No121 近藤真一 143手 詰パラ2001年10月![]() 本作は金銀を使用しない『貧乏図式』の煙詰である。全駒に比較して、この 条件の煙詰は少なく、今のところ、5作のみである。その中で本作が最長手数 の煙詰である。 【解図】 89と、同玉、88と、同玉、78龍、97玉、96と、同玉、86と引、同成香、 同と、同玉、A89香、95玉、75龍、94玉、95歩(図面A) 図面A ![]() A非限定。88香でも良い。 89とからスタートする。途中、香打ちに対して、持駒は金銀しかないので 合駒は利かない。17手目95歩とする。これが大変、打ちにくい。初形から、 煙と推測される配置なので、ここで歩を打つと最後まで残るのではと?どうし ても不安が残るからだ。しかし、歩を打つ以外には手を進める手段は見つから ない。 93玉、92桂成、同玉、82歩成、同角、同香成、同玉、83歩、イ同玉、 65角(図面B) 図面B ![]() イ81玉は71龍、同玉、93角、72玉、82角成まで イ93玉は82角、83玉、73龍、92玉、93角成、81玉、82馬まで 結果95歩は残して手を進めていくしかない。 82玉、84龍、71玉、62香成、同玉、63歩成、同飛、同と、同角、 53と、同玉A33飛、62玉、63飛成、同玉B74龍、62玉、84角、(図面C) 図面C ![]() A非限定。43飛でも良い。 B54龍は72玉で52の歩が邪魔となり詰まない。 二枚目の角を奪い、84角とする。ここから、竜馬による追撃が延々と始まる。 52玉、72龍、53玉、62角成、64玉、74龍、55玉、44馬、46玉、76龍、イ37玉、 67龍、ロ48玉、66馬、59玉、(図面D) 図面D ![]() イ57玉は66馬、46玉、56馬、36玉、47馬、35玉、57馬、34玉、36龍、44玉、 35馬、33玉、43角成、同玉、45龍、33玉、44龍、32玉、31桂成、同玉、 21と、同玉、11香成、以下。 ロ28玉は58龍、37玉、38龍、46玉、47龍、まで ロ36玉は47角、46玉、56龍、37玉、55馬、46歩、同馬、26玉、36馬、17玉、 18歩、28玉、58龍、19玉、46馬まで 72龍から上部に追い出してゆく事になる。どうなるか見当もつかないが、着手 を選択する余地は少ない。ついに玉は九段目まで辿り着いた。 77馬、49玉、69龍、48玉、59馬、57玉、58龍、イ66玉、56龍、75玉、 48馬、ロ85玉、76龍、95玉、(図面E) 図面E ![]() イ46玉は56龍、35玉、68馬、34玉、36龍、44玉、35馬、 55玉、56龍、64玉、53馬、73玉、76龍以下。 ロ64玉は54龍、73玉、84馬、82玉、83馬、81玉、51龍、71合、54角以下。 再度、上部へ追い戻す展開となる。右側へ行くかと思いきや、左に玉は逃げる。 95の地点に到着し、懸念の95歩は消えた。 59馬、94玉、96龍、84玉、95馬、75玉、76龍、64玉、73馬、53玉、 56龍、44玉、A55馬、イ53玉、(図面F) 図面F ![]() イ35玉は45龍、24玉、46馬、33玉、43角成、22玉、21と、同玉、 31歩成、22玉、32とまで。 9筋から今度は4筋まで玉を追う。Aで62馬があるが、これは逃れる。 やりづらいが、55馬とする。実はこれから二回転目が始まる。 54馬、62玉、44馬、イ72玉、52龍、73玉、62馬、64玉、54龍、75玉、 84馬、86玉、56龍、77玉、76龍、68玉、95馬、(図面G) 図面G ![]() イ61玉は83角成、72歩、43馬、62玉、53龍、71玉、51龍まで イ73玉は76龍、63玉、74龍、52玉、43角成、以下。 左での展開となる。105手95馬が収束に向かう重要な着手だ。これは95歩が あっては出来ない。途中53手目44馬で54龍とする紛れがある。これは(図面H) に至る。95歩の有無で詰みと不詰を分けている事がわかろう。 図面H ![]() 58玉、78龍、57玉、68馬、66玉、76龍、55玉、46馬、44玉、74龍、53玉、 35馬、42玉、(図面I) 図面I ![]() 面白い事に二回転目は1回転目より内側を回る。35馬でついに収束方面の4筋 に追い込んだ。 43角成、同玉、44龍、32玉、31桂成、同玉、21と、同玉、11香成、31玉、 21成香、同玉、12香成、同玉、13馬、同玉、33龍、14玉、23龍、15玉、 16歩、同玉、17歩、同玉、27龍、まで143手 ここに至れば、変化で確認した事もあり収束まで一気に進むだろう。 詰上がり ![]() 【創作の経緯】 本作の竜馬追い手順は斎藤仁士氏の無防備煙『冬の旅』(近将S56.9)の余詰 筋を検討中に偶然、発見した。勿論、そのままではうまくはいかない。しかし、 収束への入り口を一カ所に絞れば本作のような手順が成立するのだ。そこでと りあえず、トライ。まず、右三筋で収まる収束を作る。そして、竜馬追いが成 立しているか、確認する。と言う難儀な作業を繰り返すのだが、成功はしない。 十数図の収束を作ったが、結局はあきらめ投げ出した。 それから、二十年近くが過ぎ、強力な協力者が出現した。それは詰将棋解図 ソフトである。再度のトライである。複雑な収束はすべて、ダメであった。 単純な構図の本作が生き残り、それが偶然、貧乏図式だったので、貧乏煙で 仕上げる方針で逆算を開始した。何としても95歩は打つ手順にしたかったの で思いの外苦労した。 苦労し熱の入った作品だが、私以外の人ならもう少し巧い逆算で仕上げた はずとの思いがいまだにある。 【解説:近藤真一】 |