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明治書院中国古典小説選2紹介ページ
このたび、明治書院より『中国古典小説選』の一冊として六朝志怪の巻の訳注を担当しました。以下のような内容になっており、一部本邦初訳のものもあります。拙いものですが、手にとっていただければ幸いです。
目次詳細
原則書籍別編集のところを六朝志怪の巻だけは、内容別編集となっています。これは志怪には複数の書に重複して見える話が多いのと、より志怪の世界に親しんでもらいたいからとの工夫です。以下のような構成になっています。
■怪異 ■妖怪 ■鬼神 ■神霊 ■禽獣 ■博物 ■伝説 ■神仙 ■仏教
- 小題は翻訳者によるもの。続く( )内は底本に題目がある場合はその題目を、ない場合は主人公名などを適当なものを入れてある。
- 巻数や数字は底本に従う。よって、数字に関しては、通し番号の場合(『捜神記』『捜神後記』『博物志』等)と、巻毎に振り直してある(『異苑』等)があるのに注意。また『五行記』のみは輯本もないため、条番号を記さない。
- *は後世の刊本発行時に水増しされたと推測される、原本に存在しなかったと思われる条。
- 既刊の日本語訳注書に訳がみられないものには末尾に初訳の注記をつけた。ただし対象は訳注に限っているので、論文や書籍中で、翻訳や内容の紹介がされている話もある。
怪異
志怪にみられる様々な怪異の話を収める。再生や魂についての話。また、お金が飛んできたり、不思議な術を使ったりするという気味が悪い訳ではない話も。
- 冥土の父親(趙春) 『捜神記』巻6・146
- 老婆の再生(李娥) 『捜神記』巻15・362
- 許婚の再生(河間郡男女) 『捜神記』巻15・360
- 墓中の愛妾(干宝父妾) 『捜神後記』巻4・42,『孔氏志怪』6,『五行記』,『幽明録』73
- おしろい売り(売粉児) 『幽明録』203
- 足の取替え(士人甲) 『幽明録』70
- 寝台上の魂(形魂離異) 『捜神後記』巻338
- 幽体離脱(龐阿) 『幽明録』222
- 魂の形状(馬道猷) 祖沖之『述異記』89
- 夢中の栄華(湯林) 『幽明録』251初訳
- 夢中の訃報(秦嘉) 『幽明録』42初訳
- 文才の賦与(羅君章) 『幽明録』115
- 顔の取り換え(賈弼之) 『幽明録』140
- 空飛ぶお金(黄尋) 『幽明録』177,『五行記』初訳
- 袋の中の炭(鄭徽) 『異苑』巻5・14
- 首なし太守(賈雍) 『録異伝』6,『捜神記』巻11・267*,『幽明録』217*
- 手洗いの水(児化水) 『捜神記』巻11・295
- 墓の中の幼女(大亀) 『幽明録』47
- 口の中から(外国道人) 『霊鬼志』17
妖怪
古くは「妖」「妖怪」は不吉な現象を指す語であった。そのような凶兆の話から、また化け物的な「妖怪」の話まで。
- 竜蛇の戦い(竜闘)『捜神記』巻6・112
- ヒト形の草(草作人状)『捜神記』巻6・161
- 奇妙な双子(任喬妻)『捜神記』巻7・215
- 庭の鳥の死(翟宣)『捜神記』巻9・244
- 死期の予告(王周南)『列異伝』45,『捜神記』巻18・437,『幽明録』52
- 前兆と感応(諸葛恪)『捜神記』巻9・246
- 飯粒が虫に(劉寵)『捜神記』巻9・250
- 雪中の玉馬(司馬騰)『異苑』巻4・19
- 灼熱の地面(地燃)祖沖之『述異記』17初訳
- 西秦の滅亡(西秦将亡)『異苑』巻4・28初訳
- 赤絹の凶兆(張仲舒)『異苑』巻4・61
- 女性の乱入(劉斌)『幽明録』193初訳
- 窓枠の異常(郭仲産)祖沖之『述異記』42初訳
