南京では、夕刊紙といったら『揚子晩報』。「ヤンヅワンポー!」という売り子の声が聞こえはじめると、まだ昼休みが終わって間もないのに、気もそぞろ帰宅気分になる。
  この新聞、ZAOGAO日記にも書いたが、1987年、前回の留学の頃から爆発的に売れ出し、当初、『人民日報』とか『南京日報』といったお堅い新聞しか定期購読できなかった留学生も、やがて『揚子晩報』を購読できるようになった。ぼくも定期購読していた。
  今住んでいる南苑賓館も午後3時頃になると『揚子晩報』を持ってきてくれる(たまに違う新聞のときがあると、がっかり)。日記にも書いたが、同紙も今やときに40ページを超す「大新聞」となった。あまり紙面が多くて読みづらいくらい。しかも並び方がめちゃくちゃ。本来オモテに来るはずのA1版(版は日本の新聞の面に当たる)がなかなか見つからないのだ。「新聞は顔が命」、日本の新聞編集長は、スポーツ紙・夕刊紙も含め、いつもトップ記事の見出しをどうするかで頭を痛めているのに・・・と思ったが、イヤ待て、いつも一番外側にあるのはB1版。そうかこれが実質的第1面なのだ。
  試しに、4月14日の紙面を見てみよう。A1版(左)は、江蘇省の民間経済が規制緩和されるという記事と並んで、各マスコミでトップに紹介された「江沢民国家主席が訪問先キューバのカストロ首相に送った詩」(上段中央)のほか、「香港の合唱団が、南京大虐殺紀念館で開いた音楽会の写真」(中央上)などが載っている。一方、B1面(右)のトップは思春期の男女学生のための「生理衛生知識展」に肝心の青少年の参観が少ないことを報じ、その他南京ヒルトンホテルの本場フランス人シェフによるフランス料理「美食節」(右上)や、タイの水かけ祭り(中央)、ブルガリアの首都ソフィアでおこなわれたファッションショーに登場したシースルーのイヴニングドレス(左)など、目を引く写真を持ってきている(もっとも、この日のA1版に関しては、徐州の会社が無認可で「裸体女模特」(女性ヌードモデル)を貸し出し利益を上げているという記事が、左下に掲載されているが)。
  要するに、掲載しなければならない国家の大事は、A1版に載せるが、それは中の方に入れて、B1版で勝負する、といういかにも「上に政策あれば、下に対策あり」的な作戦なのだ。(追記:4月21日付では、A1版トップは江沢民が米軍機に接触して墜落死したパイロット王偉の遺族に会ったという記事で、王偉の遺児を抱き上げる写真付きなのに、やはり他の紙面に埋没していた。しかもA1版は谷折りの内側になっていた!あまりにできすぎているので、これは意図的なものか?と勘ぐってしまう。ちなみに、B1版トップは、「タクシー運転手から見た南京の夜の生活」だった!)
  まだ来たばかりで、南京の事情しか知らないが、おそらく各地の夕刊紙とも同じようなことをやっているのだろう。『揚子晩報』の記事の並び方からも、どんなニュースが「老百姓」(庶民)の関心の的かがうかがえるのだ。(写真の下に追記2を追加!ナゾ深まる!)

追記2:B1版が実質的第1面と断定的に書いたら、そうではないことがわかった。路上で売っている売り子やスタンドによって、A1版が表の場合とB1版が表の場合があるのだ(C1版やその他の版もあるのかもしれない)!売り子が、自分で売れそうな版を外側にしているのか、それとも取次業者(があるのか?も知らない)ごとに、販売戦略が違うのか?紙面的には、どちらが表になってもおかしくない構成だから、新聞社も、それを承知で紙面作りをしているのだろうか。どうやら、わが南京大学南苑賓館の購入先は、「B1版派」ということのようだ。
 ところで、中国版「黄金週」直前の4月26日はなんと計76版!大半は広告がらみだが、ちょっとした本並みだ。すごすぎるぞ、『揚子晩報』!!
 さらに追記:先日、道ばたで売り子が自分で『揚子晩報』を折り込んでいるのを目撃。A-1版かB-1版かの選択は、やはり、売り子自身の販売戦略によるもののようだ。(5月15日)