―02年12月号(No.263)
地域人権運動立ち上げへ
――――全解連中央委員会で基本的な方向決める
全解連は12月16、17日の両日、名古屋市で開いた第2回中央委員会で、部落解放運動の発展的転換について、転換の必然性、転換後の運動の目標と組織・財政、転換の具体的スケジュールなど、発展的転換をすすめる方針の大枠を決めました。1月の第3回中央委員会でさらに具体化し、組織内討議を経て3月の定期大会で決定される予定です。
全解連は02年3月、東京で開いた第32回大会で、社会問題としての部落問題は基本的に解決したとの認識を示すとともに、水平社以来の部落解放運動の歴史的教訓を明らかにして「人権と民主主義、住民自治の確立のための新たな組織体」への発展的転換を二年以内に実現させることを決定しています。
第2回中央委員会では、転換の必然性と必要性、各県の現時点の運動の状況、発展的転換後の運動の目標と組織形態などについて10月の第1回中央委員会での論議に引き続いて討論が展開されました。
討論を通して、転換後の運動目標と組織形態では、私たちが生活している地域社会が、雇用・産業・福祉・教育など生活の様々な場面で困難に直面し、地域的連帯が分断されている中で、人間らしく生きるための権利を擁護し幸福を追究する地域住民運動の存在が求められており、「地域社会における権利憲章」の策定も展望しながら人権と民主主義、住民自治が尊ばれる地域社会を実現するための住民運動に全国組織として連帯して取り組む、運動の性格上から全国組織の形態は上意下達でない柔軟で循環型のものとする、との基本的な方向が示されました。
転換後も残る「解同」問題の解決などは、地域社会の民主主義の課題として住民運動で取り組むことになります。
県連では、中央委員会での討論を受けて組織内討議を本格化させ、3月の大会までに県連としての基本的な方針を決定していくことにしています。
自治体の首長ら
「解同」に曵かれて霞ヶ関詣で
市長村長=東秩父村、神川町、江南町、越谷市、都幾川村、富士見市、和光市、北川辺町。議会議長=神川町、江南町、南河原村、吉川市、川島町、富士見市、伊奈町、東秩父村。11月29日に、「人権擁護法案の抜本的修正を求める要請書」(修正内容に問題がある)を提出したり「人権教育・啓発のための財政的援助」を要請したりするために、午前の決起集会と午後の政府各省要請行動に参加した各郡代表の首長と議長です。
首長が1人で出かけるはずはなく、何人かの付き人が同行します。「順番が回ってきた」自治体の首長・議長が出ますので、当然、他市町村からは担当者が出張で出ます。総勢「228人」の中心は行政ということです。忙しいはずの首長、議長が1日がかりで霞ヶ関に出かけるほどの住民にとって切実緊急な要求があったか。かつては、「部落解放基本法」の制定を求めて10年以上も出かけて政府に無視されて終わった。それに何の責任も取らず、今度は「人権政策確立要請」とやらで、「解同」が求めるままに、同じことがくり返されています。
〃遠岸の火事〃ですむか?