- 謎の血塊(劉順) 祖沖之『述異記』60
- ネギの沈下(趙貞) 『捜神後記』巻8・93初訳
- 目玉の配達(索万興)祖沖之『述異記』51
- 壁の目玉(劉興道) 『続異記』7初訳
- 黒いウシ(青牛) 『玄中記』44初訳
- 物動かす翁(怪老翁) 『捜神記』巻14・358
- 白頭公の木(張遼) 『捜神記』巻18・417,『列異伝』49
- 流木の妖怪(葛祚碑) 『捜神記』巻11・275,『幽明録』56
- 樹上の妖怪(朱衣人)孔氏『志怪』8,『捜神後記』巻7・83*
- 山中の毛人(毛人) 『捜神後記』巻7・82初訳
- 水中の妖怪(温嶠) 『異苑』巻7・19,『雑鬼神志怪』9
- 舐める妖怪(謝石) 『異苑』巻8・43初訳
- モグラと酒(土竜) 『異苑』巻3・36
- 呪われた家(壁中一物) 『捜神後記』巻7・85
- ご先祖の枕(劉玄) 『集異記』5
- のっぺらぼう(温湛婢)『異苑』巻1・3
- 物食う石亀(石亀) 『異苑』巻8・20初訳
- 箒の美少年(江淮婦人) 『幽明録』230
鬼神
中国語の「鬼」は幽霊の意味である。しかし、「鬼」として書かれるものをよくよく読んでみると、死者の幽霊の話もあれば、冥界の役人の話もあり、単なる化け物にしか思えないものも。志怪において一番取りあげられた話題が「鬼」である。
- 泰山君の使い(蔡支)『列異伝』39
- 冥界の人事(蒋済)『列異伝』21,『捜神記』巻16・380*
- 鬼達の会話(陳仲挙)『幽明録』42,『捜神記』巻19・448
- 命を取る鬼(徐泰夢)『捜神記』巻10・262
- 鬼を騙した人(宋定伯)『列異伝』26、『捜神記』巻16・393
- 新入りの鬼(新死鬼)『幽明録』255
- 厠にいる鬼(阮徳如)『幽明録』66
- 海藻と鬼(照誕)『集異記』11初訳
- 鬼退治の薬(李子予)『捜神後記』巻6・68
- 病の時の鬼(庾季随)祖沖之『述異記』45初訳
- 死友との別れ(范式)『捜神記』巻11・299*
- 子を産む鬼(胡馥之)『幽明録』175
- 恩赦の報い(姚牛)『幽明録』179
- 家長の帰宅(夏侯文規)『甄異伝』15初訳
- 無鬼論と鬼(阮瞻)『幽明録』67,『列異伝』(殷芸『小説』所引),『捜神記』巻16・378
- 鄭玄と王弼(王弼)『幽明録』98初訳
- 冥界の現実(王明)『幽明録』215初訳
- 幽鬼の音曲(嵆康)『霊鬼志』8
- 女鬼の誘惑(鍾繇)『陸氏異林』1,『幽明録』51,『捜神記』巻16・399*
- 幽婚の奇蹟(韓重)『録異伝』4・『捜神記』巻16・394
- 李仲文の娘(李仲文女)『捜神後記』巻4・46
神霊
神様色々。零落してか、化け物・妖怪扱いされる神もいる。また廟を廻る話や、人が死んだ後に神になった話など。偽の神様もあり。
- 神女の助け(董永) 『捜神記』巻1・28
- 落ちた雷神(霹靂被格) 『捜神記』巻12・305
- 俗神盛衰記(度朔君) 『捜神記』巻17・407、『列異伝』19
- 山都の巣(山都) 祖沖之『述異記』5、『捜神記』巻12・313
- 蟹を喰う神(山操) 祖沖之『述異記』41
- かまど神(陰子方) 『捜神記』巻4・88
- 不実行の罰(庾亮) 『捜神記』巻9・249・『甄異伝』4
- 宮亭湖の廟(宮亭湖廟) 『異苑』巻5・2初訳
- 忘れ物の返却(宮亭湖) 『捜神記』巻4・80
- お供えの杖(陳敏) 『神異記』2,祖沖之『述異記』80初訳
- 神の警告(羅根生) 祖沖之『述異記』8初訳
- 戴侯祠の巫女(戴侯祠) 『捜神記』巻4・90,『列異伝』37
- 供物の不備(桓闡) 『異苑』巻8・40初訳
- 淫祀の禁絶(顧邵) 『雑鬼神志怪』8
