「経営破綻した施行者を講師に呼ぶ」のはとんでもない愚策
花月園競輪施行者に経営を語る資格はない!
自治労全競労評議会
去る6月30日、全国モーターボート競走会連合会ファン拡大推進委員会による「競艇経営改善研究会」なるものが東京で開催され、この場で「花月園競輪場における従事員雇用関係や包括的な業務委託等の取り組みについて」と題して、神奈川県競輪組合副管理者からの報告を聞いたとのことです。
そもそも、全国モーターボート競走会連合会ファン拡大推進委員会が労使関係・労務管理の領域に踏み込んでこのような企画を行うこと自体が、昨年2月13日の全国モーターボート競走施行者協議会の総会における笹川陽平氏の発言と同様、労使関係の当事者でもないのに労使関係に不当に介入しようとするものであり到底許されないことです。
ましてや、これまでの杜撰な経営により50億円近い累積赤字をかかえた花月園競輪場が、「廃止するにも廃止できない事情」の中で、窮余の一策として打ち出したまやかしの存続路線=「包括的民間委託」をあたかも「時代を先取りした経営改善策」であるかのように持ち上げることは、「杜撰な経営により破綻した会社の経営者を講師に呼ぶ」というとんでもない企画に他なりません。
以下、花月園競輪場及び神奈川県競輪組合のこれまでの経営の実態と現状に関して明らかにしておきます。
花月園競輪場(神奈川県競輪組合)の経営状況の概要
1、神奈川県競輪組合は平成10年度に神奈川県・横浜市・横須賀市によって設立された一部事務組合で、花月園競輪場で12開催、小田原・川崎競輪でそれぞれ1開催を開催しているが、平成10年度以降の累積赤字は下表の通りであり、特別競輪を開催しても赤字額が累積していくという実態にありました。(平成13年度には共同通信社杯競輪を開催)
| 平成10年度 | 平成11年度 | 平成12年度 | 平成13年度 | |
| 単年度収益額 | △807,580 | △526,816 | △1,244,406 | △512,055 |
| 累積赤字額 | △807,580 | △1,334,396 | △2,578,802 | △3,090,857 |
そして、賃金10%カットや雇用調整を実施した平成14年度も7億円近い単年度赤字が生じており、「もはや累積赤字を解消できる見込みは皆無」という意味では、完全に経営は行き詰まっていた。
2、神奈川県競輪組合の主要な施行者である神奈川県は、最高時100億円近い繰越金を持っていたが、これを財政調整基金として積み立てるという経営者として当然行わなければならない措置もとらず、その大半を「神奈川国体」のための資金として拠出し、残りも競馬事業の赤字補填につぎ込み、平成10年4月の一部事務組合設立時には、何と拠出金ゼロで一部事務組合をスタートさせたのである。
この「拠出金ゼロでの一部事務組合スタート」を余儀なくされた背景には、横浜市と横須賀市がすでに累積赤字をかかえており、拠出のためには税金からの資金投入を余儀なくされるという事情があったと言われている。
それにしても当時750名もの従業員がおり、少なくとも希望退職者の募集による適正人員への削減もしくは雇用調整の実施が不可欠な状況にあったが、まったく何の経営改善も行わず、平成10年度には8億円の単年度赤字を計上したのである。
3、一方、花月園競輪場の施設会社である花月園観光株式会社は鎌倉・箱根のホテルや外食産業も赤字で、かろうじて花月園競輪の賃貸料収入で経営を維持している状態であり、競輪組合が花月園競輪を廃止した場合は倒産必至で、その場合は花月園観光株式会社(管財人)から巨額の損害賠償請求を受けることが予測される。
かつ、花月園競輪場の敷地の大半は神奈川県の土地であったが神奈川県の深刻な赤字財政化により、30年後の買取を約束した「リースバック方式」によって民間に売却されており、土地を売って補償金を捻出する道もない。
4、こうした状況の中で、「何が何でも単年度黒字化を実現するため」の方策として考えられたのが、公営企業債(約15億円)による従業員退職金の清算と賃金8000円での雇用、職員数の半減=包括的民間委託である。
これによって、毎年の従業員退職金の負担(約2億円)の廃止と約2億円の職員人件費の半減を行えば、かろうじてぎりぎり単年度黒字化の絵が描ける。これが芝居かがった神奈川県競輪組合の羽田副管理者の構想である。
5、言うまでもなく、こうした退職金の清算による整理解雇=民間委託による再雇用は労働組合との合意なしに一方的にできるわけではなく、この花月園競輪の事例は、「これ以外に存続の道がない」中で、やむなく労働組合も合意したから実現したのである。
平成15年度当初の累積赤字(借金)は50億円を超えており、これが他の競輪場であったらとっくに廃止である。ここまで累積赤字を放置してきた花月園競輪施行者はとても他の施行者の「手本」にはならない。
この点を取り違えないよう私たちは強く警告を発するものである。
![]()