< キッチン ガーデン >
毎日新鮮な食材がマイガーデンからとれるとしたら、とても幸せなことです。畑を借りて本格的に
野菜づくりに励みたいという人もいますが、ここではマイガーデンで、量は少なくともスマートなか
たちで食卓を賑わしてくれる方法を考えてみたいと思います。
つまり、全面的にマイガーデンを使って野菜作りをするというのではなく、ガーデンとしての雰囲
気を損なわずに、少しでも食卓に上がるものを楽しみながらつくるという考え方です。
○ 簡単なベジタブルからはじめる
植える野菜の種類ですが、ベテランの人は別として、初心者〜初心者プラスα程度の経験の人は、
高望みをせず、あまり難しくないものから始めましょう。
徐々にランクを上げていくことが無駄なく、無難に収穫の喜びを味わえます。
ミニトマトがとても良くできたからと言って、普通サイズのトマトをやってみても、なかなかうま
くいきません。同じトマトでも栽培の技術レベルがかなり違います。
また、サツマイモのように栽培に面積を要するものや、キャベツやサトイモなど一株の大きなもの
も、一般のキッチンガーデンとしては難しいでしょう。
直接植えるにしても、コンテナ栽培にするにしても、先に述べたように、できるだけマイガーデン
の雰囲気に著しくそぐわないものは避け、できるだけコンパクトに、病害虫に強く、日頃の管理がや
さしいものから始めたいものです。
○ 少しずつ収穫できるベジタブル
マイガーデンでできるベジタブルとして、欲を言えば、いっぺんにドッと収穫の時期を迎えるので
はなく、毎日の食卓に上がるように、少しずつ次から次にと収穫できるものがベストでしょう。
この意味ではなんと言っても、実物ではミニトマトがトップクラスのキッチンガーデン・ベジタブ
ルになるでしょう。
ミニトマトは、次々にでき、収穫の時期が長いのも大きな魅力です。これと言った病害虫もなく、
わき芽を摘みながら枝を誘引してやれば、どんどん成長し伸びるそばからブドウの房状に花芽が付き、
小さな実ができてきます。5、6本もあると最盛期には収穫が追いつかなくなるほどです。
コンテナ栽培も簡単で、植えた後は野菜・実物用のハイポネックス等の液肥を、定期的にやってお
けば十分でしょう。
いずれにしても、ミニトマトは初心者にとって、最も簡単に収穫の喜びが味わえるベジタブルです。
利用用途も、サラダからパスタ料理、お弁当、つけ合せ等、とてもバリエーションが広いのも魅力で
す。また最近は、甘みが一段と強い種類のものも出てきました。フルーツ感覚で、いくらでも口に入
ってしまうものもあり、小さいお子さんのいる家庭には、もってこいのベジタブルでしょう。
これに次ぐものでは、シシトウ、インゲン類、イチゴ、オクラ、ナス、ゴーヤなどがあり、栽培も
比較的簡単です。
葉物では、シソ( オオバ )、パセリ、ミツバ、クレソンなどが時期が長く、摘んでも次から次へと
新しい芽、葉が伸び、食卓を賑わしてくれます。
ゴーヤのとりごろ
最も簡単にできる、キッチンベジタブルのひとつ。
三々五々次々と実り、いつの間にか大きくなってい
るので、数本あれば毎日のように収穫できる。
日当たりさえよければ、病害虫もほとんどなく、
元気に育つ。
蔓がよく伸び、葉もよく繁るので、夏の日除け棚、
日除け柵としてもおすすめ。
オクラの花と実
キッチンベジタブルの中で、最も花の美しいもの
の一つ。
なかなか気難しいところがあるが、日当たりがよけ
ればよく育つ。
シシトウのように、たくさん実がつかないので、2、
3人の家庭では10株ほど植えれば、週に何回か食卓
を賑わす。
○ 収穫時期は短くともその季節だけの旬のもの
次から次に収穫できるのも大きな魅力ですが、まさにその季節だけの、旬のものがマイガーデンで
収穫できるのも、とてもすてきなことです。
季節の到来を知らせるような山菜類も、短い時期だけの季節の味として、食卓に欲しいものの一つ