- 廟神の威力(武曽) 『幽明録』207
- 蠱家の秘密(蠱家) 『霊鬼志』19,『捜神記』巻12・318
- 呪いの人形(沐堅) 『異苑』巻9・15初訳
- 蒋侯の誕生(蒋子文) 『捜神記』巻5・92、『列異伝』17
- 蒋侯の寵愛(呉望子) 『捜神記』巻5・95、『捜神後記』巻5・52
- 鄧艾廟(鄧艾廟) 『幽明録』60初訳
- 紫姑神(紫姑) 『異苑』巻5・16
- 神を騙る鬼(陳慶孫) 『幽明録』161
- 祀られた李(張助) 『捜神記』巻5・100
禽獣
志怪の動物や鳥の話は、博物的な記述を除けば、身近にいる動物の話が多い。異類婚姻や変身の恐怖から、報恩の話まで。
- キツネの誘惑(阿紫)『捜神記』巻18・425
- 後宮のサル(テキ昭)『捜神後記』巻9・99
- ヘビの花婿(女嫁蛇)『捜神後記』巻10・116
- シカの誘惑(陳氏)『捜神後記』巻9・98
- ワニの花嫁(張春)『幽明録』235,『異苑』巻8・13*
- ヘビの息子(謝祖之婦)『幽明録』197初訳
- イヌが父に(温敬林)『幽明録』159
- 大蛇退治(李寄)『捜神記』巻19・440
- タヌキが父に(呉興老狸)『捜神記』巻18・422
- 張華とキツネ(張茂先)『捜神記』巻18・421
- 母がカメに(江夏黄母)『捜神記』巻14・355
- 父がシカに(白鹿)『列異伝』28,『異苑』巻8・37
- 男がトラに(薛道詢)『斉諧記』2
- 妹がトラに(黄乾妹)『五行記』初訳
- 賢いイヌ(楊生)『捜神後記』巻9・101
- ケラの報恩(龐企)『捜神記』巻20・459、『幽明録』158
- トラの難産(蘇易)『捜神記』巻20・450
- カメの報恩(白亀)『捜神後記』巻10・117、『幽明録』87
- ゾウの報恩(象)『異苑』巻3・21
- カメの道案内(益州刺史)『異苑』巻3・49
- 断腸の思い(母猿子猿)『捜神記』巻20・460
- ネズミの市(区純)『捜神後記』巻2・15*初訳
- ウシの訴え(王華)『幽明録』194初訳
博物
博学多通な人物の話。また『博物志』や任昉『述異記』などに大量にみられる、不思議なコトやモノに関する百科事典的な記述等。さらには本草や医学に関連する話。
- 孔子と賁羊(賁羊)『捜神記』巻12・301
- 孔子と五酉(五酉)『捜神記』巻19・445
- 昆明池の灰(昆明池)曹毗『志怪』1,『捜神記』巻13・328*,『幽明録』262,『雑鬼神志怪』3
- 重陽の節句(九日登高)『続斉諧記』9初訳
- 出世の予兆(喬玄) 『捜神記』巻3・52
- 地底の世界(洞穴) 『幽明録』62
- 竜肉のなれ鮨(竜肉)『異苑』巻3・33
- 消えたウシ(管輅) 『異苑』巻9・2
- 馬の蘇生術(趙固) 『捜神後記』巻2・22,『捜神記』巻3・62
- 鮫人の涙(鮫人)『捜神記』巻12・311,『博物志』巻二・69,任昉『述異記』巻下・307
- 扶桑の神樹(扶桑樹)『玄中記』31初訳
- ネズミの王国(鼠王国)『異苑』巻3・26,任昉『述異記』巻上・105初訳
- 首飛ばし族(落頭民)『捜神記』巻12・306
- サルの子孫(猳国・馬化)『捜神記』巻12・308,『博物志』巻3・94
- 胡人の買い物(王昿)『異苑』巻2・19初訳
- 典論の誤り(典論刊石)『捜神記』巻13・336
- 燃える井戸(火井) 『異苑』巻4・1
- 千日酔う酒(千日酒)『捜神記』巻19・447*,『博物志』巻10・320
- 人参の泣き声(人参)『異苑』巻2・34
- 姑獲鳥(姑獲鳥)『玄中記』46
- 妬女の泉(妬女泉)任昉『述異記』92初訳
- 乾霍乱の薬(張甲)『幽明録』78初訳
- 蘇生の薬草(劉幡)『異苑』巻3・20、祖沖之『述異記』40
