02年9月号(No.260)

 エセ同和行為を告発
 「解放の道」読者から手紙

――行政交渉および確認・糾弾会を武器に、市町村をおどし、部落差別の解消という美名のもとで同和産業振興会企業への公共事業発注拡大を図り、永遠に組織の存続を図ろうとする解同の魂胆の醜さ、愚劣さに開いた口がふさがりません。‥‥解同と、その圧力に屈して自己保身に走り不公正・乱脈な同和行政を顧みない市町村との相関関係が是正されない限り、同和問題の真の解決はありえません――
 「解放の道」全国版・9月15日付で「『解同』のエセ同和行為切々と、行政を食いものにするのは許せない」の見出しで掲載された「埼玉県の読者よりの手紙」への波紋が広がっています。
 「『解放の道』に掲載された『手紙』の内容に同感だ」「職場で回し読みをしている」「知人に購読をすすめた」などのメールや電話が事務所に届き、さらに「えげつない同和産業振興会、特にその中心企業である三ツ和総合建設の徹底的な暴露を」との訴えやエセ同和行為を告発する文書も届いています。「部落差別をおどしの道具にしているのは許せない」という声がいま新たに湧きおこっています。

「解同」の「同和産業振興会」と三ツ和建設をきびしく批判

 「手紙」は、「解同」県連幹部が理事長以下の主要役員を兼務している「埼玉県同和産業振
興会」、特に建設部会による公共事業受注をめぐる行政に対する圧力のすさまじさを取り上げて、エセ同和行為をきびしく告発。公正取引委員会の勧告を受けて指名停止処分にした行政への三ツ和建設の恫喝の実態が述べられています。
 三ツ和建設グループは、川越市の公共事業での談合で、公正取引委員会から独禁法違反(競争妨害)により排除勧告を受け(4月26日)、これにより五月に三ツ和建設は県内の行政から公共事業の指名を停止(2〜3カ月)されました。
 三ツ和は6月に「安全技術定例会」を開いて、行政に参加を要請。参加した行政(さいたま、春日部、岩槻、所沢、熊谷、狭山など14市)は、三ツ和建設幹部と対面する形で最前列に座らされ、後ろをグループ企業の70人に包囲されて、「われわれを殺す気か」「なぜ指名を停止した。行政の役割は何か」と回答をせまられた、としています。
 
 11月研修会に行政の参加求める三ツ和建設
    
 さらに今、三ツ和建設は、指名停止制度は不当と主張して「指名停止措置要綱」の撤廃を求めて、11月に大宮ソニックのホテルを会場に、「公正取引協会との合同研修会」を計画、埼玉県と市町村の担当者に参加を要請していると言われています。
 三ツ和建設は、指名停止制度は独占禁止法の趣旨に反するなどと主張して、建設工事等の契約の適正な履行の確保と不良・不適格業者排除のための「指名停止措置要綱」の撤廃を求めていると伝えられていますが、指名あるいは一般競争入札制度の根幹を撤廃させることができると本気で考えているわけではなく、県の「指名停止措置要綱」に問題があるかのように主張して、三ツ和を競争入札制度のワク外に置き、行政に特別扱いをさせるこをねらっているものと関係者は見ています。
 三ツ和建設は「中小企業をつぶす指名停止」などと言っているようですが、三ツ和は中小企業ではなく、同和を利用して成長した県内屈指の受注をほこる大企業です。入札の場でも同和をカサに他業者を威圧するとの批判も受けてきました。

 試される行政の主体性

 問題は、この企業のバックに「解同」がいるために行政が主体性を発揮できずにきたところにあります。「エセ同和行為の排除」をかかげている行政は、今こそ一企業の横暴な振舞いに屈せず、きぜんと対処することが求められています。
 企業と行政との関係の当然のあり方が、「同和産業振興会」との関係でも貫かれなければなりません。三ツ和建設の新年会や関係者の葬儀など、一企業の催しに行政は参加すべきでない、との方針を貫いている行政もあります。一企業が主催する「研修会」にも行政は出席すべきではありません。
 ましてや、三ツ和建設が11月に大宮ソニックで開催するとしている「公正取引協会との合同研修会」は、公正取引協会が「事業者や事業者団体が競争法や競争政策等について理解を深め、日々の活動に役立てる」ことを目的に設立された財団法人であり、事業者・事業者団体である三ツ和建設が「研修」しても、公共事業の発注者である行政が同席する理由はなく、同席することがどんな結果を招くかは、すでに「手紙」が示している通りです。
 行政が同和問題の解決に本気で取り組んでいるか、エセ同和行為にきぜんと対処しているか、公共事業の発注・執行を一貫して公正・透明におこなう姿勢に立っているか、県民のきびしい監視の目が注がれています。