です。その時期になればお店でも売っていますが、新鮮なものは高価なものです。
そんな季節を知らせる山菜類の中には、マイガーデンでも育て、収穫できるものがあります。
● マイガーデンでもできる代表的な山菜類
サンショウ(キノメ、山椒の実) タラノキ(タラノメ) フキ(フキノトウ、フキ)
ツワブキ(フキ、キャラブキ) アケビ(若ツル、実) セリ クサソテツ(コゴミ)
ギボウシ(ウルイ) ゼンマイ ヤマノイモ(ムカゴ)
ここに挙げたのは、マイガーデンんの雰囲気に溶け込むものを選んでありますが、ギボウシなどは
花もきれいで、半日陰でよく育ち、その場を引き立てるほどです。
− サンショウ ー
サンショウの若葉はキノメと言われ、ちょっとした料理のツマとして人気が高く、ぜひマイガーデ
ンから食卓に乗せたいものです。
サンショウは山木ですが、樹形も端正で趣きのあるものです。半日陰以上であれば丈夫でどこでも
よく育ちます。ツマに使えるみどり鮮やかで柔らかい若葉は、ほんの1週間ちょっとの短い旬ですが、
晩春から初夏の、香りと見た目、ピリッとした味わいは三拍子揃った旬そのものです。
サンショウは丈夫なので、この若葉を思い切りとっても次からすぐ芽が出てきます。不思議なこと
に、二番手以降の若葉は最初から少し硬く、初物にはとうていかないません。
サンショウの若葉
摘みごろの若葉。すぐ色が濃くなり
硬くなる。
− タラノメ −
山菜の王様と言われるタラノメも、最近はマイガーデンから食卓に乗せることができます。
タラノメは、タラノキという木の新芽です。本来タラノキは、一部の山に生えている山木ですが、
タラノメ人気により、栽培されるようになりました。都会でも売っているのは、ウドのようにほとん
どが、この栽培品です。
このお陰というわけではありませんが、このタラノキの苗木が産直店や園芸品店でも売られるよう
になり、手に入れることができます。
タラノキはまっすぐ棒状に伸びるので、マイガーデンの端に植えておいても、じゃまになりません。
ただし、日当たりの良いところが条件で、トゲにも注意しましょう。
タラノメは、この棒のテッペンにできる新芽です。全部とると枯れてしまうので、必ず新芽を少し
残しておくことが大事です。この点、枝のたくさんあるサンショウとは違い、注意が必要です。
− フキ −
都会の店で売っているフキは茎も太く大きなもので、栽培用につくられたものです。
ここでいうフキは、山の沢筋に生えていたり、昔の民家の裏庭などに見られた、茎丈30cm前後
のフキのことです。
フキは、半日陰の湿ったようなところが適地です。マイガーデンの条件の悪いところでも、けなげ
にひっそりと生え、フキノトウにより季節の到来を知らせます。この若茎は、筋も少なく、売り物の
フキより小味が利いて、とてもおいしいものです。
− ツワブキ −
ツワブキは、秋から冬に黄色い花が咲き、日陰地の根占めなどに利用され、どこでもよく見かける
ものすが、食べられることを知らない人も多いようです。九州地方ではフキと言えば、ツワブキのこ
とを指すくらいよく食べられています。どういうわけか東の方では、本当のフキがたくさんあるせい
か、あまり食卓で見かけません。
若茎を煮付けたり、あえもの、佃煮など、フキと同じようにおいしく食べられます。
キャラブキは、本来このツワブキからつくったものを指します。
− コゴミ −
コゴミも山菜としては、王様クラスの高級山菜です。旬の天ぷらとしては最高の素材でしょう。
コゴミはクサソテツの若芽です。クサソテツは、葉の長さが大きいものでは1m近くにもなり、葉が
根元から逆円錐形に伸び、独特の風情と存在感があります。
このことから、モダンな和風の庭や洋風のガーデンにもよく似合い、他にない雰囲気が作り出せる
ので、ファンも多くいます。
本来クサソテツは、山地の林内に生えているものなので、半日陰地を好みます。条件が合えば、地
下茎でどんどん増えます。 増えすぎて数量調整のためであれば、おもいきり取れますが、若芽を全
