03年3月号(N0.266)

全解連第33回定期大会

 新たな住民運動組織へ
  転換のビジョンとスケジュール示す



 全解連は2月28日から3日間、大阪で開いた第33回定期大会で、部落問題解決の総仕上げの課題に取り組みながら運動の発展的転換を進め、来年4月に全国地域人権運動総連合(仮称)を結成することをめざして取り組むとする運動方針を決めました。

 大会あいさつで石岡克美委員長は、イラクへの戦争に反対することを強調し、国連の枠組みでの平和的解決を求めるとともに、国内問題では、「戦争ができる国家」をめざす憲法と教育基本法の改悪に反対すること、4兆円を超える社会保障改悪と増税による国民負担増をねらう小泉内閣に対決していくこと、この立場から4月の一斉地方選挙ではは、政治の民主的転換と住民の要求実現を結合させ、部落問題解決の総仕上げの課題を達成する政治的土台を築く選挙として取り組むよう呼びかけました。
 丹波正史書記長が運動方針の提案をおこない、今年の大会を、部落問題解決のための総仕上げの課題を前進させながら、これと発展的転換の課題を結びつけ、現実的、実践的に転換の準備と前進を図るための大会と位置づけました。そして、部落問題解決の総仕上げの課題について、同和行政の終結・同和教育の廃止の取り組みでは、市町村レベルでの運動と一般対策移行後「同和枠」を作らせない取り組みを重視すること、「解同」問題では、法的措置が失効したもとで、これまでタブー視された「解同」にまつわるさまざまな疑惑が暴露されてきており、乱脈行政は部落問題解決の立場からも1日も早く終止符を打たなければならず、高知県や長野県などで生まれている方向転換の流れを、市町村段階に生かす地域住民運動が求められているとしました。
 また、多国籍企業の利益を優先し地方と国民生活を切り捨てる小泉内閣の「構造改革」が、地域社会再生と生活重視の新しい住民運動の土台を作りだしていると指摘、新たな地域住民運動への発展的転換の準備とビジョンを提起し、来年の第34回定期大会で仮称「全国地域人権運動総連合」を正式に組織の立ち上げることを提起しました。
 このあと、新井直樹書記次長が「転換準備案」と「仮称・全国地域人権運動総連合(略称・地域人権連)規約案を提案し、大会での討論に付しました。
 大会は二日目、3つの分散会で代議員討論と役員選挙をおこない、三日目の全体会での討論、丹波書記長のまとめを受けて、運動方針案を採択しました。このあと「イラク攻撃に反対し平和的手段による解決を求める決議」と「発展的転換の土壌づくりへ、いっせい地方選挙をたたかう決議」、「大会宣言」を採択し、石岡委員長、丹波書記長らの新役員を再選して閉会しました。
 大会には、埼玉県連から、内海、栗原、小寺、藤井、松本、三枝の各代議員が参加し、中央役員には内海女性部長が中央執行委員(女性部選出)に、三枝委員長と松本書記次長が中央委員にそれぞれ再選されました。
 
「人権擁護法案」廃案へ
新たな取り組みも提起――第33回全解連大会

 多国籍企業の利益を優先し国民生活を切り捨てる「構造改革」を進める自民党は、これまでの名目上の「福祉国家」路線から「人権救済」「個人情報保護」の名で国民一人ひとりを監視・掌握・管理する路線に政治を転換させようとしており、その一環として「人権擁護法案」も出されています。
 すでに参議院で二度継続審議となっている「人権擁護法案」は、人権侵害からの救済と称したマスコミ報道への国家の介入に道を開くのをはじめ、政府から真に独立した「人権委員会」の設置でなく、ただ法務省人権擁護局を横滑りさせただけのもであり、さらに厳密な定義ができない「差別的言動」と称した表現行為への国家の介入に道を開く「表現の自由」に抵触する重大な問題を持つ。法案の成立は許されません。
 廃案にさせるために、(1)新たな内容の署名による請願運動、(2)国会議員への要請ハガキ運動、(3)シンポジウムや学習会の開催、(4)幅広い共同行動の展開、などに取り組む。
 