「同和産業振興会」理事長、議員を脅迫
――――菖蒲町議会が暴力排除を全会一致決議

 埼玉県菖蒲町の9月議会の13年度決算審議で、町の公共事業を請け負っている業者について議員数人が質問したところ、翌朝、業者が現れて、質問した議員たちに「営業妨害をするな」と脅迫。なんとその業者は、「解同」県連副委員長・行政闘争本部長・同和産業振興会理事長を兼ねる「解同」県連幹部。自身も建設業を営み、これまで町の公共事業を多数請け負ってきました。議会で質問されただけで、すぐ駆けつけて議員を脅迫するとは、問題の所在を自ら名乗り出たに等しい行為。質問されては困る相当の〃弱み〃があるものと見られます。
 町議会は9月18日の本会議で、議員提出による「暴力排除」決議を全会一致で可決、民主主義の根本を破壊する議会に対する脅迫的言辞や暴力を絶対に許すことはできないとしています。
 問題の業者が行政闘争本部長をつとめる「解同」県連は、「同和行政及び人権行政に関する要求書」で、差別意識が根強く残っているとして同和行政と同和教育・啓発の継続を要求し、最終項で「埼玉県同和産業振興会への協力」をかかげ、「特別対策法の失効をふまえ、振興会に対する基本的見解を示すこと。振興会の取り組みに対して協力すること」を求めています。行政の多くが「同和地区の事業者の経営基盤の確立と経営の近代化、産業の振興を図るうえで、非常に意義あるもの」と賞賛する回答をしています。
しかし、菖蒲町の事件でも明らかな通り、「行政闘争本部長」や「同和産業振興会理事」など一部幹部の特定の業者(多くが「○○建設協同組合」を名乗っている)だけが恩恵を受け、「差別意識の存在」や「同和地区の事業者」は利用されているにすぎないのが実態です。

 行政の支援で「解同」流「人権教育」の押しつけ
  「実行委員会」を隠れミノに教職員を動員

「解同」が7、8月市町村交渉で求め、行政が開催を約束した「人権教育研究集会」が、10月12日の児玉郡集会を皮切りに各地で開催されようとしています。
 児玉郡市人権教育研究集会は、テーマに、「人権教育・啓発法の制定をふまえ人権教育の充実をめざす」、「同和教育の成果を継承し、部落差別の解消をめざす同和教育をはじめとする新たな人権教育を創造する」などをかかげ、学校同和教育、子ども会(集会所子ども会)活動、子どもの人権(虐待と障害児問題)、女性の問題(DVなど)の四分科会を設定。保育園・幼稚園職員、小中高校教職員、市町村教委職員など600人規模で開催するとしています。
 主催は「解同」の要求通り「実行委員会」。これを郡内の市町村と市町村教育委員会が後援する形になっています。
 実行委員会の構成団体には、ものものしく18団体が名を連ねていますが、実質は、各市町村の人権教育推進協議会(旧・同推協)と様々な名称の解放研、部落解放・人権政策確立要求郡市実行委員会(旧・基本法制定要求実行委員会)。部落解放・人権政策確立要求郡市実行委員会の主体は「解同」であり、これと解放研がこの集会をリードすることは確実で、このような集会に教職員を動員するのは異常です。
 土曜日午後の開催で、教職員は公務とならず、校長が「職務命令は出せないが、できるだけ参加を」と職員に参加を促し、そのうえ、人権教育担当者が職員を個別に「出欠確認」。この「出欠確認」が「踏み絵」となって、参加を断れない状況が作り出されています。
 「実行委員会」を隠れミノに、学校教育、社会教育、行政、運動のそれぞれの役割と立場を無視して教職員を否応無しに動員する「集会」は、教育研究とは無縁の人権無視の集会です。
 「解同」の要求をそのまま受け入れて、行政が県内各地で開催しようとしている「人権教育研究集会」。どう形をつくろっても、教育研究とは全く無縁の人権無視の集会にならない保障はありません。