2001.2.25 その1日


ファンとしてはとうとうやってきてしまったその1日。
2001年2月25日この日をもって彼は鞭を置く。
引退当日の残り4鞍、私はその姿を目に焼き付けるため中山競馬場に足を運んだ。


この日の中山競馬場、重賞レース(中山記念)があるとはいえ通常よりも混んでおり、
パドック・ウィナーズサークルは異様な雰囲気に包まれた。

この日の第1レースから確勝級の馬にまたがることとなる。
3歳牝馬限定の未勝利戦。
ここ2戦3着2着と惜敗続きのフィフティーンラブである。
「引退するまでに何とかこの馬を勝たせてあげたい」
スポーツニッポンのコラムにもコメントしていた。

単勝1.4倍。
彼への期待の表れであろうか・・・

関係者の期待、ファンの期待に応えたい。
そしてこの馬のためにも・・・・
跨ったときの彼の表情は仕事人であった。
中山1800のダート戦。
ゲートが開いて的場さんとフィフティーンラブは
無理なくハナにたつ。
しかし直後に蛯名騎手騎乗のラフィカに
ぴったりとマークされ場内騒然。
様々な声がクロスするなか一団は向正面から3角へ。
私も一瞬大丈夫かなと心配になった。
しかしそんな考えも希有に過ぎなかった。
3角を回ったところで蛯名の手綱が動き
右ムチが入る一方でフィフティーンラブは
絶好の手応えであった。
そうなれば後は引き離すだけ。
「的場〜そのまま〜」の声援に後押しされ先頭でゴールイン。
大差の圧勝劇であった。
1440勝目。ファンとしてはたまらない瞬間だ。
ゴール直後は周りの的場ファンと一緒に
拍手喝采の大騒ぎである。
ウィナーズサークルとスタンドからは
「的場さんオメデト〜」の声援。

人気馬で背負ったプレッシャーもあったのだろうか?
的場さんちょっとホッとしたような表情だったな〜

おめでとうございます。
2R、3歳未勝利ダート1200。
ホッカイラヴを管理する柴田欣也調教師も
この日をもって調教師引退となる。
これでまた勝てば最高の演出なんだけどな。

スタートして果敢に先行集団に食らいつくも力及ばず5着。
引き返してくる的場さんが上を見上げて笑顔。
何かなと思ったら
ゴンドラ席の人たちを見ていたようです。
どうやらご家族の方々ではないかと思いますが。
(勝手な推測ですが)(笑)
4R終了時点でウィナーズサクル周辺には人が集まりはじめる。
5R終了後のお昼休みの時間帯に引退式が行われるのである。

刻々とその時刻がせまる。
5R終了後JRA職員らが式の準備を進める。

検量室から西山牧場の横縞の勝負服にブレザーを羽織った
的場さんが登場。

いよいよ引退式の始まりである。
ターフビジョンにはこれまで獲得したG1の映像が流される。
ドクタースパート、リンドシェーバー、ライスシャワー、
エリモシック、グラスワンダー、エルコンドルパサー、
エリモエクセル、アグネスデジタル。
G1 13勝の一つ一つを噛みしめていく。

私が一番印象に残っているのが1999年の有馬記念。
同じこの中山の舞台。
壮絶なハナ差で制したグラスワンダーと的場さんの姿は
今でも想い出す。

G1の一つ一つを語る的場さん。
改めて彼は素晴らしいジョッキーだと想う。
花束贈呈。
様々な関係者から花束が的場騎手に贈られる。
まずは騎手会副会長的場さんと同期の加藤和宏騎手から
花束を贈られ握手。
その次に親しくしていた関係者から。
そして家族からの花束贈呈。
まず最初に的場さんのパレットを勤める長男の詢一さん、
長女のあさ美さん、次男の勇人君へと次々に手渡される。
次男の勇人君、的場さんに花束を渡した後思わず涙ぐむ。
お父さんの活躍する姿が誇りだった息子さん。
勇人君は将来騎手を志しているという。
もしかしたら数年後
成長した彼をターフで見るのでしょうか・・・。
「よくまだ乗れるのに何故騎手を辞めるんだい?と
よく言われますが、昔から調教師として
馬を育てていきたいという気持ちはありました。
調教師という仕事は騎手をやっている以上に
体力のいる仕事だと私は思っています。
だからあえて体力のある今
騎手生活にピリオドを打つことを決めました。
騎手を辞めることに未練はありません」

的場さんはそのように引退する理由を語っておりました。
そしてこの日中山で共に戦うジョッキー達に
胴上げされました。

場内からは惜しみない拍手が送られていました。
記念撮影です。
(画像をクリックすると拡大写真が表示されます)

(画像をクリックすると4角廻る姿が映ります)
セレモニー直後の6Rにもニシノフロイデに騎乗。
結果は8着でしたが
芝コースでの最終騎乗、
4角でじっくりとその姿を見させていただきました。
いよいよ最終12R。
いよいよこれが的場さんの最終騎乗になります。

本当に最終なのかな・・・・・
ちょっとした寂しさを感じた。
でも鞍上の的場さんはしんみりとしているわけではなかった。
パドックで周囲を見回し、
「的場!」の惜別の声援を
噛みしめながら。

騎手として悔いなく終われる・・・・・
そんな表情でした。

ダート1200、追い込みのカゲショウシンザン。
結果は12着でしたが
騎手としての仕事を全うした
的場さんの姿は
悔いも未練もない清々しいものでした。
一つの旅が終わりました。
今は静かな朝を迎えています。
でも物語はここで終わりません。
また再び旅に出るのです。
だから物語(旅)のその前には
涙はいらない・・・・・。


ホースマンであり続ける的場さんのチャレンジはまだまだ続きます。
そんな彼への応援の気持ちは変わりません。

また来年、必ずターフでお会いしましょう。
素晴らしき仲間と共に・・・・。