折々の雑文 第40回

下をむいて歩こう

折々の雑文 #40

 あけましておめでとうございます。本学学友諸君のさらなるご活躍を心よりお祈りいたします。今回は学長自ら演壇に立って新年の挨拶をするわけですが、それほど長話にはしないので、どうか他のページに避難せず最後まで辛抱して聞いて下さると有り難いです。

 さて、矢追純一という人がいます。学友諸君もご存じの通り、テレビの一連のあやしいUFO関係の番組を制作し、我々を愉しましているひとであります。彼の番組にはアブダクションやらエリア51やら牛の内蔵を切り取る宇宙人がいたりにぎやかで楽しいですが、ひとつ我々に示唆を与える発言を残しております。我々の中で、UFOを見た者は殆どいないと思います。これは何故か? 我々はどうすれば、UFOをみることができるのでありましょうか。彼のこの疑問に対する解答は簡潔でした。
「よく上を向いて、空を見ること」
 私はなるほどと思いました。

 確かに我々は上を向くことはあまりありません。下を向いてUFOを発見することは、金輪際あり得ないでしょう。それは、例えば上を向いても小銭が落ちていないとかそのような即物的な理由ではないように思います。何故我々は上を向くことが少ないのか、私はその理由を考えてみました。そして私はひとつの仮説に思い当たりました。

 先日、私は京都市内某所にあるストリップ小屋に行って参りました。唐突に学友諸君を引かせるような話題をしていますが、別に私は性欲を満たす為に行ったのではありません。いやホントですよ。だたの社会見学としてなけなしの3000円の学生料金を支払ったわけであります。だから信じて、お願い。

 そのストリップ小屋は、それほど広いものではなく、前の舞台と中央の円形の舞台を花道で繋げたものでした。お客は疎らでしたが、会社帰りのサラリーマンから学生まで多種多様でした。出し物は、基本的にドレス着た状態で踊り、それから徐々に服を脱いでいくものでした。最後には全てをお客の前にさらします。その為、私はしばらくの間アダルトサイトが不必要になるほどでした。踊り子さんは割合綺麗なひとが多く、平均的なレースクィーンぐらいの女の子たちでした。中には、円形舞台でマスターベーション(の真似事)をした踊り子さんや、背中からヒップにかけて見事な鯉の彫り物をした踊り子さんがお客たちのボルテージを微妙な方向へ持っていったりして、それなりに楽しいものでした。

 そして、ストリップを鑑賞しながら、私は一つ大きな発見をしました。それは、
「夢中で踊り子さんを見てると、頭が悪そうに見える」
夢中だと、周りが見えません。近くのおっさんが夢中で踊り子さんの肢体を脳裏に焼き付けていると、私は少し冷ややかな目で、「あのおっさんたのしそうやなあ」と冷静な観察眼を向けることになります。しかし他のおっさんもまた、「あのモテそうもない学生、楽しそうやなあ」と冷徹な観察の目を私に向けているやもしれません。ストリップとはそんな世界でした。

 中央の円形舞台の周りには客席があり、全てをさらす踊り子さんの姿を十数センチまで近づくことが出来ます。勿論、『踊り子さんには触れないで下さい』という鉄の掟があり、寸止めの世界です。寸止めの世界ですが、それでも十数センチまで近づけます。しかし、舞台は特等席よりやや高く出来ているため、上を見上げるように鑑賞すると事になります。

 学生も、会社帰りのサラリーマンも、はたまた定年退職後の楽しみに来たオッサンも等しく、上を向いてぽっかりと口を開け、踊り子さんの肢体を眺める頭の悪そうな姿をさらすことになります。それを後ろのお客たちは、「あいつ楽しそうやなあ」と嘲笑というか失笑の眼差しを向けたりします。そんなわけで、学友諸君は「UFO見えへんかなあ」と上を向いたりせずに、ちりちりと下を向いてネガティブに生きてみるといいと思います。

 では最後になりましたが、ストリップでの微笑ましいエピソードを話して新年の挨拶を閉じたいと思います。ストリップショウが終わると、踊り子さんは一枚500円のポラロイド写真サービスをしてくれます。客は踊り子さんに取って欲しいポーズを伝え、それをフィルムの納めるというものです。高いと思いかもしれませんが、普通にモデルさんにヌードを撮らしてもらったなら、もっと高く付きます。これはこれで、コストパフォーマンスに優れたサービスかもしれません。
 お客たちは「○○ちゃん、笑って」とか「“だっちゅうの”のポーズして」や「脚をM字型にして」などと結構このサービスを愉しんでいました。そこで私はちょっと凄いものを目撃しました。トリの踊り子さんの時でした。彼女は割合アイドル顔で、かなり売れっ子の踊り子さんであるようでした。その子に500円を投資したおっさんは私が唖然としたことを要求しました。
「ユキちゃんー、開けて見せて」
 おっさんがそう言うと、彼女は余裕の微笑を浮かべ、成熟したものを“ご開帳”して見せました。

 学友諸君、“あけまして”おめでとうございます。今年も本学をよろしくお願いします。

(2002/1/1)

←次の雑文へ前の雑文へ→折々の雑文一覧雑文大學表紙