折々の雑文 第34回

就職活動事始め

折々の雑文 #34

 先日、試験監督の為にユニクロのYシャツを購入した。あれは世間のサラリーマンの認識はどうなのだろうか。僕はあれでもいいんじゃないかと思う。チェック地のカジュアルなやつはオッサンが着たら悲惨だが、無地のやつは申し分ないんじゃないかと思う。Yシャツよりだいぶ安く、しかも布地や縫製は、いつものユニクロシャツよりちょっと手が込んで感じで、世間のサラリーマンにも良いではないだろうか。と思ったら、今って他のYシャツってかなり安いから、わざわざ買う必要もないか。

 このユニクロYシャツを購入した理由は他にもある。来年の就職活動対策だ。ところが、就活は白のYシャツが基本だと。ううう、2900円が。
 さんざん自分の社会不適合ぶりをネタにしてきた僕ではあるが、さすがに就職活動では「君のセールポイントは?」と聞かれて、「ビール一本で酔えます」とか「女を知らぬ清い身体です」(※冗談です。いや、だからホントだってば)とのたまう訳にはいかない。

 そういえば今年の夏、僕が通っている京都下町連続殺人事件大学で就職ガイダンスがあって、その時に就職課のひとが「今年の暮れまでに自己分析はしておくように」と仰せたのを今思い出しました。あと二ヶ月で自己分析。やばいかもしれない。ところで、自己分析って何ですか? ……いや後でちゃんと調べますが、おそらく自分の長所と短所を明確に答える事だと思うが、前述のような回答をやらかしても不思議ではない僕には厳しい。

 それよりも大体面接に漕ぎ着くまでにある、エントリシート、SPI検査という関門もまた大問題であろう。エントリシートとは履歴書みたいなもので、自分の個人情報を書く欄の他に、例えば「あなたと我が社を結ぶキーワードを考え、その理由を書いて下さい(サントリー)」とか「あなたが大学生活で得た、かけがえのないものを書いて下さい(ユニクロ)」など作文を書くスペースまである。

 これは雑文書きの端くれ、得意分野ではないかと思ったが実に甘かった。サントリーなど、マグナムドライやカクテルバーを嫌悪し、本生を愛飲する僕には全くお手上げだ。ユニクロの例など、ある就職指南本に掲載されていた、エントリシート通過例を見て僕は呆然とした。文章は長いので割愛するが、要約すると「私にはサークルであった気さくな友人たちがいます。友情は私にとってかけがえない大切なものです」と。あなた方はシラフでこういうのを書けと言っているのですか。まるで、駅前で調音の狂ったギターをめちゃくちゃにかき鳴らして、若気の至りな語句を並べ立てるゆずもどきじゃないですか。それをウブな大学生にやらせる……。あっわかった。そうやって、斜に構えた青臭い青年たちのプライドを粉々に打ち砕いて企業教育を詰め込みやすくする気なんでしょう、人事部長殿。むむ、相手は策を張り巡らした連中だ。

 他にもSPI、OB訪問、電話応対など難関は多いが、それは時間と努力でなんとかなるものだと思う。が、それよりも大きな問題は自分に「君はシャカイに出て何がしたいのかね?」と問われても、返答に窮することである。無理に答えるなら、「楽な仕事でたくさん金が欲しい」「女子にモテたい」「かっこいい車に乗りたい」「DVD欲しい。アニメのDVDをたくさん買いたい。さくらたんのフィギア買ってハアハアしたい」(※上に同じ)「牛丼、カレー腹一杯食べたい」あああ、ダメだ。ダメだ。カレーと牛丼は今でも実現可能だし。

 もちろん、お金は欲しいし、無いと生きていけない。穀潰しとママとパパに罵られるも精神上も良いわけがない。でも、パンを食うだけに働くだけなら、フリーターでもいいし、K君と変なシャンプーを売ってもいい。でもK君、30万円もするシャンプーはどうかと思うけど。

 でもフリーターは社会保障が充実していない。それだけで無く、シャカイ的な信用も得られない。アコムのお姉さま方もあんまり貸してくれそうにないし。だからといって、今の世では大手社員でも安心とは言いがたい。そんな中で何をしたいか。やりたいもしくは、向いている仕事も見つける必要があるだろうし、目標もいる。そういえば、ステレオタイプの雑文書きって、出世競争に興味のないうらぶれたオッサンらしい。よし、私はそのような偉大な先人たちのように会社に努めても飄々と生きて、うらぶれて立派な雑文書きになりたいと思います――ってこんなこと面接ではとても言えませんが。

(2001/10/5)

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