開催押しつけた上に
――村負担なぜ?
――「解同」の「人権保育交流集会」開催費用

 南河原村で03年度当初予算の「保育所管理費」に、「人権保育実践交流会・会場借上げ料30万円」、「同・諸費10万円」「同・アトラクション謝金5万円」が計上されました。「解同」県連が主催する「人権保育実践交流会」開催の費用です。
 500人を収容できる会場が村にはないとして断ったにもかかわらず、集会の「持ち回り番」という勝手な理由で開催地を押しつけられ、やむなく村は加須市に会場を借りることにし、このため「会場借上げ料」を払うはめになりました。
 集会参加者から参加費を取り、行政からは会場費、アトラクションの謝礼まで払わせる。任意団体がなぜここまでやるのか、「人権」をカサにしたエセ同和行為だ、などきびしい批判があがっています。

同和行政・教育の終結を宣言
――――画期的な「答申書」 ――比企郡 鳩山町

 本紙2月号で、「今後の同和行政のあり方」について協議する鳩山町同和対策審議会で、町当局が同和教育・啓発の継続を柱とする「答申案」を提案、これに対して、同和地区住民代表から、地区の要望をふまえた「修正案」が提起され、協議の結課、「修正案」を審議会の答申とすることになつたことを報道しました。
 特別措置法が終了して特別対策としての同和行政が終わるのが必然の中、「解同」から「法後の同和行政の基本方針」の策定を求められている県内の市町村は、審議会をひらくなどして、「解同」の主張通りの「今後も人権行政の柱として同和行政を推進する」方針を決める傾向が大勢を占めるなか、終結を明確にした鳩山町審議会の「答申は」、画期的な意義をもつものです。
 町当局の「原案」は、「解同」に迎合している他市町村の「基本方針」とほぼ同じ内容。「答申書」はこれを大きく修正しましたが、いずれが道理にかない、県民の合意がえられる内容か。「原案」と「答申書」を対照してみると――。

「同和問題は解決、特別な施策は不必要」と明記
 3月下旬に出された「答申書」は、冒頭の「総論」で、「全国的な視点が必要なことを否定するものではありません。しかし鳩山町の同和地区においては、住・生活環境面においても十分整備され、心の問題である心理的差別も解消されております。当該住民自らが要望書の中で、差別を受けておらず、特別な施策は必要ないと表明している姿は、今まで行われてきた同和行政・教育の終了を意味するもの」とし、「鳩山町における同和問題は、人々の理解と協力により、また、行政が行った時間をかけたきめ細かな福祉と教育の充実により解決したことであって、特別な施策は不必要です」と書いています。
原案では「心の問題である心理的差別の解消については、結婚や就職問題のほか、インターネット等による悪質な差別落書きなど、新たな問題も発生しています。したがって、特別対策終了後の新しい時代にふさわしい同和行政・同和教育のあり方を検討することが必要です」と書かれていました。
 次いで「答申書」は、「特別対策の成果」の「町の状況」でも、「心理的差別の解消については、町が平成 年9月に行った『人権と同和問題についての意識調査』の結果からも、同和問題が解決していることがうかがえます」とし、原案の「したがって、心の問題である心理的差別の解消については、今後とも諸施策の推進が必要です」との記述を大きく塗り変えるものになっています。

「国の特別対策事業終了を契機に終了が必要」と規定
 「答申書」の核心部分となる「今後の同和行政の基本的あり方」で、「(1)これまで成果を踏まえる」の項の原案「このような成果を踏まえ、今後も必要な事業については、一般対策事業として実施していくことが必要」との記述を、「国の特別対策事業が終了したことを契機に、今後は、鳩山町における今までのような同和対策事業は終了することが必要」と修正しています。さらに「 (3)町の現状を把握し事業の適切な再構築を行う」の項で、原案にあった「@同和対策事業として、すでに所期の目的を達したものは、終了すること。A今後も継続が必要な同和対策事業については、人権行政の一つの柱としての同和行政に係る事業として再構築し、その推進を図ること。B同和対策審議会に代わる組織として、人権行政の推進に関して審議する組織を新たに設置すること」という記述を、すべて削除し、「一部団体や他市町村などの動向に左右されることなく自主性をもって進めることが必要です」との記述が新たに書き加えられています。

人権問題として継続する虚構に立たず
 結論に相当する「終わりに」の項でも、原案の「今後は、同和問題を人権問題という本質から捉え、同和問題を人権問題の重要な柱として人権意識の高揚に努め‥‥」とする記述から、「今後は、鳩山町においては同和問題は人権問題の一つとして捉え、障害者、子供、女性、高齢者等にかかわる人権問題を重要な柱として取り組む必要があります」と修正されています。