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藤  水名子 先生



ひとこと アッピール!!

 親しみを込めて! fuji 先生と呼びましょう! (いいですよね〜え・・・。)
 ちろりんおじさんは、中国に魅せられ、いろんな本を読みました。
 そのほとんどが男性作家と言っていいでしょう。
 例えば、三国志など中国の歴史は、男の夢をかきたて、男の視点
 からは取り組みやすい素材・テーマでしょう。
 みなさぁ〜ん!!
 fuji 先生の魅力は、それを越えるものです。
 fuji 先生の作品の登場人物には、主人公はもちろんのこと
 登場する一人一人に、光があてられ、一人一人に愛おしさを感じます。
 fuji 先生から命を吹き込まれ、人々が歴史の舞台で生き生きと華やいでいます。
 なんとも、歴史の浪漫!!に引き込まれていきます。
 みなさぁ〜ん!!
   是非、読んでみてくださぁ〜い!!

  これからも、ちろりんおじさん! ぼちぼち読んでいきますよぅ〜!!


 「公子風狂」 講談社文庫


 白馬が一頭、立ちはだかっている。
 ・・・・・・
 呟きざまに、曹操が小さく一歩、馬を進ませた。すると、光を受ける角度が変わり、
 孅媛の目に、はじめて彼の顔が詳らかとなった。
 ・・・・・
 決して見とれているわけではない、と自分自身に言い訳しながら、
 孅媛は一瞬間、我を忘れて曹操を凝視した。
 ・・・・・・
 孅媛は我知らず赤面した。

これが、希代の姦雄、魏の曹操と丁夫人孅媛との天命の出逢いの一瞬の心の交わりだ! 
言葉ではない、一瞬の感性、ふと、熱い息吹が沸き上がる。
じつに、みごとな描写だ!
男女の出逢いのひとこま、心の交わりは、時代を超えてのものであろうか。。。。! 
曹操と孅媛との行方を予感させるシーンだ!!

曹操は、言う!!

・・・・
  この地上ができて、まだまもない頃・・・・・
  この世に、たった一匹しか存在しないと言われる不思議な亀がいた。
  ・・・・・
  生ける者であれ、そうでないものであれ、目にしたものはなんでも貪り食う
  と言われる貪婪な亀だ。どれほど食べても、およそ満ち足りるということがない。
  ・・・・・・・・

混沌とした時代の中、まさに姦雄、曹操は、この貪欲な亀だったのだろうか?
しかし、この曹操にして、貪り尽くせなかったものがあったのではなかろうか?
孅媛のひたむきな愛。。。。
曹操が、時代と戦えば戦うほど、求めてやまなかったものではなかろうか。。。!!
曹操が求めるものが、不確かな「愛」故に、曹操は、渾身の力を持って、
時代に立ち向かう姦雄たりえたのではなかろうか。。。。
・・・・・

ラストシーンでは・・・・
  布地の一面に青黒い玄武の柄を散らしたその綾帛はもう少しで完成する。
  曹操にも曹昂にも、最早袖を通してもらうことのできない帛をどうするか、
  それは織りあがってから考えればよい、と孅媛は思った。
  ・・・・・・

だれも袖を通すことのない玄武の綾帛。。。。
手を止めることなく、黙として織機に向う孅媛の後ろ姿に何を感じようか!
天下統一に向けて動乱の中、魏・呉・蜀という三国の鼎立の時代の中、
孅媛も、また、「愛」を戦い抜いて生きたのだろう。

あの貪婪な亀でさえも、貪り尽くせないものがあるとしたら、
それは、。。。。。!!

ちろりんおじさんは、死期の近づき病床に臥す曹操の心情に、
ふと、泪し瞼に熱いものを感じた。
死期の床、これでよかったのかと。。。。


みなさぁ〜〜ん!!
  公子風狂!! 是非、読んでください。
  副題が、三国志外伝〜曹操をめぐる六つの短編となっています。
     公子風狂
     青青子衿
     憂愁佳人
     女王の悪夢
     仮面の皇帝
     曹操の死
  の六編です。
  各編ごとに、ひとつの男女の「愛」の形が語られています。

  それ以上に、ちろりんおじさんは、初編の「公子風狂」から最終編の
  「曹操の死」に至るまでを、新たな曹操像を語るものと感じました。
  これは、これまで幾多と発表されている「三国志」小説にも、決して劣らない、
  姦雄、曹操が、みごとに描かれているではないか!!
  みごとなまでの「外伝」だ!!

● おまけ!!
   「解説にかえて〜風狂座談会」、これまた、藤先生、某掲示板では、
   ちろりんおじさんにも声を掛けていただく福井さん、それから修健さん
   の三人の軽妙な会話が楽しめます。

   ちろりんおじさんも、藤作品の中国での発表を願っているひとりですよ!!

                          (2001.4.8記)



 「王 昭 君」 講談社



  塞外の地、匈奴王に嫁いだ娘・王檣、字を昭君。
  蔓衍たる大海原の広がりを夢見る少女が、長城を越え、塞外へ嫁する
  とは・・・・。
  さあ、物語は、奇数な運命に立ち向かう昭君の天命や如何・・・?