部とってしまうと、その株からはもう芽が出なくなります。クサソテツの独特の風情を楽しむのであ
れば、その点も考えながら採取しましょう。
半日陰の少し湿ったところを好むクサソテツ
これはまだ出たばかりの若葉。 コゴミとして
食べられるのは、若葉がまだ巻いているうち。
< ベジタブルに適した土壌 >
・ 土壌を踏むとフカフカと柔らかい。
・ 手で握り、少し押すとバラバラと崩れる。
・ pHが弱酸性(pH6程度)〜中性(pH7)の土壌である。
およそ以上のような土壌であれば、あとは肥料をやるだけでベジタブルが育てられます。
しかしながら、何もしないで、このようにベジタブルに適した土壌になっていることは、ほとんど
ないでしょう。やはり良いベジタブルをつくるためには、土壌もベジタブル栽培に適したような土壌、
つまり土壌改良してつくらなけばなりません。
他の植物もそうですが、ベジタブルをつくるには、特に土壌環境に注意をはらう必要があります。
普通の住宅地の土は、庭木はよく育っても、満足できるベジタブルはなかなかできません。
土壌改良し、ベジタブルに適した土壌にすることが必要です。
コンテナ栽培やそれほど広くないところでやる場合は、ベジタブル用の用土を購入し適切な肥料を
与えれば、まず問題ないでしょう。
キッチンガーデンとして、少し本格的に行いたい場合には、事前にその土地がどんな土壌環境なの
か知る必要があります。
・水はけが悪いのか、いつも乾いているのか。
・赤土なのか、粘土質なのか、畑のように黒土なのか。
・硬い土壌なのか、砂ぽっく柔らかい土壌なのか。
・酸性土壌を示すハコベやスギナが生えていないか。
およそ、以上のような点を調べて、知ることが大切です。
先にもふれたように、ほとんどの住宅地の土壌環境は、そのままではベジタブル栽培に適してい
ません。赤土或いは黒土の土地でも、固く締まって、水はけがあまり良くない、酸性土壌のところ
がほとんどです。
酸性土壌(pH4〜5)では良いベジタブルができません。多くのベジタブルは、弱酸性(pH6程度)
〜中性(pH7)を好みます。ハーブ類は、中性〜弱アルカリ性(pH8程度)を好むものが多いものです。
ガーデンが酸性土壌であることを前提として、事前に苦土石灰を1u当り200g(およそコップ1杯)
程度を撒き、中和しておけば安心でしょう。詳しく知りたい場合は、pH測定キットで調べれば間違
いないでしょう。
山を削ったり、切り土して新しく作られたような宅地は、とても硬い地盤なので、人手で土壌改
良するのはとても大変です。もし、時間が許すのであれば、植物の力で土壌改良したいものです。
このような硬い地盤のところでは、畑土をつくる第一ステップとして、まずキビやアワを育てま
す。これらの強い穀類は、硬い地盤でも根が深く割り込み、根の力で硬い地盤を崩して柔らかくし
ます。そしてほとんど養分のない地盤に、有機質を徐々にもたらします。
多少時間が掛かりますが、先代の開墾の知恵を偲びながら、ゆっくり土壌改良するゆとりが欲し
いものです。
オーガニック(有機栽培)を基本に、少し腰をすえてキッチンガーデンをつくる場合は、土壌改良
や中和のやり方、腐葉土、堆肥のつくり方等について、オーガニックガーデンのページで詳しく述
べていますのでご覧ください。
< 肥料の与え方 >
よい収穫を得るためには、やはり適切な肥料を与えなければなりません。
肥料は大きく分けてチッソ、リン酸、カリの三要素があります。それぞれみな必要な肥料ですが、
実物、葉物など収穫する種類によって、どの肥料分を多くしたらよいか異なります。
チッソは「葉肥え」といって葉や茎を育て、リン酸は「実肥え」といわれ開花や結実に大きな役
割を果たし、カリは「根肥え」といって根の成長や耐寒性、耐病性を高めるはたらきがあります。
ミニトマトをたくさん実らせるにはリン酸を、コマツナにはチッソ肥料を、ラディッシュにはカ
