活 き る!! 〜 1994年 張芸謀 作品



  メッセージ: 人々は時代を生きていく!!



  久しぶりに、スクリーンの前で中国映画を観た。
  待ちに待った張芸謀(チャン・イーモウ)監督、鞏俐(コン・リー)主演の作品だ。

  ”活きる”(活着!!)とは、中国の激動の時代を生き続けてきた民衆の叫びだろうか??

  福貴(主演 葛優)と家珍(主演 鞏俐)の一家は、中国解放前から経済開放前夜まで、
  幾多の試練に遭遇しながらも、家族愛を育みながら、時代を生き抜いていく。
  一家の柱の福貴が、時代を経るごとに逞しくなっていく姿に、民衆の生きる知恵とたくましさ
  を感じた。
  葛優が、実にいい。福貴のひょうきんさの中に、ちょつとした安らぎを感じた。

  この夫・福貴を支えるのが家珍だ!!
  鞏俐がしっかりと演じている。
  気丈なところ、母として子供への愛情、雪解けのように夫の友への宥恕の心と、鞏俐の表情
  感情表現は、うぅ〜ん!、実にいい!

    家珍が、これまで、我が子を車の事故で殺されたため、会うことさえも拒否つづけた夫の
    友の区長の春生、走資派の批判を受け、この先に待ちかまえる運命は過酷だ!
    その春生に向かって、「活きるのよ!! 活着!!」と叫ぶ家珍!!
    暗い夜道に向かって歩く春生の行く手を暗示するシーンでの活きることへの叫び声・・・!!
    感動した。
    ”活着”とは、ひとりだけが生きるんじゃないのだ!

  また、ラストシーンがいいです。
  このシーンに張芸謀のメッセージが凝縮されているのではなかろうか??
  ふと、鞏俐の優しさを感じました。




  ”活きる”は、1994年の作品ですが、中国の時代背景の中で、ふと考えてみると、

  1989年に天安門事件が起こり、作品の前年の1993年には江沢民が国家主席に就任し、
  中国社会も安定の兆しが見え、いよいよ経済開放に向かうころです。
  また、経済発展のモデルの香港返還が、1997年に近づいています。
  1994年の時点では、経済発展が民衆にもたらすものは、まだまだ不透明ではな
  かったでしょうか??

  こういう時代背景の中で、”活きる”を観てみると、
    ラストシーンで、福貴が、孫の”マントウ”に答える言葉に、確か

      大きくなったら、牛ばかりじゃないぞ! 飛行機にも乗れるぞ!
      そのころは、今よりももっといい世の中だ!!

    と、語っています。
  飛行機は、経済発展の象徴でしょうか??

  同じように、大躍進時代に亡くした我が子の”有慶”に答えて、福貴は

     大きくなったら、牛の次は、共産主義だ!
     毎日、餃子や肉が食えるようになるぞ!

  と語っています。

  張芸謀自身が、厳しい時代を生き抜いてきている。
  変貌しつつある中国社会にあって、少なからず希望を持って。。。。メッセージを!!

     如何なる時代であっても、老百姓は、家族と共に活き抜いていく!!

  ”活きる”、家族のこと、時代のこと、生きること、といろいろ考えさせられた作品でした。
  久しぶりに充実感を味わいました。


                           (2002.5.6記)



謝謝!!〜戻る / ホームへ