乱脈な同和行政にメスを入れ廃止させる動きが、各地で起きています。埼玉にとって「対岸の火事」(京都や長野は遠い?)と言っておられる状況なのでしょうか‥‥。
長野県
「先進地」視察の〃メッカ〃は補助金づけ
「解同」への補助、人件費など年2億3千万円
―――――――「差別意識」の残存を強調するわけ
田中知事が終結方針
田中康夫長野県知事は12月6日、全解連長野県連の佐々木委員長らと公開で懇談し、全解連県連への委託金を来年度83%削減、04年度廃止の方針を示しました。
佐々木委員長は特別対策としての同和事業の継続が部落問題解決の妨げになっていることを述べ、委託金の削減・全廃という知事の方針に「何の問題もない」と表明。田中知事と人権同和対策委託事業の廃止で合意しました。
田中知事は、5日に「解同」県連役員6人と懇談(「解同」側の要望で非公開)、補助金と啓発活動などの委託料、県連役員らが就任している経営と営農の相談員人件費を、来年度半額、04年度廃止の方針を示しましたが、「解同」側は04年度以降の廃止方針は「一般対策で展開する同和行政の姿がはっきりしていない」などの理由で難色を示し、結論を持ち越しました。
知事は10日に全日本同和会と部落解放推進の会と懇談して同様の方針を伝えました。
長野県では、田中知事再選直後の十月の県議会で、日本共産党の石坂ちほ県議が同和行政の終結を求める質問をおこない、県が出している補助金や委託費、人権費について質したのに答えて、田中知事がその内容を明らかにしていました。
それによると、団体補助金は「解同」だけが受けており、金額は3,287万5千円。事業委託金は、「解同」に3,622万七千円、全日本同和会に2,237万9千円、推進の会に2.289万5千円、全解連に604万6千円(いずれも年額)。
また、「解同」には、啓発研修研究事業名目の人件費(委員長・副委員長・書記長・財務委員長)として2,500万円余、営農指導員4名(副委員長・事務局次長・書記2名)の人件費と事務費合わせて2,300万円余、経営指導員14名(副委員長・書記長・事務局長・事務局次長・書記9名、他1名は別)に9,200万円余(内国庫補助3,649万円)が補助されていることも明らかに。
埼玉県から同和教育・啓発の「先進地」として視察が多い長野県。「解同」幹部が補助金漬けの実態が暴露され、「先進地」のメッキがはがれた、との声も。
石坂県議の再質問に知事は「先ほど個別の役員・書記等の方々への支出という部分も数字をご報告申し上げましたが、早急に調査を行い、県民感情という観点から県民のご理解がいただけるかたちの迅速な対応というものを行っていく」と答えていました。
京都市
ウソの決算書で補助金詐取
―――「解同」の補助金不正、裁判で暴露
市議会が「徹底解明決議」
12月5日の京都市議会決算特別委員会で、共産党と自民党の議員により、カラ事業、水増し事業等、虚偽報告で「解同」支部が市から多額の補助金の交付を受けていた問題が取り上げられました。
答弁に立った桝本市長は、「ゆゆしき問題。申し訳ないではすまされない」「市長に重大な責任がある」と謝罪。「同和補助金調査委員会」を設置し、「解同」支部幹部からの事情聴取を含めて厳正な調査をおこなうと述べました。
さらに京都市議会は12月17日、「運動団体支部補助金虚偽報告の徹底解明と同和行政完全終結を求める決議」を全会一致で採択。その中で、今回明らかになった虚偽報告問題について、「既に平成13年度末をもって廃止された事業とはいえ、市民や議会の信頼を大きく損ない、市政全体に及ぼす影響は、計り知れない重大な事態であり、断じて許されるべきことではない」とし、「調査委員会」での徹底した事実解明と結果の公開、厳正な対処を求め、合わせて継続されている残事業の完全終結を求めました。
京都市では、「解同」支部の「学習事業」名目の旅行に、京都市が多額の補助金を支出したのは違法として、市長らに5,400万円の返還を求める裁判(同和温泉補助金訴訟)を市民が起こしています。
訴訟の対象は、市内の「解同」支部10支部の1997〜99年度の3年間の「学習事業」。総件数61事業、補助金総額5,422万円。
