農医連携は大仁だけでなく、健康増進セミナーを各町で行うなどしている。
・現代日本の「飽食」は、いずれ「崩食」となるだろう。海外で生産された農産物を運んできて日本国内で消費するといういまのスタイルは、海外の農地を疲弊させる。また、農産物の運搬のための化石燃料の使用は、地球環境にとって負荷となる。すでに農産物の価格が高騰しているように、こうしたスタイルを続けていけば、農の崩壊・食の崩壊につながる。
・地産地消、すなわち生産・流通・消費の統合が、いまこそ必要である。


【意見交換】

水落議員 我々には、先ず健康な体が大切であり、そのためにも食の安心、安全で、化学肥料を使わない、有機農業を推進する活動を行っている。今日は、こうした自然農法に60年間取り組まれているMOAの大仁農場の視察をさせていただきました。
 さっき見せていただいて、ジャガイモを植えるのに、切り口を上にして植えるとより強いものができるということなどは、大変勉強になりました。
 先生方のなかで、お伺いしたいことがありましたら、お願いしたいと思います。
前田議員 木嶋先生に聞きたいのですが、今のジャガイモのこともそうなんですが、農家の方々は先祖伝来受け継いで、以外とキチッと検証せずに、ただ、ズーッと言われた通りやってきたということで、土壌であったり、土壌のもっている多面的なすごい力を検証していくと、今のジャガイモのようなケースになるのかなと思いました。意外と農業というのは、検証がされていなくて、その積み重ねの上に農政そのものも成り立っているのではないかという感じすらある。そのあたりの先生の見方を教えていただきたい。
木嶋氏 戦前は伝承的な農業が中心で、あまり科学的な農業はなかった。今まで継承されてきた技術みたいなものを掘り起こす必要がある。それが、戦後なくなってしまった。化学肥料と農薬が簡単に手に入るようになってしまい改良されなくなってしまったところを、改良する必要があると思います。
 もう一回科学者の目をそちら側に向けるようにすべきで、そのために、有機農業の推進がこれでいいのかということで、やはり、○○研究機関をもう少し、動かすようなことをやっていただくといいのではないか。できるだけネットワークをつくるようなことをやっているのですが、なかなか力が弱くて、先生方の力を借りてやっていきたいと考えています。
水野氏 有機農業のもとをたどっていくとアジアの伝統農業に行き着くと思う。循環型の農業はインドにヒントを得ている。土を守り、作物をつくっていく有り様に科学性を見出してきたものが、有機農業のベースになっている。
 従って、日本にもともとあった伝承技術というものは、宝物だと思う。それを科学の目でキチッとしていくというのが大事なのだと思う。
林議員 このMOAガイドラインの32頁を見ていたのですが、地域で再生可能な資材と書いてあるなか、米ぬか、もみ殻、豆腐カスと書いてある。豆腐カスで気づいたことがあるが、これは、今も使っているのですか。
木嶋氏 すぐ、腐ってしまうので、多くは産業廃棄物として処分されてしまう。
林議員 私の地元の豆腐組合から相談を受けたりしているのですが、本来は、堆肥か何かで使えるものなのだけれども、足が早いので、産業廃棄物として処理せざるを得ない。コストがすごくかかる。
 地域で有機農業が盛んになってくれば、そういうところで、豆腐カスは使えると思うのですが、是非モデルケースでより良い形をつくっていただきたい。豆腐カスを無駄にしない取り組みは必要なのではないかなと思う。
木嶋氏 有機農業をやる人がどれだけ増えるかで、豆腐カスが利用されるかどうかが決まってくると思う。
水野氏  伊豆長岡は、観光で、旅館が多いところでもあり、生ゴミの再利用について、生ゴミの堆肥づくりは、一生懸命にやっている。豆腐カスも使ってやってみた経緯もあり、非常に良かったという経験もある。事実をつくって、大きな仕組みでやれるように考えたい。
前田議員 使う量が多くなれば、システムもつくりやすくなりますよね、広域で、流通ルートが出てきますよね。
中川議員 MOAの自然農法というのは、先程お話しがありました統合医療と結びついて非常に効果があるものと思うんですね。食事療法、いけばなの療法、森林浴など。多分医学的にまだ、十分に検証が進んでいないと思うんですが。
 化学物質過敏症の方が70万人とのお話しもありましたが、そこまでいかなくてもそういうようなことが原因で病気が治りにくくなっているという、そういう意味では多分、化学物質を農薬として撒いていると、空気の汚染の原因になっていることが沢山あるんじゃないかと思います。そういう意味では、自然農法と医療が結びついていくというのは非常に意味がありまして、私は統合医療を推進する議員連盟というのがありまして、参加しているんですが、最近は運動が鈍っているようでありますが。ですから、この有機農業の議員連盟と統合医療を推進する議員連盟が連携をして活動をしたらいいんじゃないかなというふうに思います。