リ分の肥料を、それぞれ多めに与えることが肝心です。
最近は、わかりやすく絵付の説明が書いてあるものがありますが、配合肥料、化成肥料を選ぶ場
合は、この三要素のことを知っていると間違いありません。
○ 元肥(もとごえ)・・・タネまきや植え付け前に、施しておく肥料のことで、すぐ効かな
くとも、ゆっくり効く肥料(遅効性肥料)を与え、長期間肥料効果
があるようにします。
元肥によく使われるのは、いろいろな肥料分が入っている堆肥や
油粕、鶏フン、骨粉、牛フンなど有機質肥料を主体に施し、化成
肥料は補助的にします。
○ 追肥(ついひ)・・・・追肥は元肥の効果がなくなったころ、後から施す肥料で、早く効
く肥料(速効性肥料)を中心に与えます。
ポイントは最初は株元の近いところに施し、成長に合わせてだん
だん株元から離れたところにやるようにします。チッソとカリは、
雨で流出し不足ぎみになるので、追肥は大事な作業です。
また、追肥とともに周りを少し耕し(中耕、土寄せ)、土壌を柔ら
かくして酸素が行き渡るようにします。
● 場所をとらずに育てやすいキッチン ベジタブル
− 葉 物 −
コマツナ シュンギク チンゲンサイ ニラ ナバナ( ナノハナ )
ミツバ シソ パセリ キョウナ( ミズナ ) セリ クレソン
メキャベツ アサヅキ ワケギ フキ サラダナ アスパラガス
サンショウ
− 実 物 −
ミニトマト ピーマン パブリカ オクラ ミニカボチャ ナス
インゲン スナックエンドウ エダマメ トウガラシ シシトウ
イチゴ ゴーヤ キュウリ ヤマノイモ( ムカゴ )
− 根 菜 −
ラディッシュ ミニキャロット カブ ショウガ
− 木 本 −
サンショウ ゲッケイジュ ブルーベリー ブラックベリー
ラズベリー
木蔭で育つシイタケ
菌を打ち込んだシイタケ原木を、マイガーデンの
邪魔にならない木蔭において置くだけで、シイタケ
が次々と育つ。
シイタケも自前の安全なものに、こだわりたい。
● ベジタブルの日当たり環境
− 日当たりが十分必要なもの −
ミニトマト ピーマン類 キュウリ ミニカボチャ マメ類
ゴーヤ ナス ミニキャロット ラディッシュ イチゴ 等
− 日当たり時間が少し短くても大丈夫なもの −
コマツナ シュンギク ニラ ワケギ アサヅキ ニラ
アスパラガス カブ サラダナ クレソン 等
− 半日陰でも育つもの −
セリ ミツバ ミョウガ フキ ツワブキ コゴミ パセリ
シソ ギボウシ ゼンマイ ミョウガ 等
● 連作に注意を要する ベジタブル
ミニトマト トウガラシ シシトウ パブリカ ピーマン ナス
チンゲンサイ インゲン スナックエンドウ イチゴ メキャベツ
ワケギ アサツキ ニラ オクラ ミニカボチャ カブ
ゴーヤ エダマメ
< 土地、環境との相性 >
草花からすべての植物に言えることですが、日当たりから土壌、肥料などすべての条件
が適していても、どうしてもその土地に合わないことがあります。
「好きな草花を何回植え込んでも花付が悪く、いつの間にか衰え、消えるようになくなっ
てしまった」又は、「いくら手を掛けても満足いくように育たない」、「向かいの家では
良く花が咲くのに、同じ条件でもうちのはどうやっても見劣りがする」などなどです。
逆に「こんな最悪なところなのに良く育つ」、「本当は難しいはずなのに、ほとんど手
をかけず肥料もやらなかったが、良く咲いた」という場合もあります。
人にも相性があるように、その植物とその土地、その植物とその人にも相性があるよう
に思えます。 これは非科学的ではありますが、このような相性はやはり多少あると思い
ます。 では、このような場合、どうしたらよいかと言うと、あまり深追いしない方がよ
いと思われます。
プロではないので、相性の良いものを楽しみながらつくりたいものです。
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