 いやぁ〜、懐かしい人物に出会いました。
  その人物とは、李陵です。
  まさか、この「王昭君」に李陵が登場するとは・・・・。
  宮廷画人・毛延寿が憧れた数奇な生涯を辿った李陵・・・。
  ちろりんおじさんは、少年時代に中島敦著「李陵」で巡り会いました。
  李将軍の運命に感動したものです。
  この機会に、何十年振りに「李陵」を読み返しました。

  匈奴に降り、李陵は「帰るのは易い。だか゛、又辱めを見るだけのことではないか? 如何?」
  と言葉半ばにしつつも、
  漢土に還る友との別れの宴・・・ 李陵が舞いかつ歌う

  ・・・・
  老母已死雖欲報恩将安帰
  ・・・・
  と歌っているうちに、声がふるえ涙が頬を伝わった。女々しいぞと自らを叱りながら、
  どうしようもなかった。
  あ〜あ! 故郷を想う李陵の心中や、いかばかりか・・・。

  かたや、昭君 少女の夢は江の流れに身を任せ、
  ただ淡々と流れを下っていくことではなかった。
  ・・・・少女は自ら流れを遡りたいと夢想した。
  ・・・蔓衍たる大海原が広がっていればいいのに、と思った。
  ついに、茫漠とした砂礫の大地という大海原 戈壁(ゴビ)の大海原に漕ぎだして行き、
  自らの辿る運命の流れを、自ら溯って行く昭君だが・・・・。
  しかして、昭君は、歌う漢語にて!!

  吾が家 我れを嫁す 天の一方に、
  ・・・・・
  願わくは黄鵠と為って故郷に還らん。
  ・・・・・・
  頬を濡らす涙は、未だ当分、やみそうにもない。
  あ〜あ! 故郷を想う昭君の心中や、いかばかりか・・・。

  戈壁砂漠に生を全うした「李陵」と「昭君」のふたりだが。。。

  fuji先生の「王昭君」は、まさにあの中島敦著「李陵」に匹敵するものです。
  ちろりんおじさんも、宮廷画人・毛延寿が見た英雄の瞳をもつ天女・・・
  を画けたらと願うものです。

  みなさぁ〜ん、「王昭君」を是非読んでみてください。
  特に、女性の方にお薦めです!!

● こぼればなし
     画の「昭君梅花里」は、林崢明著の人物画集を参考にしてイメージしました。
     「昭君千里行」は、ちろちゃんがもっていた劉大為著の画集を参考にして
     イメージしました。
     ちろちゃん曰く、
      「王昭君って だれ? 宮廷から匈奴に嫁に行くと、
       太っちゃうのかなぁ・・・・」(くうっ。。)
                          (2000.10.9記)



 「色判官絶句」 講談社




 日明貿易に栄え、倭寇が躍る明州寧波港・・・!
 寧波港に華やぐ火竜娘! 我らが悠環、悠々小姐・・・!
 可憐な容姿に、ひとたび倭刀を握ると、港の無頼漢の
 なか、ひと暴れ・・・!
 そこに登場、色判官! 市舶司提挙の柳禎之!
 詩文を詠み、手練手管の美男の秀才、これに在り!
 方や、大海原を背負って立つ、海の男! 鷹訓!
 無骨者だが、男気に燃ゆ!
 さあ! 寧波港を舞台に、恋あり、冒険あり、
 そして、「梨花一枝 雨を帯びたる粧いの 
 雨を帯びたる粧いの・・・」
と謡曲が流れます。
 
 さて、「色判官絶句」とは、如何なることにあらん・・・!

●こぼれ話し
  悠環と鷹訓が訪ねた紫陽花の咲く小庵と悠環を
  想って描いてみました。
  再び、愛人曰わく
  「前よりは、ちょっとはましねぇ・・・、だけど
   紫陽花がいまいちねぇ・・・」と・・。(くぅ〜つ・・・!)

  「色判官絶句」、宮崎の古本屋で偶然見つけました。
  おっと! 大発見!で、気分はうきうきでした。



 「項羽を殺した男」 講談社




★ 「項羽を殺した男」
 「炎天下、・・(中略)・・。風が燃えていた。若者たちは、
 じっと我慢して行列を待った。始皇帝の行列を。」
 のプロローグにぐっ〜ときました。
 突如、「いつか、とって代わるぞ」と大男の声!!
 もう、血が騒ぎます!! 引き込まれます。
 若者ひとり、天命に向かって走り出す情熱
 を感じる光景です。
 そして、項羽を殺した男は・・・・!!
 はたまた、項羽に対する畏敬の念か・・・!!

 「虞花落英」
  これは、まずは一読あるのみです。
 麗春花、あの虞美人と籍様、項羽・・・!
 ともに、天命に向かってひた走り、
 一気呵成に駆け抜けます。
 「別れの宴」の場面は圧巻です。
 舞い踊る春花! 剣の柄を、つと強く握り変え・・・!

●こぼれ話し
 1999年大晦日に麗春花を想い描いたものです。
 ちろりんおじさんの愛人、曰わく
 「どこかの田舎から出てきた娘みたい・・・」と・・。
 色香はないでしょうか・・・??
  髻から零れた幾筋かの後れ毛なんか・・??




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