 私は元々環境庁で局長、事務次官をしたんでありますが、循環型社会の形成というがこれからの絶対的な要請になってくると思いますが、そういう意味では正に大仁農業は循環型社会を実現している非常に素晴らしいモデルケースだと、そういう意味でも自然農法という切り口と循環型社会の形成という切り口からも、自然農法のこの大仁でやっておられることをですね、循環型社会の形成という切り口からも広めていきたいというふうに思っております。これは質問でなく私の意見、感想であります。
松本議員 今日は大変に有難うございました。私の地元は都市部でありますが、まだ沢山農地が残っているところでありまして、興味深く拝見をさせていただきました。
 それで、端的に一つ聞きたいのは、我が国に有機農業、自然農法というものが普及するにあたって一番障害になっているものは何なのか、是非教えていただきたい。
木嶋氏 消費者意識が低い。生産しても売れない。
松本議員 それは値段が高いということですか。
木嶋氏 そうじゃないんです。例えば紀伊国屋とかで扱っている自然農法、有機農産物というのは売れる、あそこで買う人はステイタスが高い人たちなんです。一般のところで売っていて、それを食べた方がいいという消費者意識がなさすぎる。消費者教育を如何にしていくかというのが、生産を伸ばす一つのことがと思っています。全国を歩いた中で、北海道から沖縄まであるいた中で、生産はできたが販売ができない、これが大きな足かせになっていますね。
松本議員 そういう意味では今まであまり注目をされてこなかったところだと思いますし、そういうところも含めてしっかりと手掛けられるというような。
木嶋氏 そうですね、だから自然農法というのは環境問題、健康問題、そうしたところからやっていかないと消費者意識は上がらないと思います。つまり、有機農産物を消費者が食べることによって地球環境にこれだけやさしいと意識が上がってくると、もっともっと拡がってくると思います。
重野議員 まだ半信半疑だ。
 木嶋先生は農学者として最初からこの道でこられたのか、それとも反省の上に立って今あるのか。
木嶋氏 自分は、昔は農薬の空中散布を推進していた。農薬散布はちょうどお盆の時期と重なるが、お盆の前に家の上から農薬の空中散布をすれば、蚊などの虫を退治できるなどと指導したことさえある。指導に従った農家から、目が痛いなどの障害の報告を聞かされたこともあった。そんなことをしているうちに、しだいにこのままではいけないと思うようになり、そういう意味で反省の上にたって今、研究普及している。
意見交換の様子水落議員 有機農業の普及のためには、やはり流通の問題が最大の課題だと考える。
ツルネン議員 この有機農業、自然農法は同じだろうとう思っていますが、じつは私の母国フィンランドでは、オーガニックファームというですけれども、ルオムという言葉があるんです。そのルオムというのは自然農法、有機農業を含めた有機的な生き方と、もし日本語に訳せばなるんです。つまり、今日ここで私が感じたのは、農、食、医、これを一つでまとめて考えないと中々進まない。だから私たちが今先頭に立ってできた法律も、一応一歩前進であり、これは有機農業の推進です。でも、できれば何らかの形で私たちは、病気にならない生き方ということを、この医療を、或いは食も一緒にできるような次のステップの法律を、或いは議員連盟を幅広く、これも前から考えていたことでありますから、そういう意味で今日ここで私たちは非常に勉強になりました。
 また、先程何故有機農業が進まないのかとの質問がありましたが、私が感じておりますことは、大規模農家、或いは今まで慣行農法でやっている人たちに、有機農業が趣味でなく大規模農家でできるということを私たちは見せたいと思います。
 しかし、もっと明るいニュースもあるんです。農水省の調査では、慣行農法でやっている人の5割ぐらいは、条件が揃えば、或いは一部を有機農業に切り換えたいと思っているということなんです。 だから私たちのミッション、使命というのは、如何に農薬、科学肥料がもういらない有機農業というのがある。そしてその農法を、知りたいと思っている人に教えること。これは私たち議員連盟だけでなく、農水省、そして、皆様と一緒にがんばりたいと思います。
 私たちはこれからももっと使命感をもって、議員としてこの有機農業を推進して参りたいと思います。有難うございました。





日程:
11:30 MOA自然農法文化事業団・大仁農場 圃場見学
12:30 昼食・懇談
13:30 自然農法レクチャー
    (テーマ)「有機農業推進法にもとづく大仁農場の取り組み紹介」
       自然農法取り組み概況    木嶋利男 農学博士
       農医連携から統合医療実現  水野昌司 常務理事
14:30 意見交換
15:20 終了


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