- 結石の原因(馬溺消瘕)『捜神後記』巻3・33,『雑鬼神志怪』7
伝説
志怪には六朝以前の神話伝説の類もみられる。また同時代の不思議な童謡や孝子の話など。
- 湯王の雨乞(湯祷雨)『捜神記』巻8・228
- 巨大な釜(尹氏)『雑鬼神志怪』1,『録異伝』1初訳
- 孫堅の出生(孫堅母)『拾遺記』巻8・1初訳
- 干将莫邪の剣(三王墓)『捜神記』巻11・266,『列異伝』4,『博物志』巻6・229
- 相思樹(韓憑)『捜神記』巻11・294、『列異伝』48
- 怨みの石碑(怨碑)『拾遺記』巻5・5
- 狗封氏の祖先(狗封氏)『玄中記』6,『捜神記』巻14・341
- 竹王神(竹王郎)『異苑』巻5・4、任昉『述異記』巻下・310
- 養蚕の起源(女化蚕)『捜神記』巻14・350
- 五月の禁忌(庾蹇)『異苑』巻4・65
- 端午の節句(屈原)『続斉諧記』13
- 孝婦の冤罪(東海孝婦)『捜神記』巻11・290
- 雹の消滅(袁安)『小説』巻2・65初訳
- 善吏の葬儀(王業)『捜神記』巻11・274
- 黄金の釜(郭巨)『捜神記』巻11・283
- 水没の予告(長水県)『捜神記』巻13・326
- 熒惑星の精(熒惑星)『捜神記』巻8・235
- タニシ女房(白水素女)『捜神後記』巻5・49,任昉『述異記』巻上・99
- 夫を待つ石(望夫石)『列異伝』48,『幽明録』12
- 天神の保護(彭娥) 『幽明録』69
神仙
神仙の世界はユートピアの一種である。また漢代からの方士の話、神仙の話。
- 劉晨と阮肇(劉晨阮肇)『幽明録』38
- 杜蘭香(杜蘭香)『捜神記』巻1・30
- 桃花源記(桃花源記)『捜神後記』巻1・5, 任昉『述異記』巻下・184
- 麻姑の爪(麻姑)『列異伝』34,『神仙伝』巻7・4
- 徐登と趙昞(徐登・趙昞)『捜神記』巻2・34,35v
- 李少翁の術(李少翁)『捜神記』巻2・44
- 営陵の道人(営陵道人)『捜神記』巻2・45,『列異伝』29
- 壷中の世界(壷公)『神仙伝』巻5・6、『列異伝』13・14・15
- 左慈と曹操(左慈)『捜神記』巻1・21、『神仙伝』巻5・5
- 渉正の目(渉正)『神仙伝』巻10・2
- 謝允と道士(謝允)『甄異伝』3初訳
- 死期の自覚(李鎮)『幽明録』15初訳
- 鹿娘の尸解(鹿娘) 任昉『述異記』巻下・275初訳
- 黄鶴楼(黄鶴楼) 任昉『述異記』巻上・98初訳
仏教
仏教に関する話。志怪全体には創作性を認め難いのだが、仏教に関するものは、創作の意図を感じられるものが幾つかある。
- 仏教の伝来(漢明帝) 『冥祥記』1初訳
- 仏図澄の術(仏図澄) 『捜神後記』巻2・18初訳
- 仏図澄の占(仏図澄) 『幽明録』89初訳
- 浴室の尼僧(桓温) 『幽明録』107,『捜神後記』巻2・16*,『冥祥記』28
- 僧侶の予言(姚紹) 『幽明録』152初訳
- 廬山の開山(慧遠) 『冥祥記』13初訳
- 僧侶と巫覡(舒礼) 『幽明録』82
- 僧侶と鬼神(歴陽神祠) 『捜神後記』巻6・70
- 病邪退治(竺僧瑶) 『雑鬼神志怪』11初訳
- 地獄めぐり(趙泰) 『冥祥記』4,『幽明録』24
- 優しいオウム(鸚鵡救火) 『異苑』巻3・4,『宣験記』15
- 病からの解放(安荀) 『宣験記』3初訳
- 死刑の免除(孫恩乱) 『続観世音応験記』4初訳
- 消えた野火(釈法力道人) 『繋観世音応験記』1初訳
- 町人の信仰(劉度) 『冥祥記』52初訳
- ノミも殺すな(恵祥) 『宣験記』2初訳
- 因果は廻る(三薔茨) 『捜神後記』巻2・17,『宣験記』12
- 一聖僧の死(釈志湛) 『旌異記』4初訳