京都地裁の、元同和対策課長への証人尋問で、(1)簡単な書類(申請書、報告書)のみで巨額の補助金が支出されていた、(2)支出にあたって事業見積書、事業内容を示す資料類の提出を求めていなかった、(3)不正が明るみになった後も調査せず、公金をわたし続けていた、ことなどが明らかになったとされています。
裁判の極わめつけは、原告からの申し立てにより裁判所の職権でおこなわれる「旅館への調査嘱託」です。
原告は、「解同」支部が市に提出した報告書に記載されている旅館名、宿泊人数、料金などについて、ホテルに問い合わせ、その回答と支部の「報告書」とを突き合わせる作業をおこなっており、11月30日現在で、「61件の学習事業中、宿泊の事実なしとの回答が15件(補助金額870万円)、参加人数・宿泊料の水増し事業が20件(同2,512万円)、人数・宿泊料は一致するものの内容虚偽事業が1件(同21万円)、旅館の廃業等で調査不能な事業が5件(同510万円)、回答未着が20件(同1,509万円)」と発表しています。(メールマガジン『マリード』誌より)
指名停止の「被害賠償しろ」
――――――――三ツ和建設が自治体に圧力
「しんぶん赤旗」(12月18日付)が報道
「 三ツ和総合建設業協同組合」(山本亜細雄代表理事、本社=さいたま市)が、公共工事談合で埼玉県や市町村から指名停止措置にされたことを怒り、「数十億円の被害を受けた。賠償しろ」などと理不尽な要求をつきつけていたことがわかりました。同組合側は市の担当者に「部落解放同盟埼玉県連合会大宮支部」の名刺を出して、「研修会」への出席を要求していました。
三ツ和総合建設業協同組合は、指名停止後から今年の秋ごろまでに、同組合の山本毅副理事長ら四、五人が県、さいたま市などを訪れ、同組合を指名停止処分とする根拠となった自治体の「指名停止措置要綱」の撤廃を要求。その際、「指名停止取締委員会」を名乗り、組合が指名停止処分となったことに関連して、「(組合の)足を引っ張る様な事は許されない」「我々が行政にペナルティーを課す(原文ママ)ことは当然である」などと書いた文書を自治体側に渡しました。
さらに、ある市の職員によると、同組合側は「いまわれわれに被害が出ている。みんなで賠償すべきだ」「われわれに仕事を与えることで償いをしていただきたい」などとも要求しました。
また、県の担当者も同組合から「指名停止で仕事がとれず、何十億と損を出した。どうにかしてくれ、ということはいわれた」と語りました。談合で指名停止を受けながら、その「賠償」を求めること自体、むちゃな要求で、県やさいたま市などは「要求に応じることはない」としています。しかし、同組合は「解同」との関係を示しながら自治体関係者と交渉しています。
もともと同組合は、山本代表理事自身が「部落解放運動の一環として…設立された」(地元紙)と説明する組合で、前代表理事は「解同」大宮支部支部長。
同組合は11月に、独禁法の「研修会」を開催し、この研修会への参加を各自治体担当者に求め、そのさい、自治体担当者に「部落解放同盟埼玉県連合会大宮支部」の肩書がある名刺を出しています。同組合は、埼玉県発注の土木部門の公共工事を2001年度に30億円(契約金額)受注し、同県の土木部門の受注ランキングで3年連続2位です。(紙面の都合により指名停止の経過の部分など記事の一部を省略しました。)
権力と報道による人権侵害
「松本サリン事件」被害者 河野義行氏が講演
12月1日午後、熊谷市文化センターで「暮らしの中で人権を考える」をテーマに、「講演と映画の集い」が開かれ、市民450人が参加しました。NPO法人埼玉県地域人権ネットワークが第1回の催しとしておこなったものです。
集いは、午後2時から「松本サリン事件」を描いた熊井啓監督の「日本の黒い夏〔冤罪〕」を上映し、休憩後午後4時15分から1時間、「松本サリン事件」の被害者河野義行さんが「疑惑は晴れようとも」と題して講演しました。
1994年6月27日の夜、多数の死傷者を出す大惨事となった「松本サリン事件」について、河野さんは警察とマスコミの姿勢、疑惑をはらすためのたたかいの経過を、「映画」を補足する形で話しました。
河野さんは今年7月から、田中康夫知事の推薦で長野県公安委員をされており、サリンの被害を受けられた奥さんは8年半たった今も病院で治療されています。
講演の後、「日本の黒い夏」の2回目を上映し、7時50分に集いを終わりました。